機械の皇帝   作:赤髪道化

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 大きなサボテンがいっぱいある島。
 世界政府を潰し得る勢力を原作より複数増やしたのを反省しそうになったこともあるけど、最近の原作でも現在進行形で敵を作りまくっているしそんな必要なかった。誤差誤差。
 もしかすると多過ぎる政府の敵同士もそれぞれ争っていたからこそ、今まで政府は存続していたのかもしれないと思う今日この頃。


〝フールシャウト〟

 予定外のこともあったものの、シュライヤは墓参りを終え、永久指針(エターナルポース)を頼りにオレ達はフールシャウト島へと向かう。

 

「なァ――ロゼ。おめェちょっと自罰的過ぎやしねェか? 腕を切り落とすだの骨を折るだの、そんなことしたってグラントのことは元にゃあ戻らねェ。それよりもあいつがここで安心して過ごせるようにするのが、おめェの船長としての役割ってモンじゃあねェか?」

 

 航海途中、珍しく真面目な表情のフランキーが問うてきた。

 普段はとぼけた態度を取っているが、やれば出来るじゃないか。

 

「一理ある。グラントのことはそのつもりだし、オレのやったことはただの自己満足だ。つまりオレが納得することに意味がある。だがそれにしても、お前に言われるとは思わなかったな」

「あン? どういう意味だ?」

「今までこのRR(レイド・ラプターズ)号を見て興味がありそうな素振りを見せても、船について聞いては来ずに、ひたすら機械いじりに没頭……フランキー。お前、船を造る気ないだろ」

 

 オレはこいつの様子を、社会復帰させるために結構見ている。だから気付いた。

 おそらくアイスバーグさんがオレに言っていたように、こいつはトムさんに傷を負わせ、連れて行かれた原因となった自分自身を責めている。

 

「それは――」

「勘違いするなよ? 別に造りたくないなら造る必要なんてない。それでお前が納得するなら」

「そうか……おめェも、フィッシャー・タイガーを助けられなかった自分を、許しちゃいねェンだな……」

 

 フランキーはオレの様子に、自分の影を見つけたようだ。

 

「確かにオレは肝心な時に何も出来なかった弱い自分が大嫌いだ。だがそれはともかく、いつかお前が自分を許せるようになればいいと思っているよ」

「――おめェもな」

 

 そんな会話をした一週間後、目的地フールシャウト島に着いた。

 巨大なサボテンがいくつも並び立った荒野に山。中央付近に人の気配がし、村がある――3年前に見聞色で見た時と変わらず、存在している。

 ウォーターセブンと周囲の島々より発展が遅れた、世界政府非加盟――国未満の集落。軍隊などあるようには見えない。あっても精々自警団。だからこそコアラが奴隷となったのだろう。

 

「おれの故郷と似た感じだな」

「確かに服装が島の雰囲気にあっているね」

 

 帽子にマントという、西の海(ウエストブルー)の保安官とかカウボーイみたいな服装だ。

 

のどかなええ島だなァ……畑がぎょーさん作れそうだぎゃー

「フランキー……あなた一体どうしたんですか?」

 

 様子が違うフランキーにスカーレットが尋ねる。

 それもそのはず。口調はのんびりとした訛りの混じったものに。髪型もいつもと違い温泉マークの様に逆立ち、長ズボンに長靴と鍬を装備した農夫スタイル。まるでいつも畑を耕しているみたいだ。

 ヨコヅナも『なんだこれは……』みたいな表情でフランキーの髪に触れている。

 

「フランキーは腹の冷蔵庫にコーラを3本入れて、それを燃料にすることで体内の兵器を動かしている。だが別の物を入れると性格が変わるようだ。今は緑茶を入れている」

 

 ウォーターセブンで手に入れたキノコプリンを食べながら言う。

 傘の部分がココアの味で、茎の部分はプリンの味がする変わったキノコだ。

 サイズによって甘さが変わり、たまにココア以外にもイチゴ味なんかが発生するらしい。

 

「いやそれどんなシステムよ……感情とリンクしてるの?」

「テアニンのリラックス効果じゃなイカ?」

「暗示やプラシーボ効果みたいなものでしょうか?」

「単にノリが良過ぎて乗せられやすいだけちゃう?」

 

 何が理由でも良いが、いつものキンキンに冷えたコーラだと炭酸のようにハジケた性格となるようだ。

 これもまたフランキーの一面――だが緑茶では力が出ないらしい。コーラでなければダメだと。

 一見ギャグみたいだが、コーラ3本であそこまで兵器を動かせるのは、非常にコストパフォーマンスが良く画期的なエンジンシステムなのでは……?

 

 パンダマンには『戦う前に脱いだらカッコよくない?』と言って、レスラーのマントを着て前を留めてもらっている。

 

「そっちも様子がおかしいけんども、ありゃあなんだッぺ?」

 

 リリーが気にする方を見てみると――

 

「あれは……人によっては効果的な精神攻撃になるんだよ」

 

「うっ静まれ、おれの左腕!」

 

 

 グラントが包帯を巻いた左腕を掴んで苦しみ出す。

 たぶんオレ達以外の人間がいる島に着いたことで緊張した結果だろう。

 その様子を見て、自分の胸を押さえたり、微妙そうな顔をする者がちらほら。

 まったく……だらしない。そんなもの気にして能力者がやってられるか!

 

 悪魔の実の知識を教え、目の前で戦闘するところを見せたり、オレが知る能力者の戦闘を立体幻像(ソリッドビジョン)で見せると、とりあえずは安定した。これは操れるものだと。

 今まで何度かちょっとしたきっかけで巨大化するところを見た結果、感情が不安定になると暴走しやすいようだが、この様子なら日常生活はすぐに出来るようになるだろう。完全な制御はまだまだだが。

 

 リリーはあれになったことがなく、知りもしないようだ。小さくなる能力では調子に乗り辛いか。

 巨人のパワーを備えたまま人間サイズの身軽さからくるスピードは、目立たないが地味に強力。実は小さくなりサイズを合わせて戦うことが、あまりハンデになっていないことに気付いていないのは、巨人族のデカい方が強いという認識からくるものだろうか?

 実際に超重量の巨大な一撃は強力だが……ピンチになってからの巨大化は、物語では大抵負けるジンクスがある。デカい的にもなるので、あまりオススメはしないな。

 だが切り札を先に使うのも、それはそれで危ないので判断が難しい所。

 

 

「大丈夫? お医者さん呼ぶ?」

「そんな気はないんでしょうけど、違う意味に聞こえるわ……」

 

 純粋に心配するレベッカと、深読みするキャロル。

 安心しろ。オレにも『頭大丈夫? 頭のお医者さん呼ぶ?』と聞こえてしまった。

 本人にとっては冗談ではなく死活問題だ。

 

「ああ、大丈夫だ……」

「こっちは大丈夫じゃねェんだよな……ただの事実でもむず痒い」

「私はもうあの頃とは違うササ……」

「早く制御出来るようになるといいわね……いやホントマジで」

 

 さて、船を泊めて上陸する。

 シャボンディのヤルキマン・マングローブのように、建物のように大きなサボテンの間を通って村に向かう。

 そして歩くこと数分で到着。

 あまり多くない人々に注目される。服装はおかしくないはずだが、余所者が珍しいのか……と思っていれば、ウィリーに謝り出した。

 

「な、なんや?」

 

 ウィリーが戸惑いながらも話を聞くと、3年前のタイガーさんのことらしい。

 とある村人を送り届けてくれた恩人への騙し討ちを黙認したことの謝罪だそうだ。

 別にウィリーがタイガーさんと知り合いだとわかって頭を下げているわけではなく、ここへ訪れた魚人すべてにそうしているそうだ。

 タイガーさんの最期を知ったその人物から、涙交じりにタイヨウの海賊団との日々を聞いて、良心の呵責に耐えられなかったらしい。

 メイプルはパッと見では手が8本あるだけで、魚人なのかはわからない――まあ半人魚だ。

 

「あ、アーロンがここに来た……? あんたら何もされてへんか!?」

 

 

 ジンベエからはタイガーさんを捜しに行ったと聞いていたアーロンも、この島にあの人がいないか再び訪れていたようだ。

 ウィリーにとって今日会った見知らぬ人間より、旧知のアーロンの方が信用が低いらしい。

 いや、長い付き合いでアーロンの人間嫌いを知っているからこそか。

 魚人にとっては人間への思想が過激なだけで、基本無害。人間に友好的な魚人にうるさくなる程度だったらしい。

 

 だがそんなアーロンが、怒りの声こそ上げたものの何もしていない――どころかある村人とは話をして、最後には不器用ながらも笑い合って、何事もなく、また島を去っていったそうだ。アーロンだけでなく一味全員。

 良いことのはずだが、ウィリーは気持ち悪がっている。

 

 暖かく迎え入れられ、皆が村人達と騒いでいる中、その輪からこっそり抜け出す。

 丁度いいから1人で済ませよう。

 

 

 村から離れた場所――タイガーさんの襲撃地点に辿り着く。

 かすかに戦いの跡が残っている。銃痕やうっすらとした血痕、穴が空いた地面に触れる……聞こえる銃声、肉が抉れ飛び散る鮮血。

 乱戦の末、最後には……

 

「あの――何をしてるんですか?(この人が……)」

 

 過去を振り返りながら地面にしゃがんでいると、背から声をかけられる。

 完全に無警戒だった。いくら何でも気を抜き過ぎだ。

 

「ああ。少し自分が死なせた友人について考えていた」

 

 振り向きながら確認すると……オレンジのショートヘア―の小柄の少女。

 少し面影がある。たぶんコアラだ。何故かそわそわしている。

 

「――そちらの隠れている人も、何かオレに用かな? 話し合いか、戦争。どちらをお望みだろう?」

 

 気を引き締めて周囲の気配を探った結果、サボテンの影にもう1人いることに気付いた。

 

「えっ、いや違――あっ……ごめんハック!」

「いや、これは仕方ないコアラ。どうもキミの感覚を甘く見過ぎていたようだ」

 

 ハックと呼ばれた魚人の大男が出てきて2人に名乗られる。

 どうやらコアラがオレと会話して、ハックが様子見をするつもりだったようだ。

 

「タイガーさんを死なせたオレへの報復でないなら何だろう? あの人のエピソードなら、村にいるウィリーやメイプルの方が知っているぞ?」

「あの……あなたは輸血をしたけど間に合わなかっただけだって、アーロンさんからは聞いたんですけど、違うんですか? 本当にあなたがタイガーさんへの輸血を拒んだなら、庇うようなことを言うとは思えないんですけど……あの人、私以外の村の人には怒ってましたし」

 

 アーロンが話していたか。正直そこまで打ち明けているとは思わなかった。新聞記事の否定まで。

 コアラの言うように、人間である以上に思うところがあるはずのオレに対して、フォローのようなことを。

 

「死なせたことには変わりない」

「……もし私がタイガーさんの死の状況を知らなかったら、どうするつもりだったんですか?」

「オレは基本、人の秘密は喋らない。敵みたいな例外を除いて。だから自分があの場にいたこと以外何も告げず、キミの気が済むまで殴られるつもりだった。他の人達は責めないでくれ。他に選択肢はなかった」

 

 海軍も、クザンさんが担当していなかった以上、タイガーさんを七武海にしたかったのは本心だと思う。

 ただ討伐するのなら、ヒエヒエの実の能力で魚人達のフィールドである海をまるごと凍らせ、海戦と水中戦、逃走を封殺出来るあの人以上のタイヨウの海賊団メタはいないだろう……あの人が拒否って担当がたらい回しになっただけの可能性もあるが。

 ガープさんなら拒否る。あの人は天竜人嫌いだから。隠す気もないらしい。

 

「敵に苛烈な性格とは聞いていたが、自分もその対象とは思わなんだ……」

 

 2人との話を続けた結果、ハックが革命軍で、コアラがその仲間候補ということがわかった。本人は入隊寄りのようだが、まだ正式に革命軍というわけではない。

 

「キミがオトヒメ王妃の暗殺を防いでくれたと聞いた。まずはそのことに礼を言う。ありがとう」

「友達を助けただけ。礼はもう嫌になるほど言われて、お礼の品を受け取ったことでチャラにして終わった。彼は元気か?」

「ああ。流石に今まで通りとはいかなかったが、命に別状もなく元気にやっている(何度か魚人島には訪れたが、タイガーさんの今の姿は口止めされているからな……まあ無理もないか)」

「? 誰か知り合いがいるんですか?」

「ん? 少し前にな」

 

 どうやらコアラにはタイガーさんのことを告げずに勧誘しているようだ。

 関心があるであろうあの人の情報をチラつかせて、入れば教えると脅迫まがいのことも出来るだろうが、本人の意志に任せていると。オレのハックへの印象が上がる。

 

「あなたは今の世界をどう思いますか?」

 

 改めて、少々怪しい宗教勧誘のようなことを聞かれるが、実際オレは革命軍についてそんなに詳しく知っているわけではないので怪しい集団か。

 わかっていることは団体名と反政府組織であること、タイガーさんがいることと、見た目からしてアナーキーな人物が何人かいることくらいだ。

 

「まあ問題だらけだな。紛争とか戦争とか海賊の被害の記事ばかり見ている」

 

 

 世界会議(レヴェリー)については、いくつもの国々が集まって話し合うこと自体は戦争を回避する手段として良いことだと思う。

 だが、マリージョア襲撃のあるなしに関係なく、リュウグウ王国の加盟から200年。未だに魚人島の立場が良くなっていないことから、加盟国の王族の過半数に差別が残っていることは想像に難くない。たとえそこまでではなかったとしても、他国のことに構う程の関心と余裕はないのだろう。

 リュウグウ王国が世界会議(レヴェリー)に参加したのは、加盟した時のたった1度だけということからも、会議の内容は当時の王族の期待には沿わなかったようだ。

 

 

「今までは海軍と近過ぎたため接触出来なかったが、我々のリーダーの話では、キミはあの戦争屋ジェルマを変えた原因と聞いた」

「いや、変わったのは本人達の行動の結果で、オレは王様に歯向かった逆賊だ。国の在り方を変えたのは本人達」

 

 実際ジェルマを変えるためにそうしたわけでもない。そこはレイジュに任せていたし、血統因子関連はDr.ベガパンクに頼った。

 ただ親なのに……そう。レイジュの笑顔に、ジェルマに行く少し前にタイガーさんの過去で見た、天竜人の奴隷だったコアラの笑顔を思い出し、そうさせていることが不愉快だっただけだ。

 

「そのリーダーの情報源が気になるところだが」

「私も存じてはいない」

 

 そのことは反政府組織に知ることが出来る情報なのか? 科学班のDr.ベガパンクに声をかけたから、知っているのは海軍や政府関係者の一部と、あとは本人達が言わない限り広まらない。

 あまり広めたい類の話ではないと思うが……政府や海軍にスパイでも潜り込ませているのかね? ある意味オレもそうだ。

 

「キミの思想は我々に通ずるものがある。力で国を倒し権力の座に座るのではただの侵略者。我々が目指すのは、民衆が自らの意志で圧政を打ち破り、自由を勝ち取る革命の手助けだ」

 

 

 自分達が王になりたいわけではなく、あくまで民衆の自由のため。で、革命が成功すれば世界政府に除名されるだろうから、革命軍の同志が増えると。

 タイヨウのマークに解放と自由を掲げたタイガーさんとも気が合いそうだな。方針が大分似ている。

 

 そういうことならジェルマを変えるのは革命軍には困難だったわけだ。

 移動する海遊国家で場所を捕捉するのが難しいことを抜いても、あの国の国民は王族にそこまでの不満はなかった。戦争屋稼業で国民自体は潤っていたから民衆による革命は難しい上、王族自体の戦闘力が強い。そして王族に絶対服従のクローン兵。

 だが戦争屋という立場で加盟国に雇われる可能性があるので、革命軍の邪魔だったと。

 

 今までになかった団体――いや、もしかすると歴史上はあったが、その都度消されてきたのかもしれない。そういう事件を書物に残せば、また政府の敵が現れかねないから。

 

 今のままでも横暴な支配を行う天竜人や加盟国による被害はある。法的な手順に則った改革は、成るのに時間がかかるだろう。世界会議(レヴェリー)の決議で天竜人の特権を取り去るのは不可能に近い。

 力で世界政府や天竜人を打倒しても関係ない人の血は流れる。

 仮に天竜人を倒すことに成功しても、〝海賊王〟死後の大海賊時代開幕のように、次の天竜人になろうとする王とそれを止めようとする者の間で、加盟国の軍隊による戦争が起こらないとも限らない。天竜人以外にも、シャボンディに奴隷を買いに来ていた人間なんて、天竜人の数十倍はいたからな。上がいなくなったなら後釜を狙う奴もいるだろう。

 そういう変えたことで発生しうる被害を抑えるために、革命軍は仲間を集め規模を増やそうとしているのだろう。

 

 どちらが良いか、オレには答えを見つけられない。

 天竜人や圧政を行う国以外に被害が出ない方法もあるにはあるが、今は不可能。 

 

 

「我々の同志として、行動を共にしないか?」

「あんたの言う革命軍の思想は理解したし、共感するところは確かにある。だが断る」

 

 

 世界政府に立ち向かう革命軍では、王族の圧政を終わらせることは出来ても、加盟国の手助けは難しい。反政府組織の仲間になったり同盟を組む等の証拠があれば、加盟国の王族だろうが罪人として逮捕したり、加盟国から除名する権限が世界政府にはある。

 海賊の縄張りでありながら加盟国として存続しているリュウグウ王国は、〝白ひげ〟の名の大きさや七武海のジンベエのこともありかなり特殊。

 

 その道を選べば、今オレが考えていることは出来ない。オトヒメ様達やレイジュを通じてジャッジと話したことも、ジンベエやハンコックに持ちかけた提案も、短いながらも今までの旅で会った人に声をかけたことも、すべてが水泡に帰す。

 オレの目指す革命は、革命軍では実現不可能だ。

 海軍と敵対する気はないし、立場上話してもいないが、終わってしまえばあの人達も仕事がやりやすくなる。

 

 

「理由を聞いてもいいかね?」

「いくつかあるが、オレが2人の魚人島の革命家と友人だからだ」

 

 タイガーさんとオトヒメ様。

 2人が出来ないこと、更に加えて七武海のジンベエにも難しいことをやるには、これから旅を続けるしかない。実現出来るかはわからないが、諦めるのはやってからでいい。

 第一皆がついて来てくれているのは賞金稼ぎ(バウンティハンター)のオレだ。革命軍のオレではなく。鞍替えする気はない。

 

「……どういうこと?」

「2人のどちらかに聞けばわかるかもな。オレはまだ世間知らずの子供だ。今は世界を回り知ることが優先。その過程で人と人の橋渡しを出来ればいいと思っている。何より、オレは世界中の美味しいものを集めたいから」

「――自分の道楽が、今の世の中を変えることよりも大事だって言うんですか? 誰かの血や涙が流れていても。変えられるかもしれない力が、あなたにはあるのに!」

「ああ。オレは悪い奴だから」

「即答か。これは本当に無理そうだ」

「……良心に訴える作戦、失敗」

 

 そう言って片目を閉じてチョロッと舌を出すコアラ。

 本当に作戦だったのかね――本心からの言葉に見えたが。

 

「そうそう。海軍と戦ってるところに出くわしたら、オレはあんた達をブッ飛ばすから」

「た、助けてくれたりは?」

「ふははっ、今の世の中を変えるんだろう? 甘ったれるな。まだ子供なのに革命軍に入ろうって奴が、覚悟が足りないんじゃないか? オレだって世界の構成員の1人だ。敵として現れたなら、気にせず踏み潰していけ」

 

 ゴーグルとスカーフを外して手に持ち、自分のネクタイに触れながら、ハックに視線を送る。

 

「(む? ……ああ、そういうことか)」

 

 すると、サムズアップが返された。

 無理なら後で直接頼もうかと思ったが、伝わったようだ。これで例えコアラが入隊しなくても伝言してくれるだろう。

 

 

 世界を変えるまで止まるつもりがないなら、捕まえて免罪はまず無理。というか釈放されてもまた手配される行動を起こすから無駄。

 

 海軍をなくすのはありえない。これ幸いと海賊が暴れ回って治安が悪化するだけ。市民の被害が増える。世界政府直属の海軍に抑えられないのに、急造の革命軍だけで出来るはずなし。

 

 だが革命軍の活動自体は――せっかく革命しても除名されてしまうが――オレにとっても好都合。ならば海軍に助太刀して、別の島まで思い切りブッ飛ばして逃がすくらいしかない。痛いだろうが、世界を敵に回すなら知り合いと敵対する覚悟くらいはしてもらわないと困る。

 嫌なら戦わずここで母親と暮らしていた方がいい。というかタイガーさんはそちらを望むだろう。

 

 世の中問題が多くてメンドクサイな……だが放っておくことも出来ない。今の時代が大ッ嫌いだから。早く準備を終えスッパリ時代にトドメを刺して、美味いものを食べながら、皆と平和に暮らしたい。

 

 

「私、実はアーロンさんより前――タイヨウの海賊団の船に乗っている時に、タイガーさん達からあなたのことを聞いてました。それであなたのことを知った気になってた……あなたは普通に嫌な人です!(私以外に魚人と仲良くなった人間がいるって、会うの楽しみにしてたのに!)」

「早めに気付けて良かったな。あの船の何人かは友達だから、オレのことも贔屓目で見てる。タイガーさん達も噂と違うだろ? 実際に会ってみるまでわからないものだ。まあ悪い噂が流れる奴は、大抵実際に悪いことが多い。オレみたいに。誰も彼もがあの人みたいに実は良い奴――なんてことはない。勉強になったな」

 

 言いながら膨れたコアラの頭に手を置く。

 昔よりは背も伸びたけど、まだ小さいなぁ。服装も整って、母親に可愛がられているんだろう。

 

「気安く触らないで下さいよ!」

「? じゃあ手を払うなり、一歩下がればいいと思う」

 

 言葉に反して顔は笑っている……ツンデレ?

 

「あ、あれ? そういえば……なんで?(払う気になれない……なんか懐かしいというか……安心する?)」

「いや、オレが知らないけど」

 

 もしかしてマリージョアのことに勘付いているのか? 姿を消して声も変えていたのに、本能的な部分が。

 この子は笑顔を作ることで天竜人の下で生き残った、聡い子供だったようだからな。

 教えるつもりはないので、さっさと手をどけることにした。

 

「むぅ……」

 

 ……その名残惜しそうな顔、やめてくれない? もっと撫でて欲しいみたいな。

 異性としては年上好きだけど、シスコンだから年下も甘えさせたい病気に罹ってるんだよ、オレは。それでいて一番頼られたいのは父さんと母さんからっていう、ファザコンでマザコン。我ながらヒドイな。

 

「そういえばハック。あんたがここにいたのは偶然か?」

「私は魚人島生まれ、我が友ジンベエから聞いた。ここの永久指針(エターナルポース)を渡し、出発したと」

 

 待ち構えられている所に、ホイホイ来たってわけか。

 

「そうなのか。彼のことは?」

「伝えている。キミには直接伝えると言って、動向を聞いていた」

 

 七武海と革命軍の繋がり――タイガーさんが旗揚げしたから海賊になったあいつが、その恩人を無碍に扱わないのはらしい行動だが、四皇の〝白ひげ〟とも関わりがあるみたいだし、地味に綱渡りしているな。大丈夫か? バレるなよ。

 

「アーロン一味には?」

「ジンベエが電伝虫で伝えたと言っていた(インペルダウンでは接触出来なかったようだ)」

「そ、そうだ! あなたはタイガーさんと一緒にマリージョアに乗り込んだ女の人のこと、知りませんか?」

 

 コアラが余計なことを思い出して聞いてきた。

 

「名前は?」

「わかりません。姿は見えない人でした」

「会ったことないな」

 

 人は自分には会えないものである。

 鏡を見ることはあっても、それを会ったとは言わない。

 

「革命軍もそんな人物は関知していない」

 

 タイガーさんは革命軍にも黙っててくれているようだ。

 

「そっか……シャイな人なのかな?」

「ただの姑息な卑怯者じゃないか? そんな顔も名前も見せない奴は放っておいて、タイガーさん達タイヨウの海賊団に恩を感じていればいいと思うが」

「タイガーさん達には当然感謝してます! でもあの人のこと知らないくせに、好き勝手言わないで下さい! あなたの方がよっぽど姑息な卑怯者じゃないですか!」

 

 じゃあ合ってるな。

 オレ以上に秘密だらけのオレのことを知っている人間なんているんだろうか?

 犯罪者が知らない人間に何を言われようが仕方ないと思うがね。法を守っている人間に法を破っている人間が良く思われようなんて馬鹿げている。タイガーさんですら悪く書かれるのにオレだぞ。実際シュライヤに聞く限り、色々バレてないのにボロクソだったようだ。

 

「あまり人の恩人を悪し様に言うのはどうかと思うぞ」

「ああ、そうだな。悪かった」

 

 自分のことだから遠慮せず言ってしまったか。

 

「もう知りません! い~ッだ!」

 

 その後、プンスカ怒ったコアラに、お詫びとして何か悩みがあったら相談に乗ると言って、電伝虫の番号を紙に書いて渡したが、目の前でビリビリに破かれてしまった……まあいいか。

 これでオレとそのシャイな人の同一性は消えただろう。及第点。

 怒らせた埋め合わせは何か別のことですればいいか。

 オレへのコアラの態度を見て、その母親に白い目で見られたが些末事。

 

 問題は外に声が聞こえない船内の密室で、ウチの女性陣に囲まれ、目隠しと海楼石の手錠で拘束された上、椅子に縛り付けられていることだ。

 コアラを口説いたのかと聞かれた。違うと答えると、では何があったのかと返され、黙秘権を行使したところこうなった。

 

 天竜人の奴隷だった人間がタイヨウの海賊団によってフールシャウトに送り届けられたことまでは全員知っていても、それがコアラだとは知らない。村の人も教えていないこと。

 オレにその秘密も革命軍に入ろうとしていることもバラす気はない――かと言ってこのまま黙っていてはいずれ皆冷静さを取り戻し、『オレは人の秘密を話したがらない→この島には元天竜人の奴隷がいる→コアラ=元奴隷?』という思考の流れで前者には辿り着かれる……詰んだのでは?

 

 いやいや。このくらいのことは今までもあった。思考速度を上げ、姑息で卑怯でもいいから、コアラの秘密を墓まで持って行けオレ。

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

 団長のシルバーズ・ロゼには冷たく接していたが、他の団員や特に女性陣とは仲良くなったコアラ。

 機甲旅団がフールシャウト島を去ってから、コアラはハックに連れられ、革命軍本拠地――バルティゴに到着した。

 

「それでハック。結局あの人が言ってた彼って誰のこと?」

「ああ……いずれ会わせるつもりだった。まあ驚くだろうが」

「あれは……おうふ」

 

 2人が歩いて行く先には、奇抜な恰好をした人が集まっていた。

 天竜人の奴隷時代を笑顔で乗り切ってきたコアラも、流石にこれには面食らう。

 

「ティガのアニキ!」

「ティガのアネキ!」

「「「ティガのニキネキ新人類(ニューカマー)!!」」」

「うるせェぞおめェら! 今はこんな姿だが、新人類(ニューカマー)になった覚えはねェよ! イワンコフの奴、あれからすぐ捕まって……どうすりゃいいンだよ。この姿で再会は嫌だ……」

 

 そこにはイワンコフが残していった、網タイツ着用のキャンディー達に囲まれている、大柄な女性――タイのアニキ改めティガのアネキがいた。一応慕われている。

 背中に革命軍のリュウのようなマークが入った大きなコートを着て、前は全開で胸の谷間のあたりにタイヨウのマークが。ジーンズを穿いているあたり、意地でも女の服装を着る気はないようだ。

 

「そのマーク……それに女の人! もしかして、あなたがマリージョアでタイガーさんといた人ですか!? あの時はありがとうございます!」

「おめェは――コアラか! なんでここに!?」

「コアラ……この人がタイガーさんだ」

「へっ?」

 

 勘違いするコアラに、ハックが正体をバラす。

 コアラが驚きの余り大声を上げ、生きていたことに喜びの涙を流し、しばらくして落ち着いた後、3年振りの長い会話を開始。

 気を遣ったのか、空気を読んだのか、ハックやキャンディー達は別の場所に行き2人にする。

 

「そうか、来ちまったか……せっかく故郷に戻れたのに。おれ達が怖かったのに勇気出してまで、お母ちゃんに会いたかったんだろ?」

「会おうと思ったらまた会えるよ。あっ! じゃああの人、タイガーさんがいること知った上で断って、私にも黙ってたんだ……意地悪!」

「あの人?」

 

 その話し合いの中で、ロゼと会った時のことにも触れた。

 

「ふふっ、なるほど。おれも頑張らねェとな」

「え? な、なんで? 何が?」

「つまりあいつは、おれがタイヨウの海賊団を作る前に冒険家としてやっていた、オトヒメ王妃の夢の実現の手助けを、自分の意志で自分の夢と一緒に、魚人島の人間の友人として手伝おうとしてるってことだ」

「あの時あの人が言ってたことと全然印象が違う……何もかも自分のためって感じだったのに……」

 

 コアラの受けた印象は間違っていない。

 ロゼの行動はそのすべてが自分のための自己満足。やりたいことしかやっていない。それがたまたま人のためにもなっていることがあるに過ぎず、本人はそう認識している。

 この考えはフィッシャー・タイガーを死なせ、彼を助けたかったのに助けられなかったのは自分のせいだと結論付けてから、より強くなった。

 

「あいつは法律は守らなきゃいけねェものだという極々当たり前の価値感を持ってる。だから破った時は隠す。おれが聞いた限りあいつがそういうの破る時って、大抵目の前でルールじゃ助けられねェ奴がいた時だが……あいつに助けられたと知らぬままに助かった奴はたくさんいると思うぜ? 忍者かよって思うくらい、隠密(ステルス)性能がズバ抜けた奴だから」

 

 実際タイガーの言う通り、助けられたと知らない人間は大勢いる。

 姿を消し声を変えているので、コアラのように性別自体すら誤認していたり、覇王色による気絶で完全に目撃者をなくし、気付いた時には助かっている……なんてケースもあるので、ロゼの周り以外で犯行を知る人間は皆無である。

 

「たとえ誰かのためであっても、規則を破ってるのを良い様に見せたくねェのさ。『オレは悪いことしてる悪人だから皆真似すんなよ』『もっと他にいい方法はあったはず』ってな感じで。おれだってあいつの一面を初めて聞いたのは、マリージョアに乗り込む直前だ(指名手配されているとは聞いてたが、まさか爆破までしてたとは……)」

 

 自分の手段が褒められたことではないと自覚しているから、行動を褒められるのは好きではない。特に法を破った行為で認められては法を守っている人間が損。ルールを守って行動している人間――魚人島の地上移住の署名を募ったオトヒメのような人物こそ称賛されるべきだと考えている。

 もっとも、単に捕まりたくないという思いも普通にあるので、法を破るたびに罪悪感だけが募る。

 

「あいつを見てそういう考え方もあるって知ってるから、お前の村の連中のことも恨んじゃいねェよ。海賊なんてやってりゃあ疑われるし手も貸し辛ェ。法を破ってんだから、てめェの身はてめェで守んねェとな」

 

 法を破ったものが法の保護を受けられるはずなし。

 ロゼあたりは、そもそも人身売買禁止の法を反故にし、タイガーを保護しなかったのは天竜人の方だから気にするなと言うだろうが。

 

「おれにはもう出来ねェルールに則った改革は王妃達がやってあいつが手伝ってくれる。おれはあいつらが出来ねェことをやる」

「で、でも! 海軍と戦っている時に会ったらブッ飛ばすって……」

「捕まえるとは言ってないだろ? しかも騙し討ちせず、わざわざ事前に告げてる。『敵対したら遠慮せず踏み潰せ』ってさ……たぶんこれハックを通してオレにも言ってるな」

「何それ!? あっ、でも確かに私よりあの人に詳しいハックも、何も言ってなかった。気付いてたの? あの人回りくどくてメンドクサイ……!」

 

 コアラが空いた口が塞がらないというように、あんぐり口を開けてから叫ぶ。

 

「まあ、おれ達がただの民間人だったら、あいつも普通に助けるんだろうけどな。実際オトヒメ王妃のことも堂々と助けたみてェだし。状況があいつの行動をメンドクサクしてるっつうか……」

 

 

 もしも今が大海賊時代でなければ、ロゼは唯一の人間としてタイヨウの海賊団に入ったり、革命軍に入隊でもしていたかもしれないが、赤子の時に聞いた心の声からくる海賊への反感からルールを破ることへの抵抗が生まれ、その可能性は潰れた。

 

 もしも天竜人の横暴がなければ、ロゼは海軍に入り、正義を背負って海に蔓延る海賊達と戦っていたかもしれないが、この可能性も、たとえ元海賊の両親のことがなかったとしても、今のルールではどうしようもない天竜人という存在を知り僅かになり、タイガーの死の十字架を背負ったことで消滅。

 

 ロゼの人格、性格のほとんどは、今の時代への不満から出来上がった。

 オトヒメ王妃の夢の実現の手伝い――タイガーの考えるロゼの行動は正しい。だが足りない。彼はそれだけで満足する気はサラサラなかった。

 彼の嫌いな時代は大海賊時代と天竜人の支配の2つが主な構成要素。海賊も天竜人も嫌い。

 世界政府が終わらせようとしているのは大海賊時代。革命軍が終わらせようとしているのは天竜人の支配。彼はどちらも終わらせる気。

 

 

「そうだ! 旅の途中は教えてくれなかったけど、結局あの時の女の人は誰なの? タイガーさんの奥さん?」

「全然違う! なんだ、聞いてないのか……まあそういう奴か」

「つまり、私の知ってる人?」

 

 ピシャーン!

 

 コアラに電流走る。

 

「…………つい最近私が会った人に、ルールを破った時に隠す、隠密(ステルス)性能がズバ抜けた、マリージョアに乗り込む直前にタイガーさんと話して、タイガーさんに輸血した、タイガーさんの奥さんじゃない人が1人だけいるんだけど?」

 

 海軍にも、革命軍にも告げなかったロゼの秘密を、コアラとの再会の懐かしさに、共通の友人――コアラにとってはただの知人――の話題に、気が緩んでしまったのだろうか?

 タイヨウの海賊団初代船長〝奴隷解放の英雄〟フィッシャー・タイガーと、革命軍幹部ティガのニキネキ新人類(ニューカマー)、どうして口の堅さに差がついたのか……慢心、環境の違い。

 

「……そいつは男だろう?」

 

 迂闊の極み。無駄な抵抗。苦し紛れの異議アリ。

 だがもう時すでに遅し。

 マリージョアでずっと天竜人の顔色を窺って生き延びたコアラは欺けない。

 

「ダウト! タイガーさんだって今女の人でしょ! えっ、あの人がそうなの!? あの人の性別もあやふやなの!?」

「……いや、あいつは姿消して声を変えてただけだ」

 

 無所属で立場があやふやなシルバーズ・ロゼ=新人類(ニューカマー)説をやんわり否定する、性別があやふやなタイガー。

 観念して吐露するその様は、俎上(そじょう)の鯛を彷彿とさせた。

 煮るなり焼くなり捌くなり好きにしろ。

 

「機甲忍者=サン!? 姑息で卑怯者って……そういえば会ったことないとは言ってたけど、知らないとは一言も……何あの詐欺師!? うわうわ、どうしよ――とりあえず連絡を……ああっ! 連絡先の紙、私が目の前で破いちゃったんだった! 助けてもらっといて相談にも乗るって言われてこれはない……絶対嫌われた……」

「いや――あいつはむしろ、思い通りに事が運んだって満足してたと思うぜ? まあベストは、このことを明かさず、お前が革命軍に入らず、更に自分に恩を感じないってところだったと思うが……」

「全部外れてる……いや、最後のだけはなんで言ってくれないのって、ちょっと腹立ってるけど。夢が壊れた……」

 

 またも〝機甲忍者ロゼ〟の卑劣な隠密(ステルス)の被害者が……人間隠されれば暴きたくなるもの。本人にその気はなくとも天然の(トラップ)と化している。今後も、忘れた頃に不発弾が爆発するだろう。

 

「夢が壊れたって……お前もしかしてそういう」

「優しいお母さんみたいな人って思ってたのに!」

「ああうん、なるほど」

 

 3年間性別という固定概念に(とら)われない連中に囲まれたことで、タイガーの脳裏に辺り一面のオカマ畑に咲くユリとバラが見えたが、すぐに違うとわかり胸を撫で下ろす。

 

 女ばかりの島で育ち、初めて見る男に恐怖して、そこから助けてくれた姿も見えない女性に幻想を抱き、ものの1日で打ち砕かれたハンコックは特殊な例。その後紆余曲折を経て彼女が、『奥ゆかしい女性だと思ったら男の子だった――じゃあ大人になったら問題ないんじゃ?』の発想に至ったのも、例外中の例外の事例と言える。

 

「一応これ革命軍の連中にも言ってないから、秘密にしてくれねェか?」

「タイガーさんが言うなら……ねぇ。あの人絶対他にも秘密があると思うんだけど、知ってる?」

 

 重要な情報源から弱みを聞き出し、ロゼへの精神的下剋上を画策するコアラ。

 未来の革命軍幹部の鑑。ちゃっかりしている。

 

「……変わってないなら、あいつの電伝虫の番号知ってるから、それで勘弁してくれ。かける時はこの白電伝虫を接続して使えよ」

 

 自分ではボロが出ると悟り、暗に秘密はあるが本人に聞けと言いながら、白電伝虫を渡し番号を教えるタイガー。

 

「……私、あの人から秘密を聞き出せる気がしない。苦手」

 

 少しトラウマになりかけているコアラだが、これから先にチームを組むことになる、自由奔放で無茶をするサボに振り回されたことや、直近では革命軍の濃い人達へのツッコミを、革命軍ではないロゼにその都度愚痴としてぶちまけることで発散することになる。

 そしてコアラがロゼに最初に連絡を入れた時、何故機甲旅団の女性陣が自分に優しく接していたのかを知ることになるのだった。




 キノコプリン
 トリコのグルメ食材。プリン味のキノコ。
 本当は島ごとに毎回何が手に入ったとかを書こうかと思ってましたが、どの島にどれがあることにするか決める量が多い上ただの羅列になるのでやめて、話の流れで登場させられる時や、食べる時に名前を挙げることにしました。

 コアラ(新世界編23歳)、ハック(新世界編38歳)
 コアラの革命軍入隊は、ビブルカードによると新世界編の9年前ハックの紹介で。つまり現在の年。元々会うつもりでしたが、旅立つ年を考えた時は判明していなかった情報なので、ギリギリセーフだった。
 コアラと会った時のアーロンは普通にタイガーを探していて、ココヤシ村を襲うことになるとは思えない態度だったようだ。
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