アラバスタの探索や会談等のオレ達の用も終わり、リリーが持つ父親のビブルカードの示す方角が安定してきたので、捜索に行くことになった。
「私以外に空中戦が出来る方と手合わせが出来るのは新鮮でした」
「それはオレも同じだ。【
ボルサリーノさんはオレより速いけど、MAXスピードの動きが自在とはいかず、直線だからなぁ。
それを補うため【
ペルさんのトリトリの実モデル“
オレは武装色を使用しなければ音速越えは体に負担がかかるが、そこは丈夫な
更に特筆すべきはその人獣型。
トリトリの能力であれば腕が翼になるのが普通らしいのだが、腕をハヤブサの足のように変化させ翼も生やす変身も可能なようだ。変身能力を使いこなしている証拠だろう。これにより飛行しながら剣を振るうことも可能。
「その腕前で剣士でないと言うのは何かの冗談ではないか?」
チャカさんのイヌイヌの実モデル“ジャッカル”のジャンプ力は、王宮の最上階まで一息に跳べる程。
その脚力による突進で、すれ違いざまに自慢の剣術で何度も切り裂くことを得意としている。少し教えれば【
「鞭の方が得意だ。それに剣も持たずに剣士とは言えんだろう。オレは海兵ではないが、海軍に出入りして剣術や砲術等の戦闘技術は習っている。他にも人の技を真似たりオレに合うようアレンジしただけだ」
剣術は鞭や足等で、それ以外は【
「彼のあれは謙遜ですかな?」
「いやァ、あいつは今程度の実力を自分の上限としてねェだけだな。まだまだ強くなるって自信の現れで、むしろ謙遜とはかけ離れてる」
「あと、弟子ら自身に自分の限界を勝手に作らず、望むがままにどこまでも強くなって欲しいからやな」
イガラムさんとダディやウィリーが話している。
「……なんで仲良くなってンだ?」
「彼らは体育会系だからね――拳で語り合ったんじゃない?」
「おれはあの2人に変身のこと少し教えてもらった」
「良かったね」
レベッカ達もビビと仲良くなってたし、時間があれば仲良くもなるだろう。
港外れに泊めた
クンフージュゴン達は毎度アラバスタ滞在中は修行をつける約束。町の人とは話を付けている。
別れを告げてリリーの持つビブルカードに従い出航した。
そして数日後、ジャングルのような島に着いた。
いくつか火山もあり、バカみたいにデカい生き物の骨がまるごと残っている。巨人族より大きい。
「強いとかではなく――いや強いのもあるが、サイズがデカい気配がいくつもあるな……海中にまで。パンズフライは現在人間サイズなのだったか?」
「そのはずだっぺよ」
「とりあえず上陸を――何か降ってきた」
これは……人。数は100以上。
「リリー。ミニミニの能力を今すぐ解除したい。気絶させてもいいか?」
「ん~……まっ、
「ありがとう」
ギンッ!!!
全力の覇王色をリリーに放つ。
本人に抗う気がないので、一瞬で意識を刈り取った。
前のめりに倒れる体を受け止める。
「むにゃむにゃ……まだ食べ足りねェっぺよ。おかわりぃ……」
「なんて早い寝言ササ……」
何故睡眠では能力が解除されず、気絶では解除出来るのか?
スモーカーさんの煙しかり、姉さんのオートロックしかり、能力者の意志に関わらず、能力が発動するケースがある。これは暴走とはまた違う。
そのことから、悪魔の実の意志がそうしているという仮説を組み立て、更に宿主の気絶によって悪魔の実の悪魔もまた意識を失い、それにより解除されるのでは――?
と、オレは勝手に考えているが、何にせよ、これでミニミニの能力がすべて一気に解ける。それさえ分かれば理屈は何でもいい。
今まで回収してきた海賊船が元のサイズに戻るので、それを原料とする。
リリーの体も直に元に戻るので地面に。
「キャロル、リリーを起こしてくれ」
「はいは~い」
適当に返事をしたキャロルが夢の中のリリーを起こす。
ネムネムの能力で眠らせているわけではなくとも出来ること。
「さて――現れろ。【
船数隻分を使用し、巨大なハヤブサを作り出す。
その背を展開し、胴体部分の格納庫に収容された【
「大将〝赤犬〟に呼ばれた時に飛ばしているやつか」
「スーパーなデカさ……ドンドン一度に能力で変化させる範囲が広がってるなァ」
これで落ちてくる人達を――
ドオオ……ン!!!
中央の火山が噴火したようだ。
周囲にマグマが流れている。
タイミングが悪い。サカズキさんが話題に出たからか?
「ぬあァ!!!」
「せりゃあ!!!」
ガキィン!!!
大音量と金属音が響く。
今度はなんだ? 見ると、巨人族が2人戦っている。
それぞれ左手に盾を、右手に剣と斧を持ち、幾度も激突。
ああ――ここがリトルガーデンか。いたよ、巨人。じゃあ残りのデカい気配は全部恐竜か。
1人は丸い体で口の周りに髭を生やし、鬼のような角の付いた兜。もう1人は細身で、腰まで届く長い髭を生やしている。
髭が伸び歳を重ねたことが窺えるが、顔を手配書で見た。巨兵海賊団の2人のお頭、〝赤鬼のブロギー〟と〝青鬼のドリー〟。今なおエルバフの巨人族にとって伝説的存在らしい。
だが今はそれよりも優先事項。
落下中の人々を空中でキャッチ。
火山周辺に着地してはダメ。あの2人の決闘の周囲に下りてもアウト。この島の至る所にいる恐竜達に食われてもデッド。
複数の条件が付いてしまった。
「忙しくなるな。可及的速やかに人命救助だ。誰1人として死なせんぞ」
「な~んでその言葉で悪そうな顔なのよ。まったくこの子は……」
スカーレットに顔を両側から手で挟まれ弄られる。
「
他の皆にも手伝ってもらうとして、問題は巨人2人の決闘。
今まで90年以上やり合っているだろうに、ちょっとタンマは聞かんだろう。何事もなければいいが……。
☆☆☆☆☆
オレと【
それにレイドスーツで飛行したレイジュとスカーレットにレベッカ。
更に巨人の姿に戻ったリリーに、この島にて見つかったパンズフライにも手伝ってもらい、それぞれ出来ることをやって、地上の恐竜達や飛行するプテラノドンを牽制しながら、空から降ってきた人達は死なせることなく救助。
貝殻やら何やら、物もたくさん降ってきていた。
怪我を負っていたので、現在はウチの人間が診ている。戦闘で出来たと思われる傷があり、雷にでも打たれたように感電していた。
そして――
「ガババババ!! 何やらちょこちょこといると思ったら、珍しいものを見た!」
「ゲギャギャギャギャ!! あの島食いを撃退するとは、チビ人間なのにやるじゃねェか!」
オレ達を握り潰せる大きさだった巨人が2人、リリーの能力で縮み、目の前で船から持ってきた酒を飲みながら笑っている。
島に留まらず、海に落ちそうになった人もいたのだが、その時海より浮上してきたのが島食い。島を食べるほどの巨大金魚。そのフンもまた巨大で、
おやつタイムだと言わんばかりに喜んで大口を開けていたので、覇王色にて威嚇しただけだ。撃退も何もない。
島食いの存在とこの島の環境、
まあ危険がない航路などないだろうが。
ルイ・アーノートはどうしたんだろうな? そのことは書かれていなかったが。
当時はいなかったのか。知っていればあんなインパクトのあるものを書かない理由はないだろう。
「ただデカいだけの金魚1匹、わざわざ戦うまでもない。そちらこそ大した集中力だ。そしてなんと苛烈な力と力のぶつかり合い。流石はエルバフの戦士。小さいことは気にせず、器が大きいな」
巨人族2人に返す。
何事もない、ということはなかった。
この2人、決闘に入ってきた邪魔者を排除する――どころではない。両者共に目の前の相手以外眼中になかった。
人が戦っている間に蚊の存在を気にも留めはしないように、空を飛行するオレ達も、瓦礫と共に降ってくる人達にも、決闘中は無反応。
あんな攻撃を食らえば武装色でガードしようが、勢いで海に落ちるか地面にめり込む。躱すしかない。攻撃の余波が飛んできたりするのをこちらで回避して難を逃れた。人のいない島で戦ってくれていて本当に助かる。一般人には天災だ。
しばらく打ち合い、どちらも倒れ引き分けに終わった後でようやく周囲の存在に気付く。被害が出なくて良かった。
「久しぶりに良い酒が飲めた!」
「友の娘も無事見つかったし、今日は良き日だ!」
「リリーが世話になっただよ! こいつは
緑の髪に同色の立派な顎髭、リリーと同じメダルのようなピアスをした巨人族。
デカいフライパンを使い、火山の噴火口で肉を焼いていたパンズフライが戻ってきた。
「久しぶりの
リリーが涎を垂らしている。
無理もない。香ばしい匂いと肉汁が眩い輝きを放っており、普段肉を食わんオレでも腹が鳴る。
ヒレ肉のしっとりとした柔らかさ。
サーロインのきめ細かい霜降りと上品な脂の甘味。
時折顔を出す肩肉に近い赤身のしっとりした歯ごたえと口いっぱいに広がる旨味エキス。
食べる内にやめられなくなるレバーやハツの独特の癖など、全身の身の旨味を全て兼ね備えた最高の肉――らしい。
オレは肉をほとんど食わないので、どんな味かさっぱり想像がつかん。
2本の長い鼻と牙を持つ羽の生えた巨大マンモス――リーガルマンモスの体内のどこかに存在するそうだ。
人間サイズの彼女がリトルガーデンに生息していたリーガルマンモスの体内に入り、
こうすることで、時間が経ち
「ではいただきます」
あまりにも美味しそうだったので、今年初めて肉を食べることになり――
「……はっ!? ここはどこだ?」
気付けば雲で囲まれた見知らぬ場所にいた。
「何故だ? 新手の能力者の攻撃でも食らったか?」
幻覚? 空間転移? それともキャロルの【
「何これ。噛む度に味が変わって美味しい~……はっ!?」
背後からの声に振り返るとレイジュがいた。
「確かに美味しかった。肉を食べたのに、グロ映像のフラッシュバックがなかった。これは異常だ」
おかげで心の底から味だけを楽しめた。
食宝と呼ばれるだけのことはある。
声を出したことでレイジュもこちらに気付く。
何故かこちらを見る視線が少し鋭い。
「……肉を食べる度にそんなものを見ていたの? 絶対そっちの方が異常よ。トリスタンには言った?」
「いや、こんなこと言うまでもなくないか? 肉を食べなければいいだけだ」
「確かに秘密は作らないけど、これだもの……常識があるようでない。医者のトリスタンの苦労を察するわ」
「わかった。後でトリスタンにも言っておく。心配かけた」
言いながら抱きしめる。
すっぽり腕の中に入りいい抱き心地。
「ぐ、ぐへへ~♡」
お姫様が、というか女子が出しちゃいけない声が出てるぞ。別にいいけど。
それにしても、結局ここはどこだろう?
「……レイジュ?」
また新たな声が聞こえる。
そちらを見ると、いるはずのない人がいた。
「……おいレイジュ。あの人を見てくれ」
トリップ気味で胸に顔を擦り付けているレイジュの肩を軽く叩く。
「私がいるのに他の女が気になるの……?」
「いや、そういうことではなく――見た方が早い」
膨れるレイジュの顔をオレの体ごと方向転換。
「今の私はあなた以外に興味が……おか、おかか、お母様!?」
レイジュの顔が急速に赤く染まる。それでも離れない。
いつもなら畳みかけるところだが、
「ウチの娘が知らない人とめっちゃイチャついてる……何これ……」
オレ達の視線の先には、写真で見たヴィンスモーク・ソラ――レイジュ達の母親がいた。
レイジュとよく似た金髪の女性で、眉毛がグルグルしていない。
そして、その頭上には天使のような輪っかが。
ああそうか……あまりの美味さに昇天してしまったか。
恐るべきはパンズフライ。新世界一の海賊料理人の名は伊達では――む? 頭上の輪っか?
「ロゼ、私と一緒に閻魔を倒しに行きましょう。物申すわ。
途中までは同じ考えに至ったようだが、テンパっていた分思考が乱れているな。
「それには同感だ。オレもまだ死ぬ気はない。だが落ち着け。まずはオレの方を見てくれ」
「? 今日もカッコいいわよ?」
「お前もいつもきれいだ。だがそうじゃない。頭上だ」
自分の頭上を指差す。
「いつも通りスゴイ髪型――ああ、そういうこと。輪っかがないわ」
話が早くて助かる。
「お前の頭にもない。つまりこれが天国料理たる所以だろう。リリーは何度も食べているし、おそらく一時的なものだ」
「あの人スゴイ料理人ね……」
まったくだ。
走馬灯――は少し違うか。臨死体験みたいなものだろう。
天国料理という名前から、もっと早く気付いてもよかった。オレが地獄に行かないはずがない。
「惚気は終わった? 置いてけぼりにして、悲しいわ。昔は私にベッタリだったのに……」
ソラさんが不貞腐れていた。
レイジュと2人で宥めながら、ここに来た経緯を話し、ジェルマのことも伝える。
「そう……あの子達に感情が。ありがとう、ロゼくん。あの人のことも含めて」
「遅くなり――あなたの生前に間に合わず、申し訳ありません」
「ふふっ、まだ若いのに1人で何でもかんでもは出来ないわよ。未練はない――と言えばウソになるわね。サンジのことを聞けば余計に。でも私が出来なかったことを、あなたはやってくれたわ」
「いつかここにサンジを連れて来るわ。イチジ達も」
「会いたいなぁ……あっ。でも
「う、うん」
顔は笑っているが目が笑っていない……相当頭に来ているようだ。
レイジュがその笑顔の凄味に押されている。
「それよりも……こっちの彼の話を聞かせてよ! さっき顔を褒めてたけど、もしかして、レイジュって面食い?」
「ち、違うわよ! 確かに顔も好きだけど……」
ソラさんが意気揚々とガールズトークをレイジュとしようとしている。
その話題はオレが気マズイやつ。
「どちらかというとオレの方が面食い。娘のかわいい話、興味ないですか、お義母さん?」
「聞かせて!」
「ちょっ!?」
なので、早々に話題を変えさせてもらった。
そういう話は親子水入らず、オレがいない時にやってくれ。
「その時……レイジュが……本当に……」
「あらあら……この子は……ということがあって……」
その後、ソラさんとレイジュについて語り合った。
母親の子供を自慢したがる習性は把握済みである。
「もう、やめて……うれ死ぬ……」
レイジュが出来上がった頃、オレ達の体が透け始めた。
「あら、時間切れかしら? また来てね、レイジュ。ロゼくんも」
「うん……」
「オレは次は辞退するので次の次くらいに。さようなら」
そうして、意識が途絶えた。
「あっ、起きました?」
目を開けると、トリスタンに膝枕されていた。
いい御身分だな、オレ。
何やら虫がいたので覇王色で一網打尽にしながら身を起こす。
フラッシュバックのことを伝え、キャロルにもネムネムの能力で協力してもらい治療することになった後、話を聞くと、何人かが食べてしばらくすると倒れたらしい。傍から見ると食中毒だな。
トリスタンは毛の生えた動物の肉は食べないミンク族なので
他にウチの者で食べたのに起きたままだったのは、ガルドア、グラント、フランキー、ヨコヅナ。
パンズフライに直接尋ねると、あの世に会いたい人間がいる者だけ意識が途絶えるのだそうだ。
「お母様……! ドレスローザが……!」
「おばあちゃん……」
「ああルイス……」
「ママ……」
「母さん、ゴメン……アデルを、守れな……」
「お父さん……?」
天国組は故人と会っているようで、寝言を呟いている。
フランキーは巨人族2人と意気投合して酒盛り中。お前は巨人族と気が合うと思っていたよ。
しばらくするとウチの人間が戻ってきた。
メイプルの様子が少々おかしいが、何かあったのだろうか。言いたくなったら言うだろう。
落ちてきた何人かも目を覚ましたので聞いてみると、空島の住人だったらしい。
まだ恐怖が残っている。空島から長時間落下すれば無理もないか。
「空島の人は羽が生えていたんだな。まあミルクティーでも飲んで、落ち着いたら詳しい話を聞かせてくれ」
「もうちょっと驚けよ。羽だぞ羽」
「ついこの前アラバスタで見ただろ。それにリーガルマンモスにも生えている」
リーガルマンモスも空から来た可能性があるか?
「能力者に野生動物じゃないですか」
シュライヤはともかく、リスのミンク族のトリスタンが羽くらい気にするなよ。
「まあ、一応驚いたぞ? 天使かと思った」
「あら? もしかして私達の前で別の女を口説いてる?」
「よく見ろ。男だ」
クモダスさんというらしい。
「男もいけるでゲソ?」
「無理です。マジで無理です」
レイジュとメイプルに返す。
空から羽の生えた人が落ちてきたら天使を連想するだろう。
続けて話を聞くと、神を名乗るエネルという男をリーダーとした武装宗教集団が、トリでもないのに人が空に住むのはおかしいからと、大量の雷を落とし空島を消滅させたらしい。武力で
うーんサイコ集団。おかしいのはお前らの頭だ。神を自称する連中はどいつもこいつも……。
戦えない者は船で別の空島へと逃げたが、最後まで戦っていた者が落ちてきた。
僧正と呼ばれる空の戦士が特に奮戦していたそうだが、落ちてきた中にはいない。『捕まったか殺されたか、雲流しにされたか……』と、彼らは予想し嘆いている。
見た所彼らも見聞色は使えるようだし、そのエネル達のレベルも前半の海ではかなり高いことが窺えるな。
上空に【
「……正直、目を覚ました時は捕らえられたと思いました。あなたの強い気配がエネルを連想して……」
「オレかよ」
ヒモなしバンジーをしたからではなかったか。
「行く所がないならウチの船に乗るか? 元々場所的な余裕はあるし、どこか永住したい場所が出来たなら好きに降りていい」
「恩に着ます」
こうしてまた船員が増えた。一気に100名ほど。
人以外の落ちてきた回収物を持ち主が誰か特定していると、妙な物が目に入った。
「何だこれ?」
手に取りながら聞く。
刀の鍔と柄しかなく、頭の部分に丸いものが付いている。
「それは鉄雲を蓄えた刀。扱うのが難しい玄人好みの武器ですが、刀身をある時は鞭、ある時は盾と、状況に応じて自由に変えられるのが特徴です。空島の環境でなければ雲が消えてしまうようですが……」
「へえ……この地上では使えるように出来ないのか?」
正直欲しい。
鞭を扱うオレにこの上なく合っている気がする。
「要は地上の環境に適応した加工雲を用意出来ればいいので、材料があれば一時的な物なら……元々人の手で作ったものですから。我々の住んでいたビルカでは、
期待しておこう。
他にも玉の形にして中に色々なトラップ等を仕込んだびっくり雲。細く丈夫な性質の紐雲。沼のように抜け出せなくなる沼雲等があるらしい。
それ以外には戦闘用の物は少ないものの、生活で利用されていた
驚きなのはその収納容量。明らかに貝殻の体積を越えている。
手で持てるサイズの
だけどこれは便利だ。水の持ち運びが楽になるので、飲み水はもちろん魚人柔術用に大量の水を携帯出来る。
「ふふっ。
なんでも貝殻に入る時に分子レベルで分解し、出す時に再構築しているのだそうだ。この貝すごいな。
レイジュが得意気に解説してくれた。
「この
「そういうやりたいことを実現するために科学はあるのよ」
母親に会ったからか絶好調だな。
放出すると反動があるようだが、元々普通に殴った方が早い。試したがそっちの方が威力があった。
絶滅種の
スモーカーさんみたいな
☆☆☆☆☆
代々〝神〟と呼ばれる首長を据え、遥か昔より
約400年前、突如として雲の海、
当時の〝神〟率いる神隊はこれを武力で制圧し、元々
それ以来、スカイピアは
その〝神〟が住まう
つい先日、遥か南東の空島、ビルカを滅ぼした勢力である。
「ヤハハハ! あれが私が還るべき
高笑いしながらそう言うのは、〝
パンチパーマの頭に布製キャップをかぶり、太い眉毛と長い福耳。
背には雷神のような太鼓が付いており、空島では珍しい電気伝導率の高い黄金製の棍棒、〝のの様棒〟を持つ。
この軍団の長で、首長としての〝神〟ではなく、そのままの意味で神を自称している。
数ある悪魔の実の中でも無敵と謳われる能力の1つ、
「ほっほほう♪ 所々で戦闘の気配がするなー」
玉のような丸っこい体格で、笑いながら奇妙な踊りを踊る長髪のサトリ。
「
嘆きながら物騒なことを呟くのは、タンクトップを着用し、鋭い突起のあるサングラスをかけている、坊主頭のオーム。
傍らには二足歩行が可能なよう躾けられた、オームの巨大な愛犬ホーリー。
「下らん。〝
「おい、下唇を噛んだままだ。貴様いい加減その癖を直せ、うっとおしい」
ゴーグル付きのパイロットキャップをかぶる、尖った髭のシュラが注意する。
口内に炎を蓄える
「はっ、うっかり!」
蜘蛛の足のような髪形をしている、下唇を噛んだまま話す等うっかり屋のゲダツ。
いずれも曲者揃いの四神官がエネルの後を続き、その後ろに神兵長のヤマと、サトリの三つ子の兄弟で副神兵長のホトリとコトリ。
ビルカで回収したスカイピアには存在しない貴重種――斬撃を蓄え放出する
エネル以外は皆、その背から羽が生えている。
これもまたビルカで回収した200個を超える絶滅種
今は徒歩である。
「ふむ。どうやら
自分も侵略者でありながらこの言葉。
すでに我が物顔で所有権を主張する神理論を展開している。
「――残念だけどォ、今ァここから先は通行止めだよォ~。そういう命令でねェ~。なァ~んでわっしがこんなことォ……だからァ、観光なら他所でやってねェ?」
そう言って立ち塞がるのは、間延びした口調の男。
ストライプ柄のグレースーツを着用し、テンガロンハットを被りタバコを吸っている。
空島では知る者はいないが、
大将〝黄猿〟、ボルサリーノの姿があった。
その周りには、何名かの神隊の兵――神兵と、シャンディアの人間が倒れている。
「(なんだこいつ――
疑問に思いながら、神が出るまでもないと、神官達が我先にと応戦しようとする。
「【
引き返す気配がなく、前に出てきた四神官の内1人に、ボルサリーノが狙いを定める。
「右足上段の蹴」
ドゴォン!!
言い切る前に顔面に蹴りが入り、そのままレーザーを放射。
周囲に爆発が引き起こる。
「はい、アタリだよォ~。関係なかったみたいだしィ、正解のご褒美もないけどォ……今のわっしは覇気が使えないからァ、この空島じゃあ攻撃が読まれ放題で困るねェ~」
サトリは四神官の中でも、特に
如何に相手の動きを先読み出来ようが、その手袋に衝撃を蓄える
「「「(こいつは強い!!!)」」」
それを見て、三神官の評価が一致。
「ま~た全員倒すパターンかい……」
面倒そうに呟く男に、残りの神官達が一斉に襲い掛かる。
「【
オームの柄頭が大きな球状をした刀。
重量は雲で硬度は鉄の鉄雲をチャージした
「【
シュラの持つ刃先に熱を蓄える
高熱を発しながら頭部を横から貫通。
「【ジェットパンチ】!」
肘に仕込んだ
3人の神官の攻撃がほぼ同時に炸裂。
それぞれの動きを
互いに自分こそが〝
これは〝
「ん~……効くねェ~」
だが、その言葉とは裏腹に、平然とボルサリーノが直立している。
3つの攻撃はすべて体を素通りし、完全にノーダメージ。
「【
ピュピュン!!!
空中に移動し、両手の指で作った円から無数の光の弾丸を、雨のように〝
「【1億V
バリバリバリッ!!!
エネルの手から高電圧の電撃が放たれ、レーザー群へと向かうが、相殺しきれなかった攻撃が神官達の体を貫き、自身もまた身を捩り、紙一重で自分の体を掠める。
「
エネルが狼狽える神兵達に命じ、倒れた四神官を連れて行かせる。
ゴロゴロの実を食べてから傷を負ったことのないその腕に、一筋の傷跡が初めて出来、血が滲む。
「ご名答ォ、おめェも
サトリを一撃で戦闘不能にした、レーザーを伴う光速の蹴りがエネルに迫る。
「不届き。我は神なり」
傲岸不遜という概念が人の形をして歩いているのがこの男。
だがその口から出た尊大な言葉とは逆に、自分に傷を付けた事実から、類稀なる
ドゴォン!!
エネルが生まれて初めて他人を警戒し、両者共に光と雷に姿を変えた足がぶつかる。
「【
ズゴォン!!!
エネルの腕が大きな雷へと変化し、ボルサリーノの上半身を横薙ぎに吹き飛ばし、雷鳴が轟く。
相手の恐怖心を煽り楽しむ嗜虐心を持つこの男が、遊び心一切なし。一撃目から全力の攻撃。
半身を失った体が地に倒れる。
光熱という重複する部分があるその2つの悪魔の実の能力は、実体のない
「今度は本当に効いたみたいだねェ~。こいつァ雷ィ……ゴロゴロの実の能力者かなァ~?」
だが、消滅したボルサリーノの体が自然回復し、再び立ち上がる。
「(再生は
「鋭いねェ~。お察しの通りィ、わっしはただの人形ォ。疲労は感じずゥ、たとえ全身が消滅しようがァ、本体が勝手に治しちゃうよォ~」
「――フザケた能力だ」
エネルの額に汗が伝う。
攻撃の先読みが出来ても心を読めないのは、そもそも心など持たぬ、コピコピの能力で生み出された人形だから。
にも拘らず意志があるような言動をし、先読みは出来るのは、悪魔の実による異常の成せる業か。それとも悪魔の実に意志が存在する裏付けか。
「だからァ、今の内に帰ってくれない?」
人形はコピーした人物の性格を反映し、周りに倒れている人間達も、殺せとは言われていないため全員息がある。これでも手加減しているようだ。今も遭遇時も、暗に逃げろと言っている。
だが命令には逆らえず、能力者に服従する。
『〝黄猿〟、その雷サマを逃がすな。目当ての物共を頂き次第、ついでにそいつもコピっていく』
「……あ~、もうダメみたいだねェ」
そしてたった今、追加指令を本体のカメレオーネから受けた。
覚醒した能力で作り出した人形が得た情報は、離れた場所にあるシャンディアが住む雲隠れの村を襲撃し、ドフラミンゴのイトイトの能力――【
「はぁ……互いに互いの攻撃は通用してもォ、おめェは見聞色で避けてェ、わっしは疲労がなく食事も不要で死なねェ体ァ――不本意だけどォ、こっちの用が済むまでェ、何日だろうが付き合ってもらうよォ~」
ボルサリーノが攻撃を食らったのはわざと。
「(見聞色……?
だがそこは能力だけでなく
自分が好むが故に相手の狙いを看破。
精神的動揺から刹那で立ち直り、打開策を見出す。
「出来るかなァ~? それをわっしと戦いながらァ。おめェは雷だろうがわっしは光ィ……今まで自分より速い者と戦ったことがあるかい?
この人形の役割は目的達成までの邪魔者の排除と足止め。
エネルは
目の前の人形の本体を見つけ出し、雲を媒介に上から雷を落とす。
故郷のビルカのように足場ごと消滅させ、運良く生き残っても
「笑止――それが出来るから神なのだ。恐れを知らぬ人形とはいえ、不敬が過ぎるぞ」
雲に溢れ無尽蔵に雷を放てるこの空島という
天より不可避の雷撃を落とし、生かすも殺すも自分次第。更にその射程は姿を拝むことすら敵わない広範囲に及ぶ。
無敵の雷の能力とそれを使いこなすビルカの天候科学、更に島1つ分を軽く覆う
「貴様の本体の誤算は神を相手にしているということ。私を
圧倒的な力の差に覚える絶望。すべての希望が絶たれる事は死と同じ。死は生きとし生けるものすべてに平等に訪れる最大の恐怖。
人は恐怖の前に体が竦み、地にひれ伏し、本能的に天の神へと慈悲を乞う。
故に、人に恐怖を与える自分こそが神なのだ。
だから神たる自分の在るべき場所、
「随分と思い上がった自信家だねェ~。じゃあ……ここらで挫折を知ってもらおうかァ。【
ボルサリーノが作り出した光の剣をその手に持ち、エネルに切りかかる。
相手がわざわざ作った武器。雷の体であっても無傷で済まないのは、これまでのやり取りで把握済み。直接触れるのは危険と判断。
「【
バリバリ!!
帯電させ高電熱スピアと化した〝のの様棒〟を振るい、ボルサリーノの光剣とぶつかる。
ドン!!
光速と雷速。悪魔の実の中でも最速候補の2つの激突。
人知を超えた天変地異を引き起こす、神々の如き戦いが始まった。
【
他の【
パンズフライ(新世界編160歳)
アニメ『Zの野望編』登場のリリーの父親。新世界一の海賊料理人。アニメでは懸賞金3億2000万ベリー。
貧しい人たちに料理を振る舞い、武器が巨大なフライパンなので、〝大盤振る舞い〟の異名にした。
エルバフの戦士で、ドリーやブロギーとは幼馴染。なので同年齢に。
得意の天国料理は、アニメでは単にとても美味しい料理だけど、この作品では食べたリアクションによりガチで天国に行く。元ネタは死ぬほど美味いジャぱん44号。
サンジにはスピンオフの『食戟のサンジ』もあるし、おはだけをあげようか。
リーガルマンモス
トリコに出てくるマンモス。体内のどこかに、すべての肉の部位の味を兼ね備えた
ヴィンスモーク・ソラ
レイジュ達の母。故人。
天国料理で死亡キャラの誰かと会わせるつもりだったけど、オトヒメやタイガー等親しい人間は生き残ったので、納得がいく生存方法が思い付かなかったこの人に。
もし上記の誰も死んでいなければロゼ1人でロジャーに会って、『おれの財宝か? 欲しけりゃくれてやるぜ……探してみろ。この世のす』のあたりでロゼが『言わせるかァッ』とドロップキックかまして、『まだ話し終わってねェッ』と怒るロジャーとそのままケンカしてた。
空島ビルカ
スカイピアの遥か南東に位置した空島で、エネルや神官達の故郷。月にも同じ名前の都市が太古にあった。
この年、エネルの手により影も形もなく消滅。
スカイピア人とビルカ人では羽の形が違う。屈強な空の戦士がいたらしい。
場所ははっきりしていないが、スカイピアの南東ということは
ナミがくまに飛ばされた人工空島ウェザリアに住む人達は、元々ビルカの出身らしい。今回登場したクモダスはハレダス(新世界編97歳)の親族のモブです。
原作ではウソップの
ずっとオームの鞭と剣を兼ねたあの鉄雲の武器をロゼに使わせたかった。
レイドスーツに
エネル(新世界編39歳)
ゴロゴロの実の能力者。
驚いた時のエネル顔はあまりにも有名で、後に他のキャラもする。受け継がれる顔芸。
ペコムズの『自分を無敵と勘違いしてきた
四神官
麦わらの一味を苦しめたサトリ(新世界編27歳)、シュラ(新世界編33歳)、オーム(新世界編29歳)、ゲダツ(新世界編31歳)の4人。
エネルもそうだけど、
【
〝犬、猿、雉〟の話でも出したけど、ゲームの『ONE PIECE ギガントバトル!』での〝黄猿〟の技だったみたい。
足から太いレーザーを放ち、照射点に爆発を引き起こす。シャボンディでホーキンス達やモブが食らってた奴かな。あの時のオジキめっちゃ怖かった。