気持ち悪い墓場に来ていた。そこらじゅうに朽ちた墓石や、厚いコケに覆われた木像――もはや元の形もおぼろげにしかわからない――が林立している。その中の一つに止まっていたゾンビキメラが、骨をカタカタ鳴らしてからどんよりとした空へと飛び立っていった。
ゾーマの墓場の方が、まだマシだ。いや、あれは単純に墓場ではなく、復活のための祭壇という役割も兼ねていた。だから禍々しい中にも神聖な雰囲気もあった。思い出すと、未だにあの墓守時代のことが懐かしく感じる。もうとっくにゾーマとの主従の縁は切れているのにも関わらずだ。今、こんなモンスターの墓場に来ていることに、全く現実感がなかった――俺の守るべき墓はここじゃない。
先頭を歩くネックの足が止まった。
「おい、持ってきてやったぞ! お前の大好きなあばれうしどりの手羽先塩焼きだ」
ネックの呼びかけにバタバタと腐食食いの大ガラスが、骸骨を抱えて飛び去っていった。しばらく待っていたが、あたりは完全な静寂に包まれており、墓石の間を徘徊する風の音だけが虚しい返答になった。
どうやら今日はダメらしい。
ネックも諦めかけたときだった。
背後の草むらからガサガサと音がした。風が草むらを揺さぶっているのではない。やがてドラゴンらしき骸骨が草むらからひょっこり出てきた。骨格にもバラモスの面影は十分残っている。
「ああ、またアンタか」
「なんだよ、その言い草は。せっかく大好物を持ってきてやったのに。それに今日は客人も一緒なんだぞ」
「へへっ、ようこそいらっしゃいまし」
明らかに歓迎するムードはないようだ。ネックがあばれうしどりの手羽先を渡すと、礼も言わず奪い取るようにしてむしゃぶりついた。ゾンビだから食事は必要ないが、味は楽しめるのだろう。事実、食べた肉は肋骨の間からポロポロ流れ落ちていた。
「ああ、うめえよ……すごくうめえ……地上侵攻したときにさらってきた人間の子供には劣るけどな、へへっ」
「お前にそんな度胸はないだろ?」
思わず口に出してしまっていた。そうだ、いつもこいつは口だけで『言うこと』だけは達者だが、『実行すること』はアレフガルドへ置き忘れてきたようだった。
「なんだよ、おまえは」
「覚えてないのか、バラモス? お前のことを俺は覚えてやってるのに」
「ヘヘッ、俺はゾーマ様随一の部下だったからな。いわゆる有名人ってやつよ。お前みたいな下っ端と一緒にしないでくれたまえ」
バラモスはサビ放題でもはや形さえおぼろげになった銀の首飾りをいじりながら、精一杯威厳を出そうとして言った。本来宝石がハマっていたであろう場所はバラモスの眼窩同様、虚ろだった。
「魔王随一の部下? 地上攻撃前の捨て石役なのに?」
「あん? なんだよ、さっきから」
手羽先を食べる動きがようやく止まった。
「君ねえ、さっきから言っていいことと悪いことがあるよ。もうね、なんていうか、言ってることが完全に嫉妬丸出し。君みたいな若い子、まず魔王とか知らないでしょ? 魔王ってすごく偉いの。ボクはその部下なの。その時点で君みたいな勇者の肥料用モンスターとは一線を画しちゃってるの。そのうえ随一の部下で地上攻撃まで任されちゃってるんだから、君とは人格からして違うっていうか、もはや存在自体別次元だから。嫉妬して他人を無理矢理引きずり下ろそうとする時間があるなら、もっと自分で努力して上を目指したほうがいいんじゃないかなぁ」
数千年たとうが、ゾンビになってようが、根拠なく勝ち誇ったバラモス独特の表情は容易に見分けがついた。この腐りきった様子を見ていると、眠りにつくさいに墓守に指名してくれたゾーマに対する感謝の念がより一層強固なものとなった。昔の美化された思い出に浸って、たまにもらえる供え物を食うふりをしている……こうなるくらいなら、本当に死ぬ権利を行使することも視野に入れねばなるまい。と言っても、もはやその権利はどれだけ望もうと行使されることはなくなったのだが。
「何が地上攻撃軍だ。本当はただの偵察だった。本当は左遷されたんだよ。それをお前が勘違いして――いや、集まったモンスターに持ち上げられたんだろう。そいつらを抑えておくことができずに勝手に地上攻撃をやらかしたんだ。ゾーマの本当の命令を無視してな」
「おうおう、負け犬の遠吠えは気持ちいい音楽だなあ。ま、この手羽先にはかなわないけどね。それにしても、昔のことをよくそれだけ調べたね、エライよ。先生ハナマルつけちゃう!」
「それだけじゃない。地上攻撃までやらかしちまったお前は、もう後戻りできないと悟った。いや、ゾーマの支配下から出たことで気が緩んだのだろう、こともあろうに地上で”魔王”を僭称しだした。しかも偵察としての報告もしてこなくなった。そのときは、ゾーマもアレフガルド攻略で消耗した魔力を回復させている最中だったから良かったものの、地上に出たら殺すとまで言っていたぞ」
「いやあ、そんなの作り話でしょ。君みたいな下っ端がゾーマ様と直接話せるわけないし、どっかで聞いた噂っしょ」
バラモスはまだ余裕ぶっていたが、やがて手羽先を食べる手が止まった。明らかに動揺している。きっと今になって初めてゾーマが怒っていたことを聞いたのだろう。
「あー、もう、嫉妬くんの愚痴でまずくなっちゃったよ」
そう言うと、手羽先を墓石の森へ放り投げた。肉はベチャッという音を立ててどれかの墓石に着地した。そのすぐあとに、肉の着地地点にキメラや大ガラスが集まり、けたたましい叫び声を上げて争奪戦を始めた。
「誰もお前に嫉妬なんてしない。ただ、ゾーマが完全に復活したら、見せしめとして酷い方法で殺されるだろうから、むしろ哀れにしか思ってなかった。きっとお前の手足をもぎ取って手羽先にしてお前自身に食わせただろうな。お前の一番の功績は勇者に殺されたことだ。そのおかげでゾーマは”真の魔王”として人類の前に初めて姿を見せ、そのことで人類により大きな絶望感を与えることができた。全部お前が勝手に魔王を名乗ってくれたおかげだと、感謝していたよ」
「えーと、ごめん、君、もしかして親衛隊のひと? だったらさ、俺、実はバラモスじゃないんだ。ちょっと調子に乗ってただけでさ、ゾーマの部下、とか言っちゃえば有名になれると思って……」
「いや、お前はバラモスだよ。なるべく生かして連れて来いと言われてな」
「いやいや、ゾーマってもう死んでんじゃん? 何も昔の命令を律儀に守ることはないよ。皆で仲良く平和に暮らしていこう、ね?」
「実は最近復活された。それで俺もこうして裏切り者の捕縛を任された、てわけさ。どうしようか、このまま頼んでもおとなしくついてきてくれそうにはないしな……」
「いやいや、マジで違うって、俺じゃない! 人違いっていうかモンスター違いだよ! ていうかゾンビ化してるから時効! 時効だって! ネックもそう思うだろ?」
もはや言っていることがメチャクチャだった。
「ん~、まあ、魔王の命令なら仕方ないんじゃないの?」
ネックはどうでもよさそうにそう返事をした。
「えー!! そんな、助けてください、お願いします! なんでもしますから!」
バラモスの必死の懇願は叫びになっていた。その声に驚いたのか、さっきまで肉を漁っていた鳥やキメラたちが一斉に飛び立った。
「なんでも?」
「なんでも!」
「本当になんでもするんだな?」
「なんでもします! ゾーマ様のケツの穴でも舐めます!」
「だったら、ゾーマの仇を取るのを手伝ってくれないか?」
「え?」
墓場が静まりかえった。まあ、墓場とはだいたい常に静まり返っている場所だが、それが特に静まり返ったのだ。まるで墓場全体がひとつの墓石と化したように。
「ゾーマの仇? どういうこと? さっき復活したって……」
とりあえず、今までの事情をバラモスに話した。
「そうかぁ……そんなことになってたんだ」
「そこで、だ。魔王随一の部下に助力を頼みに来たわけだ」
ネックが付け加えた。
「でもその商人、かなりやばそうだよね。いくら弱っていたとしても、あのゾーマ様を一撃でやっちゃうなんてマジいかれてるよ」
「むろん、危険は承知している。だから何も無理に頼みはしない。ただ、俺もそこのバーサーカーもバラモスについてきて欲しいと思っている。仲間は少しでも多いほうがいいしな。向こうは現在8人もいるのに、こっちは二人だ」
ネックが後を引き継いだ。人材引っこ抜きは勇者に任せておくのがいい。戦士は黙って戦うのみだ。
「人数でも負けているってわけね」
「まあ、人数についてはおいおい補充していくつもりだ。このバーサーカーが他に一緒に戦ってくれそうな者の心当たりがあるそうだ」
「ふ~ん、そうか……」
「まあ、さっきは脅すようなことを言ったが、あれは冗談だ。そうだろ?」
「ああ。こっちのことを覚えていてもくれなかったんで、ちょっと脅してみたくなっただけさ」
これは、まあだいたい本心だった。そんなことより自分でも驚いたのが、このバラモスに仲間に加わって欲しいと思っている、ということだった。それもこんなゾンビ化しているような状態にも関わらず、だ。友情に時効はないが、こいつとは友情すらなかったのに。
「う~ん……」
バラモスはしばらく考えていた。その間、二人は口を差し挟むようなことはせず、黙って待っていた。やがてバラモスの方から口を開いた。
「俺さ……なんていうか、今までずっと堕落していたんだ……どうせゾンビだしって思って楽な方へ、楽な方へ、自然と流されていったのさ」
「過ぎたことだ、あまり気にしすぎるな」
「本当は怖いんだ……そんな奴らと戦っていけるのか。俺は勇気のないヘタレ野郎だからな……」
バラモスはそこで言葉を切った。しかしまだ続きがある様子なのは、表情がなくとも雰囲気で何となく読み取れたので、二人とも黙って続きを待った。
「でも、俺は最後まで臆病者で死にたくない。俺だって薄々感づいていたよ、本当はゾーマから嫌われていたんじゃないかって。でもさ、最後に一回くらいは本当に“随一の部下”になってやるんだ」
「少しだけ見直した。少しだけな」
そう言ってからバーサーカーも思わず口元が緩んだ。それから思った。俺は笑っている。それも自然な笑いだ。きっと勇者時代以来に違いない。俺は長らく人間としての心を捨て、モンスターになっていた。堕落していたのは、本当は自分の方だったのかもしれない。
「おっと、でもあまり期待はしないでくれよ。前より戦闘能力は落ちているだろうし、ブランクも長いし」
戦闘能力というより、バラモスには悪知恵の方を期待していた。自分は戦士だから戦闘しかできない。ネックは魔勇者というだけあって魔力も武力もかなり高い水準であったが、高潔すぎる精神の持ち主で、むしろ策略などにはハマりそうなタイプに見える。
そう、戦闘力だけでは商人とそのパーティーを倒すことはできない。不思議のダンジョンに必要なのは、知恵。戦略を持ち、狡智に長けた者が勝つ。
「大丈夫さ。冒険に必要なのは戦闘能力じゃない、勇気だ」
ネックがそう言い、手を差し出した。バラモスはしばらく自分がそれに値するかどうか躊躇したものの、最後には骨の露出した手でそれを握り返した。
「ようこそ、魔勇者ネックのパーティーへ」
バラモスが仲間になった!
さてさて、それではみなさん、トルネコ軍団経営戦略会議にお集まりいただき、誠にありがとうございます。当軍団の株式をなけなしの命で買い取っていただいた株主兼従業員の皆様には、誠に心からのお礼を申し上げるとともに、つきましてはこれから当軍団が目指す順当な――よろしいでしょうか、これは非常に順当な利益なのです。我々、かつて勇者とともに世界を救った英雄が受け取るにふさわしい、本当に順当な利益なのです。この順当かつまっとうな利益を得るために、これからどうすればいいのか、株主様のお知恵を拝借したい所存でございます。とはいえ、まずは私からの意見を述べたいと思いますので、そちらをご傾聴くださいますよう、お願いします。
まず第一にレベル上げ、でしょうか。先のフロアにて女王アリなど、いくらか便所虫のお掃除によってレベルは上がりました。もうこのレベルなら十分即死はありえない、というところまで上がりました。ところが、思わぬ強敵に出会い、危うく全滅の危機を招くところだったのは皆様、記憶に新しいかと存じます。そこで、私はまずこのレベルを上げることによって、その危険を少しでも減らすことが肝要であると考えました。これは従業員の労務上の安全確保にも通じますし、ひいてはアイテム集めの効率化にもつながり、油田発見までの必要経費の確保にもつながります。つまり、この冒険を総合的に楽に進めるための基本的な要素、それがレベルといえます。第一にレベル上げ。これに関しては当軍団従業員兼株主である皆様にも異存はないかと思われます。おや、ミネアさん、何か質問でも? ああ、そうですね、確かに。レベル上げの具体的な方法について、ですが、これも難しいですね。同じフロアで稼げる経験値には限りがある……考えなしに階段を降りていくのは危険……これは確かにそうです。しかし、それについてはある程度安全性も確保しつつ、効率的に経験値を稼げる方法を私が考えてあるので、また後で皆様にそれを検討していただきたいと思います。ここではいったん次の議題へ進みますね。
第二に重要なのはアイテムでしょう。これは道中の経費を稼ぐとともに、こちらの戦力を強化できるのですから、言わずもがなです。ただし、私の経験から老婆心ながらに言わせてもらうと、あまり目先のアイテムに目がくらんで肝心なことを忘れないでください。
いえ、これは自分にも言い聞かせています。そんなバカな、何兆ゴールドもの油田が待っているのに、なぜそんな目先の数千ゴールドぽっちの指輪に目がくらむのか? 皆様、そうお考えでしょうが、それは不思議のダンジョンの“不思議さ”を経験なさっていないから、でございます。不思議のダンジョンでは、その目先の“数千ゴールドぽっちのアイテム”が、億単位の価値のある品物に見えてしまうのです。“これさえあれば!”という人間の心理が働くのです。“これさえあれば、ダンジョンの奥の富と栄光にたどり着ける!”そう思わされるのです、他ならぬダンジョンの魔力によって。ギャンブルで“ここで当たりさえすれば”という心理と同じでしょう。さらに悪いことに、先のフロアでは当軍団・軍団長ライアンさんのはじゃの剣が奪われてしまいました。これによって、ライアンさんの戦闘能力が落ちてしまうことは仕方ありません。しかし、これは何らかの形で早急に補うべきでしょう。ここで必要なのもアイテムです。武器を集めて、合成する。このことで、オリジナルの最強兵器を生み出そうではありませんか。それに忘れてもいますが、我々を守る盾もそろそろ用意しておくべきでしょう。様々なリスクに備えて、準備を整えるのです。このあたりのアイテム管理は商人である私に一任していただければ、と言いたいところですが、私もひとりの弱い人間に過ぎません。先ほど述べたような“ダンジョンの不思議”に引っかかってしまうことも正直言ってあります。そこらへんは、みなさんの意見もその都度腹蔵なく話していただきたいと思っております。
とはいえ、アイテムなど、基本的には私が管理させていただきます。というのも、誰が管理するか決めておかないと、余計に何がどうなっているのかわからなくなるからです。肝心なときにアイテムがない、では困ります。ですから、誰かがそれを管理する必要がある、そしてその管理に最も適任なのは、最も不思議のダンジョンを熟知している私をおいて他にない、と僭越ながら担当させていただきますが、その点、皆さん異論はないでしょうか? 無論、必要な場合には従業員それぞれにアイテムを支給しますし、えこひいきももちろん一切致しません。ただ、ダンジョン攻略に必要かどうかだけで判断させていただきますので。もし私よりアイテム管理が上手にできるという方がおられれば、遠慮なく手を挙げてください。
………
はい、それでは、私がアイテム管理をする、ということで決定しました。まあ、途中で不満があればまたこうした株主総会で遠慮なく言ってください。
まあ、前置きが長くなりましたね。では、これから最初に述べた比較的安全と思われる経験値稼ぎのやり方を説明しますので、是非とも頭の中に忘れず入れておいてください。
まず、ここにワナの召喚スイッチがあるので、これを踏んでもらいます。そう、ひたすら踏んでもらいます。本当は階段の近くが良かったんですが――すぐに次のフロアへ行けるので。でもここも中々いい場所なのでここでやりましょう。あまり選びすぎていては何もできませんし、多少のリスクは覚悟の上です。
で、後はマーニャさんに、この召喚スイッチの上で、華麗なダンスを踊っていただきたいのです。いえいえ、そう遠慮なさらずに。いつも通りの華麗なダンスを見せて頂ければ。大丈夫です、引き寄せた瞬間にこのサブマシンガンでモンスターは蜂の巣です。なので、モンスターがマーニャさんを傷つける心配は全くありません。あったとしてもすぐベホマで治療できますし、最悪死んでも大丈夫なのは先ほど体験なさった通りです。トルネコ軍団は従業員の安全には常に最大限、気を使っています。
そうそう、ちなみに私の弾丸がマーニャさんに当たることも、心配無用です。フレンドリー・ファイアーはオフなので、銃弾は仲間に当たる寸前に消える仕様になってますから。武器屋のシレンさんには、この設定だけでけっこうな金額を払いましたが、なあに、これから手に入れるモノに比べればスライムの屁みたいな先行投資額です。そんな端した金より、冒険中の考えうるリスクを少しでも減らす、この事の方がよほど重要です。さらにこのFFオフ機能、ロケットランチャーやグレネードランチャー、及び手榴弾にも適用されているみたいなので、途中で武器を替えて試してみましょうか。あ、スイッチを押す係りも、マーニャさん以外にやりたい方がいらっしゃれば、ぜひ申し付けください。
あと、この召喚スイッチ、『ワナ強化の巻物』で強化されているので、はぐれメタルであろうがなんであろうが、どこにいようがとにかく引き寄せちゃうスグレモノのワナでございます。あ、ちなみにこのワナ強化の巻物、シレンさんが巻物開発部からこっそり拝借した貴重な品物だそうです。まあ、もう二度と使うことはないでしょうが。こちらもけっこう高かったんですが、莫大な利益のための先行投資、と考えれば躊躇してはいられないでしょう。
あと、各自のメンバーは、それぞれ万一のモンスター撃ち取りこぼし、不測の事態に備えておいてください。特にクリフトさんは貴重な回復役なので、アリーナさんの愛の力でガッチリ守ってやってください、お願いしますよ?
………
いやぁ、頼もしい返事ですね。あまりにお熱い愛の炎でクリフトさんを火傷させないように、気をつけてくださいね。
それでは、皆さん、準備はよろしいでしょうか?
これからが正念場です。皆さんの力を、パーティーの力を合わせて、この修羅場を乗り越えましょう。まずはモンスターの屍山血河を築きあげましょう。
その先に待っているのは限りない富と栄光です。そう、我々が、いや、むしろ我々こそが受け取るにふさわしい、正当な報酬が、その先にはあるのです。
それでは、各自準備はいいですか?
では、これよりトルネコ軍団、経験値稼ぎを開始します。
ネックはさっきからずっと墓場に向かって手を合わせている。その墓に眠っているのはなんだろう? きっと彼の大切な人だろう。ではそれは誰だ? 家族、友人、恋人?
実際にはどれだろうと関係ない、たったひとりの人間が墓には埋葬されている。これはバーサーカーにはよく分かった。
己自身の、過去の亡霊……
次回以降はネックの過去編となっております。