日常の中にチョコより甘い香りを   作:ぴぽ

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3話

「…出演バンドは以上…なんですが…。」

潤はまりなに向けて、第3回ガールズバンドパーティーの途中経過の報告をしている最中である。

「…私は良い感じと思うけど…。何か悩んでるの?」

まりなは潤の作った資料を読みながら言った。

「はい…。このままでは、前と、第2回と同じなので…。何か他に面白いアイディアは無いかと…。」

「なるほど…。出演バンドに話は聞いたの?」

まりなが言うと、潤は頷き、苦笑いしながら別の資料を出した。

「もちろん聞きました。結果がこれです。」

まりなが目を通すと、資料には   Poppin`Party「キラキラドキドキするライブ」Pastel*Palettes「潤君にお任せ!」

Roselia「頂点を目指せるライブ」

Afterglow「いつも通り」

ハロー、ハッピーワールド「笑顔になるライブ!」

と書かれていた。

「なんか、皆らしいね。」

「ですね…。」

「出演バンドはこの5組で決定なの?」

「いえ。そういう訳ではありませんよ。今はこの5組だけという話です。」

「ふぅ~。」とため息をつき、潤は頭を掻いた。

「まぁ、まだまだ時間あるし、考えたら大丈夫だよ!私も相談に乗るから。」

まりなはウインクをしながら言った。

「ありがとうございます。まぁ…。悩みます。」

潤はそう言うと、パソコンに向かいだした。

「そうそう!潤君?これ、貼っといてくれる?バンドには関係ないけど、学生が多いから貼って欲しいって頼まれてね。」 

「分かりました。」

潤がポスターを預かり、広げて、内容を確認した。ポスターの内容は夏休みを使って、山の中で自然に戯れようといった物だった。

「潤君はあまり興味なさそうな内容だね。」

まりなもポスターをのぞき込みながら言った。

「そうですね。仲間内でバーベキューとかなら良いですが、こう言うのは…。」

「だね。…でも、確かにバーベキューは良いよね!外で食べると一段と美味しいもんね!」

まりなは想像しているのか、目を瞑りながら言った。手の動きから察するに、缶ビールを開けているのだろうか、プルタブを起こす動作をしていた。

「月島さんって、お酒飲むんですね。」

「まぁ、嗜む程度にね。バーベキューなら飲まなきゃ!」

「まぁ、皆でバーベキューも…。待てよ…。外…。」

潤は発言している途中で固まった。表情は目を見開いていた。

「潤君?どうしたの?」

「これだぁぁぁ!」

潤は叫ぶと、まりなから渡されたポスターを投げ捨て、パソコンに向かいだした。

「…何か思いついたみたいね…。ポスターは私が貼りますか。」

まりなは床に落ちたポスターを拾い、ニコニコしながら、窓ガラスの方に向かって行った。

 

─────────────────────

それから数日後、CiRCLEには、第3回ガールズバンドパーティーの言いだしっぺであるRoseliaのメンバーが潤に呼ばれ、集まっていた。

「皆さん、今日は集まって頂きありがとうございます。」

潤はホワイトボードの前に立ち、ペコリと頭を下げた。

「今日は、ガールズバンドパーティーの途中経過をお知らせしたくて、集まって頂きました。…でも、まずは皆さん、デビューおめでとうございます。」

再び、潤が頭を下げながら言うと、5人分の「ありがとう。」と言う返答があった。

「潤。かなり悩んでたみたいだけど、なにか進展があったのかしら?」

友希那は腕を組みながら言った。

「勿論です。でも、僕がお話しする前に質問があるのですが、聞いても良いですか?」

潤が申し訳なそうな表情を浮かべながら言うと、「もちろんよ。」と友希那が答えた。

「では。えっと、なぜガールズバンドパーティーをやりたいと仰ったのですか?」

「やりたかったからよ?」

「湊さん。それでは答えになっていません。潤さん、私から話しますね。潤さんも知ってる通り私達はデビューします。しかし、デビューするとなると、今までみたいに自由にCiRCLEなどでライブをすると言うのは難しくなります。私達は自分達の実力だけで、デビュー出来たとは思っていません。このCiRCLEで様々なバンドとライブをして、切磋琢磨してここまで来れました。なので、他のバンドの方に感謝の気持ちを伝えたくて、提案させて頂きました。もちろん、潤さんにも感謝をしてますよ。」

紗夜がお手本のように分かりやすく説明をした。それを聞いた友希那は「そういう事よ。」と澄ました表情で言った。他のメンバーは苦笑いしていた。

「潤君も協力してくれてありがとうね☆」

「…ありがとう…ございます…。」

「潤君!ありがとうー!」

次々と感謝を伝えられ、潤は照れくさくなり、頬をポリポリと掻いた。

「こちらこそありがとうございます。Roseliaのお陰で、僕も沢山、良い経験が出来ました。…では、第3回ガールズバンドパーティーの途中報告をします。…会場が決まりました。」

「…CiRCLE…では無いのですか?」

燐子は首を傾げながら言った。他のメンバーも少し驚いていたが、潤の発言を待っていた。

「はい。Roselia皆さんにもう1つだけ聞きます。夏休み、正確に言えば7月20日は予定開けれますか?」

潤がそう言うと、リサがスケジュール帳を開いた。

「大丈夫みたいだよ。もう!潤君!勿体ぶらないで教えてよ!」

「大丈夫なら良かったです。実は、会場はここでやります。」

潤が1枚、紙を取り出し、テーブルの上に置いた。Roseliaの面々が、その紙をのぞき込むと、全員の目が見開いた。Poppin`Partyのあるメンバーの口癖を借りるなら「キラキラドキドキ」していた。

「これは…本当ですか?」

「はい。紗夜姉さん。本当ですよ!」

「潤君、凄ーい!これは本当に凄いよ!ねぇ!りんりん!」

「えっと…。よく…オッケーが…出ましたね。」

「はい!たまたま開いてたみたいです。…CiRCLEのスタッフ、総出でこのライブを成功させたいと思っているので、皆さんもご協力お願いします。」

本日3度目のお辞儀を潤はした。

「勿論よ!皆、デビューの前にまずはこのライブを成功させる為に、頑張りましょう。」

リーダーらしく、友希那は立ち上がり、メンバーの顔を見ながら言った。それに答えるように「はい!」と返事が部屋の中に響いた。

「(これから忙しくなるなぁ…。頑張るぞ!このライブが成功したら…。)」

潤は1人、気合いを入れたのであった。

 

─────────────────────

「じゅーんくん!えへへ…。」

Roseliaとの打ち合わせが終わった後の夜、いつも通り、潤の家にはりみが来ていた。夕食後、片付けも終わり、2人は潤の部屋で寛いでいた。あの日の夜、たえが言うところの「大人の階段」を2人が登った日からりみは一段と潤に甘えるようになっていた。

「りみ?どうしたの?」

「ううん。呼んでみただけだよ?」

りみはそう言いながら、お気に入りである、潤の肩に自分の頭を乗せていた。

「そう言えば、Poppin`Partyの皆もライブの事聞いて驚いてた?」

「うん。めっちゃビックリしてたよ。私も初めて聞いた時ビックリしたもん。でも、皆やる気になってたよ!香澄ちゃんなんて、早く夏になれー!って叫んでたよ。」

りみはその光景を思い出したのか、クスクスと笑いながら言った。

「だったら良かったよ。CiRCLEの皆も気合い入ってるよ。1番大きいライブだって!」

「でも、潤くん、大丈夫?…忙しくなるんじゃ…。」

「もちろん、忙しくなるかな?でも、言いだしっぺだし、頑張らなきゃ!」

潤は微笑みながら言うも、りみの表情は曇っていった。

「りみ?」

「あっ。ご、ゴメンね。忙しくて会えなくなるのかなって思ったら…。寂しくなっちゃって…。こんなに会ってるのに、私、何言ってるんだろうね。」

りみは慌てながら、苦笑いをした。

「…こんなに会ってるからじゃない?毎日、朝と夜に会うのが当たり前になってるから…。テストの時とかは会えないじゃん?やっぱり寂しいよ?…でも、僕が忙しくて会えないって事は無い…かな?」

「え?なんで?」

「だって、りみに会えなかったら…。その…。疲れが取れないし…。」 

潤は恥ずかしそうにプイッと明後日の方向を見て言った。

「ふふっ。ありがとう潤くん。なら、私も潤くんを癒やせるように頑張るね!」

りみの表情は先程と違い、パッと笑顔になっていた。

「よろしくね。りみ?そろそろ送るよ。」

潤は時間を見て言った。時刻は20時を少し過ぎたところだった。

「もう…そんな時間なんだね。はぁ~。潤くんといると時間が足りないなぁ。」

「まぁまぁ。来年には…その…。一緒に暮らす予定…なんだし。…その計画も立てなきゃだね。」

「そ、そうだね。忙しいけど…。楽しくなりそうだね!」

潤とりみは立ち上がりながら言った。

「潤くん。いつもの…。して欲しいなぁ。」

「…分かったよ。」

潤はりみの肩を持ち、静かに口吻をした。相変わらず、口を付けた瞬間にチョコの香りが潤を包むのであった。

 

─────────────────────

ゴールデンウィークも終わり、連休が終わった学生達は5月病とはこの事か、何となくであるが、どこか重い雰囲気を纏っていた。しかし、CiRCLEでは、そんな雰囲気を吹き飛ばすかのように、活気に溢れていた。

「ねぇねぇ!ポスター見た!?」

「見た見た!どうする!?出てみる!?」

「う~ん。緊張するけど、やってみよ!」

CiRCLEはガールズバンドを応援しているだけあり、様々なガールズバンドが練習やライブの為にやってくる。そのやってきたガールズバンドの殆どが、大々的に飾られたポスターに目を奪われていた。

「凄い人気だね。潤君の考えたイベント。お陰様で、スタジオ予約でいっぱいだよ。」

まりなは潤にニコニコしながら言った。潤は得意気に笑った。

「でも、忙しくなりますね。」

潤は手元にあったポスターを見ながら言った。潤が考えたイベント、第3回ガールズバンドパーティーだが、第2回の反省点(人気があり過ぎてすぐ会場が埋まってしまった。)を活かして、CiRCLEではなく、何処か別の広い会場でやろうと考えていた。潤が頭を捻りに捻って、思いついた場所は、CiRCLEから近い公園にあるサッカー場で行うと言う物だった。つまりは野外ステージであり、ガールズバンドだけが集まった夏フェスと言ったところか。では、何故、既に出演が決まっている5バンド以外のガールズバンドが目を奪われているのか。その訳は…。

「すみません!私達もエントリーさせて下さい!」

「分かりました。では、こちらの紙に必要事項をお書き下さい。」

潤が紙を手渡すと、受け取ったバンドはキャッキャ言いながら書き始めた。その紙には「オーディション参加申し込み書」と書かれていた。せっかく、野外でライブをするのなら、5バンドだけでは勿体ないと考えた潤はこうして、オーディションを開く事にした。その効果は絶大で、様々なバンドがこうしてエントリーしてくるのであった。まりなの発言にもあったように、練習スタジオは常に予約でいっぱいになっており、CiRCLEは思わぬ収入を得ていた。更に、オーディションのエントリーに拍車をかけているのは、これも潤の意向であるが、合格基準が「上手い、下手」ではなく、「いかに楽しそうに演奏しているか」なので、皆、やる気になるのであった。

「書き終わりました!」

「ありがとうございます。確認させて頂きます。…はい。大丈夫です。では、5月20日にオーディションを行いますので…。頑張って下さいね?」

「あ、ありがとうございます!あ、あの。一宮さん?」

「はい。何でしょう。」

「い、一宮さんってか、彼女いますか?」

頬を赤らめ、モジモジしながら言う女子高生に、潤は驚いてた。

「あんた知らないの!?一宮さんの彼女はポピパのりみちゃんだよ!?」

「え?う、嘘!?」

「ほ、本当ですよ。」

なかなかこんな経験をしない潤はかなり戸惑っていた。ちなみにだが、人気のあるPoppin`Partyのベースのりみはガールズバンドの間ではそれなりに知名度がある為、潤と付き合っていると言うのはCiRCLEを利用している者には有名な話であった。

「うぅ…。あーもう!練習するよ!この悔しさをぶつけてやる!」

潤に好意を持っていたらしい女子高生が叫びながらスタジオに向かって行った。

「あー。ビックリした…。」

「あはは!潤君、最近モテるよね?モテ期来たんじゃない?」

まりな肘で潤を軽く小突きながら言った。

「モテ期?何ですかね?あまり実感はないですけど。」

「まぁ、そんな物だよ。大体、モテ期なんて、後から振り返った時に気付く物だから!でも、潤君、今の君ならモテそうだよ?いい顔してるもん!」

まりなが言うと、潤は「そんな顔してるかな?」と呟きながら、自分の顔をペタペタと触った。

「あはは!何してるのよ?まぁ、今のところ、ガールズバンドパーティー、大成功まっしぐらだもんね!いい顔にもなるよ!でも、まだまだ気は抜けないから頑張ろうね?」

「勿論です!月島さん、よろしくお願いします!」

「うん!」

2人は「パン!」とハイタッチをした。更に気合いの入った潤はパソコンに向かい、準備を少しずつ、進めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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りみりんの影響で、高確率で朝ご飯にチョココロネをかれこれ1年半くらい食べてます。
実は、それまでチョココロネを食べたことがありませんでした。
あんな美味しいものを食べて無かったのかと思うと勿体ないと思っています。

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