日常の中にチョコより甘い香りを   作:ぴぽ

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4話

「潤君?準備良い?」 

「はい!大丈夫です。始めましょう。」

日時は5月20日。第3回ガールズバンドパーティーのオーディションが開催されていた。オーディションの内容はオリジナル曲を1番だけ弾くと言うものだった。応募総数が30組にもなり、スタジオを5箇所使い、順番に潤とまりなが回っていくと言うものだった。

「失礼します。」

「はい!よろしくお願いします!」

1組目が始まった。1組は4人組のバンドであった。全員、緊張と期待に満ちた目をしていた。

「緊張しなくて大丈夫よ?楽しく演奏してね?」

まりなが笑顔で彼女達に声をかけると、「ハイ!」と元気な返事が返ってきた。

「…えっと、準備は大丈夫ですか?では、始めて下さい。」

潤が言うと、彼女達は顔を見合わせた。ドラムのカウントが始まると、演奏が始まった。

 

「どうしましょうか?」

「どうしましょうかね?」

潤とまりなは事務所にて、「う~ん。」と悩んでいた。

「皆、本当に楽しそうに演奏してますね…。」

「だね。」

今回のオーディションの合否の基準である「楽しく演奏しているかどうか。」だったが、どのバンドも、本当に心から楽しそうに演奏していた為、悩んでしまっていた。

「全員、出す訳にはいかないのよね?」

「…はい。時間的に難しいですね。」

「だよね~?しかも、みんな上手だったしね。」

「ですね。えっと、ちょっとだけ悩ませて下さい。」

潤が苦笑いしながら言うとまりなは「もちろん。」と言った。

「すみませーん。潤君~?おーい!」

「こんな時に誰だ?はーい。今行きます!」

カウンターからの潤を呼ぶ声に、潤は立ち上がり、向かった。

「潤君!こんにちは。」 

「あれ?丸山さんに…後ろにいるのは戸山さん?って、ボーカル勢揃いじゃないですか。」

潤が事務所から出ると、潤を呼んだ彩を筆頭にガールズバンドパーティーに出演が予定している5組のボーカル陣がいた。

「皆さん、こんにちは。どうしましたか?」

「みーんなが笑顔になる事を考えたから潤に教えに来たわ!」

「はい?」

「そうそう!絶対キラキラドキドキするよ!?」

「へ?」

「まぁ、悪くないね。」

「…。」

口々に喋る少女達だったが、内容が何一つなく、潤は困惑していた。

「(よく考えると、このメンバーで誰が説明するんだ?引率の方は来てないのかな?)」

潤は5人の後ろを見たが、誰もおらず、「はぁ。」とため息をついた。

「えっと…。結局、何を思いついたんですか?」

「潤君!私が説明するよ!」

彩は「はーい。」と手を挙げながら言った。

「今日ね、久々に25人で集まったんだよね。潤君だけに準備をさせるのは申し訳ないからって。それで、話し合った結果ね。新しい事をやろうって事になったの!」

彩がニコニコしながら言った。

「新しい事?ですか?」

「そうよ!間違いなく笑顔になるわ!」

「弦巻さん。話が進まなくなるわ。丸山さん、続きを頼むわ。」

「う、うん。えっとね。それで、カバーをしようと話になったの!」

彩はドヤとした表情で胸を張って言った。

「…へ?カバー?誰のですか?てか、皆さん、今までカバーやってたじゃないですか?」

説明をちゃんとしているようで出来ていない彩をキョトンとした表情で潤は見ていた。

「彩先輩。肝心な事が抜けてます。私達のオリジナルの曲をそれぞれのバンドがカバーをするって事が。」

「うっ。蘭ちゃん。ゴメンね。」

えへへ。と頭を掻きながら彩が言った。さすがはアイドル、1つ1つの仕草が可愛いと潤は、潤は感じていた。

「つまり、Poppin`Partyの曲をRoseliaが演奏するって感じですか?」

「そうよ。新しい試みよ。きっと、今までにない演奏になって、成長出来ると思うの。私も良い刺激になるわ。」

友希那が潤の質問に答えた。その間、潤はハロー、ハッピーワールド!の曲を歌う友希那の姿を想像し、吹き出しそうになっていた。

「…良いと思います!それで、誰がどのバンドをカバーするんですか?」

「それを今から決めに来たのよ!楽しみにしてて!」

こころが高らかに言う。

「そう言うこと!ねぇねぇ、潤君!開いてるスタジオ無い?」

「ごめんなさい。無いです。今日、第3回ガールズバンドパーティーのオーディションだったので、スタジオ埋まっているんですよ。」

「あぁ。今日だったんだ。で、いい人いた?」

蘭がポスターの方を見ながら言った。

「それが…。皆良くて困ってたんだよね…。あはは。」

潤は苦笑いしながら言う。

「潤?あなた、音楽分かるの?」

「いいえ。湊さん。でも、僕は1年半くらい皆さんの音楽を聴いてきたので、楽しそうか、そうじゃないかくらい分かりますよ。」

「そう。いらぬお世話だったわね。」

湊が微笑みながら言った。

「ねぇ。みんな?CiRCLE使えないならどうしようか?」

彩は首を傾げながら言った。

「お話しだけならラウンジやカフェテラスでもどうぞ?」

潤がそう言うと、皆は顔を見合わせた。

「なら、カフェテラスでやりましょう?潤、あなたも来て貰えるかしら?」

「僕もですか?分かりました。」

潤は、まりなに声かけて、カフェテラスに向かうのであった。

 

─────────────────────

日が暮れかけて、潤は家に到着した。手には1枚の紙が握られていた。

「これで…。良かったのかな…。」

潤は苦笑いしながら呟いた。

「潤くん。お帰りなさい。」 

「ただいま。りみ。」

潤が帰ってきた事に気付いたりみは玄関まで出迎えに来た。

「その紙は何?」

りみは首を傾げながら言った。

「あぁ。りみも聞いてるよね?各バンドのオリジナル曲をカバーするって話。その一覧だよ。」

紙をりみに渡しながら言った。

「もう決まったんだ!Poppin`Partyは…。Roselia!?」

紙を見たりみは目を見開き叫んだ。

「か、か、香澄ちゃん…。なんでRoseliaを選んだの…。」

Roseliaの楽曲は頂点を目指すと言っているだけあり、かなり難易度が高く、とても苦労するのが目に見えていた。

「難しい、みたいだね。流石の戸山さんも顔、引き攣っていたよ。」

「え?香澄ちゃんがRoseliaを選んだんじゃないの?」

「それが、なかなか決まらなくて、クジになっちゃったんだよ。急遽、僕があみだくじを作ってね。」

潤が苦笑いをしながら言う。

「そ、そうなんだ…。」

「なかなか面白かったよ。みんな一喜一憂しちゃって。Roseliaの欄を見て?」

「Roselia?…あっ。…あはは。」

潤に言われるがまま、りみは目線をずらし、確認すると苦笑いをした。

「確かに…。イメージ無いかも。」

「でしょ?湊さん、かなり動揺していたよ。」

潤は、その時の湊を思い出し、「ふふっ。」と笑った。

「楽曲はそれぞれ決めて良いみたいだから、明日はその話になるんじゃない?」

「そうなんだ。何になるんだろ…。何になっても難しいよね…。」

りみは再び、苦笑いをした。

「まぁ、あまりに難しかったら、今井さんに教えて貰うように頼んであげるから。」

「う、うん!その時はよろしくね。そ、そ、それでね?潤くん。」

りみは急に目を伏せ、頬を赤く染めて呟くように言った。

「何?どうしたの?」

「ご、ごご、ご飯にします?お、お風呂にします?そ、そ、そ、それとも…。わ、私?」

顔を真っ赤にし、りみは目を潤ませながら言った。

「ど、ど、どうしたの?りみ?」

「え?じ、潤くん喜ばないの?」

「へ?びっくりしてるけど…。」

潤が目を見開いて言うと、りみは「うぅ…。」と呟き、台所に向かった。

「麻里さん!潤くん喜ばないじゃないですか!」

「ご、ごめん。りみちゃん。…ふふっ。ま、まさかホントに…言うとは。」

麻里は笑うのを我慢しながら言っていた。しかし、最後には「あはは!」と大声で笑っていた。

 

─────────────────────

「湊さん、やってくれましたね?」

「悪いとは思ってるわ。」

「まぁまぁ。紗夜?クジだったんだし、しょうが無いじゃん☆」

「わ、わ、私…。絶対…無理…。」

「りんりん大丈夫だよ!ドーンバーンって弾いてたらすぐ終わるよ~。」

Roseliaの面々はオーディションの翌日、すぐにCiRCLEに集まっていた。

「そうですけど…。まさかハロハピが当たるなんて…。」

「まぁ、全く違う曲調だよね。友希那~?どうする~?」

「昨日、考えてみたけど、どの曲が良いか全く思い浮かばなかったわ。あと、弦巻さんからの伝言よ?ハロハピの曲を弾く時は笑顔で!だ、そうよ。」

友希那が言うと、燐子は顔を伏せ、「え、笑顔…。」と呟いていた。

「まぁ、引いてしまった物はしょうがないですね…。曲、何にしますか?」

紗夜はため息交じりに言った。

「はいはい!私、せかいのっびのびトレジャーが良い!YO!YO!ってカッコイイじゃないですか?」 

「嫌よ。私にラップをやれって言うの?」

「じゃあ、無難にえがおのオーケストラとか?」

「嫌よ。あんな明るい歌、歌えないわ。」

「…あ…明るい…歌が無理なら…ハロハピの曲…全滅…じゃないですか?」

頭を抱える友希那に他のメンバーは同情の目を向けた。

「私達は弾くだけだから良いけど…。湊さんは歌わなきゃいけませんもんね。」

紗夜は腕を組み「う~ん。」と考えた。

「友希那~?覚悟を決めなきゃダメなんじゃない?」

リサはニヤニヤしながら言った。

「リサ…。楽しそうね。」

「え?いやいや。そんな事ないよ~☆」

リサはニヤニヤした表情を崩さず、手を目の前でブンブンと振った。

「友希那さん…。1つ…。良いでしょうか?」

「何かしら?燐子?」

「あ、あ、あの。わ、私、キーボードはどうすれば良いので…しょうか?」

「「「「あっ!」」」」

4人の声が揃った。Roseliaの面々は忘れていた。ハロハピにはDJがいることに…。

 

─────────────────────

Roseliaが頭を悩ませている最中、同じCiRCLEの中では潤がパソコンに向かっていた。ガールズバンドパーティーの準備が予想以上に忙しく、学校が終わると、すぐにCiRCLEにやって来てパソコンに向かうのであった。ちなみに、本来なら潤は今日、休みであった。

「潤君?大丈夫?無理してない?」

「大丈夫ですよ。確かに忙しいですが、毎日楽しいので。」

潤は満面の笑みで言った。

「お邪魔するよ?」

「あっ!オーナー。こんにちは。」

「こんにちは。オーナー。今日はどうしましたか?」

オーナーが事務所に入って来ると、まりなと潤は笑顔で出迎えた。

「ガールズバンドパーティーの準備はどう?一宮君のお陰で、かなり大きなライブになると聞いてるが。」

「そうなんですよ!オーナー!他の従業員もかなり気合い入ってますよ!」

オーナーの言葉にまりなは笑顔で言った。売り上げもかなり上がっている為、まりなは鼻高々だった。

「そうか。なら良かった!私も何か手伝える事があったら言ってくれ。何でも手伝うから。」 

「分かりました。ありがとうございます。」

潤はオーナーに頭を下げた。

「ところで、一宮君…。正社員の話は…どう?」 

オーナーは探るように潤に聞いた。潤は少しだけ「う~ん。」と考えて、口を開いた。

「実は、もう決めてまして…。」

「え?潤君決めてたの?」

「は、はい。でも、りみにもまだ言ってないので、内密にして欲しいのですが…。」

潤は苦笑いしながら言った。

「もちろんだ。で、返事はどうなのかな?」

「はい。今やってる第3回ガールズバンドパーティーが大成功したら、正社員の話を受けさせて頂きます。成功したら自信にも繋がると思いますので。」

潤は立ち上がり、身振り手振りを入れて言った。

「…分かった。私は本当に一宮君にこのCiRCLEに必要な人物だと思っている。それは変わりないから。第3回ガールズバンドパーティー、是非、成功させてくれ。」

オーナーはニヤリと口角を上げて言った。潤も大きく「はい!」と返事をした。

「(い、言っちゃった…。りみにも言わなくちゃだね。)」

潤はそう思いながら再び、パソコンに向かうのであった。

 

 

 

 

 




お待たせしました。
4話です。
更新がまちまちになってしまい、すみませんでした。

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