日常の中にチョコより甘い香りを   作:ぴぽ

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コラボ第3段です。
今回は空丘ルミィさんとのコラボです。
空丘ルミィさんの方では既にアップしています!
そちらも合わせてよろしくお願いします。

作者:空丘ルミィ
作品名:終わりと始まり
https://syosetu.org/novel/208672/

Twitter:https://mobile.twitter.com/Kanon_roomy_ako


大事な大事な報・連・相

12月31日と言えば、ほとんどの人間が「大晦日」と答えるだろう。1年最後の日だからかは分からないが、ワクワクするようなドキドキするような不思議な気持ちになる。そんな日の夜、潤とりみは潤の家のリビングにあるコタツに入り、歌番組を見ていた。

「今年も…終わっちゃうね。」

「そうだね。今年は色々あったなぁ…。」

「私も…。ポピパに入って、潤くんとも仲良くなれたし。」

りみはコタツに置いてあるミカンを取ると皮を丁寧に剥き出した。時刻は夜8時。先程、年越しそばを食べたばかりなのにも関わらず、ミカンを食べる彼女に潤は苦笑いを浮かべた。

「相変わらず、よく食べるよね?」

「ふぇ?ふ、普通…じゃないかな?」

りみは恥ずかしそうに言うも、手を止める事はなく、次々と口にミカンをほうばっていった。

「ところで、潤くん?」

「なに?」

「紗夜さんや日菜さんは来ないの?」

「え?なんで?」

「へ?えっと…。なんとなく来そうかなって思って。」

「あはは!流石に大晦日に来ない「ピンポーン」よ…。え?」

潤のセリフを遮るように無機質なインターホンの音がリビングに響いた。

「…潤くん?」

「…分かったよ…。コタツから出たくない…。」

潤はコタツから出るとぶるっと身震いをした。

「まさか、本当に紗夜姉さんと日菜姉さんじゃないよな。」

潤はぶつくさ言いながら玄関の扉を開けた。

 

―――――――――――――――――――――――――――

「こんばんは。」

「潤君!こんばんは!来たよ~。」

「あ…。」

潤は目の前に現れた親戚の姉2人に寒さを忘れ固まっていた。

「潤さん?どうしましたか?」

「本当だよ~!普段からだらしない顔なのに、更にだらしなくなってるよ!」

紗夜はため息をつき、日菜はお腹を抱えて笑っていた。

「…だらしなくて悪かったですね。いきなり連絡もなしに来る姉さん方もどうかと思いますよ?って、無視しないでください!」

潤の発言を右から左に流しながら玄関で靴を揃えていた。そして、靴を脱いだ日菜はニヤっと笑っていた。

「りみちゃーん!」

日菜は急に叫ぶとリビングに向かって走り出した。

「ひ、日菜姉さん!?」

「きゃー!」

りみの叫び声が潤の家に響いた。りみの叫び声を聞いた潤は焦ったように玄関からリビングに飛び込んだ。

「あはは~!りみちゃんの反応は面白いなぁ~!」

「ひ、日菜さん!や、や、やめて下さい!あはは!」

潤が見た光景はりみが日菜に捕まり、脇やら横腹を擽られていた。急に抱きついてりみがビックリして悲鳴をあげたと思われた。

「日菜!止めなさい!」

後からリビングに来た紗夜も日菜の行動に眉間に皺を寄せながら言った。

「えぇ?なんで?」

日菜は首だけを紗夜の方に向けた。手は起用に動かしたままだった。

「日菜姉さん!本当に止めてください!りみが、りみが死んじゃうって!」

潤が叫ぶと、日菜はりみの方を向いた。りみは笑いすぎて、涙を流し、変な表情になっていた。

 

―――――――――――――――――――――――――――

「りみ?大丈夫?」

「…うん。」

潤の横に座ったりみは身体を潤に預けてぐったりしていた。

「日菜?」

「……ごめんなさい。」

紗夜に怒られた日菜はシュンと言う擬音がピッタリ合う様子で頭を垂れていた。

「ひ、日菜さん。私は大丈夫なので…。気にしないでください。」

りみはそう言うと、ギュッとここぞとばかりに潤を抱きしめた。

「はぁ。潤さんに牛込さん。仲が良いのは良いことですが、私たちもいるので、イチャイチャするのは帰ってからにして頂きたいのですが…。」

「えー?イイじゃん!私だって、これくらいするよ?」

紗夜の言葉にりみはパッと潤から離れたが、潤はそれよりも日菜の言葉の意味が分からず、首を傾げていた。

「日菜姉さん?私だってって…どういう事?」

「んー?そのままの意味だよー?」

「日菜、それでは分からないでしょ?ちゃんと言いなさい。」

紗夜はため息をつきながら言うと、日菜は元気よく「はーい!」と手を上げた。

「えっとねー。彼氏が出来たから。」

「…マジ?」

「マジマジ!大マジだよ!」

潤は日菜の顔をじっと見た。始めは嘘をついているのかと思った為だ。しかし、日菜はニコニコしているだけであった。

「日菜先輩!おめでとうございます!」

日菜のニコニコに釣られたのか、りみもニコニコしながら言った。

「潤君は喜んでくれないの?」

「日菜、しょうがないでしょ?普通はビックリするでしょ。」

「はぁ。日菜姉さんの彼氏はどんな方なんですか?」

潤は頭を抱えながら言った。一方のりみは興味津々な様子で、身体を前に乗り出していた。

「えーとね!るん♪ってくる人だよ!」

「る、るん?」

日菜の独特な言葉にりみはニコニコしたまま首を傾げていた。

「りみ。大丈夫。僕もわからないから。」

「なんでー!?なんで分からないの?るん♪はるん♪だよ?」

「…着いてきて正解でした。きっと、こんな風に伝わらないと思いました。」

紗夜は小さくため息をつきながら言った。

「紗夜姉さん。ありがとうございます。改めて聞きますね。日菜姉さんの彼氏さんはどんな方なんですか?」

「…潤さんに似ている部分がありますね。」

「僕に?」

「えぇ。彼も、過去に色々ありましたから。まぁ、潤さんと違って、真面目な方です。」

紗夜は淡々と言った。潤は苦笑いをしながらりみを見たが、りみはムスッとした表情を浮かべていた。

「り、りみ?どうしたの?」

「さ、紗夜さん!潤くんだって真面目ですよ!」

「そうですね。CiRCLEでは真面目ですよ。CiRCLEではね。」

“ では”の部分だけやたら強調して紗夜は言った。

「冬休みの課題はやっていますか?」

「やってますよ。りみと毎日課題を片付けています。」

「そうですか。やはり、牛込さんと付き合って良かったです。牛込さん、ありがとうございます。」

紗夜は頭を深々と下げた。そんなことをされたらりみは焦り、手を身体の前でブンブンと振った。

「それで、日菜姉さんと彼氏さんはどうやって出会ったの?」

「拾ったの!」

「はい?なんですかそれ?まるで捨て犬を拾ったみたいに…。」

「道端で倒れてたから拾ったんだよ!」

日菜はテンション高く喋っていたが、潤は怪訝そうな表情を浮かべていた。

「私も最初は驚きましたが、今は彼がいてくれて良かったと思います。」

「紗夜姉さんがそこまで言うって、余程信頼されてますね。」

「そうですね。貴方より、信頼出来ますよ。」

紗夜はそう言いながら、コタツの上に置いてあるミカンに手を伸ばした。一言余計なんだよと潤は思っていた。

「それで…お名前はなんと言うんですか?」

「やっぱり、潤君、気になるんだー!りみちゃんしか見えてないかと思ってたよ!」

「良いから!日菜姉さん、質問に答えて!」

「緋翠って言うんだよ。」

日菜はスマホのメモを操作すると「漢字はこう書くんだよ!」と言いながら潤とりみにスマホを向けた。

「難しい字…。」

「テストの時、大変そうだね…。」

「名前もかっこ良いけど、性格も顔もかっこいいんだから!」

日菜は胸を張って言うも、潤とりみは苦笑いを浮かべた。

「緋翠さんは苗字を氷川に変えてずっと住んでいるんですよ。だから、私の弟みたいな…。」

「ち、ちょっと待って!」

紗夜が日菜の話の補足を喋っていたが、潤はそれを慌て止めた。

「どうしましたか?」

「…初耳なんだけど?」

「初めて言いましたから。」

「紗夜姉さん!さっきから思っていたけど、僕にあれだけ報告はきちんとするようにって言ってて、自分は報告してないじゃないですか!これを知らずに紗夜姉さんの家に行ってたら驚くじゃ済まなかったよ?」

「そうですか。うちに来る予定を聞いていれば伝えるつもりでしたよ。それに、私は貴方が心配だからちゃんと報告するように言っただけです。貴方がちゃんとしていれば、こんな事いってませんよ。」

いつものように凛々しい顔で答えた紗夜であったが、手元はミカンのアルベドと格闘をしていた。

「うちには突然来るくせに…。」

潤の呟きが、悲しく響いた。それを聞いたりみは苦笑いをまた浮かべた。

 

―――――――――――――――――――――――――――

それから1時間後、紗夜と日菜は自宅に戻っていた。

「結局、姉さん達は何をしに来たんだろ。」

「知らない…よ?」

「りみ?姉さん達が来ること、知ってたでしょ?」

「ふぇ!?なんで分かったの!?…あ。」

潤は「やっぱり。」と言いながら、ニコッと笑った。

「な、なんで分かったの?」

「姉さん達が来る前からおかしかったもん。予想だけど、ばったり出会って、僕を驚かせたいから行く事を黙ってて。とか言われたんじゃない?」

潤が推理を披露すると、りみはコクっと頷き「正解」と言った。

「はぁ~。やっぱり私、演技とか苦手だなぁ…。」

「良いんじゃない?演技をする場面なんて早々無いよ。」

潤はそう言うと立ち上がった。

「潤くん?どうしたの?」

「コーヒー飲もうと思ってね。いる?」

「う~ん。コーヒーよりココアが良いなぁ。」

「良いよ!了解!」

潤は笑いながら言うと、台所に向かった。コタツから出ると、暖房で暖まっているはずの部屋が寒く感じ、身体をブルっと震わせた。

「ねぇ?潤くん?」

「なに?」

「緋翠君の過去、気にならないの?」

「なんで?」

「えっと…。普通、気にならない?私、気になっちゃったけど、潤くんが聞かないから…。」

りみは再び、ミカンに手を伸ばしながら言った。

「気にはなるよ?でも、僕もそうだけどさ、あまり過去を聞いて欲しくないこともあるんだよね。だから、緋翠君に会って、本人の口から聞くべきだと思うんだよ。だから聞かなかったの。」

潤はインスタントコーヒーとココアを準備しながら言った。

「そっか…。そうだよね…。私、そこまで考えなかったよ。反省…だなぁ~。」

「そこまで、気にしなくても良いんじゃない?話したくない過去の出来事なんて誰もが1つや2つあるだろうし、その過去の話が僕みたいにトラウマになっている人もいるだろうし、そうじゃない人もいるしね。」

「そうかなぁ~…?でも、あの緋翠君が道端で倒れて、それで…。」

「りみ!?知ってるの!?緋翠君の事!?」

りみが反省を口にしている最中に、潤は上から被せるように叫んだ。

「う、うん。顔見知りくらいだけど…。やまぶきベーカリーで会うんだ。」

「僕、会ったことないよ!?」

「たまたまじゃないかな?」

潤は納得いかないという表情を浮かべたが、りみと潤ではやまぶきベーカリーに行く回数が天と地の差くらいあるので、出会ってなくても当然である。

「まぁ…。いずれ会えるよね。もう1人親戚が出来たみたいなもんだし。はい。ココア。」

「ありがとう。そうだね。潤くんと緋翠君なら仲良くなれると思うよ?」

「そう?なら、会う日を楽しみにしているよ。…コタツ、最高。」

潤はコーヒーを机に置くと、すぐにコタツに入った。

「潤くん、オジサンみたいだよ?」

潤の反応にりみはクスクス笑うと、潤は「いーの!」と言い、う~んと伸びをした。

「あれ?りみって、緋翠君の事、知ってたんだよね?」

「うん。でも、本当に顔見知りくらいだよ。どうしたの?」

「さっき、緋翠君の漢字を日菜姉さんが見せてくれた時に覗き込んでいたから…。」

「あぁ!名前は知ってたけど、漢字までは知らなかったからだよ。どういう漢字を書くんだろって気になってて…。」

りみはそう言うと、潤はなるほどと呟き、コーヒーを口にした。

「りみは今日、泊まるの?」

「うん。そのつもりだよ?」

「いやぁ。助かるよ。流石に大晦日1人は寂しかったからさ。」

「全然大丈夫だよ。…潤くん、来年もよろしくね?」

「こちらこそよろしくね。」

潤はまだ見ぬ、新たに出来た親戚に、胸を馳せながら大晦日を過ごすのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




コラボを誘って下さり、ありがとうございました。
こうして、誘って頂けると本当に嬉しく思います。
空丘ルミィさんは「終わりと始まり」以外にも多くの作品を書いてますので、是非、読んでください!
日菜を書くのって…。難しい…。

作者:空丘ルミィ
作品名:終わりと始まり
https://syosetu.org/novel/208672/


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