デート・ア・ライブ 千代クレイン   作:事の葉

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違和感

-side 千代

 

 呼び止められてそっちを向く。青い髪に青い眼。中世的な顔立ちは、少々の疑問が張り付いてるようだった。

 

「なんだ…?」

 

 何時しかぶりに会話を交わしたような気がする。が、回答を貰うよりも前に空から幾百というミサイルが私めがけて飛んできた。その向こうには宙に佇む人影が見える。

 

「<不幸紙片(ベアトリーチェ)>」

 

 私の天使を形作るものは幾万、幾億にも及ぶ無数の紙。包み、写し、時には切ったりもする。最弱の天使。だが、人間の文明に劣るなどということはない。

 さぁ、と羽の一部を宙に漂わせた、その時。

 

「<鏖殺公(サンダルフォン)>!!」

「<絶滅天使(メタトロン)>」

 

 天使だろうか、大剣を構えた少女と翼を生やした少女が私の前後に現れる。そういえば、先ほど男の隣にいたような気もする。

 二人の精霊が一つも漏らさずミサイルを打ち落としてしまった。

 

「・・・邪魔したな」

 

 漂っていた紙の行き先を二人へ向ける。

 

「<不幸紙片(ベアトリーチェ)>―――【飛行機(ネシュル)

 

 紙たちは自ら形を紙飛行機へと変え、弾丸の速さで二人へ発射される。

 

「なに!?」

 

 大剣が紙飛行機を両断、翼が確固レーザーで打ち落としている。だが、それを望んでいた。

 紙は一度切ると二つになる。もう一度切ると四つに・・・。レーザーで打ち落とされても無駄。

 紙は攻撃された場合、それが焼けるまで、粉微塵になるまで私の命令通りの形を維持し続ける。

 

「せっかく暇つぶしできると思ったのに」

 

 私の声は誰にも届かない。届けさせない。

 紙飛行機の一部を二人に触れる瞬間に解除、それを四肢へ一枚ずつ貼り付けていく。

 

「なに、これは」

 

 先に気付いたのは羽持ちの方だった。ギシギシとぎこちなく四肢を動かしている。

 

「体が、動かない、ぞ?」

 

 ようやっと剣持ちのほうも気付いた。

 

 私の紙は優秀だ。紙を貼り付ければ、その物体の動きを止めることができる。操ることはできないけれど、止めるだけでも十分優秀だろう。

 

 私は非道な人間じゃない。動かない相手を一方的に嬲る趣味はない。

 

 はぁ、興醒めだ。唯一の刺激を邪魔されては・・・

 

 しかし、面白いものは見つかった。

 それを一瞥し、私は紙へ身を隠した。

 

 

‐side 士道

 

 ただ呆然としていた自分が憎い。いや、見てられただけ勇敢だったと考えよう。俺が見てきたなかでもトップの天使二人に謎の精霊<ブランク>・・・。死ななかっただけ幸いだ、と考えるべきか?

 

 最後は無数の紙へと姿を変えヒラリヒラリと舞って消えた。それは雪のように。

 

 

「十香!折紙!大丈夫だったか!?」

 

 二人の肩を寄せる。二人は顔を合わせてからコクリと頷いた。

 

「しかし・・・、なぜ」

「どうしたんだ? 折紙」

「精霊<ブランク>は本来無差別に攻撃する。だから最重要警戒と位置づけられている。それに...」

『今回はやけに火力が低い』

 

 折紙が続けられなかった言葉を琴里が続けた。

 俺は調子が悪かっただけだろう、ともっともらしい答えを提示してみた。

 

『もしこれが調子が悪い、というだけだったら余程のことがあったんでしょうね・・・それに、面白いことが分かったわよ』

「なんだ?」

『<ブランク>は士道を知っている。しかも、小耳に挟んだとかいうほどじゃなくね』

「んなっ!?」

 

 俺の知り合いにあのような女子はいない。記憶を辿ってみてもいない。

 

『まぁ、それでも油断は禁物よ。もしかしたら嫌な間柄だったかもしれないし』

「あぁ。分かってる」

 

 

 

‐side 千代

 

 焦った。まさか彼がいるとは。あの時は暇潰しの邪魔をされて頭に血が上っていた。変なことをしてないだろうか?

 まさか凶悪な輩だと思われただろうか? 最近ストレスが溜まっていたし、そのせいってことにして気持ちを落ち着かせよう。

 

 しかし困ったな。

 

 私は折紙のケースの中から赤い折紙を取り出してぱたんぱたんと折って紙飛行機を作り、それを部屋の窓からぽいと投げた。

 果たして彼は気付くのだろうか。気付いてくれると良いのだが...

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