日常の中にチョコより甘い香りを   作:ぴぽ

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3話

紅葉谷公園は厳島神社から弥山に向かう途中に存在している公園で約700本の紅葉の木があり、秋には一気に葉っぱを赤色に変える。

「すごーい!めっちゃ綺麗!」

りみは目をキラキラしながら叫んだ。2人の頭上には「これでどうだ!」と言わんばかりに真っ赤に染めた紅葉が風に揺れていた。

「何回来てもホントに凄いなぁ…。」

潤も感動したように呟いた。

「潤くん!写真撮って!」

紅葉を見る為に上を向いていた潤はりみの方に視線を向けた。りみはすでに少し離れたところにいた。

「(なんか、紅葉に囲まれてるりみって…)」

潤は「ホントに綺麗!」と紅葉の中心でクルクルと回っているりみに目を奪われていた。

「妖精さんみたい。」

「へ!?」

潤の突然の発言にりみは驚き、固まった。

「あれ?…ひょっとして…。声に出てた?」

「う、うん。妖精さんみたい…って。」

「ま、マジか…。」

心の声が出てしまい潤は恥ずかしくなって、紅葉のように顔を赤く染めた。妖精みたいと言われたりみも同様、顔を赤くしていた。

「よ、よ、妖精って…わ、私の事…だよね…。」

「う、うん。クルクル回ってる姿が可愛くって。」

「か、かわっ!あ、あ、ありがとう。」

「う、うん。あっ!しゃ、写真だったね!」

潤は自分のスマホを取り出すとカメラをタップし、スマホを構えた。

「い、今は大丈夫!か、顔…赤くなってるし…。」

りみは慌てて言ったが、「パシャリ」とシャッターを潤は切ってしまった。

「あっ!ご、ごめん!」

「だ、大丈夫だよ。も、もう1回撮ってくれるかな?」

りみは改めてピースサインを作ると潤の構えるスマホに向かって微笑んだ。

 

─────────────────────

「はぁ~。暖かい…。」

いくらポカポカと日差しが出ていても紅葉の時期ともなると、ずっと外にいたら身体が冷えてしまう。そう考えた潤とりみは紅葉谷公園内にあるお茶屋さんにいた。店内にはコタツが常備されており、潤はコーヒーを、りみは抹茶紅葉饅頭を食べていた。

「本当に暖かいね。ところで…りみ?」

「ん?なに?潤くん?」

「いや、紅葉谷公園に来る前に、歩きながら紅葉饅頭食べてなかったけ?」

「食べたよ?」

それがどうしたの?と言わんばかりの表情をりみはしながら言った。

「いや…。前からよく食べるとは思ってたけど…。食べ過ぎじゃない?」

「大丈夫だよ~。甘い物は別腹だよ~。それより潤くんは食べないの?」

「僕はまだ昼に食べた牡蠣がお腹に残ってるから。」

潤は自分のお腹を擦りながら言った。正直なところはりみが食べてる姿を見るだけで、お腹がいっぱいになるのであった。

「夜ご飯も楽しみだなぁ。ホテルで食べるんだよね?」

「う、うん。そうだね。」

紅葉饅頭を頬張りながら夕飯の心配をするりみに潤は苦笑した。

「この後はどうするの?」

「うん。弥山に登ってみない?」

「い、今から山登り!?」

「いやいや。ロープウェイで登るよ?」

潤がロープウェイがある方向を指しながら言った。

「そっか。よ、良かったぁ~。弥山は何があるの?」

「お楽しみかな?多分、喜ぶかな?」

「喜ぶ?」

りみは首を傾げた。

「うん。あっ。食べ終わったかな?」

「うん!」

「よし。なら行こうか?」

潤が手を差し出すとりみは手を重ねた。その姿をお茶屋の従業員はニコニコしながら見ていた。

「そうだ!忘れてた。りみ、まだ食べれたりする?」

「え!?だ、大丈夫だけど、どうしたの?」

「向かう途中で、りみが食べたくなるであろうものが売ってるとこがあるんだよね。」

「え?ひょっとしてチョココロネ!?」

「流石に違うかな?」

目をキラキラさせたりみに潤は再び苦笑した。

紅葉谷公園からロープウェイまでは近く、歩けばすぐに着く。そもそも宮島自体が観光名所までは全て歩いて行動出来る。

「ロープウェイに着いたよ。りみが食べたくなるのはあれだね。」

「あれ?…紅葉饅頭?」

「うん。紅葉饅頭なんだけど、形をよく見て?」

「え?…あっ!ハートだ!可愛い!」 

りみはハート型の紅葉饅頭を手に取った。

「カップル向けらしいよ?…食べても良いよ。」

「うぅ…。勿体なくて食べれないよ~。」

りみはそう言うとそっとハート型の紅葉饅頭を鞄にしまった。

 

─────────────────────

今、2人が目指している弥山。読み方は「みせん」と読む。宮島の中央部にあり、標高が535メートルの山である。古くから信仰があると言われている。かの初代内閣総理大臣である伊藤博文は「日本三景の一の真価は頂上の眺めにあり」と弥山からの眺めを絶賛している。それほどの眺めを目の前にしたりみはと言うと

「わぁ~!めっちゃ綺麗!海がキラキラしてる!」

と叫んでいた。

「晴れてるから遠くまで見えるね。」

潤も、目を細めて遠くを見た。

「そうだ。写真!」

りみはPoppin`Partyのメンバーに送る為に、スマホを取り出した。

「この景色を見せたくて来たの?」

写真を撮りながらりみは潤に聞いた。

「うん。それもあるんだけど…。ちょっと歩こうか?」

「うん?」

りみが首を傾げた。

先程も説明したように、弥山は名前の通り、宮島の中央に位置する山だ。つまり、潤が言った「ちょっと歩こう」=山道を歩くという事になる。2人は、始めこそ手を繋いで歩いていたが、歩き始めてから20分。りみは肩で息をし、潤に引っ張って貰っていた。

「潤くん?ど、どこまで行くの?」

「もうちょっとだよ。」

目的地を聞かされてないりみは「(まだ歩くの?)」と心の中で思っていた。

「着いたよ。ここが目的地だよ。」

「ここ?神社…かな?」

やっとの思いで到着したりみだったが、目の前には大きな建物があった。

「神社じゃなくて、霊火堂(れいかどう)って言うんだよ。」

「霊火堂…。ここには何があるの?」

「まぁ、中に入ってから説明するよ。」

潤は再び、りみの手を引っ張って中に入った。

「見せたかったのはこれだよ。」

「…え?」

「だから、これ。」

潤は目の前にある物を指して言った。

「えっと…。これは…。囲炉裏?かな?」

りみが首を傾げながら言う。今、2人の目の前に広がってる風景は囲炉裏っぽい柵に囲まれ、真ん中にはチロチロと火があがっていた。さらにその上には大きな茶釜がぶら下がっていた。

「う~ん。ちょっと違うかな?これは「消えずの火」って言われてるんだ。」

「消えずの火?いつから燃えてるの?」

「1200年前。」

「え?」

「だから、1200年前だよ。ずっと、燃えてるから恋人達に人気のスポットみたいだよ。…この恋も消えないようにって…。」

流暢に説明していた潤だったが、だんだん恥ずかしくなったのか、語尾は小さくなっていった。

「そうなんだ。なら、いっぱいお祈りしなきゃだね。」

りみは微笑むと、手を合わせ目を瞑った。

 

─────────────────────

「いっぱい歩いたね。潤くん疲れてない?」

「大丈夫だよ。ありがとう。一応、男だから体力はりみよりあるはずだよ。」

ホテルに戻り、部屋で2人は寛いでいた。部屋には西日が差し込んでおり、海面をオレンジ色に染めていた。

「このお部屋凄いね。こんなに海が見えるとこに泊まったの初めて。」

「僕もそうだよ。…宮島はどう?楽しい?」

「うん!とっても楽しいよ。でも…。」

「でも?」

「楽しいのはきっと潤くんと一緒だからだよ?多分、ポピパの皆と来ても楽しいと思うけど…。大好きな人とこうして旅行出来るってこんなに幸せなんだって思ってるよ?」 

りみはニコニコしながら言った。いつもこんな甘い台詞を言う時は恥ずかしがるりみだが、今日は潤の目をまっすぐ見て言った。旅行で見知らぬ土地にいるからか、りみのテンションはいつも以上に高かった。

「りみ?う、嬉しいんだけど…。ちょっと恥ずかしい…かな?」

「えへへ。普段は恥ずかしくて言えないなけど、潤くんには本当に感謝してるよ。潤くんと出会ってから引っ込み思案も、ちょっとだけ良くなった気がするしね!」

「どう致しまして…。って!恥ずかしいから!もう恥ずかしいからこの話題はおしまい!…。夕飯前にお風呂に入りに行かない?」

顔を真っ赤にした潤は無理矢理、話題を変えた。

「お風呂…。それなんだけど…。」

「ん?どうしたの?」

「この部屋って、露天風呂があるよね?」

りみは部屋に設置してある風呂場の方を見て言った。

「うん。あるけど?そっちに入りたい?」

「せっかくだから…。そ、それとね…。」

「うん?」

「い…一緒に…。は…入らない?」

りみは潤の袖を掴んで言った。

「はい?ごめんね。聞き間違えかな?一緒に露天風呂に入りたいって言ったのかな?」

「…うん。」

「ま、ま、ま、マジで?無理無理無理無理!は、恥ずかしいって!」

潤は顔を真っ赤にして叫んだ。

「わ、私だって恥ずかしいよ!?でも…。は、離れたくない…から。だ、だから…。」

りみは掴んでいた袖を自分の方に引き寄せ、潤の腕にしがみつきながら言った。

「…ほ、本当に良いの?」

「うん…。ば、バスタオル巻いたら、か、隠れる…よね?」

「…わ、分かったよ…。は、恥ずかしいけど…。」

「うぅ…。な、何で潤くんが恥ずかしがってるの?こ、こうゆうのって、普通、男性から誘わないの?」

りみは余程恥ずかしいのか目を潤ませながら潤を見た。初心なカップルである2人であるが、また新たな一歩を踏み出そうとしていた。

 

─────────────────────

翌朝、目を覚ましたりみは混乱した。

「(あれ?ここ…。どこだっけ?)」

むくりと身体を起こし、周りをキョロキョロと見渡した。

「(そうだ…。潤くんと旅行に来てたんだ…。)」

「り、りみさん?」

段々と覚醒してきた頭で考えていると横から潤が声をかけた。

「あっ!潤くん、おはよう。」

「お、おはよう…。」

りみが元気よく挨拶をしたが、潤はプイっと横を向きながら挨拶をした。

「潤くん?どうしたの?」

「り、りみ?ゆ、浴衣が…。」

「へ?」

潤に言われ、りみは自分の姿を確認した。夜、寝ている間に寝返りをしたのか、りみの浴衣ははだけていた。

「じ、じ、潤くんのエッチ!」

りみは叫んで洗面所に向かった。

「えぇ~…。ぼ、僕が悪いの?」

理不尽なりみの発言に潤は頭を抱えて呟いた。

 

「おはようございます!朝食です。」

りみが支度をしてからちょっとして朝食が運ばれて来た。

「おはようございます。ありがとうございます。」

潤は立ち上がり、座椅子に腰かけた。

「潤君!昨日、ロビーであまり話せなかったけど覚えてるかな?」

朝食の準備をしながら、仲居は潤に声をかけた。

「えっと…。昨日、じいちゃんの所に案内して頂いた仲居さんですよね?」

「そうですよ!その様子だと覚えてない…かな?」

「す、すみません!」

「ううん。大丈夫!ゆっくり思い出してね?では、ごゆっくりどうぞ!」

「え?」

仲居の発言に潤はビックリしていた。

「(お、教えてくれないんだ…。)」

「潤くん?覚えてないの?」

「うん…。全く…。」

潤が苦笑いしながら答えた。

「そっか…。お、思い出せそう?」

「う~ん…。まぁ、食べながら考えるよ!」

潤が改めて机の上を見ると豪華な朝ご飯が並んでいた。

「めっちゃ美味しそう!…痛っ…。」

食事に目を輝かせたりみだったが、動いた瞬間に顔を顰めた。

「りみ?大丈夫?」

「う、うん!だ、大丈夫だよ!」

りみは苦笑いしながら座椅子にゆっくり座った。

「どこが痛いの?昨日、いっぱい歩いたから筋肉痛?」

「え?潤くん?」

「え?」

「わ、分からない?」

「なにが?」

「むぅ~…。潤くんのバカ!」

プクッと頬を膨らませたりみは潤に向かって叫んだ。

「え?え?りみ、なんで怒ってるの?」

「もう知らない!」

潤の事を無視するようにりみは朝食に手を付けた。ちなみに、りみの機嫌はお腹がいっぱいになった事で治るのであった。

 

 

 




不定期更新にはしてますが、本当に遅くなってしまってすみません。
せめて2週間に1話あげれるように頑張ります…。

旅行編は多分、後2話くらいになるかと思います!
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