自分は一体、何をしているのだろう?
棚の商品を卸しながらホフマンはふとそんなことを考えた。
数年前――退屈な田舎町の故郷、レイクナバを飛び出した。何かあてがあったわけではない。こんな寂びれた田舎町でうつうつと一生を過ごすのが嫌になったのだ。畑を必死で耕しながら、税金で持っていかれ、戦争で荒らされ、天候に見放されて苦しみ多く収穫少ない人生が見えたからだった。
自分はもっと大きなことができる――いや、必ずでかいことをしてやろう、そうするまで絶対に故郷には帰らない。
最初は勇者に馬車を貸した。本当は一人で世界各地を旅行する予定だったが、折しもデスピサロのせいで魔物がいたるところに出没するようになっていた。だから、護衛の意味も兼ねて勇者たちにはただで馬車を貸した。
おかげで、かなり安全に旅することができた。
今でもホフマンが生涯の師と仰ぐミントスのヒルタン爺とは、このとき出会った。
最初は馬車を勇者にあげてしまうのはとても惜しかったが、もうすでに自分には必要のないものだったので、思い切ってあげた。後で爺から聞いた話だが、もしそこで勇者に馬車をあげなければ、弟子にせずに追い出すつもりだったと言う。
そういう訳で、そこでの修行の日々も、勇者に馬車をあげたのにも、後悔は全くなかった。むしろ、今でもそれは良かったと思う。こうやって思い返すに、そこでヒルタン爺と 暮らした日々が最も充実していたからだ。
ミントスはレイクナバ以上の田舎だったが、そこで退屈することはなかった。商売上、都会に旅することもあったが、気が付けば、ホフマンにはミントスはすでに第二の故郷となっていた。
ヒルタンには、商売以外のことも教えてもらった。商売と直接関係なくても、ヒルタン爺が望むならやった。送迎用の馬車馬の世話や、農地や庭の手入れもした。
だが、何事にも潮時というものがある。
ホフマンはヒルタン爺からよく聞かされていた。弟子の義務は師匠を超えることだと。
今まで学んだことを生かして、ホフマンは自分の町をつくろうと決心した。
そして、ミントスに別れを告げ、今度は一人で世界を巡る旅にでた。
しばらくあてどない旅を続けるホフマンだったが、ついに新天地とも呼べる場所を見つけた。
砂漠の真ん中の小さなオアシス――彼はそれを敬愛する師匠の名前をとってヒルタンガルドと名付け、世界各地に散る移民たちの町にしようと思った。
幸い、勇者の宣伝とデスピサロによる世界的情勢不安で移民たちはすぐに集まった。
どこにでも、食いつめものやその土地で生きていけなくなった農民や町人がいるものだ。ホフマンにはそういった人々の気持ちがよく分かったし、移民たちも熱く理想を語るホフマンに魅かれていった。
早くも町としての形はある程度整ったのだが、それでも移民たちだけでできることには限度がある。
そこで、ヒルタンガルドに出資する企業には税金を安くすると決めたところ、早速ある一つの会社が名乗りを上げた。
ネネ率いるトルネコ商会である。
別にネネのことを最初から信用していなかった訳ではない。むしろ逆だった。
出店契約をするときに訪れた印象では、人当たりもよく才気はつらつたる経営者といった感じで、町の人達も、あの人ならいい仲間になれそうだと期待していた。契約の際に連れて行った町の主だった者たちの印象も悪くなかった。
それに、ネネはあのトルネコの奥さんなのだし、彼女ならこの町を発展させる、大きな原動力になると思っていた。
ホフマン自身が、町を出ていくようになるまでは。
トルネコ商会のシンボルマークである、笑うトルネコの絵が町を見下ろしていた。
トルネコ商会の店が、町の中央の広場に出来てだいぶ経つ。もうすでに、トルネコ商会は完全に町の一部となっていた。その波及効果で様々な産業も活気づいた。
商会の壁に描かれたトルネコの笑顔は、町を優しく見守っているかのように、この頃はまだ思えた。
ネネの出資のおかげで町の発展にも見通しが立ってきた頃、たまたま新しい農地を開墾していた農民から、地下に古代王朝の遺跡が埋もれていると報告があった。
ホフマンがその報告を聞いて駆け付けたときには、すでに人だかりが出来ていた。
「本当に見つかったのか?」
にわかには信じられない話だ。
「えぇ、本当よ、ホフマン」
背後から、ネネが答えた。
「すごい……一体、どれくらいの年代なんですか?」
「それは分からないわ。でも、もしかしたら考古学を覆すほどのものかも知れない。それ程古いってことね」
「信じられない……」
ホフマンにはこの突然のあまりに幸運な出来事が夢か蜃気楼のように思えた。本当に遺跡が見つかったとなれば、観光地として莫大な収入を見込める。ホフマンの頭の中では、早くも『蜃気楼の幻都~オアシス周遊7泊8日の旅プラン』と記念ポストカードの構想がムクムクと湧き上がってきた。
「でも一つだけ問題があるの」
「問題?」
言われてようやく気がついた。町は発展したばかりで、この大きな遺跡の発掘・維持管理に回す人手がない。
だが、この問題をクリアしない限りホフマンが考えたことは全て蜃気楼の下へと逆戻りだ。それに、聞くところによると貴重な遺跡だろうから、風化する前に早く保護する必要がある。
「そこで、私から一つお願いがあるの。私たちに発掘させてもらえないかしら?」
渡りに船とはよく言ったものだ。
「え、いいんですか? こっちも人手が足りてないし……やってもらえるなら助かります」
「いいのよ。発掘にかかる費用もこっちが出すわ。人手も集める」
「し、しかし……そんな費用、今は払えませんよ?」
「費用は無利子で貸すということにしとくわ。後で返してくれたらいい」
「それはあまりにも……」
「ホフマン」
ネネは手を取って言った。
「私達は同じ町の仲間じゃない。一緒に町を発展させると誓った。この遺跡は貴重なものよ。放っておいたら誰の手に渡るか知れたもんじゃないわ」
次の一言で、ホフマンはその渡し船に乗った。
「あなたの夢は私の夢でもあるのよ。あなたは決して一人じゃないわ」
だが、ホフマンにとって一つだけ計算違いだったのは、この船の行先が地獄だということだった。
気がついたときにはもう手遅れになっていた。
あっと言う間に、ネネは古代遺跡を掘り出し、その中にカジノを作った。
砂漠の真ん中にある古代遺跡を利用したカジノ――宣伝効果は抜群だった。町の人だけでなく、遠方から観光客がやってくるまでになった。
そもそも、カジノは町を建設し始めた当初から禁止していた。治安が悪くなるし、町の住民が仕事より賭博に流れるようになるからだ。
だが、町の人々の中に、そんなことに頓着するような人間は少ない。なにせ、中には囚人もいるのだから、すぐに一部の人間を除いてカジノにのめり込んでいった。それに、ヒルタンガルドにはもともと娯楽が少なかったのだ。
ホフマンは抗議したが、それはすべて無視され、逆にネネは最後の一手、『愛と信用のゴールド銀行』をカジノの2階に作ってしまった。
ギャンブルと金貸しという最も相性のいい無限コンボに捕まった者は、一生をかけても背負いきれないほどの借金返済のため、ネネの奴隷として搾取され続けることとなる。
ホフマンは再三再四抗議し、契約違反を訴え続けたが、それに対しネネはのらりくらりと返答を渋るばかり――訴状を見ていないのでなんとも、記憶にございません、etc……
ホフマンはついに最後の手段である住民投票で雌雄を決しようとしたが、それこそまさにネネの待ち望んでいたことだった。
結局、トルネコ商会の有り余る金の力とカジノの魅力で、ネネの行為は容認されてしまう。
そしてこのことで町民ともそりが合わなくなったホフマンは、ほどなくして自らが作り上げた町を去ることとなった。
町を出るときに振り返って見た、商会の壁に描かれたトルネコの笑顔は、ホフマンを嘲笑っているかのように見えた。
もはや行くあてもないので、仕方なくレイクナバの実家に帰ったホフマンだったが、そこでもまたネネのトルネコ商会に苦しめられることになる。実家は地元商店街で小さな雑貨屋を営んでいたのだが、それもトルネコ商会の不当廉売であえなく廃業へと追い込まれた。
これで、ホフマン一家に何も売る物はなくなった。ただ一つ、ホフマン自身の労働力を除いては。
屈辱的敗北感をなんとか抑えながら、ホフマンはトルネコ商会でアルバイトをすることにした。日々のパンを得るための嘆かわしい金銭のために、人生を売り、心を犠牲にした。
このとき初めて、ホフマンは時間でも癒せない傷があることを知った。時間は、傷を癒す代わりにホフマンの心の痛みの感覚の方を奪い去っていった。
今はもう、トルネコ商会のために働くゼンマイ仕掛けの奴隷でしかない。
急に色々なことを思い出して、ホフマンの過労で充血した眼が一瞬潤んだかにみえた。だが、涙は出ないだろう。そんな人間らしさは無味乾燥な長時間労働の日々の下に埋もれてしまったのだから。
「レジお願いします」
遠くから聞こえてくる他のバイトに呼び出されて、ホフマンは膝をガクガクさせながら、延々と商品棚が並ぶフロアを、レジへと駆けつけた。
早くも息が上がり始めたホフマンが目にしたのは、菓子パンを両腕いっぱいに抱えたトルネコの姿だった。
固体のような闇の中、松明の明かりがポツポツと町を照らし出している。町の中央の広場は、祭り特有の賑わいで活気づいていた。
それにしても、人が多い――とライアンは思った。地面から湧き出てきたと思えるほどだ。「しかし、ブライ殿、クリフトとアリーナを放ってきてよかったのだろうか……」
傍らを歩くブライに話しかける。ライアンは以前トルネコに歩くのが早いと言われたが、この人ごみの中なら、歩みも自然に遅くなるだろう。
「もう二人ともいい年じゃ。今さらワシが口うるさく言うほどのこともあるまい。なぁに、ああ見えてまだまともなところもある。それに、姫を外に出す訳にはいかんじゃろう?」
「ブライ殿がそこまで言うなら正直に告白しよう。最初、部屋に姫が入ってきた時は、某も逃げようと思ったぞ」
「いきなりアレを見れば、そりゃ誰でも逃げたくなるじゃろうて。クリフトもあの状態では外に出す訳にはいかん」
「むしろ、二人ともああして家の中にいてくれた方が好都合だと?」
「まぁ、そういうことじゃな」
話している内に、祭りのメインイベント『収穫の踊り』が行われる舞台へと到着した。
「だから、今宵は二人のことは気にせず、この踊りを楽しむことにしようかの」
重圧からひと時の間だけ解放され、久々にライアンが見た屈託のない笑顔―その視線はすでに始まった踊りへと注がれており、松明に照らしだされたその横顔は、教会に飾ってある油絵より荘厳に映った。
「やはり、教会も不景気なのか?」
この祭りのときにあまりにそぐわない、たわいない世間話に、言いだしたライアンは自分でも笑いそうになった。しかし、上流階級の礼儀が何だというのだ? ライアンは武骨な戦士として今日まで生きてきたのだ。
「不景気なんてもんじゃないわい。終わりじゃ。教会はもう終わりじゃよ。アンタの軍隊生活同様にな」
こういうときの返し方は十分心得ているらしい。もちろん、ブライとライアンの仲だからこそ、こうした皮肉めいたジョークも言えるのだが。
「もう某にはトルネコ殿の探索に賭けるしかない。ダーマで他の職も探したが、年齢制限のせいで応募することすらできなかった」
「ワシから一つだけ言えることは、祭りの時はもっと楽しい話をすることじゃ。まぁ、昔から無口な男じゃったが、陰気ではなかったはずじゃ。楽しめる状況では楽しまんと損だぞ。ほれ、あの踊っている町娘を見てみい。いいケツしとるじゃろうが!」
趣味が違うことは、このときは言わないでおいた。
舞台の上の町人は楽しそうに踊っている。それは、ライアンにはとても刹那的にみえた。世界滅亡寸前の最後の饗宴……それ程おおげさではないにしても、この夜が明けてしまえば、町はまた惨めな現実世界に引き戻されてしまうのだろう。
今、この夜だけ、きっとこの町は異世界と化したのだ。
町の人は、時間が経つのも忘れてそこに浸ればいい。自分にとって、そこにいくのはまだ早いだけの話だ。明日、自分は虐殺の道を、血みどろの舞台へ向けて歩きだす。そしてそこで栄光を得る。
それまで楽しむのはおあずけだ。
そう考えている内に、最後のステップが、伴奏の最後の音が、闇の中へ消え去っていった。 もう終わりかと誰もが思ったところに、舞台のそでから二人の踊り子が出てきた。
マーニャとミネアである。ミネアの本職は踊り子ではないが、一応一通りの踊りはできる。マーニャと一緒に踊りを披露するぐらいには問題ない。
広場が静まり返ったところで、弦楽器と打楽器がアップテンポの曲を奏で始めた。二人はそれに合わせて激しいステップを踏む。
ライアンとブライも、姉妹の本気の本気など見たことなかった。ましてやレイクバナの住民にとって、姉妹は以前の有名人だし、心の醜さを知らない分、その登場を素直に喜んだ。
人々の期待通り、姉妹の踊りは観衆を圧倒した。みんなその場でアストロンにでもかかったように目をくぎ付けにしている。
それには、ひとえに姉妹の魅力的な体型も関係していることだろうが、それでもこの町の歴史で語り継がれる程の出来栄えであることは間違いない。人々に勇気と希望を与えたことなど、デスピサロ討伐を倒したとき以来だろう。
気が付けば、ブライもライアンも無言で姉妹の踊りに見入っていた。
ライアンはこの町の祭りなど初めて見るが、それでも今までの祭りの中で一番の出来だろうと思った。
町の人々にとっては願ってもないグランドフィナーレ、ライアンにしても、何か心の中の重りが取れたように感じた。それに―体も軽くなったように感じる。
隣に座っているブライも小踊りしそうな位の歓喜の表情だ。
ついに曲が終わった。
だが、皆はそれを望んでいなかった。せめてもう一曲欲しい。この昂ぶった心を発散させるにふさわしい舞踏が。皆がそう望んだとき、舞台のそでからまたしても意外な人物が現れた。
買い物帰りのトルネコだ。
観衆はあまりに意外な組み合わせにまたもや静まり返った。
マーニャとミネアもあまりの事態に思わず苦笑を浮かべている。かつてモンバーバラで踊り子をしていたときも、これ程似合わない組み合わせはなかった。しかも、トルネコはただの商人なのだ。まともな踊りができるのだろうか?――観衆の心配もよそに、トルネコが手を挙げると音楽が鳴り始めた。いぶかしみながらも、前奏に合わせて姉妹が軽いステップを踏み出す。と同時に、トルネコは服を脱ぎ棄てステテコパンツ一丁の姿になると、何とも奇妙なステテコダンスを踊り始めた。
しかも、これが一見滅茶苦茶に手足を動かしているようでいて、音楽やリズムと合っているのだ。
姉妹の華麗なダンスと、中年メタボ商人による奇妙なダンス。
このダンスは観衆にある一つの感覚をもたらした。
トルネコに合わせて踊っていると、自分たちもマーニャやミネアのような、華麗なダンスをしているような気になってくる。
やがて、すぐにその場の全員が――つられて踊ってしまった!
「いい踊りだったぜ、おっさん。俺もつられて踊りそうになった」
仕事から解放されたホフマンがタバコを吸いながら言った。
「じゃあ、なんで踊らなかったんだよ。舞台の上からアンタの姿もバッチリ見えてたぜ。今日ぐらい羽目を外しても良かったんじゃねえのか? 来年は祭りがあるかどうかも分からんぜ」
「もう、他人に踊らされるのはたくさんだったんだよ」
ホフマンは心底疲れた様子だった。まだタバコを持つ手が小刻みに震えている。もしかしたら、一生治らないかもしれない。それに比べれば、トルネコの方が、外見上はまだ健康に見えるくらいだ。特に今日は、踊りで心の中のヘドロが一時的にしろ失くなって、かつての覇気も何割かは取り戻していた。
「まあいい。俺の渾身の踊りにつられなかったの残念だが、今日はその話をしに来た訳じゃねえからな。例のブツはもう届いてるんだろうな?」
「あぁ、バッチリだ」
そう言うと中央のテーブルに強化ハンドガン、ショットガン、アサルトライフル、グレネードランチャー、ロケットランチャーが無造作に放り出された。
「まず、銃器・弾薬。けっこう量があるから間違いないか確認してくれ」
そう言われたトルネコは、久し振りに逢瀬を果たした愛人に対するような手つきで、その中の一つの銃を手に取り、脂ぎった手で愛撫し始めた。
あの銃だけにはなりたくないものだ――そう思ったとき、ホフマンは気付いた。きっとトルネコにはこの銃以外に信用できるものなど無いのだろう、と。
哀れに思ったが、その感情は同時に自分にも向けられていた。
ホフマンが信じているのは、今となっては金だけだった。でなければ、こんな運び屋の仕事などしない。たとえ運び屋として破格の信用を得るようになり、直接中身に手を触れられるような身分になったとしても――全ては金のためだ。最初に神は言った。お金あれ、と。それで何が悪い?
「あぁ、ちゃんと揃ってるぜ」
「じゃあ、後はこれだけだ」
早く仕事を終わらせよう。地獄の労働の後に見るべきものは、少なくともこの商人モドキの豚ではないはずだ。
トルネコの目の前に、今度は白い粉末が詰まった袋が放り出された。
「こんな大量の砂糖、どんな料理に使う気だよ」
もちろん、ホフマンは袋の中身が砂糖ではなくマリファナであることなど百も承知だ。
「へへ……今回は甘党の神官を連れていくんでね。必需品なんだよ」
「そいつに今度会ったら、酒と煙草と砂糖は程々に、て言っといてくれ」
「そんな物わかりのいい奴ならこんな大量に用意しなくて良かったんだがな」
言っても分からないのはお前の方だよ――ホフマンは暗にトルネコの糖尿病もたしなめようとして言ったのだが、本人は全く気が付く様子がない。それとももう気付いているのか? ただ単に表情に出していないだけなのか。
とにかく、これでシレンから頼まれた荷物は全てトルネコの手に渡り、ホフマンの仕事は無事に終了した。
この後、ホフマンはしばし短い睡眠を挟んでから、また今日とほぼ同じ日常を迎えることになるだろう。
「期待してな。次にダンジョンから戻ってきたら大金持ちになっているだろうからな。そしたら、アンタにも特別ボーナスだ」
「そいつは楽しみだ。期待して待ってるぜ」
ホフマンが何かに期待することなどもうない。ただ、そういう言葉を知っているだけの話だ。
荷物ではちきれそうなカバンを背負ったトルネコを見送ると、短くなったタバコを消して新しいタバコに火をつけた。
こうやって、仕事が全部終わった後、誰に気を使うことなく吸うタバコが一番うまい。 その煙が肺を満たしていく時、心の中も満たされてゆくようだ。
――ひょっとしたらほどほどにしないといけないのは自分の方かもしれない――
トルネコが立ち去った空間を眺めながら、ホフマンはふとそう思った。
そろそろダンジョンに行けよって思う方、まだもうちょっとだけ続くんじゃ!