ソウソウさんの作品、「Dreamer of Drummer」とコラボさせて頂きました。
同じ世界観で違うお話しとなっています。ソウソウさんの作品も是非読んで下さいね!
ソウソウさんの作品
Dreamer of Drummer
https://syosetu.org/novel/147229/
チョココロネの逆襲 ※コラボ作品
「毎度ありがとうございます♪りみりんにもよろしく~!」
潤は沙綾からパンパンになった袋を受け取る。中身はチョココロネが大半を占めている。端から見れば、「チョココロネが大好きなお客さん」だが、それならばもっとホクホクとした顔をしているはずである。しかし、潤は深~いため息をついていた。
「(今日もからかうだけからかわれて、気付いたら大量のパンを買ってる…。)」
潤は軽くなった財布を見て、再びため息をついた。
潤がやまぶきベーカリーに通うようになったのは彼女であるりみからの薦めとそのパンを美味しさにハマったからだ。どのパンも美味しく、正直外れは絶対にないと言い切れる。しかし、そんな美味しいパンを手に入れる為に潤は多大なる犠牲(潤の精神力と財力)を払わなければならない。なぜなら、やまぶきベーカリーの看板娘「山吹沙綾」のせいだ。今日も潤がりみにした告白の事で笑われたり、りみの名前をどんどん出してチョココロネを追加された。よく言えば商売上手、悪く言えば潤をからかって楽しんでると言える。
「(なんでこんな事に…。毎回、凄い量のチョココロネ…。いや、美味しいんだけどさ…。)」
潤は考えていた。本当に気付けばこうなっている。しかし、潤もただ沙綾に言われるままになっている訳ではない。やまぶきベーカリーに行く前はシミュレーションにシミュレーションを重ね「今日こそはからかわれないようにしよう。」「自分の欲しいパンだけ買う!」と心に決めているも、上手くいった試しがない。
「(う~ん。ここまで来て負けっぱなしは悔しい…。絶対にギャフンと言わせてやる!)」
潤はパンが入っている袋を手に自宅に帰るのであった。
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「ただいま~。」
潤が玄関を開けると、彼女であるりみが飛んできた。
「おかえり。お邪魔してるよ?」
りみは料理の勉強の為、朝と夕の前には必ず潤の家に来ていた。
「りみ。ただいま。今日は早いね。」
「うん。ポピパの皆、用事があったから早めに来ちゃった。潤くん?その手に持ってるのはひょっとして…。」
「うん。やまぶきベーカリーのパンだよ?」
「え!?本当に!?チョココロネは?」
「もちろんあるよ。」
潤がりみにやまぶきベーカリーの袋を渡すと直ぐに中を開けた。
「チョココロネやぁ~。しかも、こんなに沢山!潤くん。ありがとう!」
満面の笑みで喜ぶりみを見て、潤は
「(この笑顔が見れるなら買ってきて良かった。)」
と思った。しかし、直ぐにブンブンと首を振った。
「(ダメダメ!買ってるじゃなくて買わされてるんだから!どうにかしないと…。)」
とう~んと考えた。
「はむっ。潤くん…。どう…したの?」
りみはチョココロネを食べながら聞いた。
「りみ?とりあえず、チョココロネ食べてからで良いよ?」
りみに向かってニッコリ笑うと潤は着替えをする為に、自室に戻った。そして、リビングに向かうとりみはまだチョココロネを堪能していた。凄く幸せそうな表情で…。
「潤くん?さっきは何を考えてたの?」
チョココロネを食べ終わったりみは聞いた。
「えっとね。山吹さんの事なんだけど…。」
「山吹さん?沙綾ちゃんのことかな?」
「そうだけど…。あれ?沙綾さん以外に山吹さんっているかな?」
「ううん!何でもないの!それで、沙綾ちゃんがどうしたの?」
りみが手をパタパタさせながら言った。
「えっとね。やまぶきベーカリーに行く度にね。毎回からかわられててね。なんかギャフンって言わせたいなぁって。」
「からかわれる?どんな風に?」
「りみの事だったり、りみの事だったり…。りみの事だったり?」
潤が指を折りながら言う。
「わ、わ、私のこと!?例えばどんなこと?」
「…りみにした告白の事とか、りみと何処まで進んだかとか挙げれば切りがないかな?」
潤は苦笑いする。りみはそれを聞いて顔を真っ赤にした。
「こ、答えたの?」
「まさか!」
潤は焦って言った。
「(大体、何処まで進んだかって、りみとはキスくらいで…って何言わしてるんだよ!)」
心の中で潤はツッコミを入れた。
「う~ん。沙綾ちゃん。私の前ではそこまで言わないのに…。う~ん。沙綾ちゃんをギャフンと言わせたいかぁ~…。あっ!」
りみは頭を捻っていたが、突然、手をポンと叩いた。
「何か思いついたの!?」
「確か、沙綾ちゃんにも好きな人がいたはずだよ?」
「…本当?」
りみは「確か…。」と自信なさげに言った。しかし、潤にとっては朗報だった。
「りみ!それいけるよ!僕はいつも大好きな彼女のりみの事でイジられてるんだ!だから目には目を、好きな人の話なら好きな人の話をだよ!よ~し!絶対ギャフンって言わせてやる!」
「…じ、潤くん?」
やる気をみせた潤だが、りみは恥ずかしそうに潤の袖を引っ張って潤を呼んだ。
「りみ?」
「い、今、だ、大好きって…。」
「あ…。」
「もう1回言って?」
上目遣いで目を潤ませながら見るりみに潤はノックアウト寸前になった。
その頃、やまぶきベーカリーでは…。
「くしゅん!」
「………風邪でもひいたん?」
「くしゃみ一つで流石に違うと思うけど。あ、誰かが私の噂をしてたとか」
「だとしたら。さーちゃん、また何かやらかしたんか」
「またってどういうことかな~?でも、心配してくれてありがとね、ソウ君」
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次の日、潤は戦場に向かっていた。
「(山吹さんを揺するネタもある。どんな風に聞くかもシミュレーションもバッチリ!そして、一応…財布の中身も補充した。)」
ここまでしたならバッチリと潤はグッと手に力を入れた。
「よし!やってやるぞー!」
気合いをいれる為に叫ぶ!
「ママ~。あのお兄ちゃん何してるの?」
「しっ!早くいくわよ!」
完全に不審者となった潤は「…あっ。」と呟き、足早にやまぶきベーカリーに向かった。それから歩いて5分後には到着していた。
「(よし。行くぞ!)」
潤は扉を開いて中に入った。
「あっ!潤君。いらっしゃい。チョココロネ焼きたてだよ!」
笑顔の沙綾が出迎えてくれた。
「やぁ!山吹さん。こんにちは。」
トングとお盆を持って、店内を潤は回った。
「(えっと、メロンパンとカレーパンにしようかな?)」
「チョココロネ焼きたてだよ?」
「(あ~でも、カツサンドも美味しそうだなぁ~。)」
「愛しの彼女の大好物のチョココロネが焼きたてだよ~?」
「(うっ…。いやいや。いつもこの言葉にやられて、チョココロネを買ってしまうんだ。)」
「可愛いくて、可愛いくてしょうがない彼女の大好物のチョココロネが焼きたてだよ?一宮潤君?」
「あーもう!分かったよ!チョココロネ1個買うよ!」
「毎度、ありがとうごさいます!」
「(し、しまった!また山吹さんに乗せられてしまった。)」
ニヤリと笑う沙綾に潤は苦笑いをした。
「(よし!自分のパンを選び終えた!仕掛けるならレジにパンを置いた時だ!)」
潤は何度目か分からない気合いを入れてレジに向かう。
「いつもありがとうね!お会計で良い?」
「うん。ありがとう。ところで、山吹さん?」
「なに?」
沙綾はパンを袋に詰めながら答えた。
「あのさ、好きな人…いるでしょ?」
「うん!香澄でしょ。おたえでしょ。有咲でしょ。もちろんりみりんも大好きだよ!」
「そういうことじゃ無くて!」
指を折りながら笑顔で言う沙綾を潤は慌てて止めた。
「え?好きな人でしょ?」
「山吹さん!惚けないで!好きな異性がいるかって事だよ!」
「いないよ?誰から聞いたの?」
「え?」
「だから。いないって、そんな人。私、女子校だよ?出会いないって!」
あはは!と笑いながら言う沙綾に潤は唖然とした。
「(う、嘘?りみの情報、間違ってたの?)」
「誰から聞いたの?りみかな?」
「…うん。」
「やっぱり~。なら、間違ったからチョココロネ1個追加しとくね?」
「え?」
笑顔を崩さず勝手に袋の中に沙綾がチョココロネを1個追加した。
「もう1個買ったら、りみ喜ぶだろうなぁ~。昨日もりみ喜んだでしょ?」
「い、いや。喜んだけど、これ以上は…。」
「え?いらないの?」
「…頂きます。」
りみの喜ぶ姿と財布の中身を天秤にかけた潤。天秤にかけた時点でチョココロネを1個追加する事が確定してしまった。
「はい!お会計900円ね!」
潤は泣きそうになりながらお金を出した。今日も潤の完敗であった。ちなみに、家に帰り、チョココロネを3つ出すと、りみは苦笑いしながらもあっという間に食べてしまった。
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沙綾の好きな人を聞いてから数日が経っていた。しばらくバイトが忙しく、なかなか山吹ベーカリーに寄れなかった潤。今日はバイトが休みだった為、学校終わってすぐに帰宅していた。
「(からかわれるけど、やまぶきベーカリーのパン食べたいなぁ~…。)」
帰宅時間はちょうど小腹が空く時間帯だった為、余計にも潤の足はやまぶきベーカリーに向かった。
「(パン、何にしようかな?)」
こういう時、外れがないパン屋だと、何にするか迷ってしまう。潤の脳内はメロンパンにしようか、クロワッサンにしようかと考えていた。
「(着いちゃった。まぁ、店内に入ってから悩もう。)」
そう考えながら扉に手をかける。しかし、潤はその扉を開けずに固まってしまった。
「(あれ?山吹さんだよね?凄く楽しそう?)」
潤は扉を開けるのを辞めて、店内を覗いた。
「あれは…誰だ?」
あきらかに潤より高い身長。そして、中性的な顔立ちをしている青年がいた。
「あれ?山吹さんに…似てる?かな?」
尚も楽しそうに会話をする沙綾。潤はため息をついた。
「何が好きな人はいないだ。バッチリいるじゃん。」
沙綾の表情はりみと同じ、つまり恋する乙女のような雰囲気だった。
「…とりあえず、入ろうかな?外にいてもしょうがないし…。」
潤は再び、扉に手をかけて入店した。
「こんにちは。山吹さん。」
「あっ。潤君。いらっしゃい。」
沙綾が恋する乙女の雰囲気を捨て去って、いつも通りの接客をすると、沙綾と話していた青年も潤の方をみた。
「ん?どっかで見た記憶があるような………」
「ソウく~ん?一緒の職場でバイトしてるでしょ」
「え?貴方もCiRCLEで働いてるんですか?」
「なんで潤君も知らないの?」
沙綾と話していた青年、山吹蒼真と一宮潤はCiRCLEでバイトをしている。
「なんでだろ?」
「まぁ………まりなさん曰く俺は出現率稀な珍獣的扱いらしいし」
蒼真と潤は顔を見合わせながら言った。そして、自己紹介をした。
「山吹さんのバンドの事はよく聞いてますよ!アークラでしたよね?」
「おっ?知ってもらえてるとは光栄やね。これでも、さーちゃんと同じドラムをしてるんよ。それと俺の事は蒼真でもソウでもお好きな方で呼んでくれたらええよ。山吹やと被っちゃって面倒やし」
「なら、蒼真さんと呼びますね!」
「う~ん………敬語も無しでええかな」
「それは無理です!蒼真さん年上でしょ?」
「あのさぁ!」
潤と蒼真が盛り上がっていると、レジにいる沙綾はレジを「バン!」と叩き叫んだ。潤と蒼真はビクッとなり、沙綾を見ると、不機嫌そうな沙綾がいた。
「レジの前で喋ってるけど、パン買うの?買わないの?」
「「か、買います…。」」
沙綾の迫力に潤と蒼真はパンを話ながら選び出した。
「潤はパンを買いに来たんやろ?何にすんの?」
「そうですね…。いっつも迷っちゃうんですよね。」
「やったらさ、チョココロネなんてどう?」
「…。蒼真さんもチョココロネを勧めますか?」
「ん?」
「いつも山吹さん…沙綾さんに大量に勧められるんです。」
「ほほ~ん。やからか。最近、チョココロネの売れ行きが無駄に上がってるのは」
「蒼真さんは牛込りみさんってご存じですか?」
「そりゃ、もちろん。チョココロネ一筋ポピパのベース担当りみりんちゃん」
「…。実は僕の彼女なんです。」
「………そっか。りみりんちゃんの彼氏………彼氏!?」
潤の発言に蒼真は驚いた。
「本当ですよ。それで、沙綾さんにいつもりみの名前を出されてチョココロネを…「潤君!ストップ!」…です。」
潤が喋っている途中で沙綾が叫んで遮った。
「さーちゃん?急にどした?」
「あっ…いや…。な、何でもない!」
「へー」
沙綾は顔を赤くして俯いた。そんな沙綾を見て潤は「(やれやれ。)」と心の中で呟いた。
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それから少し経って、蒼真はバンド練習の為、帰って行った。潤もパンを選んで、レジに向かった。
「やれやれ。好きな人はいないって言った山吹さん?会計お願いします。」
「…はい。」
沙綾は尚も顔が赤いまま、慣れた手つきでパンを詰める。
「蒼真さんの事が好きなんだよね?表情が恋する乙女だったよ?」
潤がニヤニヤしながら言うと、悔しそうな表情で沙綾が「潤君の癖に…。」と呟いた。
「そう言えば、今日はチョココロネ、勧めてこないね。」
「…今日は良い。」
普段、からかわれている潤だが、今日だけは勝ちを確信した。
「いやぁ~。良い物見させて貰ったよ~。今日は気分が良いからチョココロネ買っていくよ!5個貰うね!」
「え?今日は良いって。」
「大丈夫だって!」
沙綾の発言を無視して潤はチョココロネを追加した。
「ありがとうございました。わ、分かってると思うけど、ソウ君には内緒にしてね?」
「もちろんだよ。じゃあ、また来るね。」
潤はやまぶきベーカリーを清々しい気分で出た。
「(遂に山吹さんに勝った!…でも、本当に好きな人居たんだなぁ…。もし、協力出来る事があったら惜しみなく協力しよう…。山吹さんが僕に相談するかどうか分からないけど…。)」
潤は考えながら家に向かった。家に着くと美味しそうにチョココロネを沢山食べているりみがいて、潤は固まった。
「(このチョココロネどうしよ!…って、山吹さん、チョココロネを勧めなかったのは既にりみが沢山買ってたから?…じゃあ、別に僕が蒼真さんに会わなくても勧めなかったの!?)」
潤は額に手を当て、項垂れたが、「(まぁ…いっか!)」と思い、追加されたチョココロネを嬉しそうに見つめるりみを見ていた。
いかがでしたでしょうか?
初コラボ作品ということで、戸惑ってしまう部分もありましたが、とっても楽しく書けました。自分には無い作風、そして文章の書き方など本当に参考になりました!
貴重な機会を頂いて、ソウソウさんには本当に感謝してます!
ソウソウさんの作品、「Dreamer of Drummer」は本当に面白いので是非読んで下さいね!