日常の中にチョコより甘い香りを   作:ぴぽ

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11話

「りみりん!良かったよ~!」

「か、香澄ちゃん!あ、ありがとう!」

「全く…。心配かけやがって。」

「…面目ないです。」

仲直りをした潤とりみ。2人はあの後、潤の家に帰っていた。そして、りみがPoppin`Partyのメンバーによりを戻せたとLINEで報告したところ、メンバー全員が潤の家に集まったのだった。

「本当に心配したよ…。良かったよ…。…グスッ。」

「さ、沙綾ちゃん!?な、泣かないで!…本当にゴメンね。」

泣き出した沙綾にりみはハンカチを渡しながら言った。

「ところで、無事によりを戻した訳だけど、これからどうするんだ?」

「へ?」

「え?」

有咲が机に肘を付け、「やれやれ」といった表情で言うと、潤もりみもキョトンとした。

「は?ま、まさか、お前ら、何も考え無しによりを戻したのか!?」

「え~と…。忘れてたね?…りみは?」

「わ、私も…。潤くんと仲直りする事しか考えてなかったよ…。」

頭を掻きながら言う潤。そして、りみも苦笑いを浮かべた。

「有咲~!とりあえず今は良いじゃん!」

「そうだよ。有咲。ねぇねぇ、潤君。今日の夕飯はハンバーグ?」

「へ?いや。知らないけど。」

潤とりみの返答を聞き、有咲は深いため息をついた。そして口を開こうとした時には香澄とたえに止められていた。

「…まぁ。そうだな。りみ。良かったな。」

「りみりん!何だかんだで、1番心配していたのは有咲だからね?」

「なっ!沙綾!てめぇ!」

「有咲ちゃん。ありがとうね!」

すっかり女子会となった潤の家のリビング。りみと別れてから重苦しい雰囲気で包まれていたが、その雰囲気を跳ね飛ばすように騒がしくなっていた。

「皆!夕飯食べて行ってね!」

台所から麻里が叫ぶとPoppin`Partyのメンバーは顔を見合わすと、元気よく「はい!」と言った。

「おばちゃんもこんな可愛い子が沢山来てくれて嬉しいわ!いつもはそこにいる奴しかいないから陰気臭くて!」

「陰気臭くて悪かったな!」

本当に美少女が沢山いて嬉しい麻里はテンションが高く、鼻歌も飛び出す勢いで包丁を握っていた。

「麻里さん。私、手伝います。」

「私も手伝わせて下さい。」

そう言いながらりみと沙綾が立ち上がると台所に向かって行った。

「はぁ~。全く…。あの母親は…。」

「なぁ。一宮さん。ちょっと良いか?」

ため息をつきながら台所を睨んでいた潤に有咲が声をかけた。

「なに?」

「いや。マジで、これから先どうするんだ?」

「…どうしよう?」

「本当に何も決めてなかったみたいだな…。」

呆れたように有咲はまた「はぁ。」とため息をついた。

「…申し訳ない…。」

「いや。別に良いよ。それだけ、よりを戻すのが大変だったんだろ?実はな、私達も話し合っててな。デビューもりみの交際も両方諦めないってのが、私らの方針なんだよ。それでな、もう、りみの交際を認めて貰うのって、直接交渉するしか無いと思ってる。」

有咲は潤の方を真っ直ぐ見ながら言った。

「なるほど…。つまり、僕とりみでスカウトをした方の所に行って、話をつけるって事だよね?」

「まぁ、そうなるな。…私らの事で一宮さんまで迷惑をかけてすまん。」

「いやいや。りみもPoppin`Partyのメンバーなんだから気にしないでよ。僕も、デビューして欲しいし、りみとも別れたくないから頑張るよ。」

潤はニコッと笑いながら言った。不思議とこの瞬間は不安はなく、りみと一緒に頑張ろうと思うのであった。

 

─────────────────────

賑やかな食事を終え、りみ以外のPoppin`Partyのメンバーが帰宅した後、2人は潤の部屋で過ごしていた。

「あ~。楽しかった~。」

「だね。てか、母さん、めっちゃ頑張ったなぁ…。」

テンションが上がった麻里を誰も止める事が出来ず、夕飯はかなり豪華なものになっていた。たえが言ったハンバーグ、唐揚げ、生ハムのサラダにパエリアなどなど、全員の胃袋を満たすには充分過ぎるほどのメニューだった。

「潤くん!」

りみが潤に抱きつくと、潤は「おっと」と言いながらりみを受け止めた。

「潤くん!本当にありがとうね。…それと、本当にゴメンね。」

「もう良いよ。悪いのは僕もなんだら…。だから僕もゴメンね。これからもりみを支えるから。だから頑張ろうね?」

潤がりみの手をギュッと握りながら言うと、りみも答えるように強く握り返した。

「でも…。潤くん。これからどうしよ。デビューもしたいし、潤くんとも別れたくないし…。その問題は何も解決してないよね…。」

りみが少しだけ表情を暗くして言った。

「それなんだけどね。りみって、スカウトをしてくれた人に連絡って取れるかな?」

「う、うん。電話番号は知ってるよ。」

「2人でスカウトをしてくれた方に会いに行かない?」

潤はりみの不安を少しでも取り除く為に、優しく、包み込むように言った。

「へ?そ、それって…。」

「うん。2人で交際を認めてもらえるように説得しよ?」

「じ、潤くん、本当に言ってるの!?」

潤の提案にりみは驚きながら言った。

「本気だよ?…まぁ、市ヶ谷さんからのアドバイスなんだけどね。」

「そう言えば、2人で喋ってたね。…分かった。き、緊張するけど、わ、私も頑張る!」

「うん!頑張ろうね!…ところで、りみさん…。お願いがあるのですが…。」

姿勢を正し、改まって潤が言った。

「な、な、なに…かな?」

「夏休みの課題が終わらないので、助けて下さい!」

潤は床に頭を付けながら叫んだ。そんな潤を見て、りみは「あはは!」とお腹を抱えて笑った。

「り、りみさん…?」

「ご、ゴメンね。なんか、潤くんと本当に仲直りしたんだって思っちゃって。」

りみはそう言うと、ニコッと笑った。その笑顔を見た潤はドキッとしたのと同時にこの笑顔を守りたいと強く思うのであった。

 

─────────────────────

賑やかな宴会の後は寂しくなったりするものだが、潤はまさに、その気持ちになっていた。一晩明け、朝早くに起きた潤はリビングでコーヒーを飲んでいた。昨日の晩とは打って変わって静かになってしまったリビングを眺め、昨日は夢じゃないのかと思ってしまっていたが、LINEをタップすると、仲直りしたりみとのやり取りが表示され、夢では無いと頬を緩ませていた。以前、紹介したが、潤は早起きが苦手である。その潤が早起きをしている訳は、ある人物を呼びだしたからである。そして、コーヒーに舌鼓を打っていると、玄関が開く音がリビングまで響いた。潤は立ち上がると、玄関に続く扉を開き「おはようございます。」と言った。朝のリビングはいつも以上に反響して、小声で言ったつもりでも、母親の麻里を起こしてしまったのではないかと、チラっと2階の方を見た。

「おはようございます。」

そんな潤を眺め、アイスグリーンの髪を靡かせながら、紗夜は微笑みながら立っていた。

「紗夜姉さん、朝早く、呼びだしてすみませんでした。」

「いえ。大丈夫ですよ。それに、潤さんから初めてちゃんと報告を受けるのですから、これくらい平気よ。」

紗夜が靴を脱ぎながら言うと、今まで、紗夜に様々な報告を怠ってきた潤は苦笑いをした。

「あれ?日菜姉さんは?」

「あの子はこんな朝早くから行動は出来ませんよ。」 

潤は紗夜だけではなく、日菜にも声をかけていたのだ。しかし、何かと忙しい、紗夜と日菜は早朝にしか時間が空いてなかったのである。

「そうでしたね。とりあえず、中に入って下さい。」

潤がそう言うと、「お邪魔します。」と紗夜は言いながら、リビングに向い、ソファーに腰掛けた。紗夜が座ったのを確認した潤はアイスコーヒーを淹れ、ソファーの前にある机に置いた。

「ありがとうございます。早速なんですが、報告を聞かせて下さい。…まぁ、貴方の様子を見たらなんとなく分かりましたが。」

紗夜は潤が出したコーヒーを手に取ると、ストローに口をつけながら言った。

「ですよね。りみと無事、仲直りしました。」

「やはり、そうでしたか。良かったですね。」

「はい。紗夜姉さんには沢山の迷惑とご心配をお掛けしましたので…。本当にありがとうございました。そしてすみませんでした。」

潤がガバッと頭を下げると、潤の頭上から「ふふっ。」と笑い声が聞こえた。

「顔を上げてください。前にも言いましたが、貴方は私の大切な親戚、つまり、家族です。なので、これくらいの心配は全然気にしないで下さい。…ところで潤さん?仲直りしたと言うことはPoppin`Partyはデビューはどうなるのですか?」

「紗夜姉さん、流石です。話が早い。」

紗夜の質問に苦笑いを浮かべながら潤は答えると紗夜は目を点にした後「はぁ~。」とため息をついた。

「なんとなく分かりました。牛込さんは…って言うより、あなた方は、デビューも恋愛も諦めない選択肢を選んだ訳ですね。」 

「流石、紗夜姉さん!本当に話が早くて助かります。お知恵を拝借したいです。…実は、りみがスカウトの方にアポを取って貰う予定で、アポが取れたら、僕とりみでお話しに行こうと思っています。それで、なんて言ったら良いか、悩んでて…。自分の思っている事を正直に話そうとしているのですが…。」

潤は目を伏せながら言った。そんな潤を見て、紗夜は腕を組みながら「う~ん。」と考えていた。

「それで良いのでは…と私は思います。」

少しの間、考えていた紗夜はポツリと呟くように言った。

「それで良い…とは?」

「潤さんの考えで良いと言う事です。思いの丈をぶつけて来て下さい。なんと言うかまでは分かりませんが。」

「えっと…。本当にそれで平気…ですかね?」

尚も、不安そうにする潤に紗夜はニコッと微笑むと「大丈夫です。」と言った。潤は紗夜の微笑んだ表情を見ていると少しだけ不安な気持ちが楽になったような気がしていた。

「(紗夜姉さんって不思議だなぁ。紗夜姉さんに大丈夫って言われたら本当に大丈夫な気がしてきた。)」

潤がそんな事を思っているとは知らず、紗夜は氷が溶け、薄くなったアイスコーヒーを美味しそうに飲んでいるのだった。

 

─────────────────────

「えっと、これは、ここを代入して…。」

「あっ!なるほど。」

2人の仲が前以上に戻った2日後、潤とりみは約束通り、夏休みの課題を片付けていた。喧嘩をしたせいで、夏休みを半分以上無駄にしてしまった2人は今すぐにでもデートをしたい気持ちでいっぱいだった。しかし、潤の課題の残りを見たりみは心を鬼にして、教えるのであった。

「いやぁ~。りみの説明は分かりやすいよ!」

「ううん。たまたま私も有咲ちゃんに習ったばっかりだから…。お礼なら有咲ちゃんに言ってよ。」

りみがそう言うと、潤はスマホを手に取り、有咲に「ありがとう」とLINEを送った。受け取った有咲は「?」を大量に浮かべたのは言うまででも無い。

「潤くん、1つ聞いて良いかな?」

「なに?」

「私と…。け、喧嘩した前に、紗夜さんと勉強してたんだよね?」

「そうだけど…。どうしたの?」

潤は首を傾げながらりみに訪ねると、りみも不思議そうな表情を浮かべた。

「えっとね…。勉強の成果があまり…。で、でも!に、苦手な数学、前よりもで、で、出来るようにはなってるよ!?」

「りみ、そのフォローは悲しいよ?」

慌てながら言うりみだったが、空回りするだけで、余計に潤の心をえぐり取っていた。

「ご、ごめんね?」

「ううん。大丈夫だよ。事実だからさ。まぁ、少し勉強したくらいじゃ、学力は変わらないって事だよね。もっと頑張らなくちゃ!」

「で、でも、前みたいに倒れるまでやったらダメだからね?」

りみはギュッと潤の左手を握った。

「分かってるよ。もう、あんな無茶はしないよ。」

潤はりみを安心させる為にニコッと笑うと、空いていた右手でりみの頭を撫でた。撫でられたりみは気持ちよさそうに目を瞑った。

「ふふっ。りみって撫でられるとネコみたいだね?」

「ふぇ?」

目を開いたりみは潤の言っている事を理解すると、恥ずかしかったらしく「潤くんのバカー」と言いながら、潤の胸に飛び込んだ。

「ところで、りみ?アポは取れたの?」

「えっと、電話はしたよ。…向こうも潤くんに会いたかったみたいだよ?」

「僕に?」

「う、うん。丁度良かったって言ってたよ。また、日にちは伝えますって。」

「そっか。ありがとうね。」

潤がそう言うと、りみは不安そうな表情を浮かべていた。

「本当に大丈夫かな…。」

「分からないけど、やるしかないよ。」

「仮に、仮にだよ?もし、別れないとデビューはダメって言われたら…。どうする…?」

「う~ん。まぁ、その時考えようかな。そうなったらPoppin`Partyの皆とも話さないとだね。」

潤がそう言った瞬間、りみのスマホが着信を伝えた。ディスプレイには潤が見たこと無い名前が表示されてあった。

「す、スカウトをしてくれた方だよ…。出るね。」

りみが、スマホをタップし、耳に当て、「こんにちは。」と言った。しばらくは「はい。」とか「そうですね。」と相槌をうつばかりだったが、突然「えぇ!」と声をあげた。そして、スマホを耳から離すと潤の方を見た。

「今から…来れないか…って…。」

りみはビックリした表情を崩さないまま言った。それを聞いた潤も「えぇ!」と叫ぶのであった。

 

 




まさかの11話でも、問題は解決せず笑

焦らしていくスタイルです!

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