日常の中にチョコより甘い香りを   作:ぴぽ

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旅行編1
1話


「いいなぁ~。」

「どうしたの?」

夕食後、りみは潤の部屋で雑誌を見ていた。

「潤くん!これ見て!」

りみは読んでいた雑誌を潤に見せる。雑誌は旅行雑誌で京都の紅葉の特集をやっていた。

「京都かぁ~。あれ?りみ、関西出身だよね?行ったことないの?」

「京都は遊びに行ったことはあるけど…。紅葉の時期は混むし…。」

「あぁ~。なるほど。」

潤は再び、雑誌に目を落とす。そこには潤も知っている観光名所が赤や黄色に染まった木々達によって囲まれていた。

「確かに綺麗だね。いつか行ってみたいね。」

「そうだね。」

潤とりみが雑誌に目を落としながらお互いにいつか行けたら良いなと思っていた。

「あら?紅葉でしょ?行ってきたら良いじゃない。」

潤の母親の麻里がコーヒーとチョコをお盆に載せてやってきた。

「わぁ~!チョコやぁ~。」

「りみちゃん。これ美味しいのよ!りみちゃん見てたらチョコが食べたくなってきて、つい買っちゃうのよねぇ~。」

と言いながら、机にコーヒーとチョコを置く。

「母さんありがとう。って、紅葉見に行けば良いって…。京都なんか行けるわけないじゃん。」

潤がコーヒーを受け取りながら言う。

「別に、紅葉なら京都以外にもあるでしょ?」

麻里の発言に潤とりみは「そっか。」と呟いた。

「潤くん?この辺りで紅葉が有名な場所知ってる?」

「う~ん。思いつかないなぁ。」

「潤?あなた良い場所知ってるじゃない。」

考え込む潤に麻里は呆れたように言った。

「え?どこだっけ?」

「おじいちゃんとこ。」

「あぁ~!おじいちゃんね!確かにあそこも…って、無理に決まってるじゃん!」

「じゅ、潤くん?おじいさんの家って何処なの?」

叫んだ潤にびっくりしながらりみは言った。

「あ、あぁ、びっくりさせてゴメン。宮島だよ。」

「宮島?世界遺産の?」

りみはキョトンとしながら聞いた。

「そうだよ。僕の父方のおじいちゃんなんだけどね。世界遺産の宮島に住んでるの。」

「そうなんだ!なんか、世界遺産に住んでるって凄いね。って、あれ?宮島って何県…だったかな?」

「広島県だよ。」

麻里が淡々と答える。

「あっ!そうだ!広島県だ!…あっ、だから潤くん無理って言ったんだね。」

りみが苦笑すると潤は頷いた。宮島がある広島県は中国地方に存在しており、東京に住む潤とりみにとって先程話していた京都よりさらに西に行かなければならない。

「そうかしら?おじいちゃんとこに泊まれば宿泊代は浮くし、ご飯も心配いらないじゃない?かかるのは交通費くらいじゃない?飛行機乗っちゃえばすぐだし。」

宮島は意外とアクセスはよく、広島空港から駅に向かい、そこから電車で1時間くらいの場所に位置している。

「いやいや。そうゆう問題じゃなくて、りみと2人で旅行はダメでしょ。まだ高校生なんだし、結婚してる訳じゃないのに。」

「はぁ~。我が息子ながら真面目過ぎて嫌になっちゃう。」

「僕の母親ならそこは誇ってよ!」

潤と麻里のやりとりにりみは笑っていた。

「本当に仲良いね。麻里さん、私も潤くんと同じです。それに、お金が…。」

「そう?2人が良いなら良いわよ。」

麻里はそう言うと立ち上がり、何処かに行ってしまった。

「麻里さんどうしたのかな?」

「さぁ?風呂の湯でも入れに行ったんじゃない?」

「でも、宮島かぁ~!行きたいなぁ~。」

「そうだね。確かに紅葉綺麗だったよ。紅葉谷公園ってとこがあって、本当に綺麗だったよ!」

「そうなんだ!気になるなぁ~。」

「後、水族館とかもあるよ。」

「そうなの!?ますます気になっちゃうよ~。」

りみがそう言うと、麻里が戻ってきた。

「2人とも、そんなに宮島の話題で盛り上がるなら行ってらっしゃい。」

「はい?だから無理って…。」

「りみちゃんのご両親は良いって言ってるわ。」

「へ?」

麻里の発言に潤とりみは理解が追いつかなかった。

「今、電話したの。りみちゃんのお母さんに。で、行ってきて良いって言ってたわよ?お金も心配しなくて良いって。」

「ほ、本当…ですか?」

「母さん?マジ?」

「うん。あっ、潤はバイト代から行きなさいよ?」

「え?あぁ…。おう。」

「りみちゃんのお母さん、言ってたわよ?通い妻みたいなもんだから旅行くらい行ってらっしゃいって。」

麻里がニヤニヤしながら言うと潤とりみは顔を真っ赤にした。

 

─────────────────────

「潤君!?」

「あっ、月島さんどうしましか?」

CiRCLEのバイト中、パソコンに向かっていた潤にまりなが話しかけた。

「いや。たいした用じゃないんだけど、4連休も希望休をとるなんて珍しいなぁって思ってさ。」

まりなは勤務希望と書かれた紙を持っていた。

「…4連休、マズかったですか?難しいですか?」

「うん。ちょっとね。ちなみに、何があるか聞かせて貰っていいかな?もちろん、潤君はバイトなんだから融通はするよ!」

まりなは申し訳なさそうに言った。

「えっと、ですね。りみと旅行に…。」

「あっ。だったら全然OKだよ!楽しんでね!」

潤が言い終わる前にまりなが遮って満面の笑みで言った。

「え?あっ…はい。…本当に大丈夫なんですか?仕事マズいなら旅行は他の日…」

「大丈夫だから!全然大丈夫だから!本当に大丈夫だから!」

またもや、潤の発言をまりなが遮った。

「…なら、良いのですが…。」

腑に落ちない表情で潤は言った。

「本当に気にしないでね?ところで、何処に行くの?教えなさいよ!」

「…宮島です。」

「あぁ!紅葉シーズンだもんね。良いなぁ~。でも、凄く遠くに行くんだね。」

「じいちゃんの家が宮島なので。」

「なるほどね~。でも、おじいさんの家に泊まるならあ~んなことや、こ~んなこと、出来ないね。」

まりながニヤニヤしながら言う。

「そんな事しません!まだ高校生ですから!」

「…本当に清い交際なんだね。」

「ダメ…ですか?」

「ううん。りみちゃんを大切にしたいって気持ちは良く分かったよ~。それにしても宮島かぁ~。あっ!私、お土産、紅葉まんじゅうでよろしくね!」

「分かりました。紅葉まんじゅうですね。味は何が良いですか?」

「味?餡子以外あるの?」

「はい。カスタード、チョコ、チーズ。まだ沢山あったはずです。」

「全部!」

まりなが笑顔で言うと潤は「そう言うと思いました。」と呟いた。

 

─────────────────────

一方その頃、有咲の蔵ではPoppin`Partyのメンバーが集まっていた。

「来月予定入ってる人いるかな?」

沙綾が手帳を開きながら言った。先に予定が入っている所はメンバーに聞き、練習日やライブ日を決める為だ。

「私は大丈夫!」

「私も!」

香澄とおたえは元気よく手を挙げて答えた。

「私も今の所は平気だよ。」

有咲もスマホを開いて予定を確認して言った。

「りみりんは?」

最期に沙綾がりみに確認を取る。

「わ、私はちょっと予定が…。こっからここまでだよ。」

りみが沙綾の手帳を指しながら言った。

「木曜日から日曜日までだね。りみりんどっか行くの?」

「え?あっ…うん。」

「一宮さんと旅行でも行くのか?」

「有咲ちゃん!なんで分かるの!?」

「あはは~!りみりん分かるよ~。そんな恥ずかしそうにしてて、4日間も予定入ってるって言われたらそれしか無いじゃん。」

沙綾が言うとりみは「うぅ…。」と言った。

「え?りみりん、旅行行くの!?何処に行くの?」

香澄が身を乗り出しながら言った。

「み、宮島だよ?」

「有咲!宮島ってどこ!?」

りみが答えると香澄は聞き慣れない場所だった為、有咲に聞いた。

「宮島?世界遺産だろ?広島県にある。」

「おぉ~。有咲さっすが!」

「いや、お前が知らなすぎだからな?」

有咲が香澄を嗜める。

「りみ、凄く遠くに行くんだね。まさか、木曜日と金曜日、学校休むの!?りみが不良になった!」

「お、おたえちゃん!?木曜日は学校が終わってから出発するんだよ?金曜日は祝日だよ?」

りみが慌てて言うと、「祝日だっけ?」とおたえは呟きながら沙綾の予定表を見た。

「でも、おたえの言う通り、遠くに行くんだなぁ。広島なら飛行機か?」

「そうだよ。有咲ちゃん。潤君のおじいさんが住んでるから、そこに泊まらせてもらう予定なんだよ。」

「ねぇねぇ!宮島って何があるの!?」

宮島について何も知らない香澄が言った。

「えっとね、紅葉谷公園っていうところがあるらしくて、紅葉が綺麗なんだって。あと、水族館とかがあるって言ってたよ?」

りみが答えると「私も行きたい!」と香澄が叫んだ。

「香澄はお留守番だよ~。りみがいないならバンド練習休んで、テストの勉強会だね。」

「うぅ~…。沙綾…。」

香澄は項垂れる。

「え!?て、テスト!?」

「うん。そうだよ。りみりんが日曜日に帰ってきて、その次の月曜日から…りみりん忘れてた?」

「…わぁ~!?どうしよ~!」

「なら、旅行辞めるかぁ?」

有咲が言うと

「絶対に嫌!」

とりみは叫んだ。

「あはは~。まぁ、移動とかで勉強してたら平気じゃない?りみ、成績悪くないんだし。」

沙綾が言うも、りみは「うぅ…。」と俯いた。

「りみ?」

「なぁに?おたえちゃん?」

「お土産、紅葉まんじゅうでお願いね。」

「分かったよ。買ってくるね。」

「ありがとう。オッちゃん食べれるかな?」

「ウサギにまんじゅうを食わすな!」

「有咲?まんじゅう嫌いなの?まんじゅう恐いの?」

「まんじゅう恐いは古典落語の話だ!」

有咲はおたえにツッコむ。

「潤君と旅行かぁ~。りみりんラブラブだね!」

「か、香澄ちゃん?」

「確かに。潤君とりみりんを見てると本当に仲の良いカップルだなぁって思うよ。あっ。カップルじゃなくて、通い妻だったね。」 

「さ、沙綾ちゃん!」

りみの叫び声が蔵に響いた。りみはずっとからかわれるんだろうなっと思ったが、不思議と嫌な気持ちにはならなかった。

 

─────────────────────

「りみ、大変そうだね?」

「大変だよ~。まさかテストがあるなんて…。」

宮島旅行前日、潤とりみは最終確認の為、電話で話していた。潤が電話をするとりみは泣きそうな声で、電話に出ていた。

「ゴメンね。まさか帰ってきた次の日がテストなんて思わなくて…。」

「ううん。私が忘れてたのが悪いから…。って、潤くんもだよね?月曜日からテストでしょ?」

「あぁ。そうだね。でも、僕は勉強してもしなくても平均点ジャストだからさ。」

潤は苦笑いしながら言った。

「そ、そうかもだけど…。」

「まぁ、大丈夫!余裕だよ。で、明日だけど、学校が終わり次第、うちに来て貰って、すぐに羽田空港に向かうからね?そして18時半の飛行機で広島には19時半過ぎには着くからね。」

「うん。大丈夫!楽しみだなぁ~。」

「僕もだよ。じゃあ、長電話したら悪いから切るね?勉強頑張ってね?」

「が、頑張るのは潤くんもだよ?おやすみなさい。」

「うん。おやすみ。」

潤はスマホを耳から離す。

「(さて、明日の準備をして、早く寝ようかな?)」

「潤さん!」

「ほぁぁぁあああぁぁあ!…痛っ!」

自分しかいないはずの部屋でいきなり後ろから声をかけられ、びっくりした潤は座っていた椅子から転倒した。

「さ、さ、さ、さ、紗夜姉さん!いつからそこに!?」

「私もいるよー!」

潤が慌てて後ろを振り返ると氷川姉妹がいた。

「今日は、潤くんのところに夕飯を食べにに来たよ~!」

「麻里さんから夕飯が出来たから潤さんを呼びに言って欲しいって頼まれたので来ました。」

「そうなんだ…。って、ノックくらいして下さいよ!」

日菜姉さんなら兎も角、紗夜姉さんまでと潤が思いながら、さっき打った腰を擦りながら立った。

「したよー!ねぇ、お姉ちゃん?」

「ええ。しましたよ。楽しそうに電話をしてましたので気がつかなかったのではありませんか?」

「え?そうなの?ご、ごめんなさい。」

潤は謝るが、先程から紗夜の雰囲気がいつもと違うことに気付いた。いや、潤はこの雰囲気を嫌と言うほど知っていた。

「さ、紗夜姉さん?ど、どうしましたか?」

「潤さん?そうやって聞くと言うことは何か心当たりがあるのではありませんか?」

紗夜は潤を睨む。いつもの如く、ヘビに睨まれた蛙になる潤。

「(なんだ?なんだ?なんだ?思い出せ自分!傷口を広げる前に思い出せ!)」

「分からないみたいですね?」

「(もうダメだ~!)」

「潤さん、もうすぐテストなのに、えらく余裕そうですね?先程の電話で分かりましたが、牛込さんは旅行を楽しむ為に頑張ってるみたいじゃないですか?」

潤は「(会話聞かれてた!)」と気付いたが、最早、後の祭りである。

「もう、お姉ちゃん?潤君、今から楽しいことがあるのに怒ったら可哀想じゃん?」

「ひ、日菜姉さん!」

このまま説教を覚悟した潤に日菜が助け船を出した。潤はここまで日菜に感謝したことがないくらい感謝した。

「それもそうですね。まぁ、これだけ余裕って事は、さぞかし高得点をとれるのでしょう。」

「そうだよ!お姉ちゃん!きっと全部満点だよ!」

「へ?」

「と、言うことで潤さん?テストが返却されたら確認に来ますので…。」

紗夜がニコッと笑ってリビングに向かう。

「潤君!頑張ってね!」

日菜もニコッと笑い、紗夜の後に続いた。

「さ、最悪だ…。って、日菜姉さん!さっきの感謝を返せ!」

旅行前日に潤は頭を抱える事になった。

 

 

 

 

 

 

 




紅葉、もう終わってるやん!というツッコミを浮かべた方、申し訳ありません。どうしても書きたくて書かせて頂きました。
何話くらいになるか予定は未定です。
現在、新シリーズも製作中の為、更新期間はまちまちとなります。
ご了承下さい。
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