日常の中にチョコより甘い香りを   作:ぴぽ

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第12話

「……はぁい…。もしもしぃ…。」

突然、鳴った電話に反応した潤。絶賛寝起きですといった掠れ声だった。

「潤君?おはよ?8時だよ?」

「…りみ?」

「へ?うん。そうだけど?」

りみの声を聞き、潤は重たい瞼を開いた。そして、時計を見ると確かに針は8時を指していた。

「あぁ…。ごめん。昨日、寝落ちして、アラームかけてなかったよ。助かった。ありがとう。」

昨日、夕方に帰ってきた潤は、炎天下の中歩いた疲れや熱中症になった事もあり、風呂に入って夕飯をササッと食べるとそのまま寝てしまったのだ。

「ううん。大丈夫?昨日、LINEの返事も無いから心配してたんだよ?」

「LINE?」

潤がスマホを耳から離して画面を見ると確かにLINEの通知が来ていた。

「本当にゴメンね。全然気付いてなかったよ…。」

「ううん。疲れてたんだね。昨日は何してたの?」

「昨日は出掛けてたんだよ。話がかなり長くなると思うからまた会った時に話すね。」

「う、うん。分かったよ。と、ところで潤君?目は覚めた?」

「お陰様でバッチリ!りみ、ありがとうね!」

「いえいえ。アラーム気をつけてね?じゃあね。」

りみがそう言うとスマホからは「ツーツー」と機械音が響いた。

「あれ?りみ、急いでいたのかな?なんか素っ気なかったような?」

潤はそう呟き、LINEを開いた。LINEは1件来ており、もちろんりみからであった。

 

“こんばんは。明日ってバイトだよね?その後って空いてるかな?”

 

文を読んで潤はますます混乱した。

「あれ?予定、さっきの電話で何で言ってこなかったんだろ?予定が入っちゃったのかなぁ?」

と、また呟き、支度を始めた。支度と言っても服を着替えるだけなので、すぐに終わり、リビングに向かった。

「おはよ。」

リビングの扉を開けながら潤は挨拶をした。

「あっ…。じ、潤君。お、おはよ。」

「あぁ。りみ。おはよ…ってりみ!?あれ?なんでりみがいるの!」

一昨日の朝と同じ反応をした潤に思わずりみが「ぷっ」と吹き出した。

「あはは!潤君、前と同じだよ~。」

「え?あっ。そ、そ、そだね…。り、りみはどうしたの?」

「私が呼んだのよ?」

潤の質問に台所でせっせといつも通り、料理をしていた母親が答えた。

「え?どうやって呼んだの?」

潤に新たな疑問が浮かび、聞くと

「一昨日、りみちゃんが来た時にね。りみちゃん可愛かったからLINE聞いちゃった。」

潤の母親がペロっと舌を出しながら言った。

「い、いつの間に…。」

「潤君。あのね。朝になって麻里さんから朝ご飯食べにおいでってLINEを貰って、お言葉に、甘えちゃったの。」

りみが説明すると潤は「そっか。」と納得した。ちなみに、麻里と言うのは潤の母親の名前だ。

「あ、あとね。じ、潤君!た、誕生日おめでとう!」

「え…。あっ!今日、誕生日だっけ?忘れてたよ。ありがとう!」

「わ、忘れてた?」

りみがビックリしたように言った。

「今年も忘れてた?りみちゃん。潤はね。毎年、誕生日を忘れちゃってるの。去年は紗夜ちゃんに教えて貰ってたよね?」

麻里が言うと潤は苦笑いした。

「なんか忘れちゃうんだよね。でも、今年はりみに祝って貰えて嬉しいな!」

「そ、そんな…。あ!後、これ。気に入って貰えるかどうか分からないけど、誕生日プレゼントだよ?」

りみが袋から綺麗にラッピングされた箱を取り出すと潤に渡した。

「ありがとう!開けても良いかな?」

潤がりみに確認するとりみが「うん。」と頷いたので、丁寧に開けた。

「何かなぁ~…。おぉ~…。」

潤が中身を確認し、取り出すと歓喜の声を上げた。

「凄くオシャレなマグカップだね!」

潤の手には黒と赤のチェック柄のマグカップが握られていた。

「気に入ってくれた…かな?」

「もちろん!早速使わせて貰うね!」

潤は横に置いてあったポットからコーヒーを注いで飲んだ。

「…ふぅ。なんかいつもより美味しく感じる…。」

「お、大袈裟だよ!」

りみが顔を赤くして言った。

「あっ!そうそう。潤、今日は誕生日だから夕飯、一応豪華にしてあげるから有難いなぁって思いながら早く帰っておいで?」

麻里がサラダを作りながら言った。

「…なんか釈然としない言い方だけど分かった。」

「もちろん、りみちゃんもね?あっ。りみちゃんは有難いとか思わなくて良いからね?りみちゃんって、好きな食べ物って何?おばちゃん、頑張るから。」

「え?!夕飯までご馳走になる訳には…。そ、それに、潤君の誕生日ですよね?潤君の好きな食べ物にした方が…。」

りみが困惑していると横にいた潤が

「母さんがああ言ったら、りみがうんって言うまで聞かないから、遠慮せずに来て?僕もりみがいた方が嬉しいかな?」

「わ、分かりました。ご馳走になります。」

りみが潤の言葉を聞いて折れると麻里は満面の笑みを浮かべた。

 

─────────────────────

「おはようございます。」

潤は2日ぶりにCiRCLEに出勤した。りみとは出勤途中まで一緒だったが、やまぶきベーカリーに寄るとのことで、そこで別れた。

「おっ!潤君おはよ~!待ってたよ!」

まりなが笑顔で言った。潤はが再び、「おはようございます。」と言うと、潤がいつも使っているパソコンに嫌でも目が行ってしまった。

「つ、月島さん?この書類の山は…。」

「うん?潤君が休んでる間に貯まった仕事だよ?」

平然と答えるまりなに潤は殺意を覚えていた。

「その書類以外にも仕事があるんだよね!聞いて、聞いて!」

まりなが再び明るく言うと、潤は辺りを見回した。

「(えっと、何か丁度良い鈍器ないかな?月島さんが死なないくらいの。)」

しかし、残念ながら都合良くそんな物は無い為、潤は諦めてため息をついた。

「はぁ~。仕事、何ですか?」

「えっとね、夏休みの終わりに第2回のガールズバンドパーティーをする事になったんだ!」

「えっと、第1回が大好評だったってやつですよね?」

「そうそう!それでね、潤君には出演交渉と宣伝ポスターと会場を押さえて貰いたいの!」

まりなの言葉を聞いて潤は固まった。

「(え?それってヤバくない?)」

「とりあえず、出演交渉だけど…。」 

「つ、月島さん!?ち、ちょっと待って!」

「どうしたの?」

「責任重大じゃないですか!出演交渉だなんて!」

潤が叫ぶとまりなはケラケラ笑った。

「大丈夫だって!多分。前回出て貰ったメンバーだし、気負うことないよ!大丈夫だから!多分!」

「お願いだから言い切って!多分とか言わないで!」

「潤君なら出来るよ!多分!ほらほら、もう時間だから行って来て。店の前で待ってたら来るから。」

「…不安しかありませんが行ってきます…。質問とかされたら困るので資料…下さい。」

「そうだね!えっと…。はい!これだよ!」

まりながファイルを潤に渡すと潤は再び深いため息をついて店の外に向かった。外に出ると真夏の日差しが眩しく、思わず目を細めた。

「(えっと。迎えが来るんだっけ?てか、誰が来るんだろ。)」

潤が考えているといきなり目の前にリムジンが止まった。

「(はい?リムジン?)」

潤がビックリしているとサングラスをかけた黒服の女性が降りてきた。

「一宮潤様ですね?乗って下さい。こころ様がお待ちです。」

黒服の女性がドアを開けて言った。

「(初っ端、あのグループ!?マジですか…。)」

今日何度目か分からないため息を「はぁ。」とついて、潤は車に乗り込んだ。

 

─────────────────────

「……うちの何倍あるんだろ。」

潤は呟き上を見ていた。テレビでしか見たことない豪邸が目の前にあり、とんでもないところに来てしまったと思っていた。

「一宮様。こちらです。」

黒服の女性の案内で中に入った。入るとすぐに物凄く大きいシャンデリアが目に着いた。

「(こんな大きなシャンデリアって本当にあるんだ。テレビで前に見たのはヨーロッパのお城の特集だったかな。)」

潤が現実逃避をしていると、1つの部屋に通された。潤が椅子に座ると

「ここでお待ち下さい。」

と黒服の女性が言い、出て行った。するとすぐにさっきとは違う黒服の女性が入ってきて、コーヒーを置いて出て行った。

「(お、落ち着かない!これって客間だよね?うちのリビングより広いんだけど!あと、あの壁に飾ってある絵!下の方にゴッホって書いてあるけど本物なの!?)」

回りを見れば見るほど落ち着かなくなることに気付いた潤はまりなから預かった資料を読むことにした。コーヒーを飲みながら…。読み始めて暫くすると部屋のドアがいきなり「バーン!」と開いた。

「待ってたわ!潤!」

金髪で金色の瞳をした女の子が叫びながら入ってきた。

「お待たせしました。いつもCiRCLEを利用して頂きありがとうございます。弦巻さん。」

「もぉ。こころで言いって言ってるじゃない!いつになったら呼んでくれるのかしら?ねぇ?美咲!」

「はぁ~。いつもこころがすみません。一宮さん。」

「いえ。奥沢さん。ハロー、ハッピーワールド!はこうじゃなくっちゃ、こちらが調子を崩されます。」

潤が最初に出演交渉に来たグループはハロー、ハッピーワールド!だった。

「今日は2人だけですか?」

「あっ。はい。他のメンバーは予定があるみたいで…。本当は花音さんもいる予定だったんですが…。」

「…松原さん、また迷子ですか?」

「そうなんです。」

美咲と潤が苦笑いしていると

「ところで潤!今日は何の要件で来たのかしら?」

こころが口を開くと潤は本来の目的を果たそうとファイルを開きながら説明を始めた。

「実はですね。8月末に第2回のガールズバンドパーティーを開催する予定「いいわよ!」して…はい?」

「だから出演するわ!詳しいことは美咲に言って頂戴。私は今からライブで世界を笑顔にする方法を考えるわ!」

こころはそう言うと部屋から出て行ってしまった。

「………。」

潤が唖然としていると美咲が申し訳無さそうに口を開いた。

「…こころがすみません…。」

「いや。大丈夫ですが…。出演で良いんですか?」

「はい。こころが1度やるって言ったらもう聞かないんで…。」

「助かります。詳しいことが分かったらまた説明しますので。」

「はい。よろしくお願いします。」

美咲がペコッと頭を下げる。

「…ところで、今日はミッシェルはいないんですか?」

潤は美咲に聞いた。

「へ?」

それを聞いた美咲はびっくりした表情で潤を見ていた。

「え?だから、ミッシェルは今日、いないんですか?」

聞き間違いを期待していた美咲だが、残念ながら聞き間違いでは無かった。

「(え?一宮さん何言ってるの?あっ。そっか。一宮さんはミッシェルの中が私って事知らないだけだよね?)」

なかなか質問に答えない美咲に潤が「奥沢さん?」と声をかける。

「…あぁ。すみません。ミッシェルの中は私ですよ?」

「はい?ミッシェルの中?何言っているんですか?僕、ミッシェル、結構好きなんで、今日、会えるかなって楽しみにしてたんですけど…。奥沢さん?どうしましたか?」

潤が喋ってると美咲は額に手を当てていた。

「(4バカになってしまった…。)」

「奥沢さん?」

「一宮さん?もう喋らないで。」

「へ?」

「喋らないで…。」

凄く呆れた様子の美咲に潤は「?」を浮かべた。

 

─────────────────────

「送って貰ってありがとうございます。」

「いえ。こころ様から言われたので。」

潤は再びリムジンに乗っていた。まりなに電話でハロー、ハッピーワールド!の出演OKを報告するとそのままPastel*Palettesの事務所に向かう事になった。

「着きました。」

「ありがとうございます!」

黒服の女性が扉を開くき、潤が降りるとすぐにリムジンは去って行った。

「さて、行きますか。」

潤は芸能事務所ということでドキドキしながら扉を開けた。すぐに受付という札を発見し、近づいていった。

「こんにちは。すみません。CiRCLEでPastel*Palettesにアポをとってるはずなんですが…。」

「少々お待ち下さい。…はい。確かに承っています。第3会議室に向かって下さい。第3会議室はこの先を右に曲がったらすぐです。」

「分かりました。ありがとうございます。」

潤はお礼を言い、会議室に向かった。ゆっくり歩いきながらキョロキョロしていた。

「(芸能事務所だからどんな所かと思えば…。意外と普通?……痛っ!)」

そんな事を考えていると、後ろから衝撃が走った。何が起こったか確認すると

「えへへ~!潤君み~つけた!」

「ひ、日菜姉さん!?」

衝撃の正体は日菜が潤の後ろから体当たりしたものだった。

「日菜姉さん…。普通に声かけられないの?」

「あはは~。ごめんね~。いや~。CiRCLEの人が来るとは聞いてたけどまさか潤君とは!るんってきた!」

「る、るん?まぁいいや。日菜姉さん、丁度良かった!第3会議室まで案内して下さい。」

「良いよ~。てか、私もそこに向かうから!」

日菜はそう言うと歩き出した。その後に着いて行くと、右に曲がって目の前に会議室があった。

「…日菜姉さん意外のメンバーの方に会ったことないんだけど、どんな人?」

「会ったら分かるよ!早く入って!」

潤は「質問に答えろよ。」とボソッ呟き中に入った。

「失礼します。CiRCLEのスタッフの一宮潤と言います。今日はお忙しい中、時間を作ってくださり、ありがとうございます。」

潤が深々と頭を下げると「よろしくお願いします。」とあちらこちらから聞こえた。

「潤君、そんな緊張しなくて大丈夫だよ~!もっと気楽で良いよ~!」

「日菜ちゃん。知り合いなの?」

「そうだよ!彩ちゃん!潤君は私の親戚なんだ~!」

首を傾げながら彩が質問すると他のメンバーも「なるほど。」といった雰囲気になった。

「日菜姉さんがいつもお世話になっています。えっと。丸山さん…ですよね?」

日菜に質問をした女性に潤は声をかけた。

「うん!そうだよ!まんまるお山に彩りを、Pastel*Palettesの丸山彩でーす。」

ポージングと一緒に自己紹介をした彩に対して潤は思わず「おぉ~。アイドルっぽい…。」と呟いた。

「潤君って呼んで良いかしら?白鷺千聖です。アイドルぽいって呟いたけど、彩ちゃんはアイドルだからね?まぁ、そうは見えないけど。」

千聖が笑顔で毒を吐くと「千聖ちゃん!どういゆう事!」と彩が叫んでいた。

「ま、丸山さん。ごめんなさい。そんなつもりで言った訳では…。」

潤が謝ると

「彩ちゃんは何言ったって平気だから潤君気にしなくて良いよ!ところで、潤君は何の用で来たの?」

と、日菜が聞いた。

「皆…。酷いよ~。」

と彩が目をウルウルさせ、呟いた。

「丸山さん。大丈夫ですよ。テレビで歌ってた丸山さんは輝いてましたから!」

「本当…?」

「はい!そして今、初めて会って、テレビのままの丸山さんを見てますますファンになっちゃいました。」

「ファン!」

彩が元気を取り戻し、「ファンかぁ~。えへへ~。」と、呟いていると、千聖がコーヒーを持ってきて、潤に手渡した。

「ありがとうございます!では、要件を話させて頂きます。実は第2回のガールズバンドパーティーを開催する予定なんです。」

「やるー!」

「やるー!」

潤が要件を話すと、すぐに日菜と彩が叫んだ。

「待って。日付はいつを予定してますか?」

暴走しそうだった日菜と彩を制して千聖が言った。

「はい。予定では8月の終わりを予定してます。詳しい日時は1番予定を合わせにくと予想しているPastel*Palettesの皆様に合わせるつもりです。…スケジュールの方は大丈夫ですか?」

潤が言うと千聖がスケジュール表を捲っていた。

「8月の終わりの週はPastel*Palettesの練習だわ。」

「えっと。なら出演は厳しいですか?」

「いえ。練習だけだから、幾らでも融通は利くわ。こちらからも是非、出演をお願いするわ。」

千聖がニコッと笑うと潤は立ち上がり

「ありがとうございます!」

と言った。千聖の後ろで日菜と彩が「やったー!」と喜んでいた。

「詳しい事はまた決まり次第、連絡を事務所の方にします。」

「分かりました。私達もスタッフに伝えときます。よろしくお願いします。」

千聖がお辞儀をすると潤も慌ててお辞儀をした。

「そういえば、大和さんと若宮さんは?」

「2人は仕事だよー!」

潤の質問に日菜が答えた。

「そうなんだ。残念。挨拶しときたかったなぁ。」

と残念そうに潤が言う。

「何々?さっき、彩ちゃんファンって言ってたけど、本当は2人のファンだったりするの!?」

「そうなの!潤君!」

日菜がニヤニヤしながら潤に聞くとそれに彩が反応した。

「ううん。Pastel*Palettesでは丸山さんが1番良いかな?」

「本当にありがとう!」

彩は潤の手を取り、お礼を言った。

「彩ちゃん!潤君の事、好きになってもダメだからね!潤君にはりみちゃんがいるからね!」

「ひ、日菜姉さん!?」

日菜の突然の爆弾投下に潤はびっくりして叫んだ。

「す、好きとかじゃないよ!てか、りみちゃんって、牛込りみちゃん?え!どうゆう事?」

「私も気になるわね。」

「(ヤバい…。大変な事になりそう…。)」

潤はこの状況を招いた日菜を睨んだ。等の本人は笑って楽しんでいるだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




目標!25人全員出演!
あくまで目標です。
千聖さん。難しいよぉ~(;´д⊂)
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