自分や弟子達の修行を行いながら、ウィリーの海流からの予測と
時に船の反応だと近付いてみると……そこにはドクロを掲げた船が。
「な、なんだあの鉄の怪鳥は!?」
「また
「キィーッ!」
ズバン! ズバン!
この
あくびが出るぜと言わんばかりの早さで余裕を持って殲滅し、オレの側に戻って頭を垂れてくるので、首のあたりを撫でてみる。硬い。
「キ~♪」
うれしそうだ……年々本当に生きているみたいな仕草をするようになってきた。
今の姿は爪が血で染まり、機体に返り血を浴びているので少々猟奇的だが。
これでは【ゴッドバードアタック】で気軽に爆発させられない。【レヴォリューション・ファルコン】のミサイル砲撃も、【
「いんや~おったまげただ。夢の世界にもビックリだども、ロゼ強ェだな。そんな戦い方さする戦士は初めて見ただよ」
「その内ありふれた戦場風景になるかもしれんぞ?」
海賊船を操縦し連行してきた海賊達を見て、そう呟くエルバフの女巨人戦士リリー。今は人間サイズで奴らの治療中。
初見では恐れるか引くかが一般人の反応なんだが、流石にそこは新世界ウォーランドがエルバフ出身。戦場には慣れているか。
姉さん達黒檻部隊とハンコック達
『お前が原因だろ。なんとかしろ』
そう言われたのだ。
仲良くケンカしろと伝えてくれと返せば切られてしまった……その内収まるとオレは見ている。
まあハンコックが勝つだろうが、あいつ皇帝になってから同年代かつ同性の友達が出来たことないし、きっかけさえあれば仲良くなれるはず。対等ではなく上下関係ならたくさんいるが。
そして姉さんも同性の実力者は認めざるを得ないだろう。
アインがどう転ぶかが読めないな。そこまで拳で語るって性格をしていない。インテリだ。姉さんも教養人だが、海軍に入って結構経つから染まってきている。
殺しはNGとだけオレがそれぞれに電伝虫で伝えておくか。
リリーも医者だからインテリのはずだが、彼女にその言葉は似合わない。トリスタンやレイジュと知識や意見の交換はしているが。
ガルドアとはよく槍を交えている。巨人サイズではなく人間サイズで。
「海賊嫌いは充分に伝わっただども、敵にも飯はやるんだな……」
「作らなければ死ぬじゃないか」
ハズレばかり引きそろそろ独房が一杯になってきた頃、ようやく過去視で見た廃船を発見。
捜索対象かどうかは不明だが、人の気配を1つ捕捉。これで捜査に決着がつく。
そろそろ料理を作るのが大変になってきたところだ。リリーに全員小さくしてもらおうかと思ったが、逃げられやすくなるのでやめた。
オレと、唯一の知り合いであるヨコヅナで船に乗り込む……見聞色で見た時は気付かなかったが、この船は結構発達した技術で作られている。だが動力が壊れているな。帆も破れているし、これでは波に任せる以外ない。
周りを見ながら船内へと足を進めると……バケツに入れた水で服を洗う、シャツを着た――否、シャツしか身に着けていない人間がいた。
「ん~着の身着の儘ァ波に揺られ……アウッ! 辿り着くのァいずこへか……そんな難航、歌います。『裸一貫漂流記』」
「歌う前に下を穿け」
尻丸出しで何を言っている。
女ならともかく、男の尻など見たくない。
「あン? 下を穿けだァ? オイオイ……バカなことを言っちゃあいけねェ……そんなもん穿いちゃあ変態の名折れ。男フランキー、どんな姿であれ心は錦。これはおれの自由の象徴! 誰にも恥じることァない! ん~~! スーパー!!」
バァ~ン☆
こちらを振り向き、大きな両腕を頭上に掲げポーズを取る。
アロハシャツは前が全開で、その股間にはブラブラとその男の象徴がペンデュラムし、惜しげもなく圧倒的存在感を放ち、媚びず、退かず、自重せず、ドンと胸を張っている。
トムさんが言った『男ならドンと胸を張れ』は、『胸を張ってドンと男性器を見せつけろ』ということではないと思うが……こんなにうれしくない裸シャツ姿は初めて見た。
恥部を露出させて自由とか言われても……お前は一体どんな境地に至ったのだ?
シャーリーの姿を思い出し中和しよう。
人魚だからとはいえ、あれはもはや裸パーカー。誰もが震える魅惑の響き――しかもヘソ出しルック、芸術的ですらある。上品なシャーリーが色っぽい着こなしをしているというギャップが素晴らしい。本人に言うとほっぺた引っ張られたが。
魚人島は大勢のマーメイドが裸シャツの恰好をしている夢の楽園である。あの場所を荒らそうという輩は頭がおかしいという評価を下さざるを得ない。
海賊でも〝白ひげ〟はちゃんと価値がわかっているというのに(※〝白ひげ〟が魚人島を縄張りにしたのはそんな理由ではない)……よし、見たくもないものを見せられたショックから回復してきた。
「ド変態じゃないか」
レベッカやキャロルの子供達や、ウチの女性陣を連れて来なくて良かった……彼女達にあんなものを見せびらかそうものなら矯正、いや去勢手術が執刀されかねん。
体の至る所が、おそらくは傷を治すためにもうすでに改造手術済みのようだ――流石に男として大事な場所は未改造だが。
鼻は鉄で顎は3つに分かれている。更には腕がデカい。髪型もリーゼント。
フランキーと名乗ってこそいたが、本当にカティ・フラム氏か自信がない。というか何とか人違いってことにならないか?
今まで頑張って探していたのが変態? 目の下のまつ毛が辛うじて面影と言えるが……チェンジしたい。
ワンピースが〝海賊王〟のお宝写真集みたいなクッソ下らないものだったら、海賊達の心を折れるかもしれん。
「オイオイそんな褒めるなよ~♡ ――って誰だおめェ!? それに……ヨコヅナ!?」
「今気付いたのか。決して褒めてはいない」
ウォーターセブンで『変態』は褒め言葉だった……? そんなはずがない。
「
ヨコヅナが飛びつく。どうやら本人で間違いないようだ。
本来であれば生死不明の人間との感動の再会なのだろうが、下半身丸出しのせいで締まらない。これではオレは泣くに泣けん。
ああそうか……海列車に轢かれて頭を……更にはトムさんを連れて行かれたショックと1年の孤独生活で、精神がヤられて露出の解放感に目覚めてしまったのか……別の意味で涙が出る。
「なんでおめェがここに……オイお兄ちゃん、なんだその憐みの眼は?」
「いや、何でもない。お前はもう、1人じゃない。今ならまだ引き返せる」
「ん~、何故かスーパームカつくぜ……」
その後、アイスバーグさん達に見せたのと同じ
「ぎゃあ~うやうやう~~!! アウアウアウ~~!! ドム゛ざ~ん゛!!」
すると、こちらに背を向け大声で泣き出した。
「涙など誰だって流す。泣くことを恥ずかしがるなら、ノーパンを恥じろ。まずはパンツを穿け。話はそれからだ。人間社会に戻れなくなるぞ」
「バ~カ!! 泣いてねェよバァカ!! これァただの汗だ!! そのペドロって奴らの義侠心に、おれが心を打たれたのは確かだが!! うおおぉぉ~ん、トムさんの造った船を認めてくれる奴がまだいて良がっだァ~~!!」
ああ……それもあるのか。自分の育て親のトムさんが、船大工の子供とも言える船を造ったことそのものを罪とされたことにも不満があったと。思う存分泣かせておくか。
これはアイスバーグさん達と話をするのはまだ無理そうだ。
とりあえずアイスバーグさんに連絡だけ入れて、泣き声を聞かせる。また後で彼の心の準備が出来たら連絡させるからそっちも準備を済ませておいてくれと。
ココロさんにはヨコヅナがかけた。何て言ってるかはわからんが、ココロさんが喜んでいるのはわかった。
「つ~わけでこれから大変、いやさ変態世話ンなる。フランキーだ。スーパーよろしく頼む」
「「「濃いのが来たなぁ……」」」
当然海パンは穿かせている。ガタガタぬかして拒否するならばち○こをもぐと脅した。落ちていた鉄パイプをぐしゃりと握り潰しながら。すると渋々人前に出られる恰好になった。
「お前は変態ではなくヘタレだ」
この男、ヨコヅナが心配だからと理由を作り、ウォーターセブンに帰るのを拒んだ。アイスバーグさん達に自分で連絡もまだしていない。
まあ人相が変わり死んだと思われているとはいえあれからまだ1年、犯罪歴がついてしまったようだし、せっかくだから時間を置くのはそんなに悪くないか。会えるようになるまでいればいいだろう。その間にこいつが社会復帰出来るよう努めるのがオレの役目。
当然乗り続けても問題ないが、彼らと必ず顔は合わせてもらうぞ。
「何ィッ!? 誰が変態じゃねェだァ!? てめェ、それはおれが一番言われたくないことだってわかって言ってンのかあン!?」
「そっちかよ……こいつホントに船大工なのか? おれの親と同じ……」
シュライヤが落ち込んでいる。
「変態と船大工の腕は何の関係もないぞ」
「わかればいいんだ」
フランキーが満足そうだが、今の言葉はお前が変態だと認めたわけではない……変態を認めるって、なんだ?
「おめェ……中々やるじゃねェか!」
「ちょっと待つササ。私は一体何を褒められたのササ?」
「照れるな照れるな!」
なんかパンダマンがフランキーに
そういやパンダマンも充分おかしな恰好じゃないか! 感覚がマヒしていた……。
「政府関係者相手に暴力沙汰……だが事情を考えれば……つーか
ダディが自分の正義と折り合いを付けようとしている。
海軍だろうが政府だろうが、真面目にやっている人がいれば、その陰で不正やら汚職やらに手を出す奴もいるわけで。あの魚人島にも闇はあった。
そういう時に割を食うのが真面目な人間になるのは納得いかないな。
「なんや自分のやってきたことに自信なくしとるなァ……元気出しィや」
「正義……自分を誇れるよう華麗に生きることじゃないかな?」
言うなれば「華麗なる正義」か。
「パパは私の誇りだから、自信持って!」
「キャロル……お前がおれの正義だ!」
キャロルが正義――すなわち子供、子供とは次の世代。「未来ある正義」といったところか。良いと思う。子供達の未来のために頑張ろう、世界中のお父さん。その背を見て子供は育つ。
「う~んその腕……筋肉というより鉄筋ですね」
「おう、骨がバキバキに折れちまって使い物にならなくなったんで、鉄クズで補強した。おれァ
そう言ってフランキーが腕を外すと中から鎖が見える。
他にも体に鋼鉄や自作した兵器を仕込んでいるそうで、それで海獣とかを倒して焼いて食べることで生き延びていたらしい。逞しいな。
「おお~すごい。お兄様みたい」
「ヨンジみたい……ねえ、背中も改造し
「あン……完全変態? オイオイ褒め殺しかよ~♡ お姉ちゃんは医者かなんかか?」
「いいえ、完全体よ……そして私は科学者。それも、世界トップクラスの科学力を持つ国の」
「ほほう……改造手術。興味があるっぺよ」
「クローン技術による治療法もレイジュと研究中ですが、機械による医療にも興味がありますね……」
「大丈夫大丈夫。
ウチの医療班が
惚気た時だけレイジュの顔が緩んでいた。オレは壊しただけで頑張ったのはお前達だぞ。
「ア~ウ、3年前ってつい最近じゃねェか。何だこの怖いお姉ちゃん達は……? 美人に囲まれてンのに全然うれしくねェ」
「ただ研究熱心なだけだクランケ―……間違えた。フランキー」
「おうコラ、おめェ今なんツったよ」
ふむ、偽名を使うのは悪くない考え。
スカーレットとレベッカも、不特定多数の人間がいる時は本名ではなくニックネームのようなもので呼ぶか。
ということで、人前ではスカーレットのことはレティ、レベッカのことはベッキーと呼ぶことになった。
☆☆☆☆☆
少々変態が不安だったが、無事皆に迎え入れられたフランキーを乗せ、シュライヤの故郷へ針路をとる。
途中で海軍基地によって独房を空にしてから。夢の中で叩きのめされたからか非常に従順だった。
今はプールで息抜き兼修行中。水中もしくは水上での戦いをしたり、水着で泳いだり。
ガルドアは日焼けで自分の肌が焼けるのが嫌だからと来ていない。
乙女かッ! オレなんてドン・アッチーノに焼かれるどころか溶かされたわ! もう完治したが。
今はレベッカとスカーレットの希望を元に、レイドスーツのデザインをしてもらっている。
鉄並みの強度の外骨格を備えたレイジュと違い体が丈夫でないので、露出は控えめ。
ポイズンピンクのレイドスーツは防御面を無視し過ぎだ。イチジ達のは完全防備だったのに。聞けば、あれでオレを悩殺してこいよという意図があってのものらしいので、思いやりと言えなくもなく怒るに怒れん。
オレは能力者なので泳ぎこそしないが、前にスカーレットやレベッカと水着を買いに行った時に、スカーレットが選んでくれたのを着用し、上からコートを着ている。
「おう、ナイス変態!」
アロハビキニにサングラスをかけたフランキーから、全然うれしくない褒め方をされる。
こいつはよくプールにいる。海パンが合法だから――などという理由ではない。
そもそもこの男、どこだろうが海パンだ。単にヨコヅナに会いに来ているだけ。それ以外は、回収したこいつが乗っていた廃船を材料に、機械いじりをよくしている。
船の上では海パンで問題ないが、島に上陸する時はズボンを穿かせねば……毎回脅すのは面倒だ。
今までになかった機会なので、オレの能力で機械を埋め込んだフランキーを操ったり、体内の機械を操作出来ないかと許可を取って試した結果、不可能だった。まあ予想の範囲内。自分以外の人間を機械に変えることは出来ないし、そうじゃないかと思っていた。
能力でズボンを穿かせるのは無理か……だがオレに秘策あり。
「普通のビキニタイプだ。お前のも同じだろう」
「まあそうだが……コートと組み合わせることでいかがわしさが際立つ(ヒナならこの写真、いくら出すだろう?)」
ダディにそう言われた。
他の男性陣は特に変哲のないトランクスみたいなの。
「いや、流石のオレもあの視線の中でこの狭い布地だけでは不安だぞ」
そうして女性陣の方を見る。
キャロルと我が妹レベッカは子供用のワンピースタイプ。胸の所に白いゼッケンが貼られ、『きゃろる』『れべっか』と平仮名で書かれている。
これが世界政府加盟国の学校の決まりらしい。先生に名前がわかるようにだとか。
この2人は子供らしく子供用プールで――キャロルは能力者なので浮き輪を腰につけ――きゃっきゃきゃっきゃと遊んでいる。平和の象徴。
問題は他の5人だ。
「鍛え抜かれた肉体――わ、ワイルドだっぺ~。スカーレットグッジョブ!」
「普段ロゼは肌の露出が顔だけ、手や鎖骨すら見せないガードの硬さ。唯一見える顔もゴーグルで隠されてしまいますが、あそこまで人前で晒すのは初めて見ましたね。スカーレットグッジョブ!」
「水着姿なんて、母親のシャッキーすら見たことないんじゃなイカ? スカーレットグッジョブ!」
「ふふふ、私が選びました。ああ♡ 普段治療中くらいしか見られない部位が露わに――私グッジョブ!」
「口から欲望が漏れてるわよ? スカーレットグッジョブ!」
「これは信仰心の発露です!」
あなたの筋肉への信仰心はよだれなんですか? スカーレットが周りから称賛されている。
あの3人はともかく、他にも周りに……まだ15歳のオレ以外だと、冗談で済まなくなるというか、本気っぽい生々しさが出るか。ダディとか子持ちだから気まずくなるし、シュライヤはショタ……あれ? 15のオレも結構アウト寄りなんじゃ……。
こちらも見ることでお互い様としよう。
メイプルはいつでも泳げるよう水着のような格好だし、リリーは能力者なので着替えてさえいないが。
スカーレットはオレンジのビキニ。その上からホットパンツを穿いている。経産婦とは思えないスタイル。踊り子の恰好よりも露出が高くオレにとってはレア。
レベッカが選んだあの紐みたいなのは着ないのかと聞くと、『あんな恰好で人前に出られるわけありませんッ!』と怒られた。じゃあ何故買った……オレの水着は選んだくせに。
トリスタンは青いビキニでフリルの付いたスカートのようなものを穿いている。捲りたい。というかすでに後ろが尻尾で捲れている。是非後ろから眺めたい。
そしてレイジュが……あれは何と言うんだ? 一言で言えば黒くて危ない水着。布を背中に回して胸元にあるリングに結び付けることで固定、少しずれれば脱げる。完全に泳ぐための機能を捨てて見せるためだけの物。あれにエロさで対抗するには、それこそ紐くらいしかないんじゃなかろうか? 挟まれたい。
「あのお母ちゃん――命狙われ国も追われて、潜伏中には見えねェほど活き活きしてるなァ」
フランキーは相当涙脆いようで、誰かの話を聞く度に泣いていた。
他人のために涙を流せる奴は良い奴だろう。
「母の笑顔が陰れば子にも伝染する。子を守る母は最強だ」
「その言葉、スカーレットがよだれ垂らしてさえなければカッコいいンやけどな」
絶望に打ちひしがれて下を向いて生きるより余程良い。
その後、近寄ってきたレイジュに腕に抱きつかれ、その未だ成長中の胸でサンドされた。
今までの人生でこれほどまでにコートが邪魔だと思ったことはない。脱ぎ去りたい……はっ、それが狙いか。
「手強い……反応してないわ」
「どこを見て言っているどこを」
「そ、そんな……恥ずかしくて言えない……ぽっ♡」
そこを恥ずかしがる奴は、そもそもこんな行動を取らないんだが。
目線を上げろ。どこに話しかけている。
今ここで秘めたる姿を解き放とうものなら、オレは
これはおそらくステューシーの影響……自分のためにエロくなる美女って、端的に言って最高だな。
「師匠ーッ! 確かにおれは思ったより修行がヌルいと思ってたが、いきなりこれはなくねェか!?」
「
泳いでいるシュライヤが元気な声を上げている――プールでサメに襲われながら。
メイプルに魚からの情報収集ついでに食料を渡す代わりに連れて来てもらい、オレがサメの覇気を目覚めさせた。
当然食料とはシュライヤのことではない。ただメイプルはサメと完全な意思疎通が出来るわけではないので、勘違いされている可能性はある。危なくなったら助けるから。
目覚めたばかりで、覇気使い未満のお粗末な覇気とはいえサメはサメ。水中での戦闘もいいハンデとなるだろう。ある程度危機感があった方が伸びる。
本来はヨコヅナの水中戦用の対戦相手だが、シュライヤにも経験させることにした。人以外の動物との戦闘も大事。
レベッカはスカーレットの許可が下りなかった。ルスカイナの動物に比べれば赤子同然なのだが……このサメは人を丸呑みに出来る程度のサイズでしかない。というかこの船で一番の危険生物はオレだ。
最終的には覇気を目覚めさせた海王類と戦闘予定だから、少しずつ慣れていけ。
「さっきオレも戦って見せただろう? 自分を信じろ」
「そう簡単に水面なんて走れるかァー!」
「シュライヤ……海軍本部中将はサメどころか海王類を一匹くらいなら普通に倒す実力だ。つまり当然元中将の〝将軍〟も」
「ああ!? あの野郎が出来ておれに出来ねェわけあるかァッ!!」
うんうん。その調子だ我が弟子よ。
無傷とまではいかなかったが、見事シュライヤはサメに打ち勝った。オレの弟子は全員やれば出来る良い子達だ。
☆☆☆☆☆
汗を流しながら航海を続け、目的のシュライヤの故郷に到着したのだが……
「何あれ? 怖い……」
レベッカがスカーレットの手を握る。
「雷雲やな……お前の故郷特有の気候か?」
新世界にある魚人島の次の島候補には、雷が降り注ぐライジン島というのがあるらしいが、それの一種か?
「違う……あんなもん見たことねェ。それに、おれが島を出た時より明らかに荒らされてる……! 一体どこの誰がッ!」
怒っているな……それも当然か。
かつては人が住む造船で賑わった島が、今は完全に瓦礫の山だ。
ガスパーデ海賊団がやったわけではないなら、後から来た誰か。もしも島に住民が残っていたら、死人が出ていたかもしれない。
気配を探ると……1人の気配がする。だが……心の底から嘆いている。
シュライヤと同じここの生き残りか? 心の声を聞いても、思考がぐちゃぐちゃとしていてわからない。
そのことを話し、まだあの雷雲が何なのかもわからないこの状況。オレに気配を悟らせない程の手練れが気配を消し潜伏中等、危険がないとも言えない。
上陸するのは戦闘担当のオレと、一番何が起きたか知りたいであろうシュライヤ。【エレクトロ】を使うが故に、ある程度電気に耐性があるミンク族で医者のトリスタン。そしてもう一人の医者であるリリーと科学者のレイジュ。最後にルックスが良くて今島にいる人の警戒を解けそうなガルドアの6人で様子を見に行き、他は船番ということになった。
見聞色に引っかからないくらい弱った、意識不明の重体がいた時のために、医療関係揃い踏み。船の方で何かあれば、残した機械でオレがわかる。
壊された家の残骸を進み、気配がする中央付近に歩いていく。
すると、
「うっ、うう……!」
小さな体には大きい布きれを纏った、まだ幼いであろう子供が声を押し殺すように嗚咽を漏らしていた。声から男の子だと思われる。
実は雷雲を従えるという四皇、〝ビッグ・マム〟ではないかと僅かながらに思っていたが、流石に
「ねえキミ、何があったんだい? 大丈夫?」
ガルドアが近付きその場にしゃがみ、明るい声で話しかける。
オレは周囲を警戒しておくか。まだ雷雲は残っている。
「アアァアアアァァアアァッッ!!」
少年の絶叫が耳を打つ。
「……ワ~オ、毛深いね」
あいつ、目の前の光景に頭がついていけてないな。
「全員下がれ!!」
フリーズ中のガルドアの体を掴んで後ろに跳び、起き上がらせる。
ドゴォン!!
さっきまでガルドアがいた場所に少年の腕が振り下ろされ、建物の残骸が割れる。
だがそれはただの腕ではない……赤い毛に覆われた、巨人族程ではなくとも人間の子供の小さな体には不釣り合いな巨大なサイズ。
あれは……サルの手か? 恐らく
「うわァァァ! 止まれッ、止まってくれよ! 嫌だ、こんな腕もう嫌だッ!!」
本人の意志に関係なく暴れ回っているようだ。
ここを壊したのはあの能力……暴走しているのか。
「なんだ……これ?」
「本来のおらほどじゃねェけんど、でけェ腕だっぺ……」
「こ、これって……噂に聞く悪魔の実の暴走?」
シュライヤとリリーが驚き、レイジュがオレと同じ発想に至る。
「【
そう言ってトリスタンがポケットから丸薬を取り出す。
あれは【
本来は満月を見ることでのみ発現する、ミンク族共通の奥の手。体毛が白く長く変貌し、戦闘力が大幅に向上する。
「オレが止める。それは最終手段だ。オレが失敗した時に取っておけ。リリーもいるとはいえ、医者が真っ先に倒れてどうする」
3分という時間制限があり、1日1つという用量さえ守れば体に害はないそうだが、元々【
「……はい、その通りでした」
助けたいという気持ちは立派だが、トリスタンを抑え前に出る。
「来ないでくれェェ!! 止まらないんだッ!!」
そう言いながら、巨大な拳がオレに迫ってきた。
ズドォン!!
上から来るそれを両腕で受け止める。
デカいのは腕先だけとはいえ、見た目通り重いな……。
「ふははっ、安心しろ。オレが今止めるから」
それを隠して笑い飛ばしながら、巨腕を地面に逸らしすぐ側に行く。
そして、ポケットから海楼石の手錠を取り出し、目を見開いている少年の体に押し当てた。
「これで体から力が抜けるはずだ。ほら、ゆっくり息を吸って、深呼吸」
同じく能力者であるオレ自身も力が抜けるが、構わずそのまま背中をさする。
縋り付いて来た、黒い髪に中央が赤色のモヒカン頭の少年が落ち着くまで待ち、話を聞く。落ち着くと腕が小さくなった。この腕、こいつの感情に反応している?
この少年の名前はオールハント・グラント。レベッカ達の1つ上で8歳。
ある日変わった果実を食べてから、左腕があのように巨大化するようになり、勝手に暴れるようになったという。
そして数日前、起きた時に周りを見渡せば、誰もいないこの見知らぬ島だったと……自分が両親の手に余り、捨てられたのだと悟ったそうだ。おそらく睡眠薬か何かに眠らされて。
国の判断という可能性もあるが、寝ている間に売られたり殺されなかったのが最後の良心か……。
「なあ、あんた。おれの腕を切り落としてくれ! もう嫌だ、こんな腕!」
「――残念ながら、左腕を切り落としても、それで終わるとは限らない。今度は右腕が巨大化するかもしれん」
涙ながらに懇願されるが、それでは何の解決にもならないかもしれないことを告げる。
「グラント、オレ達と来ないか? お前がその腕を制御出来るよう協力する」
代わりに提案をした。
「で、でも……おれの腕はこんな化物だし、それに……」
言葉を濁すが、オレについてきてまた手に余ると捨てられることを恐れているようだ。
「ふははっ、それがどうした。オレはお前以上の化物だ。犯した罪は数知れず、死後地獄行き決定の爆弾魔。故郷では周りの大人が近付いてはいけないと子供に教えていた超危険人物だ」
言いながら腕をドリルに変化させ、【
「お前の暴走くらいなんてことはない。オレが受け止めてやる」
「……私は元悪の軍隊の親玉であるお父様に改造された毒女なの。ヨロイオコゼの毒とロゼが大好物♡ 【
「おらはこう見えて巨人族の戦士だっぺ。おめェよりよっぽどでけェ女だよ……よっと。【フルリバウンド】」
オレの言葉に乗ってきたレイジュが口から毒を吹き出し、リリーが離れた場所で元の巨人の大きさに戻る。
「ふふっ、美しきことが罪だとすれば、おれは華麗なる罪深き化物だね」
「私は人間嫌いで有名なミンク族です! 食べちゃいますよ、が、がおーっ!」
前髪をかきあげるガルドアと両手を上げるトリスタンも、かなり無理があるが人外アピール。
ガルドアのはただのナルシストだし、トリスタンの方は全然怖くないどころか、小動物が目一杯強がって威嚇してるみたいでむしろかわいい。
「シュライヤもいい? 故郷壊されて怒ってたけど」
「いいよ……こいつ何も悪くねェじゃねェか。化物は師匠で見慣れてる」
「そういうことだ。まあ、化物であるオレのことが怖いようなら、マリンフォードの孤児院にでも送ろうか? オレの友人もそこ出身のが何人かいるし、すぐ近くに強い人達がいっぱいいるから誰かを傷付けることもない」
その後、泣きながらオレにしがみついて来たグラントを宥め、泣き止むのを待ち、
いつの間にか島を覆う雷雲は消えていた。ただの自然発生か?
「ウオオオ……おめェも親に捨てられたのか! おれも、十何年か前に手に負えねェって捨てられてなァ……」
もうフランキーの涙を見るのは何度目だろう?
「ガルドア、セント・ポプラで手に入れたルビノクヨで服を作ってやってくれ」
「そうだね。レイドスーツの方はデザインだけ……というかあんなの作り方わかんないし。すぐ取り掛かるよ」
今の服の袖も巨大化する際破けたようだ。
「
ダディの知り合いでは、リュウリュウの実の能力者であるあいつが唯一
モデル“アロサウルス”は古代種だけど、こいつのは何だろ? 肉食獣のは草食獣より凶暴性が増すらしいから、そっちなのか?
じゃあオレは幻獣種のセンゴクさんにでも……暴走する大仏ってやだなァ。それはもう悪魔だ。いや元々悪魔の実なんだが。
あの人の能力、人で大仏で悪魔ってどういうことだ? トッピング全部乗せ?
「悪魔の実、すっごく不味かったでしょ? 私も食べたけどあれはもう嫌」
「そんなに言うほどか……? あの丸い模様の実」
「ん? 渦巻きじゃないのササ? 私が見たことがある悪魔の実っぽいのは渦模様だったササ」
「いや、丸だったけど……」
何? ……Dr.ベガパンクに話が出来た。丸模様の悪魔の実など、あの人が造ったやつしか見たことがない。
皆に断りを入れ、電伝虫をかける。
『プルルルル……プルルルル……ガチャ。もしもしロゼかい? ひょっとして、設計図に問題あった?』
「いや違う。確認したいことがある」
出てきたDr.ベガパンクにグラントの悪魔の実のことを話す。
現在海軍科学班が進める悪魔の実の研究の1つ。
オレが昔、機械にモサモサの実を食べさせて操ることで、間接的に他の悪魔の実の能力を使えないかと考えていたのを話したことから始まった計画。
機械に
その名も「
最終的には悪魔の実の弱点である海を克服した……言うなれば、すべてのデメリットがない「神の実」とか「天使の実」とでも呼べるものを人工的に作り出すことを目的としている。
グラントには海楼石が有効だったのでまだ実現は遠そうだが、ある意味レイジュ達はそれに近いか。あいつらは血統因子の操作により悪魔の実の
そして前に海軍本部で見た人造悪魔の実は丸模様だった。
『それは……シーザーにダメにされた研究所に置いていたやつの1つだね』
「――シーザー・クラウンか。たしかアンタの部下で、危険思想が原因で科学班から追放した時、事故を起こしたっていう」
現在3億ベリーの懸賞金が懸けられた賞金首。希少種
新世界のどこかにあるという、今はパンクハザードと呼ばれる島。そこが政府に立ち入り禁止に指定され、致死性の毒ガスが蔓延する危険地帯と化した元凶。その時に持って行ったのだろう。
「なんでそいつが奪っていった人造悪魔の実がグラントの所に?」
『奴が前半にいるのか……? 手放した理由は金欲しさだろうね』
「お、お金? もっとこう……自分を追い出した復讐の計画の一環とかではないのか?」
政府に追われるようなことをした奴が、お金のために研究成果を売ったのか?
『あいつは俗なところがあるから、売って遊ぶ金に換えたんだろう。どんな能力だった?』
「左腕が巨大化した。サルみたいだったな」
『合成品の方か……それも全身ではなく左腕だけ。失敗したのか、ただ制御出来ていないのか……』
「制御なら出来ていない。暴走して親に捨てられた」
『……なんと…………』
オレの一言が原因で始まったこの研究、つまりグラントが捨てられたのは間接的にオレのせいか……。
「切り落とされるべきはオレの左腕、それを以てグラントへの償いとするか……」
『待ってくれ! 早まるんじゃない! ちょっと何か言っただけのキミがそこまでするなら、実際に造った私は一体何をすればいい!? 第一キミの一言がなければ、もっと非人道的な研究が行われていたかもしれないんだ!(強靭な肉体を持つインペルダウンの囚人達を使った、命令に忠実な
「ええ……海軍そんな黒いことしようとしてたのか……?」
何があったか知らんが、この人が慌てるって相当だぞ。
オレにはこっちから『何か良い兵器ないか?』と聞かなければ教えてくれない。どうも兵器関係はオレが自発的に協力するなら良い、みたいな線引きをしているようだ。
向こうから送ってくるのは、家庭で簡単においしいパンが作れてしまうパン屋の敵であるホームベーカリーとか、日々の疲れを取る代わりに安らぎという名目で人々から自由な時間を奪い去るマッサージチェアとか、あろうことか移動しながらでもイヤホンで音楽を聞けるがこの大海賊時代に聴覚を封じ周囲への警戒が疎かになってしまう携帯音楽プレーヤーとか、そういった発明の設計図ばかりだ。
後になって政府が加盟国に販売している物も多い。だから船にある設計図を人に見せれば、そこから技術漏洩するかもしれないわけで……。
加盟国民にお手頃で便利な商品を供給し、それぞれの家計を圧迫することで、さぞや儲けたんだろうな、世界政府――ッ! なんて酷いことをッ……全然酷くないな。
オレが知る最近のあんたらの良いニュースが、大体Dr.ベガパンクの発明なのが唯一の問題。
他には大昔にやった言語の統一とか? だがそれは
「他ならぬシーザーの暴走もあってブレーキがかかったけどね。どちらかと言うと政府の意向かな(死者の蘇生とか不老不死の研究とかは特に天竜人達の要求だ。あの天才外科医ドクトル・ホグバックも参加していると聞いたが――モリアの能力で、ある大海賊の影を入れて動かしているゾンビに、悪魔の実を食べさせた――
「それで、結局どんな能力なんだ? 合成品とはどういう意味だ?」
「ああ……成功しているのかはわからないが、色んな能力を組み合わせて斉天大聖を再現しようとしたんだよ」
聞いたところ、Dr.ベガパンクが造って事件で紛失した実は2つ。
1つは現四皇〝百獣のカイドウ〟を昔捕らえた時に摂取して、保存しておいた血液を解析して生み出した人工生物ドラゴン――今はパンクハザードの実験事故で消息不明だそうだが、天竜人も気に入っていたらしい。それを発展させて人造悪魔の実としたもの。
そしてもう1つのグラントが食べた方が、リュウに変身し雲を掴んで空を飛行すると言う〝百獣〟の能力やモアモアの実の巨大化能力、イヌイヌの実モデル“九尾の狐”の化ける能力などを組み合わせて、お伽噺の斉天大聖孫悟空の力を再現しようとしたもの。
それだけ色んなものを詰め込めば暴走もしよう。人の手に余る。島上空にあった雷雲もグラントが呼んだ可能性があるのか。
『腕が巨大化して暴れ回るなら、私が拘束具でも……』
「あいつ本人の考えを優先するが、そんなものを付ければ悪魔が余計に反発するんじゃないか?」
『……キミは面白いことを言うね』
オレの
グラント次第だが、どの道オレが側にいる間はどうにかしてみせる。それと合わせて、切り落とすのは止められたので、両腕を【
「ば~か! お兄様のば~か! せっかくお手々治ったのに――このどえむぅっ!!」
両腕を折ったことでめっちゃ怒られたが。主にレベッカに。妹からの忠言が、オレにとって一番堪えるという判断だろう。
「だがなレベッカよ。海賊は落とし前をつけるために、本来は手足を切り落とすものなんだぞ?」
「お兄様は海賊じゃないでしょ!!」
「海賊に出来てオレに出来んことなどない!! 腕なんてまた作れる。それ、高い高~い」
能力で作った【
「わ~い♪ ……はっ! このすけこましぃっ!!」
ドMだのスケコマシだのという言葉、どこで覚えてしまった……なに、痛いだけだ。その内骨もくっつく。
とりあえず原因となったシーザー・クラウンは見つけたら思い切りブン殴る。会ったこともないが、あの野郎絶対に許さない。
加えてDr.ベガパンクの懸念として、科学班に出入りしていた元王下七武海、〝
コピコピの実の能力は、記憶や覇気まではコピー出来ない――少なくとも数年前の時点では出来なかったようだが、もし2つの
だがそれ以前にあの男は確か……懸賞金低くないか?
「お兄様が傷付くの……私嫌だなぁ」
「済まなかったレベッカ! でもこれからも怪我はすると思う! すぐ治すから、許してマイシスター!」
「このまざこん、ふぁざこん、しすこんやろー!!」
現在肩車中の妹様に頭をポカポカ叩かれる。
それは別に罵倒ではないただの事実だな。
とにかく、問題なくグラントは受け入れられたみたいだし、これからまた賑やかにやっていこうか。
腕のこともすぐには無理でも、上手くやっていければいいが……そのためにも、オレがもっと化物らしいところを見せて――そんなオレでも仲間と楽しく過ごしているところを見せて、腕くらいなんてことはないとあいつが思えるようにするか。
☆☆☆☆☆
新世界パンクハザード
かつてDr.ベガパンクの研究施設があった、新世界用の3つの指針がある
兵器の暴発により、有毒物質が蔓延する死の島と化し、現在は政府によって完全に封鎖されている。
稀に流れ着いた者がいても、その島の様子が外に伝わることはない。
『出して、出してくれェ……! なんだこのガスは……苦しいッ! 出せェッ!』
迷い人が入れられた密室にガスが充満する。
「るっせェなァ……楽になりたきゃ聞いたことに答えろ。気分はどうだ?」
電伝虫で捕虜の様子を聞きながら、外から指示を出す男。
『オ~~エ! ゲホゲホッ』
「吐き気に咳か……いいぞ! 頭は痛むか!?」
『い……い゛……痛だい!』
「よし! 目はどうだ、幻覚は見えねェか!?」
『部屋に゛……大蛇が!』
「シュロロ……いねェよ。もういい、楽になれ」
頭から2本の角が生えた、両側にGASと書かれたローブ状の白衣の男が、電伝虫を手放しスイッチを押す。
ボォン!!
すると室内から爆音が鳴り響き、中から声が聞こえてくることはなくなった。
「イマイチ……」
「――また失敗作?」
瓶底眼鏡の女――シーザーの秘書であり、シーザーの護衛と監視の任務を行っている、ドンキホーテファミリー幹部モネ――が、ペンを走らせながら、完全に室内への興味が失せた男の方を、振り向きもせずに聞く。
「失敗だと!? 言葉に気を付けろ。おれの実験に失敗はねェ! この島の現状もそうさ。どいつもこいつもバカなこと言いやがって!! 島1つ殺して見せたおれの兵器の……どこが失敗だ、世界政府!! おれは誰より敵を殺せる!! 何もかも全部吹き飛ばしちまえば世界は平和だよ!!」
世界中のすべてを殺せば世界は平和――自分の研究成果をどれだけ殺せたかで評価する、危険思想の持ち主のこの男が、元海軍科学班所属、シーザー・クラウン。
かつてこの島で起こった兵器暴発事故の元凶で、その一年後に自分のガスガスの能力で毒ガスを消し去った男。その後、ガスの被害にあった元囚人達の前では心優しく慈悲深い、世界平和を目指す科学者を演じ、ベガパンクを悪魔に仕立て上げ、部下となった元囚人達から救いの神〝
「シュロロロロ……その点ジョーカーはいい! 許されねェ実験も、必要な実験体の調達も好き放題――すべて闇の中に揉み消される!! 見てろ……この天才を恐れ嫉妬した口うるせェベガパンクに、
ジョーカー――ジェルマが戦争屋を廃業したことで、現在裏社会で勢力を次々と拡大している、戦争を行う国に武器を供給する闇の
その正体は王下七武海にして現ドレスローザ国王、ドンキホーテ・ドフラミンゴ。
幹部を増やし、今なお成長中であるドンキホーテファミリーの船長。
この島に迷い込んだ者をシーザーがモルモットにしても、ドンキホーテファミリー最高幹部――最寄りの海軍基地G-5にスパイとして潜り込んでいるヴェルゴによって、海難事故として処理される。
定期的に島の様子を観察し、上に報告するのもヴェルゴ。時間をかけて真面目な海兵として周囲の信頼を得てきた彼の報告、政府側の人間は虚偽に気付けない。
最高幹部と幹部をつける程、シーザーがこれから研究で生み出すであろうものは、ドフラミンゴにとって重要だった。
「(あなただって科学班を追放されたでしょう。若様……私、こんな奴の護衛をしないといけないのですか……? でも、シーザーはヴェルゴと同様、若様の計画の要……ヴィオラ――いえ、ヴァイオレットが教えてくれた。若様は一体どこまで先を……)」
モネは元ドレスローザ王女にして現ドンキホーテファミリー幹部、ヴァイオレットから、ドフラミンゴの計画の、現在の大まかな内容を聞いている。
すべてを知った上で、自分の家族にドンキホーテファミリーが手を出さないことを条件に、自分と父、姉と姪、そしてドレスローザを取り戻すため、ヴァイオレットはドフラミンゴに協力することにした――世界政府を切り捨てて。
元天竜人であるドフラミンゴにとってドレスローザはただの仮宿。妥協で下界の王ごときの身に甘んじているに過ぎない。
本来の目的は、自分のマリージョア帰還を拒絶した天竜人と世界への復讐。そしてマリージョアへファミリー達と共に登り、神の座に返り咲くこと。そのためのヴェルゴとシーザー。それが成れば
ギロギロの実の千里眼人間であるヴァイオレットが――世界政府と天竜人達が保身のために七武海に選任したドフラミンゴに家族と国を奪われたヴァイオレットが、ドフラミンゴの心を読み、自分に怒りと恐怖を覚えながらも共に世界を壊し、新時代を築く同志となることまで読んだ上でのこれまでの行動。
どこまでも先を見透かしたドフラミンゴが恐ろしく、だが自分とシュガーを苦しめた世界政府が完全に崩壊・破滅する様が見たくもあり――そのためには目の前の、過去の自分と似たような境遇の人間への非道な実験を行っているシーザーを守らねばならない。
人は自分に出来ることしか出来ない。飛びたいと願っても飛べはしないし、助けを求めてもこない。そんな中で、助けられた自分達は幸運……ならばいっそ、何も考えず機械のように、言われるがまま任務をこなすのが一番楽なのでは……モネの苦悩は続く。
フランキー(新世界編36歳)
ヨコヅナと一緒で一時加入。そろそろフランキーの親が海賊の件の詳細は判明するのだろうか?
オールハント・グラント(新世界編17歳)
アニメ『海軍超新星編』に出てくるキャラ。『STAMPEDE』にもチラッと出てた。
やたらカッコいい名前。アニメでは〝青雉〟に拾われて海軍に入った。新世界編の階級は大佐。捨てられたことにしたけど、アニメでは自分の腕が両親殺しちゃった可能性もある。
能力者だけど名称不明。左腕だけが大きくなる、恐らくは
腕がサルみたい。大きくなる。雷雲を呼んでいた=筋斗雲。この3つに当てはまるのが西遊記の斉天大聖孫悟空くらいしか思いつかなかった。
原作でチョッパーの時くらいしか出てこない暴走の概念をこの作品で取り入れたのは、仲間予定のグラントの能力が完全に暴走していたのが理由の1つ。
【
チョッパーのランブルボールリスペクト。【
魚人島の
【フルリバウンド】
リリーがアニメで使ってた技。正しくは『ミニミニの』がつく。
元のサイズに戻るだけ。人間サイズみたいな中途半端な大きさで止める時は、【リバウンド】にしようか。
名前の元ネタは遊戯王のフィールド魔法。
現在この作品の海軍科学班の軍事面での主な研究。シーザーが科学班から消えた代わりにジャッジと連絡を取り合って協力している。
機械兵器に人造悪魔の実を食べさせることで、自律行動と自己修復機能、エネルギーを悪魔の実の力と食料で補おうとする試み。
シーザー・クラウン(新世界編40歳)
原作では珍しい、おそらくは前半部分が名前のキャラ。
今現在この作品で行っている研究は
巨人化の実験をするのは〝ビッグ・マム〟が関わってから。