日常の中にチョコより甘い香りを   作:ぴぽ

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プライベートが忙しくなり、投稿にかなり時間を空けてしまった事を心より謝罪申し上げます。
本当に申し訳ございませんでした。
これからも、投稿頻度は遅くなってしまいます。
ご了承お願い致します。


10話

潤は麻里からの嫌がらせの激辛担々麺にやられて、ダウンしていた。実は、潤は辛いものがあまり得意ではない。もちろん、麻里もその事は知っていたので、最大級の嫌がらせだった。

「本当に早く…、りみにLINEしなきゃ…。仲直りしなきゃ…。でも…。仲直り出来るのかな…。」

口の中が未だにヒリヒリしていたが、我慢しつつ、スマホを掴んだ。

「あれ?LINEが来てる…って!りみからじゃん!」

潤はガバッと起き上がると急いで内容を確認した。スマホの画面には「潤くん…。」とだけ記されていた。

「え?それだけ?って、LINE来てたのって1時間も前じゃん!」

潤は急いで、返信をしようとしたが、そこで固まってしまった。

「なんて返信したら良いんだ…。」

“なに?”だけでは冷たいような感じがする。“どうしたの?”だけでは、りみの事を気にしてないような感じがする。潤はあーでもない、こーでもないと言いながら返信を考えていた。そして20分後、潤はやっとの思いで文面を完成させたのだった。

 

“りみ。久しぶりだね。ごめんね。

僕からLINEするべきだったよね。

りみに本当に嫌われたと思われてたらどうしようかと思って、LINE出来なかった…。

今も、返信しながら手が震えてるよ…。

あの時は本当にごめんなさい。

改めて、謝りたいから、会えない…かな?

僕の事が本当に嫌いになってたら無視して良いからね?”

 

潤が考え抜いて送った内容は自分の気持ちを正直に伝える事だった。りみの気持ちが分からない潤は結局、そうするしか思いつかなかったのだった。

「返信、無かったらどうしよ。…まぁ、そうなったらしょうが無いか…。」

苦笑いしながらも、りみからの返信が来るのをソワソワしながら待っていた。辛さにやられていた体も、口の中を襲っていた痛みもいつの間にか消えてしまっていた。しかし、それから2時間、一向に来ないりみからの返信に、潤は本当に嫌われたと思っていた。

「やっぱり…許されない…よね。」

潤はそっと呟くと、静かに涙を流していた。

 

─────────────────────

「…あー!」

「り、りみちゃん?どうしたの?」

「に、2時間も前に返信が来てた…。」

りみと秋帆はガールズトークに花を咲かしていた。いや、咲かしすぎていた。お互い、共通の話題である潤の話で盛り上がり過ぎてしまい、潤に送ったLINEはすっかり忘れさられていたのだった。

「あ、あ、あ、秋帆ちゃん!ど、ど、ど、どうしよ!」

「りみちゃん?まずは落ち着いて?何て返信が来たの?」

秋帆が焦るりみを落ち着かせると、りみは2回、深呼吸をした後に、LINEを開いた。りみは潤からの返信を読み終えると、また涙を流した。ここ2週間、どれだけの涙を流したか分からない。

「りみちゃん。私にも見せて?」

秋帆の言葉に応えるように、りみは持っていたスマホを秋帆に向けた。

「りみちゃん。とりあえず、良かったね。でも、返信遅くなっちゃったから潤、落ち込んでる…かな?」

秋帆は苦笑いしながら言うと、りみは泣きながら頷いた。

「さて、りみちゃん?これからどうする?」

「…会いたい。…会いたい…だけど…。」

「ん?…けど?」

「う、うん。こ、恐い…かも…。」

りみは目線を横にした。眉は下がってしまい、不安そうな表情をしていた。

「…はぁ。なら、会わないの?」

「あ、会いたい!…よ?」

「潤の事、まだ好きなんでしょ?」

「も、もちろんだよ!」

涙を流し、鼻を赤くしながらりみは必死に叫ぶように言った。そんな表情のりみを見た秋帆は「ニヤリ」と笑った。

「それなら尚更、会わないとだね。ほらほら、潤が首を長くして返信を待っているよ?…それか、返信が無くて、見たこと無いくらい落ち込んでいるかもよ?」

秋帆はそう言った。秋帆の言葉に背中を押されるように、りみはスマホを握り直し、りみは文章を作成していった。

 

─────────────────────

お盆ともなると夏の気配が段々と落ち着いて…来るはずもなく、夕方だというのに、生温い風が潤を包み込んでいた。ツクツクボウシの音色をバックミュージックにしながら、潤は長い滑り台がある公園のベンチに座っていた。

「遅い…な。いや。僕が早すぎたのか…。」

潤はスマホを取り出すと時間を確認しながら呟いた。そして、スマホを取り出したついでと言わんばかりに、LINEをタップし、メッセージを読み返していた。

 

“返信、遅くなってごめんなさい。

私も潤くんと同じで、恐くてLINEができませんでした。

私も潤くんに会いたい…。

会いたいよぉ…。

本当に会ってくれるのなら、夕方の5時に公園に来て下さい。”

 

潤は読み終わると「ふぅ。」と息をついた。何気なく空を見上げると、夏はまだまだ終わらせないと言うように、入道雲が天高く登っていた。

「LINEの返信来た時は驚いたなぁ…。もう、諦めてたのにいきなりLINEが来たもんなぁ…。生きた居心地がしなかったよ…。」

潤がそう呟くと、苦笑いを浮かべた。ちなみにだが、潤はりみからの返信を見た時、「何処の公園?」と思い、返信の文を作成していた。その時、りみから「ここの公園です」と追加のLINEとマップが潤のスマホに届いたのであった。

「りみ…。本当に来るのかな…。来て欲しいけど…。なんだか、凄く緊張してきた…。」

潤は自分の心臓に手を当て、大きく深呼吸をした。

「…潤くん?」

潤が大きく「ふぅ~。」と息を吐き出した瞬間に、潤の後ろから懐かしく、優しい声が小さく公園内に響いた。潤は「ビクッ」と体を震わせるとゆっくりと振り向いた。

「…りみ。」

「うん…。」

久々に見る彼女は少しだけやつれていた。目も真っ赤に腫れ上がっていて、どれだけ泣いたか、どれだけ落ち込んでいたかを物語っていた。

「あの…。その…。ひ、久しぶり。」

「…うん。」

潤とりみが付き合いだして2年が経とうとしていた。付き合っていた頃は周りから羨ましがられるような本当に仲の良いカップルだったが、今はそれも見る影もなく、かなりよそよそしい雰囲気が2人を包み込んでいた。

「り、りみ?」

「…うん。」

「来てくれてありがとう。」

「…うん。」

「えっと…その…。」

潤の返答に顔を少しだけ伏せて「うん」としか言わないりみ。潤はそんなりみを見て、ゆっくりとベンチから立ち上がった。2人の間にはベンチが挟まれており、そのベンチが2人の間に壁を作っているようだった。

「あ、あのね。潤くん…。」

「へ?…な、なに?」

「…ごめんなさい!」

りみはギュッと目を瞑ると、勢いよくガバッと頭を下げた。しかし、勢いが良すぎた為、目の前にあるベンチの背もたれに思いっ切り「ゴン!」と額を打ちつけてしまった。

「いったーい!!」

「り、りみ!だ、大丈夫!?」

額を押さえながら蹲るりみに潤は慌てて駆け寄った。りみの額は見事に赤くなっており、どれだけ痛いか物語っていた。

「痛い…。」

「本当に…ふふっ。だ、大丈夫…あはは!」

突然、笑い出した潤にりみが目を潤ませながら見た。

「ご、ごめん。りみ…。ふふっ。でも、面白い…あはは!」

「も、もう!潤くん!わ、笑わないで!」

「ほ、本当に…ごめん。あー。面白かった。なかなか、あんな勢いで額を打ちつける人なんていないからさ。…お、面白くて…。ふふっ。」

「も、もう!や、止めてよ…。」

額を押さえながらも、潤の発言に恥ずかしくなったりみは顔を真っ赤にしていた。

「ごめんね。立てる?」

潤がりみの前に手を出すと、りみはおずおずとその手を掴んだ。りみが掴んだ事を確認すると、潤は手を引っ張った。

「あ、ありがとね?潤くん。」

「いえいえ。…りみが額を打ってくれたお陰で、変な緊張が解けたよ。こちらこそありがとうね。」

潤はそう言うと、繋ぎっぱなしになっていたりみの手を自分の方に引き寄せた。突然の事にりみは「きゃっ」と小さく悲鳴をあげたが、気付いた時には潤に抱き締められていた。

「じ、潤くん?」

「りみ。大好きだ。」

りみの耳元で潤はそう呟いた。それを聞いたりみは潤のTシャツをギュッと握った。そして、目から大粒の涙を流した。

「…この2週間、毎日、りみの事ばかり考えてた。あの喧嘩した日の事ばかり考えてた。なんで、もっと冷静になれなかったんだろ…。なんで、もっとりみの事を考えれなかったんだろうって…。だから…本当に…ごめん。」

潤は言い終わると、りみの頭をそっと撫でた。未だに泣きじゃくるりみが落ち着くのを待っていたのだが、潤は自分の愛しい彼女を抱き締めているという幸せに浸るのであった。

 

─────────────────────

それから30分後、落ち着いたりみをベンチに座らせた潤は近くにある自動販売機で冷たいコーヒーを買うとりみに手渡した。

「…ありがとう。」

「ううん。飲む前に額、それで冷やした方が良いよ?思ったより真っ赤になってるね。」

潤がそう言うと、りみはそれに従い、ピトッと缶コーヒーを額に当てた。

「うぅ…。こんな時にごめんね…。」

「大丈夫だよ。」

「わ、私もね…。喧嘩した後からずっと謝らなきゃって思ってたんだよ…。でも、本当に嫌われてたらどうしようって思っちゃって…。なかなか行動に移せなくて…。私…ね?焦ってたんだと思う…。デビューもしたいけど、潤くんとも別れたくなくて…。決められない答えに焦って、潤くんに当たっちゃって…。だから…本当にごめんなさい。」

りみは座ったまま、深々と頭を下げた。缶コーヒーを握る手はガタガタと震えていた。

「りみは悪くないよ。焦るのは当たり前だし、答えを出すのも難しい問題だからさ…。」

「ううん!わ、私が弱いのがいけないの。だ、だから潤くんは悪くないよ。」

「そんな事ないよ。」

「そんな事あるよ。」

お互い、平行線なやりとりをしていた潤とりみだが、ふっと会話が途切れた。そして、2人が顔を見合わせると、どちらかともなく「ふふっ。」と笑い出してしまった。

「切りがないね。」

「…うん。そうだね。…あのね。潤くん。」

「なに?」

「わ、私も、大好きだよ。離れてから改めて潤くんの事がどれだけ好きで…。どれだけ大事な人だったか…、嫌ってくらい分かった…よ。」

りみは潤の目を真っ直ぐ見て言った。りみの目は泣きすぎて、更に腫れていたが、その視線には力が籠もっていた。そんなりみを見て、潤は微笑むと、「よいしょ。」と言いながら立ち上がり、りみの前に立った。

「じ、潤くん?」

「りみ…。」

潤が小さく名前を呼ぶと、そのまま、りみの前で片膝をついた。

「潤…くん?」

「りみ。僕ともう1度…付き合って下さい…。」

「…はい…。もちろんだよ!」

潤のプロポーズのような告白に、りみは涙を溜めながらも、笑顔で答えた。

「はぁ~。良かった…。」

「始めてちゃんと告白して貰っちゃった!嬉しいけど…は、恥ずかしい…ね?」

「へ?ちゃんと告白したじゃん。付き合う時に。」

「へ?だって…。“月が綺麗ですね”だったよ…ね?」

「ち、ちゃんと告白してる…じゃん?」

潤は胸を張って言うも、言葉自体には自信の無さを覗かせていた。そんな潤を見て、りみは「えー?」と言った。

「…ごめんなさい。」

「ち、ちゃう!せ、責めてる訳じゃなくて!…2回も大好きな人から告白されて、幸せだなぁ~って…。」

りみは顔を赤くしながらも、微笑んだ。

「…そっか。なんか…。僕も照れるなぁ…。」

潤は頭をわしゃわしゃと掻きながら言うと、改めて、りみを見た。久々に会った時は、緊張と自分を受け入れてくれるか不安で、会話も空気感もぎこちなかったが、会話をする事によって、今は仲直りし、以前と同じような…いや、以前よりも、暖かく、優しい雰囲気を取り戻せる事ができた。りみも同じ気持ちだったのか、始めはかなり堅かった表情も言動も、今は安心したような、嬉しいような表情を浮かべていた。りみが潤の視線に気付くと、また微笑み、ギュッと目を閉じた。そして、何かを欲しそうに小さく「ん…。」と言った。何が欲しいか、すぐに理解した潤はりみの肩をそっと掴むと、ゆっくりと顔をりみに近づけた。そして2人の距離がゼロになり、「チュッ」と軽いリップ音が公園に響くと、潤にしか分からない、チョコの香りが潤を包み込むのであった。

 




潤くんとりみちゃん仲直り…したのかな?

でも、まだ2人の問題は何一つ解決してません。

ポピパのデビューはどうなるのか。

やはり、2人は別れるしかないのか。

お互いの進路はどうなるのか…。

完結に向けて、頑張りたいと思います。

前書きにも書いたとおり、投稿頻度はかなり遅くなります。
本当に申し訳ございません。

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