日常の中にチョコより甘い香りを   作:ぴぽ

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初投稿です。
処女作です。
温かい目と広い心で読んで頂くと幸いです。


第1話

地球温暖化の影響は凄まじく、猛暑を超えニュースでは酷暑なんて呼ばれている。外を歩くだけでも危険!などとニュースで言っているが出歩かない訳にはいかない。仕事に行く者、遊びに行く者、買い物に行く者、理由は様々だがその中で一人、男子高校生がフラフラしながら歩いていた。

「暑い…。」

と呟いているが暑いと言ったところで余計に暑さを感じてしまう。

「ヤバいな…。バイト先に着くまでに倒れてしまう。」

また呟き、辺りをキョロキョロと見渡すと自動販売機に目についた。

「……う~ん。お金勿体ないけど、しょうが無いか。」

と、自動販売機に向かっていくと同じ事を考えていたのか、同じ歳くらいの女の子も自動販売機の前に立っていた。向こうの方が少し早かった為、後ろに並び待っているがいつまで経ってもジュースを買う気配がない。

「どうしましたか?」

不審に思い、声をかけると

「え?…あっ!ご、ごめんなさい。じ、ジュース買うつもりが…。」

と、しどろもどろな返答が返ってきた。

「?」

を浮かべながら自動販売機を見ると釣り銭切れのランプが着いており、女の子の手には千円札が握られていた。

「(なるほどね。てか、滅茶苦茶この人可愛い。)」

と思い、手にしていた小銭を入れる。

「どうぞ。好きなジュース選んでください。」

と女の子に向かって言う。

女の子はびっくりした表情で

「い、いや。わ、わ、悪いです。私は大丈夫なので。」

と言った。

「(やっぱりそう言うよね。)」

と心の中で思ったが、格好つけた手前引くわけにもいかない。

「いやいや。顔、かなり赤いですよ?熱中症になる前に水分とって下さい。」

とさっきまでフラフラだった奴が言う台詞ではないことをできる限り爽やかな笑顔で言った。

「え?えっと…。それなら…。あ、ありがとうございます。」

と、赤かった顔を、さらに赤くして言った。

ガコン!とジュースが落ちてくる音が聞こえまたありがとうございます。と言い、ジュースを取った。

「あ、あ、あの!お、お名前は?」

とジュースを胸の前で両手に持ち質問した。

「僕ですか?普通の名前ですよ?一宮です。一宮潤と言います。」

「え、えっと、潤さんですね。(一宮って普通なのかな?)わ、私は牛込りみと言います。ほ、本当にありがとうございます!」

と、言いながら走って去ってしまった。

「あれ?急いでいたのかな?まぁ、いっか。」

と言い、財布を取り出した。しかし、今度は潤が固まってしまった。

財布の中身、小銭50円玉一枚。

「…あっ…。詰んだ。」

と途方に暮れた潤だった。

 

――――――――――――――――――――

「ど、どうしよ?に、逃げちゃった!」

目的地であるライブハウス「CiRCLE」に着き、りみは慌てていた。臆病で引っ込み思案の性格であり、さらに女子校に通うりみには同年代の男性との会話はいささかハードルが高く、恥ずかしくなってしまい逃げてしまった。

「絶対、怒ってるよね…?うぅ…。どうしよ?」

「りみりん!確保ー!」

「きゃぁ!」

りみがあたふたしていると急に抱きしめられそのまま尻餅をついてしまった。

「りみりん!おっはよー!」

「か、香澄ちゃん?」

「えへへ~。なんか懐かしくない?」

「そ、そうだね。私をバンドに誘ってくれた時にしてくれたね。」

りみと香澄はあははと笑った。

りみはPoppin`Partyというバンドに入っており、ベースを担当している。ちなみに香澄はギター&ボーカルだ。

「はぁはぁ。香澄ー!お前急に走るな!」

とツインテールをなびかせながらキーボードの有咲が叫んだ。

「有咲~!ごめんごめん~!暑かったから早く走って、涼しいCiRCLEに行きたかったんだも~ん。」

「走ったら余計暑いだろうがっ!」

と漫才のような話をしていると、「おはよ。」とドラムの沙綾とギターのたえがCiRCLEに入ってきた。

「朝から2人は相変わらず仲が良いね!あっ!りみりんもおはよ!」

「りみはなんで床に座ってるの?…涼しいから?」

とそれぞれ挨拶をする。

「おはよ。ゆ、床に座ってるのは香澄ちゃんに抱きつかれて尻餅着いちゃって。」

と照れながらりみが言うと

「大丈夫?」

と沙綾が手を出し、りみを起こした。香澄が胸の前で手を合わせ謝った。

「ところでさ、りみ、なんか焦ってなかったか?何かあった?」

と有咲が聞くと

「あー!そ、そうだった!み、皆どうしよ…。」

と言い、これまでの経緯を説明した。

「別に何もしなくて良いんじゃねぇか?」

「えー!?なんで!?絶対探した方が良いよ!」

「探すって、その人がどこに行ったのか分からないじゃん!どうやって探すんだよ!」

「なんとかなるよ~。」

と有咲と香澄が喋ってると

「まぁまぁ、とりあえず2人ともスタジオ入りする時間だから入ってから話そ?」

と沙綾が言った。

3人は時間を見て慌てながら受付に向かった。ちなみに、たえは既に受け付けの前にいた。

 

――――――――――――――――――――

「……ってことがあったんですよ~。」

と潤はバイト先の先輩である月島まりなに先ほどあった自動販売機での出来事を話していた。

「へぇ~。そうなんだ。でも意外だなぁ。」

「え?意外って何がですか?」

「いやぁ~。潤君がナンパとかするなんてね。」

「な、ナンパ?」

そう言われて、慌てながら自分の行動を思い返した。うん。ナンパともとれる。そう思うと急に顔が熱くなり恥ずかしくなった。

「良いと思うな!健全な高校生らしくて。」

とまりなが茶化す。潤は顔を赤くしながら

「い、今の話、忘れて下さい。」

と言い、仕事についた。これからは、しっかり考えてから行動に移そうと思いながら。

潤がCiRCLEでバイトを初めて2カ月となる。6月から始め、今は夏休みなのでほぼ毎日出勤している。ちなみに、ライブハウスでバイトをしているが、潤は音楽の事は全然分からない。主な仕事は受付と事務処理と重い機材を運んだり、まりなに弄られたりしている。

「(だいぶ仕事にも慣れてきたな。顔馴染みも増えてきたし。)」

と思いながら本日のスタジオの予約を確認していると、朝一番に「Poppin`Party」と書かれていた。

「(Poppin`Party…。ポッピンパーティーって読むのかな?初めて見たな~。)」

と思っていた。

「月島さん?Poppin`Partyってどんなバンドですか?」

「ん?あぁ。ポピパはガールズバンドで、うちではライブとかしたりイベントに出て貰ったりしてるよ。普段は蔵で練習してるみたいだからうちに練習で来るのは珍しいよ!」

「……蔵?ま、まぁ、分かりました。ありがとうございます。」

潤は首を傾げながら引き続き予約の確認をしていると「すみませーん!」と声が聞こえた。

「はーい!今行きます!」

と叫び、潤は素早く受付に向かった。裏のブースから受付に向かうとロングヘアーの女の子が立っていた。潤がモデルさん?と思いながら「おまたせしました!」

と、笑顔で対応してると、モデルの後ろから4人ほど慌ててやってくるのが見えた。

「お、おたえ!待って!」

と髪型にかなり特徴のある女の子が言った。

「(あの髪型何?ネコかな?)」

と潤が思っていると

「あの~。予約していたPoppin`Partyですが。」

とポニーテールの女の子が訪ねてきた。慌てて思考をネコ耳の髪型から仕事に戻し

「はい。Poppin`Partyさんですね。承っております。3号室を…。」

と言いかけたところで潤は止まってしまった。接客の基本中の基本、相手の目を見て話すというのを潤は心がけていた。それも今回も行っており、1人、1人顔を見て話していたら1人の女の子の顔を見た瞬間固まってしまった。潤が固まって見ている女の子も「あっ!」と小さく叫んだ。他のPoppin`Partyのメンバーが「?」となっていると、

「さ、さ、さ、さ、さ、先ほどは、えっと、どうも?です。」

と潤が最早、日本語かどうか怪しいといった感じで挙動不審になりながら言った。

「りみりん?知り合い?」

と先ほど小さく叫んだりみに香澄が聞いた。

「し、知り合いって言うか、さっき話したジュースを買ってくれた人…。」

「「「「えぇー!」」」

ポピパの他のメンバーの驚く声がCIRCLEに響いた。

「な、何!?どうしたの?」

とまりなが裏から慌てて受付に出てくると苦笑いしている潤と顔真っ赤にして俯くりみとビックリしている他4名がいるという光景だった。

「あぁ。月島さん。さっき話した自動販売機の話なんですが、この子なんです。」

とりみの方を向きながら潤が答えた。

「そうなんだ!潤君が言ってた子ってりみちゃんだったのかぁ~。」

とまりなはうんうんと頷きながら答えた。

「あ、あの!」

とりみが潤に向かって

「さ、先ほどはあ、あ、ありがとうございました。」

と言った。

「それはさっき聞きましたよ。気にしないで下さい。」

と潤が返すと

「ち、ちゃう。せやなくて…。」

と慌てながらりみが言った。関西弁?と潤が思っていると、

「りみりん。言いたいことがあったんでしょ?」

と沙綾が助け船を出した。

「沙綾ちゃん。ありがとう。」

とりみが言い、深呼吸した。潤がポニーテールの子は沙綾と言うのかと考えているとりみが口を開いた。

「さ、さっきは急に逃げてしまってすみませんでした。は、恥ずかしくなっちゃって。」

「え?全然気にしてないですよ?急いでたのかなって思ってました。」

とキョトンとしながら潤は答えた。

「りみりーん!気にしてないみたいで良かったね!」

と香澄がりみに抱きつきながら言った。潤がネコ耳さんは抱きつき魔かな?と思いながら

「本当に気になさらないで下さい。逃げたなんて思ってませんから。」

と笑顔で言った。

「いやぁ~。まさか潤君がナンパした相手がりみちゃんだったなんて!」

とまりなが言うと、潤は「なっ!」と言いながら驚き、りみは「え?」と再び小さく叫び、これまた再び顔を真っ赤にした。

「え?ナンパだったんですか?」

と香澄が潤に詰め寄る。

「ナンパな訳ありません!そんなつもり毛頭もありませんよ!てか、月島さん!話をややこしくしないでください!」

と慌てて言った。

「か、香澄ちゃん?な、な、ナンパじゃないと思うよ?そんな雰囲気なかったよ?」

「ホント?りみりんがそう言うなら違うよね。疑ってごめんなさい。」

と香澄が言った。

「いえいえ。」

と笑顔で潤は言ったが内心は(助かったー!危ない、危ない…。てか、ネコ耳さんは香澄って言うんだね。)と思っていた。

 

――――――――――――――――――――

潤のチャラ男疑惑が無事に晴れ、ポピパは練習の為、スタジオに入っていった。余談だが、何故、今日は蔵ではなくCiRCLEで練習だったのかとまりなが聞くと「夏休みだから。」というよく分からない理由だった。発案者は当然香澄である。

「あっ。蔵の事聞くの忘れてた。」

仕事に集中していた潤だが、気になっていた練習場所が蔵ってことを思い出していた。

「蔵?蔵ってあの物置みたいな蔵だよね?練習場所?ん?」

と考えていると、練習に区切りがついたポピパがスタジオから出てきた。

「あっ!潤くーん!お疲れ様~!」

「戸山さんお疲れ様です。」

手を振りながら近づいてきた香澄は潤の対応に不満気だった。

「潤君!さっき自己紹介したけど、私たち同級生だよ?もっと砕けた感じで喋ろうよ!」

と言った。

「すみません。仕事中なので…。お客様にはきちんとした対応をしないといけないので…。」

と申し訳なさそうに潤が言うと、

「香澄!無茶言うなよ。仕事以外だったら敬語とかも使わないだろ。それまで我慢しろ。」

と有咲が香澄に言った。

「あ~り~さ~」

「うわっ!抱きつくなっ!」

2人のやり取りに潤が苦笑しながら

「戸山さん。仕事以外なら砕けて話しますよ。見かけたら声かけて下さいね。」

と言った。

「絶対だよ!約束だからね!」

と有咲に抱きついたまま香澄が言った。有咲は「暑いから離れろ!」とずっと叫んでいた。

「あの、聞きたいことがあるのですが、普段練習は蔵でしてるんですか?」

「そうだよ!有咲の家の蔵でしてるんだよ~!」

と香澄が答えて去っていった。

「(ど、どんな蔵か気になる。)」

と潤が考えていると

「騒がしくてごめんね~。パン食べますか?」

と潤の横から沙綾が「やまぶきベーカリー」と書かれた紙袋を手渡した。

「パンですか?」

と潤が言うと

「いるー!」

と横からまりなが割り込んできた。

「沙綾ちゃんとこのパン美味しいからね!ありがとう!」

と言った。

「月島さん、それ僕が貰ったパンですが?」

「どうせ、仕事中なのでって断るつもりだったくせに!いいじゃない!沙綾ちゃんの家はやまぶきベーカリーってパン屋さんで凄く美味しいんだよ!」

と言い、潤は痛い所を突かれてしまった。

「潤君、本当に真面目なんですね。尊敬しちゃうな。」

とりみが言った。

「ふ、普通ですよ。でも、パンは気になるので食べますね。ありがとうございます。」

と照れながら潤は答えた。

「是非、当店にも来て下さい!焼きたてパンありますよ!」

「沙綾ちゃんとこのチョココロネ美味しいですよ!」

と沙綾とりみに宣伝された。

「ちなみに、チョココロネあの袋の中に入ってますよ。」

と沙綾が言うと

「月島さん、チョココロネだけは食べないで下さいね。」

と慌てて潤が言った。

「本当にチョココロネ美味しいですよ!あっ!ちなみに、チョココロネは尻尾から食べると中のチョコが出ちゃうので頭から食べて下さいね!」

とりみが嬉しそうに語ると

「チョココロネ好きなんですか?」

と潤も笑顔で聞いた。

「え!?あ、はい。大好きです…。」

恥ずかしそうに答えると

「なら、食べたら感想を言いますね。」

と笑顔でまた潤が答えた。

「なんか、一宮さんってりみりんと話してる時ずっと笑顔ですね。」

とニヤッと笑い沙綾が言った。

「え?確かにそうかもですね。何故か分かりませんけど牛込さんと話していると笑顔になっちゃいます。」

と潤がりみを見ながら答えるとりみは「うぅ…。」と言いながら照れてしまった。しかし、潤は勘違いをしてしまい

「ご、ごめんなさい。困らすつもりはなかったです。本当にごめんなさい。」

と言った。

「ち、ちゃう。ってまた関西弁でてしもうた。えっと、こ、困ってた訳じゃなくて…。て、照れてしまって…。あ、あの!私、臆病で引っ込み思案な性格で、すぐ言葉が詰まってしまって。その性格を変えたくてバンドに入ったんです。でも、なかなか治らなくて…。なので、じゅ、潤君が良かったら連絡先交換しませんか?性格を治すきっかけになりそうなので…。ってこれじゃあ、潤君を利用してるみたい?ご、ごめんなさい!え、えっとそれだけじゃなくてチョココロネの感想を早く聞きたいって言うのもあって!」

「りみりん、一旦落ち着こう?」

りみがわたわたしながら言うと沙綾がまた助け船を出した。潤はクスリと笑って

「気持ちは伝わったので大丈夫です。ただ、僕は今、仕事中なので、またの「ピロリン♪」ピロリン?」

「りみちゃん!今、潤君の連絡先送ったからメールでも、LINEでもしてあげてね!」

とスマホ片手にまりなが言った。りみは「えぇ!?」と慌てながら潤を見たが、潤はまりなの方を見て固まっていた。

「はぁ~。この先輩はホントに…。まぁ、でも、うん。牛込さん?僕で良かったらいつでも連絡してくださいね。」

と答えた!

「あ、ありがとう!めっちゃ嬉しい~。」

とりみが言いながら頭を下げた。

その間、沙綾は微笑ましく2人をみていた。

ちなみに、おたえはスタジオでオッちゃんの写真を見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

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