機械の皇帝   作:赤髪道化

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 後半で行われていた戦い3話目、ついに乗っ取られたタイトル。空島での近所迷惑な戦い決着。
 ついにポケモン剣盾の発売日が来てしまった……。


〝擬身VS神〟

 RR(レイド・ラプターズ)号の船内の医務室でくいなを起こし、トリスタンがレントゲンを撮ったり診療する。

 結果、脊髄損傷による不随だそうだ。

 

「血統因子の技術で細胞のクローンを培養して移植をすれば……」

「治せるか?」

「一応これ禁止されている技術だけど」

「構わん。バレたらオレが責任取る。人を治療して捕まるならそれはそれだ」

 

 ジェルマや海軍は研究しているのだし、どの道オレには生まれた時から追われる理由がある。大して変わらん。

 レイジュの忠告のような言葉にGOサインを出し、トリスタンとリリー、レイジュがくいなに説明しながらどうするか聞いている。

 

「そんな殊勝なことを言うなら、そもそも女の子と決闘なんて」

「覚悟を決めて向かってきたなら、老若男女種族を問わず皆戦士だ。そういう区別は戦場から離れた日常でする」

 

 スカーレットの苦言にいつも通りの答えを返す。

 

「え? あいつ女だったのか?」

「お前……見たらわかるだろう」

「ガルドアを見て同じこと言えんの?」

 

 シュライヤに言われてガルドアを見る。

 

 きれいな肌、さらさらの髪、そして見るものを魅了する童顔。

 その華奢な体のどこにハルバードを振り回す力があるのか甚だ疑問であるが、間違いなく男だとわかる。難易度はくいなより遥かに高いが。

 

「こいつは男とか女とか、そういうのを越えた美しさだから」

「え、いや、そんな不意打ちで褒めないでよ……当然だけど」

「それに〝戦闘機〟って」

 

 グラントぉ……お前もか。

 

「だから読みが違う。閃く刀の姫で〝閃刀姫(せんとうき)〟だ」

「そんな読み方聞いてわかるわけねェよ……」

 

 まあそれは確かにそうなんだが。

 

「しかし性別くらい普通わかるだろう。常識的に考えて。男というか、雄として節穴か」

「そうですよ。匂いでわかります」

「常人離れした嗅覚がなくとも、喉仏の有無に、骨格や筋肉の付き方を見ればわかる」

「んだんだ。良い体してるっぺよ」

「いや骨格って……筋肉はわかったけど」

「筋肉はわかっちゃうんだ……声が女の人よ」

「そもそも彼女の服のボタンの付き方はレディースだよ」

 

 色々意見があるが纏めると、気付くポイントはいくらでもあったということだ。

 

「この空間の常識の概念がおかしいササ。ロゼのは雄じゃなくて、武人か医者の観点だし」

「いやいや、雄で合っている。サラシを巻いていた。結構デカい」

 

 おそらくは片腕でも着やすいように、前をボタンで留める大きめのサイズの服だったが、オレの目は節穴ではない。

 

「ハイレベルの変態技能やめェや」

「アウ、呼んだか?」

「呼んでねェしそんな呼び方はしない」

 

 こうして、霜月くいなの腕の治療とリハビリのため、そしてオレを倒しリベンジするという目的のために、RR(レイド・ラプターズ)号に乗船することになった。

 

「ああ……お風呂がある……! やったぁ!」

 

 なんか別の付加価値にも目を奪われているが。

 

 

 ウィスキーピークを出て航海中。いつものように自分と仲間の修行をする。

 キャロルの【幻夢境(ドリームランド)】でのこと。

 

「私と戦った時、手を抜いてた?」

 

 戦闘で【RR(レイド・ラプターズ)】を見せたことでかけられた疑い。

 

「そんなことはない。それは、【RR(レイド・ラプターズ)】がオレより強いという前提から来る疑問だ」

 

 こいつらはオレの体力で動くから、量産してオレと戦うと最後には体力切れで自滅してしまうため、簡単にどちらが強いと言い切ることは出来んが。

 

「誰でもそう思いますよ」

「もしそうなら、【RR(レイド・ラプターズ)】がやられれば、オレに勝ち目はないな。確かに強力だが、手段の1つ。結局扱う己自身が強くならなければ、使いこなせない」

 

 安全圏からの物量による合理的なゴリ押しに科学の汎用性、そしてオレ自身の戦闘力。

 正攻法と奇襲、搦め手の類は、両方出来て初めて真価を発揮する。

 それでもまだ、海賊の時代を終わらせるには不足。

 

「そっか……ごめん。自分は片腕使えない状態で挑んだのに、いちゃもんつけて」

「【飛燕(ひえん)】と言ったか? あれは片腕のパワー不足を補うため、全体重をかけるための攻撃だろう。そりゃあ両腕使えた方が強いだろうが、手を抜いていたわけでも、今までの努力が無駄になったわけでもないはずだ」

「そうだね……流桜(りゅうおう)――覇気だっけ? それも使えるようになったし、空も走れるようになったし」

「待て。覇気はともかく、空は何の関係がある?」

 

 身体的なハンデ――例えば盲目で見聞色が発達した、みたいな話は聞いたことがあるが。

 

 聞いた話では覇気の取得が師範代の条件の1つだったそうだ。

 一心道場の師範代は海軍本部中将か何かか?

 

「私さ、階段が嫌いなんだ。落ちて片腕が動かなくなったから」

「まあ嫌いにもなるだろうな」

「それで跳び上がって窓から入ったり、手すりとか壁とか走って2階に上がるようにしていたら、いつの間にか空を走れるようになったんだ」

なるほど

 

 オレは納得した。

 

「いや、あの、その理屈はおかしい。そっちの方が危険だよね?」

「危険とかそういう問題ではないのだ、レベッカよ。誰に迷惑がかかるわけでもないことで、何故必要のない我慢をして嫌いなことをしなければならんのだ。壁走りや水面走りはオレも修行でさせているだろう? 壁立ちや壁歩き、天井立ちに天井歩きも出来るようになろうな」

 

 足の指の力で壁や天井を掴み移動する技術。訓練すれば誰でも可能。ビンズも出来る。

 宙を蹴り移動する【月歩(ゲッポウ)】の方が余程難しい。

 

「そうだ、お兄様は重力に反逆するレジスタンスだった……」

「おめェさん、忍者みてェな奴だな……」

 

 随分大げさな物言いだな。

 

偉大なる航路(グランドライン)で団長はどのくらい強いの?」

「オレより強い人間なんてたくさんいる」

 

 くいなの質問に答える。

 団長という呼ばれ方になった。ロゼでいいのに。

 そしてオレの脳裏に浮かぶ、修行の日々の中でもよくあった光景。

 

『ぶわっはっは! そぉ~れッ!』

『【ライズ・ファルコォン】!?』

 

 ある時はガープさんに地面に叩きつけられ大破。

 

『火力がいまいち、ヌルいッ! やり直しだァッ!!』

『【ブレード・バーナー・ファルコォォン】!!?』

 

 またある時はゼファーさんにより爆発四散。

 

『わっはっはっ、息子とオモチャ遊びか。穏やかな日々もよいものだ』

『【レヴォリューション・ファルコォォォン】!?!?』

 

 そして父さんに無力化されてきた。

 

 

「それは燃えるね……!」

「燃えるのか……?」

「この闘志は大事だぞ? それに、強い奴が必ずしも勝つわけでもない。十中八九負ける相手でも、勝機の1度が最初に来て致命傷を与えることもある。条件次第で傾く」

 

 あの3人にも狡く勝つことは出来るだろうが、オレ自身が強くならなければ、あの領域にはいけない。

 

 三大将相手にも、バトルロイヤルで他の攻撃を利用することで、勝つこともあった。

 

 強くなっているのは確実だが、壁のようなものを感じる。自分の殻を破るキッカケがない。

 こう、腕が切り飛ばされ足が吹き飛び死にかけるような死闘が、ギリギリの実戦が足りないのか? 訓練以外で苦戦したことほとんどないし。

 

「と言っても、勝ち続けるのは困難。途中で倒れたら目的を達成できないからな。もしオレが一番強いなら、とっくに新世界で四皇と戦い始めている」

 

 特に百獣海賊団とビッグ・マム海賊団。

 

 単純に今のオレではRR(レイド・ラプターズ)号を飛ばせないという問題もあるが。

 一般的なマリージョアを通る大陸ルート。通行許可を取ることはあっても、船を乗り換える気はない。

 魚人島経由の海底ルートでも、まだ行く気がなかったので試さなかったが、サイズの問題で通れるのか……?

 まだ先の話だが、行くなら第三の選択肢。通行許可を取った上で、赤い土の大陸(レッドライン)を飛び越え上空ルートか。

 

 

「そうだ、わかりやすいのがある」

 

 数字を見て伝わるインパクトもあると思うので、3億以上の高額の手配書――すでに死亡していたり投獄済みのも含めた紙束を夢の中の書庫から持ってきて、適当にくいなに見せる。

 

「何この手配書の額……4億――いや、49億5440万!? け、桁がおかしくない? 東の海(イーストブルー)じゃ1000万あったら大海賊だよ?」

「それで合っている。偉大なる航路(グランドライン)では何百万、何千万の違いは誤差だ。特にルーキーの間は。低い奴も、力を隠して上手いこと海軍や政府の目を掻い潜っている可能性もある。だが額が高い奴は、報道される事件を起こしていながら海軍に捕まっていないということなので、基本的に強い」

 

 政府は海賊に偉大なる航路(グランドライン)、特に新世界へ向かいラフテルまたはワンピースを見つけられたくないんだろうな。

 

 他にも随分高額の手配書ばかりだ。

 もう死人だが海賊史上トップの額は〝海賊王〟ゴールド・ロジャー。

 父さんがルーキー時代からの顔写真と金額違いの手配書を何種類も持っている。こういうのは発行されなくなるから割と貴重品。海賊マニアが喜びそう。

 

 そして現在生存中の海賊の船長では5本の指に入る懸賞金。

 〝白ひげ〟エドワード・ニューゲートに、先程くいなが見た現在消息は不明の〝金獅子のシキ〟。

 〝百獣のカイドウ〟、〝ビッグ・マム〟シャーロット・リンリン、〝赤髪のシャンクス〟。

 現四皇や幹部連中は、〝白ひげ〟以外まだたまに額が上昇している。

 

 懸賞金の高さが政府にとっての危険度の度合い。そのままイコール強さではないが、〝赤髪〟と会ったかんじ、確実に今のオレより強い顔ぶれだな。

 敵対すればそれに加えて、幹部や戦闘員、傘下の海賊団も敵になる。

 

「この人とか強そう」

「そいつはもう捕まっているぞ」

 

 〝鬼の跡目〟ダグラス・バレットの手配書を見ながら言う。

 元ロジャー海賊団で、船を下りた後1人で暴れ回り、懸賞金9億8010万ベリー。

 

「そうなの?」

 

 くいなが呟き紙をめくる。

 

 どれもこれも端数が半端だ。何をしたらこんな額が懸けられるのか……昔ロジャー海賊団や白ひげ海賊団と、これもまた1人で渡り合っていたという〝赤の伯爵〟、〝孤高のレッド〟は5億5000万ベリーとキリがいい。こちらもすでに捕まっているが。

 

 懸賞金は3億を超えると簡単には上がらない。

 だが、仲間が事件を起こすとその所属する海賊団の他の船員がついでに懸賞金が上がることがあるので、四皇みたいに傘下が多く、海賊団の規模が大きい方が高くなる傾向だ。

 そして特に船長は、人望や統率力といった要素も懸賞金上昇の一因になる。

 

東の海(イーストブルー)に強い賞金稼ぎ(バウンティハンター)はいたか?」

 

 偉大なる航路(グランドライン)に伝わっているのはそんなにいないが。

 

「印象に残っているのは、通称小物狙いの2人組とか」

「通称が弱そう」

「あとは、たまたま海で遭遇した2人姉妹?」

「へえ、女2人旅なんて珍しいな」

 

 1人ほどではないだろうが。ワケ有りかね?

 

 東の海(イーストブルー)に行く時は、凪の帯(カームベルト)を通らないとな。大型海王類の群れはデカい金魚より強い。

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

 空島スカイピア

 

 カメレオーネが鏡の中に入って3日――依然戦闘続行中。

 

 ドフラミンゴが神の島(アッパーヤード)に張り巡らせた【鳥カゴ】。

 〝のの様棒〟の刃先で切ろうと試みても切れないそれが邪魔で、上空の雷を取り込みエネルギー変換出来なくなったエネル。だが今まで充電した分は残っていた。

 今のエネルのゴロゴロの能力を全開にした姿、【2億V〝雷神(アマル)】を解除し、節電しながら戦い続けている。

 

 戦場は次第に中心、所々に建物の残骸が埋まっている島雲から巨大豆蔓(ジャイアントジャック)が伸びており、その根元の周辺へ移動。

 川の水を魚人柔術で一本背負いして投げてくるジンベエを、エネルが鬱陶しがったためである。

 雷速で軽々と避けられるスピードだが、敵はジンベエだけではない。

 

「いい加減にして欲しいねェ~。八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)】ァ」

 

 ピュピュン!!!

 

 ボルサリーノが宙より光の弾丸の雨を降らせる。

 それを放電により相殺し浪費する気はないエネル。

 

「私の圧倒的な力の所以は、ゴロゴロの能力だけではない」

 

 心網(マントラ)で先読みし躱すことで対応。

 

 避けるだけなら、雷速と心網(マントラ)を備えたエネルに分がある。問題はやはりエネルギー補給を絶たれたこと。

 一対五、敵は全員人形故1人に捕まれば諸共攻撃され、加えて時折カメレオーネが人形の攻撃に武装色を流すので気は抜けず、流石のエネルも栄養を摂る暇はない。飲まず食わず不眠不休。

 

「【大いなる(マグヌム)

 

 ウロボロスが生み出した黄金でエネルを捕らえようとし、 

 

「【ネガティブ

 

 ペローナがゴーストを放とうとする。

 

超人(パラミシア)がァ……そのような低級能力、神の前では無力だと何故わからん! 雷冶金(グロームパドリング)】!」

 

 エネルがウロボロスの黄金に電熱を流して溶かし、神のしもべとして相応しき、雷を纏い眩き光と共に存在感を放つ不死鳥の姿へと造形。

 

「行けェ【不死鳥(ゴッドフェニックス)】ッ!」

 

 一度は雲から発生させた雷であったが故に、放電、消滅させられたが今は神の御前。

 直接送り込むゴロゴロのエネルギーに物を言わせて、制御を乗っ取り黄金を強制徴収し、今までゴルゴルの能力と戦ってきたことで上がった精密な黄金の操作で、まるで命を吹き込んだように生き生きと飛翔させる。

 

「【球体形(スフィア・モード)】」

 

 不死鳥はペローナの体を飲み込み球体へと姿を変え、内側に封印。

 彼女は能力こそ強力だが、身体能力はずば抜けているわけではない少女。

 エネルにとって捕らえることは容易い。

 

「食した実が超人(パラミシア)であった己が不幸を恨め。最強種自然(ロギア)こそ至高だ!」

 

 殊更に超人(パラミシア)を見下すエネル。

 

 人間であればこれで電熱で焼け死ぬか窒息死するが、相手は人形。

 それでも再生する人形には閉じ込め封印するのは有効な手段だが、放っておけばウロボロスが能力でまた開放する。今までにもあったやり取り。

 

 人形達にとって一見無意味な行動だが、残量電気を使わせることが出来、エネルがペローナにやったように黄金で体全体を包み込めば、金の像に変えられる。本職の黄金の能力者であるが故に、黄金の永遠の輝きに由来する神秘性により、仮死状態での生け捕りに済ませることが可能。メロメロの石化能力のように。

 そこまでいかずとも一部でも絡め捕れば、そのままカメレオーネが武装色を流し足止め。【ネガティブホロウ】を食らわせ捕獲完了。

 

「【槍波(やりなみ)】!」

 

 ザバッ!

 

 ペローナの拘束を解かせる時間を作るため、手に持った水貝(ウォーターダイアル)から水を槍状に発射するジンベエ。

 これも、これまでの戦闘ですでに残量水は少ない。

 

 魚人空手の真髄は周囲一帯の水の制圧。体内の水にも干渉し衝撃を伝える。

 悪魔の実の能力者にも有効となりうる技術なのだが、エネルは自身を体内の水ごと雷へと変化する。

 そのため水に浸からせるか、電撃を水で受け流すといった戦法が主になる。

 

「遅い! 【放電(ヴァ―リー)】!」

 

 バリバリ!!

 

 川をまるごと魚人柔術で投げられるならともかく、この程度の水量であれば相殺するエネル。

 貯水量を消費させるため。放っておけば回収される。

 

「シュロロロロ! 燃えろォ! ガスタネット】!」

 

 ドォン!!

 

 水は電気分解すると酸素と水素に分かれる。

 ものが燃焼するには酸素が必要で、水素は燃えやすい気体。ガスガスの能力は気体の操作も範疇。

 シーザーが能力で爆発性のガスと一緒に操り、手に持ったカスタネットでエネルの周囲を引火、爆発させた。

 

「無駄ァ! 【電光(カリ)】ッ!」

 

 ピシャァッ!!

 

 そのガス爆発を、全身から電熱を発しかき消す。

 

「貴様らが操るエネルギーなど、私には無に等しい! まだまだやれそうだな」

 

「先がないのはわかっているはずだよォ~? 何故まだ戦う?」

 

 ボルサリーノが尋ねる。

 

 エネルの自信に翳りはないが、疲労の色は顔に見える。

 自慢のエネルギーも雷雲より補給は出来ず、スピードで超えられているピカピカの能力が敵。

 何故挫折しないのか?

 

「ヤハハッ! 神の心など誰にも推し量れまい」

 

「ケッ! なんて自信過剰な勘違い野郎だ!」

 

「【放電(ヴァ―リー)】」

 

 ズドン!!

 

「シュゴォ!?」

 

 神の怒りに触れた不届き者への制裁は、節電より上位の最重要事項。

 シーザーの頭を吹き飛ばした直後、

 

『【死人に口なし(アウターコート)】』

 

「グフッ!!(何事だッ!?)」

 

 血を吐き転がるエネルの体。

 

『ガルルルル……まさかあれから3日も足掻くとはな。大した奴だよ』

 

 スケスケの実の透明人間――アブサロムの姿をしたカメレオーネが、【透明化(スケーティング)】により全身を視認出来なくし、更にロシナンテの対象の行動から音が発生しなくなる【(カーム)】を重ね掛け。

 腕に仕込んだバズーカ砲の弾に武装色を纏い、未知無音不可視の砲撃がエネルの心網(マントラ)を掻い潜り、襲ったのだ。

 

 この状態でも、ギロギロの能力を持つヴァイオレットには見抜かれてしまうが。その理由が能力の相性か、能力者の練度の差か、それともコピーだからかは定かではない。

 

 すでに合計1週間。あまり時間をかけ過ぎると、ふとした拍子にくしゃみをして、能力が解除されるかもしれない。人形はまた作ればいいが、エネルは雷。逃げられれば見つけるのは困難。

 痺れを切らしてエネルをコピーすることを兼ねて本人が来た。

 

 糸で出来た【鳥カゴ】内には、〝道化のバギー〟に化け、バラバラの能力を使って侵入。

 カメレオーネが白ひげ海賊団所属時に、ロジャー海賊団との交戦中盾として利用している間に人知れずコピーした。

 

「ホロホロホロホロ! 今まで散々虚仮にしてくれやがって! 終わりだ、耳たぶッ! ネガティブホロウ】!」

 

 予め念話で命じられ、黄金の拘束から外れたペローナが手からゴーストを放ち――

 

 

「虫けらと戯れて暮らしたい……」

 

 突然の攻撃から立ち上がったエネルが、ネガティブ(?)な言葉を口にしながら再び地に両手と膝をつき、〝のの様棒〟が傍らに転がる。

 

『やったか。ようやく終わりだな……じゃあデザートを頂くとするか』

 

 アブサロムへの変身を解き、カメレオーネがエネルに近付く。

 

 どんなに自信を持った者でも、【ネガティブホロウ】を食らえば折れる。

 目の前の自称神のように。

 

 コピコピの能力で姿と能力をコピーするには、自身と対象の一定時間の身体接触が必要。

 この条件は白ひげ海賊団を裏切った際に露見し、くしゃみで解除されることと合わせ、新世界で情報拡散されている。新世界で活動していなくとも、ある程度情報網のある勢力は知っていること。

 

 そしてコピーするまでにかかる具体的な時間を知る者はほとんどいない。

 3分間という、戦闘中に満たすには難しい時間が必要。強い相手であればなおさら困難。

 眠っている間や、今のような状況でコピーするのがベスト。

 クロコダイルは〝白ひげ〟に挑んだ後、モリアはカイドウとの抗争後、それぞれ敗れて負傷している時に火事場泥棒のようにコピー済み。

 

 自業自得で握手を拒否される運命を背負った人間である。友好への道は遠い。

 

『てめェの人形も使い潰してやる。劣化するのが玉に傷だが、壊れようがまた生み出せるところが最高にクレイジーだ。世間知らずなお空の大将には、少々チートだったか?』

 

 カメレオーネが膝をつくエネルに手を伸ばし、その背に触れ――

 

 

「捕まえたぞォ……虫けらァッ! 【稲妻(サンゴ)】ォ!」

 

 バリバリッ!!

 

 その瞬間、体を雷へと変えたエネルの手が、カメレオーネの腕を掴む。

 決して逃がさないように。

 

『うあァ!?』

 

 突然の攻撃に、武装色など纏っていないカメレオーネは、高電圧の直撃を食らい意識を失う。

 更に、そのことで周囲の人形も、音を消す【(カーム)】も、神の島(アッパーヤード)を覆う避雷針の役目を果たしていた監獄も消える。

 

「へそ! ふぅ……これでうじゃうじゃ群がる人形共と、邪魔な【鳥カゴ】とやらが消えたな」

 

 スカイピアでの挨拶を口にしながら立ち上がり、姿を見せたカメレオーネの体を捨てる。

 周りを見渡し上を見上げ、指で口元の血を拭うエネル。

 

「ようやくエネルギーを補給出来る――千客万雷(コンセント・ママラガン)】!!」

 

 ピシャアッ!!!

 

 上空に溢れる雷雲より無数の雷がエネルに押し寄せる。

 

「ヤハッ! ヤハハッ!! ヤハハハハッ!!!」

 

 そのエネルギーをすべて充電、吸収。

 極限状態の戦闘を経てアドレナリンが分泌し、大きな笑い声と共に、エネルの力が漲る。

 神は健在なり。〝(ゴッド)・エネル〟、完全復活。

 

「神は滅びぬ、何度でも蘇る――ほら目覚めろ。おれは1週間不眠だ。こんなものでは済まさんぞ……!」

 

 バリッ!

 

「ぐゥ!」

 

 エネルがカメレオーネの体に電撃を浴びせ、無理矢理起床させる。

 そして――

 

 ボキッ!!

 

「がァ!!」

 

 エネルがカメレオーネの両手首を持ち、両上腕に足を乗せ、肘から逆方向にへし折った。

 まるで子供がアリやバッタの手足を戯れに引きちぎるように。

 そしてカメレオーネを島雲の上に蹴り出し、地面に転がっていた〝のの様棒〟を手に持つ。

 

「ヤハハッ、変身するには一度顔に手をかざさねばならぬのだろう? これでもう出来ないなァ。人形を呼び出すのも無駄だ。そうしようとした瞬間、私が先に攻撃する。撃つまでの溜めがあったあの時と違い、この距離なら私の方が速い。試してみるか?」

 

 痛みに耐え、逆方向に折れたままの肘をつき、立ち上がるカメレオーネ。

 

「――ッ、仮面(マスカ)

 

 だが数手先、エネルが〝のの様棒〟の刃物に変えた方とは逆の先端で、背の4つの太鼓の内、右の太鼓をドドンと叩く。

 

「【雷鳥(ヒノ)】!」

 

 バリバリッ!!

 

 すると太鼓が3000万Vもの電圧の雷鳥へと姿を変え、カメレオーネへと飛翔し、その身を焦がす。

 

「ウゥあァ!!」

 

 エネルの宣言通り、【仮面舞踏会(マスカレイド)】発動失敗。

 

「あのピカピカの男ではあるまいし、雷より速く動けるとでも? そらそら、雷獣(キテン)】!」

 

 バリバリ……!!

 

 今度は左の太鼓を叩き、その音と共に先程と同じ電圧の雷狼が宙を駆け、カメレオーネに食らいつく。

 

「グァアアァア!!」

 

 コピコピの能力を発動させるどころではない衝撃が、カメレオーネの体を走る。

 

「ヤハハッ! 踊り狂え仮面道化ッ、その舞を神に捧げよッ! 雷龍(ジャムブウル)】ッ!!」

 

 バリリッ!!!

 

 上2つの太鼓を素早く連続で打ち鳴らし、雷鳴と共に2つが合流し6000万Vの雷龍がカメレオーネを飲み込む。

 

 今までの鬱憤を晴らすような一方的な蹂躙。

 愉快そうにエネルが奏でる太鼓と雷鳴の旋律を伴い、動物を模した雷が宙を舞い、カメレオーネが悲鳴を上げ苦痛にもがく――それは1週間に渡った天変地異が、間もなく終わることを告げる最終楽章(フィナーレ)

 

「カ、ハァ……」

 

 満身創痍で仰向けに倒れる体。仮面がずれ、少し素顔が見える。

 

 カメレオーネは見聞色寄り。

 コピコピの能力の変身に加え、気配を本人に偽装することを得意としている。

 だがその見聞色でエネルに遥か上をいかれて、そもそも激痛で発動出来ないのが現状。

 

 武装色も使えるが、自然(ロギア)の雷と化した体を実体として捉えることは出来ても、能力で生み出した高エネルギーの雷撃を防げるレベルには至っていない。だからこそ3日前に一度は死を覚悟した。

 そして武装色があるからこそ、生き永らえる代わりに苦しみが続く。

 

「ヤハハハハッ! もうやめてしまうのか? まだまだ踊っても構わんのだぞ? 何の手土産もなしに神の御前に参上した罰だ――いや、黄金の鐘を見つけたのだったか? わざわざ私のために大義である! その献上品を鑑みれば、青海(せいかい)人相手に少々弱い者イジメが過ぎてしまったかな?」

 

 微塵も思っていない反省を口にするエネル。

 まるで【(カーム)】中のカメレオーネの独り言への意趣返しのようだが、ただのたまたま。少々性格に似た部分があっただけ。

 

 普段であれば近寄り顔を踏みつけるところだが、そうはしない。

 エネルはカメレオーネのコピー条件を知っている。

 

「なゼ、動けル……?」

 

 いきなり雷撃を食らった衝撃でトんだカメレオーネの思考だが、遅ればせながら疑問が浮かぶ。

 ペローナのゴーストにより、戦える心理状態ではないはず。

 

「我は雷。超人(パラミシア)のあのようなノロい攻撃、たとえ心網(マントラ)を使わずとも当たるものか。ただのフリ。余興として人形遊びに興じながら、貴様との化かし合いに乗ってやったまで」

 

 息も絶え絶えなカメレオーネの疑問にエネルが神託を与える。

 

「な、なんデてめェガッ、【ネガティブホロウ】ノ効果ヲ、知ッテやがル!?」

 

 エネルは今まで一度もゴーストを食らわなかった。

 なのに初めて当たった攻撃の効果を事前に知り、当たったフリが何故出来る?

 

「教えてくれたではないか。3日前、ゴーストの小娘がガスの男に使って。黄金で我が攻撃を防ぎ、勝ったと驕ったな? 人の身の分際で烏滸(おこ)がましいぞ。あれ以降、鏡に消えるまでの貴様のやり取りは私に筒抜けだ」

 

 カメレオーネは知らぬことだが、エネルは心網(マントラ)と雷の体でスカイピア全土の会話を網羅出来る。上手く隠れていたが、神の心網(マントラ)の手の平の上。

 あの時のカメレオーネの発言はすべて、居場所がバレてしまっては意味がないと、【サイレント】に入らずのこと。エネルの規格外さを過小評価した。把握されたのは気配だけではない。

 勝ったと思えば、誰でも油断が生じるもの。

 自分の現在地が知られ、しかし起死回生の攻撃を防ぎ、勝利を確信してしまった。それが足元からいとも容易く墜落する空中楼閣とも知らずに。

 

「人形越しに言ったはずだぞ。神の怒りを知れと。神の宣告は絶対! たとえ仮面で覆い隠そうと、神はすべてを見通す。聞かれているとも知らずにペラペラとうるさい男だ。浅はかなり。ヤハッ、おかげで待ちわびていた愚かな虫けらと戯れられた」

 

 勝ったと思わせて逆転――奇しくも、数日前に青海(せいかい)でシルバーズ・ロゼが霜月くいなと戦った時と共通する。

 見聞色に秀でた者は、ある程度戦法が似るのだろうか?

 

 くいなは強くなることに真面目で素直な性格。ロゼは搦め手も使うが正面からの激突も好み、あの2人は仲良く切り(ジャレ)合う仲に収まった。

 だが(エネル)道化(カメレオーネ)とそんな決着など望んではいない。

 

「(手の平で踊らされていたのは、俺様の方……だとッ!?)」

 

 エネルは聞こえた言葉の『コピー』と『歯向かえない存在』から、人形の本体と断定。

 攻撃しながら会話を聞き、【サイレント】という音が聞こえなくなる技の存在を把握。更にカメレオーネの心を読み、コピコピの能力の概要と弱点、そして愚かにも自分の姿と能力を模倣し、化けようとしていることを知る。実行する前から作戦がバレていた。

 ボルサリーノの攻撃を先読みし躱す戦闘を行いながらの、3つを同時に聞き分けるエネルの心網(マントラ)あってこその神業。

 

「どれだけ能力者の人形を召喚しようが、貴様1人を倒せばそれで事足りる。まあ同じ能力は複数使えず、一度に出現させていられる数にも上限があるようだが? 確かにコピコピの能力は無敵などではなかったな。くしゃみで解けることもそうだが、それより何より……人形をひけらかしいい気になって、修行不足で情けない姿を晒している貴様自身が一番の弱点だ。マ ヌ ケ」

 

 カメレオーネを見下し勝ち誇るエネル。

 

 コピーした悪魔の実の能力の発動にカメレオーネの体力を消費せず、眠っている間も活動する人形。一見無限に思える活動時間。

 だが、くしゃみという明確な弱点、解除方法がある以上、いつまでもはもたない。

 対して自分のゴロゴロの能力は無限に等しいエネルギーを誇る。持久戦で有利なのはこちら。

 

 侵入不能の鏡の中の世界。

 たとえそこに潜もうが、この強欲なる盗人は神をコピーするために、最後には必ず自分の前に現れる。ならばそこで制裁を加える。わざわざ出向いてやる必要なし。

 

 お誂え向きに戦意を喪失させる能力者を送ろうとしていた。これを利用しない手はない。

 何もかも自分の思い通りに進んでいると錯覚している道化は、神を無力化したと思い上がり、無防備にその姿を現すだろう。

 

 そして原因不明の攻撃を食らい、自分に触れる者が。

 このタイミングで接触してくるのは本体。

 予見的中。神に敗北はない。

 

「(また、負けたのか……? 俺様が)」

 

 カメレオーネの脳裏に今までの敗北が浮かぶ。

 

 自分の船長に命じられ、能力を隠し白ひげ海賊団の船員として潜入中。

 20年前のロジャー海賊団との交戦時、同い年の〝鬼の跡目〟ダグラス・バレットに、互いに能力こそ使っていないが、その強力な武装色の覇気に叩き潰されたこと。

 

 そしてその後コピコピの能力が覚醒。

 14年前〝白ひげ〟エドワード・ニューゲートの首を取ろうと、生み出した人形と共に正面から変身して騙し討ちするも、息子を殺されたことで怒り狂う〝白ひげ〟から逃げ出したこと。

 

 2つが想起される。

 その敗北を受けて、更に【仮面舞踏会(マスカレイド)】の存在もあり、今の戦闘スタイルに。自分自身での戦いから離れた。

 

「ほう、貴様にとって3度目の敗北か。負けから学ぶものは多いと聞くぞ? おかげであの手段の数には存外手こずらせられた。もっともォ? 私は生まれながらの強者故負けたことなどなく、戦いの中で成長し、これからも勝ち続ける。未来永劫な……」

 

 エネルが敗者の心を読み、のたまう。

 

 今までのカメレオーネの敗北は正面から戦い、圧倒的な力で捻じ伏せられてのもの。

 だが今回は人形を操り自分は安全圏で黒幕を気取って、エネルの実力を測り損ね、挙句まんまと出し抜かれた。本来の目的から外れた能力のコピーに執着し、欲をかいて墓穴を掘った。

 海賊の世界ではやられる方がマヌケ。

 

 そのことがカメレオーネの自尊心を傷付け、エネルがその仮面の下の表情を見て満足そうに笑う。

 

「そう落ち込むな、むしろ喜べ。貴様はこの私から1週間もかくれんぼを続け、あまつさえ損傷を与え、初めて膝をつかせた男だ。色んな能力と戦えたし、心網(マントラ)以外の武装色に覇王色の覇気とやらも知り、良い鍛錬になった――ヤハハッ! 遥々青海(せいかい)より空まで来て踏み台ご苦労……だが、もう用済みだ。さらば還れ」

 

 喜色満面から一転、エネルが冷酷に宣告する。

 

 今までの戦闘は、彼にとってカメレオーネをおびき出すまでの余興。

 おおよそ神の思い描いた通りに進行した戯曲。

 初めて現れた自分を脅かす存在を利用した、自身の力の確認。

 すべては神として君臨するため自分の力をより盤石にするための儀式。

 そして、神に歯向かった愚かな生贄の末路など決まっている。

 

「さあ、神判の時だ! 生かす価値ありだと? 生命の生き死にを決めるのは神だ! 私気取りか、この身の程知らずがッ! 天地開闢より終焉に至るまで、ゴロゴロの能力を十全以上に使いこなせるのは、天上天下に私だけ。どれほど神を仰ぎ見ようが、貴様には扱いきれんッ! 私がゴロゴロのエネルギーを使うから無敵なのだ……自明の理を解さぬ痴れ者め」

 

 ゴロゴロゴロ!!!

 

 エネルがカメレオーネを指差しながら3日前の罪状を吐き捨て、上空の雷雲が蠢き集まり始める。

 一度大量の雷を吐き出した雲が、再びエネルギーを充填完了。

 

「(コピコピの能力は、俺様でなくてもチート……その差か)」

 

「そこは島雲で覆われた空洞、底がないようだ……貴様、突如足場を失う人間がどんな気分か知っているか? 今際の際に味わえ――それが、神のコピーを作ろうとした貴様へ下す、私の判決である! 神の怒り(エル・クラティア)】ッ!!」

 

 バリバリバリッ!!!

 

 3日ぶり、怒りのボルテージがMAXに達した巨大な雷神龍が、再び天空の雲よりその神々しき姿を現し、武装色を纏ったカメレオーネの体を包み込む。

 下の雲々をビルカのように消し去りながら突き抜け、青海(せいかい)へと墜落。

 

 巨大豆蔓(ジャイアントジャック)の根元に、巨大な穴が空き、神の島(アッパーヤード)が音を立てて揺れ、しばらく後に収まった。

 そしてその穴から黄金都市シャンドラが輝きと共に姿を見せる。

 

「むっ? 下に都市、それも黄金……ヤハハッ! 置き土産を残して行きおった! 絶景かな! それにしても、あの黒い変色が硬化というやつか? 見た目通りカメレオンの類か。少々弾かれておった。奥の手などなかったはずだが、悪運が強ければ生き残るかもな――すでに虫の息、焼け石に水だが。素直におれの怒りを受け入れ、楽に逝けばいいものを……」

 

 雷神龍の直撃寸前、カメレオーネは身を守るため、土壇場でまだ弱いながらも武装色の全身硬化を会得した。

 今回、エネルが勝利を掴んだが、今まで戦ってきた敵は、潜ってきた修羅場はカメレオーネの方が上。

 自分以上の強敵との敗北はすでに経験している。敗北からの立ち直りも早い。そのことがわずかに生存の芽を残してしまった。

 

「海の支配者――カイゾクだったか? 下界でどれだけ恐れられようが、もう神に挑むだけの気概はあるまい。神の名を持つ古代兵器とやらも、神そのものには不要。おれがいれば事足りる。前座は終わりだ。我がいと高き天空を()べる唯一神なり! ヤハハハハッ!!」

 

 神は気まぐれ。もはや下に落ちたカメレオーネに興味をなくし、高笑い。

 

 

 こうして、死者こそいないが故に、ここら一帯すべての住民の記憶に残る天変地異の悪夢の一週間が終わりを告げた。

 勝者となった〝(ゴッド)・エネル〟が神官達より更なる信仰を集め、彼が率いる神の軍団によりスカイピアは陥落。神の島(アッパーヤード)生誕以来2度目の外敵の神による侵略戦争は、1日とかからず終結。

 シャンディアもカメレオーネにより少なくない被害を受けたことと、あんな異常を引き起こすゴロゴロの能力を警戒し、今すぐには敵わぬと雌伏。

 

 表面上は争いのない、絶対の力を持つエネルの恐怖で支配するディストピアが開始。

 

 シャンディアが求める黄金の鐘とそれを収める大鐘楼は、エネルの手中に入った。

 鐘は限りない大地(フェアリーヴァ―ス)へと持って行き、空島を消し去った後に鳴らしてやるため。

 歴史の本文(ポーネグリフ)が刻まれた鐘楼は、古代兵器などいらないが、人の身には過ぎたるもの。求める者が現れれば、その愚かしさを思い知らせるため。

 どちらも保有。

 

 後のことは神官達に任せ、エネルは神の社にて至福の爆睡。

 

 

 400年前に鳴り響き、再び鳴る時に戦いの終焉を知らせるという言い伝えの鐘の音。

 シャンディアが先祖より受け継いできた黄金の鐘、シャンドラの灯。その鐘の本来の意味は、『おれ達はここにいる』。

 未だシャンドラの灯をともす者は現れず――。




 シキ49億5440万ベリー、バレット9億8010万ベリー、レッド5億5000万ベリー
 映画やゲームで判明していないので、名前や異名をもじった。
 シキは元四皇クラスなのでこれくらいに。40億はあると思う。
 レッドは昔1人でロジャーや〝白ひげ〟と渡り合っていたとはいえ捕まり、1人じゃないけど似た設定のワールドが5億なので。チンジャオも5億代だし、ロジャー達や四皇に一歩及ばなかった、海軍や政府に負けた勢力の船長はこのくらいなのかも。
 そしてワンマンアーミーのバレット。ルフィが15億になった後の時系列の敵、バギーと違って昔から有名な元ロジャー海賊団としては、捕まったことを入れても低い気がしますが、9番目の弾丸(バレット)であり、数字を並び替えたら10089(バンパク)で万博になり、遊び心的に満足度が高いのでこの額に。

不死鳥(ゴッドフェニックス)】【球体形(スフィア・モード)
 黄金を電熱で溶かして不死鳥の形にして飛ばしたり、ルフィにもやった金玉で封じる技。
 元ネタは遊戯王の顔芸の代名詞、マリクのラーの翼神竜。【神の怒り(エル・クラティア)】もオシリスの天空竜に見立てられる。防がれたのはドジリスの呪い。

死人に口なし(アウターコート)
 映画を見た影響でバレットに負けたことになったカメレオーネの、【透明化(スケーティング)】+【(カーム)】による見えず聞こえず見聞色でも察知出来ない攻撃。聞こえなくても技名は口にする。
 ハンター×ハンターの神の不在証明(パーフェクトプラン)には及ばないステルス性能。息は止めなくていいがくしゃみで解ける。スケスケの能力に対見聞色効果は……原作で戦闘描写があるかもしれないし保留。
 ロシナンテの【(カーム)】は、能力を使いタッチした対象の影響で出る音は消える技。カメレオーネの出した人形も無音状態にならないのか? ――という疑問が出ると思いますが、それは順番の問題で、今回のように人形を出してから本体に【(カーム)】を使用する場合はならない、ということに。

千客万雷(コンセント・ママラガン)
 自分に【万雷(ママラガン)】を撃って充電する技。オベリスクの巨神兵のソウルエナジーMAXと迷ったが、思い付いたエネル風の技名を優先した。べホマをする魔王みたい。
 原作で電気マッサージを行ってザオリクもしてたなぁ。あれはゴロゴロの能力がエネルを生かしたんだろうか? それとも【生命帰還(せいめいきかん)】の応用? こういうのをあれこれ考えるのが楽しい。
 ゴロゴロとピカピカ、能力者の力量に左右されるだろうけど、スピードはピカピカが上、エネルギーはゴロゴロが上ということにした。原作で見たい対決。
 エネルの残りの技ストックは次の機会か。充分過ぎる強化はしたし、まだ早い。ゴロゴロは無敵と謳われる能力の1つと原作で言われているので、キッカケさえあれば更に化けるはず。

 エネルVSカメレオーネ決着
 無敵VSチート。侵略者VS略奪者。慢心のぶつけ合い。
 慢心創痍(カメレオーネ)もシャンディアや四神官を倒したり、当初の目的である(ダイアル)歴史の本文(ポーネグリフ)の写しその他を手に入れたものの、勝者は戦闘力大幅アップに加え黄金の鐘と大鐘楼を手に入れた慢神(エネル)。この作品の一番の弱点は作者の力量だから、ガバはいくらでもあると思う。能力者バトル難しい。
 エネルって原作で宇宙の月にいるけど、シーザーの【無空世界(カラクニ)】効くのかな? 雷速で移動すれば意味なさそうだし、やらなかった。ペローナとジンベエはエネル顔を披露した友情(?)出演。

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