日常の中にチョコより甘い香りを   作:ぴぽ

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第6話

りみは紗夜から貰ったジュースを飲みながら潤を待っていた。まりなの案により、りみは今、CiRCLEの事務所で待っている。チラっと横をみると潤がパソコンに向かっていた。

「(凄く真剣そう。潤君はやっぱり真面目なんだなぁ~。でも、ちょっとくらい構ってくれても良いのに。)」

とりみがジーと潤を見ている。

「(なんか凄く見られてる…。やりづらい…。)」

とりみの視線を感じながら潤は思った。

「潤君!?書類の入力はどう?」

「あっ、月島さん。順調ですよ。」

「本当に?」

「え?はい。順調ですけど?」

潤が不思議そうに言う。いつもやっている仕事なのでまりなが何回も進捗を聞いてくるのに疑問に思っていた。

「後ろからりみちゃんの視線を感じてるよね?りみちゃんずっと潤君の事見てたから。潤君、気にならないの?」

「え!?」

まりなの言葉にりみがビックリする。

「あぁ…。確かに視線は感じてましたけど…。」

と潤が苦笑いをする。

「うぅ…。恥ずかしい…。」

とりみは俯いてしまった。そんなりみを見ながらまりなは「ふふっ」と笑い

「まぁ、それはそうと、もう定時過ぎてるから続きは明日にして今日はもう上がっちゃって~!」

と言った。

「分かりました。牛込さん、着替えてくるからちょっと待っててね?では、お疲れ様でした。」

と潤は言い、更衣室に向かった。

「はぅ~…。」

「りみちゃん?本当に潤君の事好きなんだね?」

まりなはニヤニヤしながらりみに絡んだ。

「うぅ…。私ってやっぱりそんなに分かりやすいんですね。」

「かなり分かりやすいよ!でも、りみちゃんらしくて良いと思うよ。」

「そ、そうでしょうか?」

「うん!りみちゃん可愛いから潤君だって振り向いてくれるよ!」

「だったら良いですけど…。わ、私…男の人好きなったの初めてなので…。不安です。」

「うんうん!分かるよ!でも、無理しても、付き合った時にボロが出ちゃうから自然体で良いと思うよ。」

「わ、分かりました。気を付けます。」

りみとまりながガールズトークをしていると

「すみません。少し良いですか?」

と受付から紗夜が声を掛けた。

「あっ!紗夜ちゃん?どうしたの?」

まりなが対応する。

「ちょっと機材の調子がおかしいみたいなのですが、見て頂けませんか?」

「そうなの?ゴメンね。ちょっと見てくるね。じゃぁ、りみちゃんまたね!」

と言い、まりなは去っていった。

「あ、あの!ジュースありがとうございました。」

「いえ。大丈夫ですよ。潤さんがお世話になってるので、そのお礼です。これから宿題を一緒にして貰えるみたいで。」

「い、いえいえ。そんな私の方が助けて貰ってばっかりで…。」

りみの言葉を聞いて紗夜は微笑み

「あなたは本当にいい方です。潤さんには勿体ないですね。」

「そ、そんなことないですよ!も、勿体ないって、潤さんと付き合ってませんよ!?」

「そうでしたね。私としたことが先走ってしまいました。でも、潤さんの事、好きなんでしょ?見てて分かりますよ。」

「うぅ…。めっちゃ恥ずかしいです…。」

「牛込さん。」

りみが恥ずかしがっていると紗夜の声のトーンが真面目な物になった。りみが紗夜の方を見ると紗夜は続きを喋りだした。

「潤さんのこと支えてあげて下さいね。」

「へ?」

りみがキョトンとし

「それはどういうこと…」

「牛込さん!お待たせ!ゴメンね。遅くなっちゃって。」

「潤さん?あまりはしゃいで勉強が疎かにならないように。」

紗夜に釘を刺され、潤は苦笑いした。りみは釈然としない顔をした。

 

―――――――――――――――――――――

潤とりみは目的地に向かって歩いていた。

「ねぇ?本当にいいの?」

潤がりみに向かって聞くと

「は、はい!大丈夫です。多分、図書室はいっぱいだと思いますし、ファミレスとかはうるさいかもしれないので…。」

とりみは言った。2人は今、りみの家に向かって歩いている。CiRCLEを出てすぐ、どこで宿題をするかという話になり、りみが「私の家で」と言い、決定した。だが、潤は本当に良いのだろうかとソワソワしていた。

「ところで、潤君は成績はどのくらいですか?」

とりみが聞いてきた。

「僕?平均点だよ。」

「平均点って真ん中くらいって事ですか?」

「いや。そのままだよ?どんだけ勉強しても、しなくても、テストの点は全てなぜが平均点ジャストなんだよね。」

と潤が苦笑いしながら言った。

「(それって逆に凄くない?)」

と心の中で思った。

それから10分後、りみの家に到着した。

「そういえば、家の人はだれかいる?」

「いえ。いませんよ。なので、ゆっくりしていってくださいね。」

りみが笑顔で言うと潤は安心したように頷いた。

中に入り、りみの部屋に通される。正確に言えばりみとゆりの部屋だが。

「このクッションに座ってください。あっ。私は飲み物入れてきますね?」

とりみは部屋から出ていった。

「(全然落ち着かねー!)」

と潤は思ったが、ここは女性の部屋、あまりジロジロと見るのは失礼にあたる。かと言って座ったまま一点をじっと見ているというのも逆に気持ち悪いであろう。

「(どうしよ。何してよう。)」

と考えた結果。シンプルに宿題の準備をする事にした。そうこうしているとりみが飲み物を持ってやって来た。

「潤君はアイスコーヒーだよね?はい。どうぞ。」

「ありがとう。」

と言い、アイスコーヒーを受け取る。

「宿題、何するんですか?」

とりみも座りながら聞いた。

「う~ん。色々持ってきたけど、やっぱり数学かな?一番苦手だし。」

「なら、私も数学にします。」

と会話し、2人は勉強に取りかかった。それからしばらくは会話もなく、真剣に進めていった。しかし、2人のペンの動きにはかなり差があった。

「牛込さん、もうそこまでやったの!?」

とりみの方をチラっと見た潤は驚愕の声を上げた。りみと潤は違う高校だが、たまたま宿題で出た問題集が一緒だった。なので見ただけで進行状況が分かってしまう。

「はい。ここは得意なとこだったのでたまたま早かっただけです。」

とりみは少し照れながら言った。

「いやいや。凄いと思うよ。牛込さんが落ち着いたら僕に教えてね。」

と潤が頭を下げながら言った。

「私で良ければいくらでも教えますけど、私、教えるの下手ですからね?」

「それでも大丈夫!よろしくお願いします。」

「ふふっ。分かりました。ところで、結構長い時間しましたね。少しだけ休憩にしましょうか。」

「うん?え?もう5時?牛込さんは何時まで大丈夫なの?」

3時くらいから勉強を始めたので、2時間も経っていたことにビックリしながら潤は言った。

「うちは今日、両親とも仕事で遅いので何時でも大丈夫ですよ?」

とりみはう~んと考えながら言った。

「分かったよ。ならもうちょっとだけ勉強しようかな?」

と潤が言う。

「ですね。その前にちょっと良いですか?」

りみがペンを再び持った潤に対して質問した。

「どうしたの?」

「あ、あの、潤君って、付き合ってる人っていますか?」

「ふぇ!?いないよ?てか、いたら彼女以外の人で女の子の家に行ってたらマズいでしょ?」

潤がビックリして答える。

「それもそうでしたね。では、今まで誰かと付き合ったことってありますか?」

りみが再び質問した。彼女がいないと聞いて少しだけホッとしていた。

「……。う~ん。いたかな。」

潤がかなり悩んだように答えた。

「わ、私、いけないこと聞いちゃいましたか?」

りみが焦って言う。

「いやいや。そうじゃないんだけどね。」

「何か言いにくい事なんですか?」

「う~ん。まぁ、牛込さんには話そうかな?あまり面白くない話だけど聞く?」

「良いんですか?無理に話さなくも大丈夫ですよ?」

「いや。牛込さんには聞いて欲しいかな?少しだけ長くなるかもだけど、良いかな?」

「分かりました。」

りみが聞く姿勢になった事を潤が確認すると静かに話だした。

「あれは確か、中学2年生の今ぐらいの季節だったかな?」

 

―――――――――――――――――――――

「夏休みになんで登校日なんかあるの?」

「潤…。あなた春休みの登校日も言ってなかった?」

「だって、面倒くさいじゃん。秋帆はそう思わない?」

「…思ったことないよ。」

潤と秋帆は通学路を歩いていた。潤は面倒くさそうに、秋帆はため息をつきながら歩いていた。

「あのさ、潤?私の彼氏なんだから、もうちょっと格好良く歩けない?」

「格好いい歩き方って何だよ。」

潤のツッコミに2人はふふっと笑った。もう、お分かりだと思うが、2人は付き合っている。付き合い始めて1年が経っていた。

「そういえば、去年の夏休みの登校日に告白してくれたんだよね?」

と秋帆が思い出したように言った。

「…おぅ。」

潤が照れながら返事をする。一応、潤から告白したのだが、それを思い出す度に照れてしまうのだ。

「いい加減、慣れたら?潤って本当に奥手だよね。」

「まぁ、いつかは慣れるはず…。多分。」

「よく告白出来たよね。」

「僕もそう思うよ。恥ずかしいけど、1年経ったし、改めて言うけど、付き合ってくれて本当にありがとうね。」

「いえいえ。」

と2人が話していると学校に到着した。2人が到着すると、周りにいた生徒が少しザワついた。潤と秋帆のカップルは学校では有名だ。「普通と美女」として…。

潤と秋帆が自分のクラスに到着すると、周りから「ラブラブだねー!」「潤、羨ましいぜっ!」などと弄られる。それらをスルーして席についた。

「なぁ、潤?なんで登校日なんかあると思う?」

と仲の良い友達から声を掛けられる。

「知らねー。まぁ、なんだかんだしてたらすぐに終わるでしょ。」

と潤が言った。それから掃除や宿題の提出をすると潤の言葉通り、あっという間に下校となった。

「潤?」

「潤!」

「…秋帆?」

「またぼんやりして!一緒の高校に行くって約束したのに、そんなんじゃ落ちちゃうよ!?」

「はぁ~。まだ1年以上あるじゃん。そんな慌てなくても。」

「私は大丈夫だけど、潤、ギリギリじゃん!今日から私と勉強するよ!」

「はぁ?聞いてないよ!?」

「だって言ってないもん。」

「はぁ~。分かったよ。勉強するよ。てか、本当に秋帆どうしたの?焦り過ぎじゃない?なんか、秋帆らしくないよ?」

「あの点数みたら焦りもするよ。てか、なんで潤は焦らないの?」

「わ、分かりました。キッチリ勉強しますのでみっちり教えて下さい。」

潤の態度に秋帆は納得したように笑顔を見せた。

「まぁ、今日は良いから、今からどこか行かない?」

「うん?良いよ。なら、ショッピングモールにでも行く?昼ご飯も食べたいし。」

「良いよ!じゃぁ、レッツゴー!」

秋帆は潤の腕を掴み、引っ張って行った。

潤と秋帆の学校からショッピングモールまで歩いて15分の位置にある。2人が手を繋ぎながら楽しく会話しながら歩いていた。

「朝の話の続きだけどさ。」

秋帆が思い出したように言った。

「何?」

「潤はいつから私の事好きだったの?」

「へ?えっと…。入学してすぐ。一目惚れした…。」

「へぇ~?」

潤が顔を背けて言うと秋帆は嬉しそうに潤の方を見た。

「そ、そういう秋帆こそ、なんで告白にOKしてくれたの?それまであまり話したこと無かったのに。僕は当たって砕けろって思いながら告白したんだけど。」

「ん?私?内緒。」

「ちょ!?秋帆!?」

秋帆が手を離し、振り返って、潤の前に立って、笑顔で言った。

「いつか教えるよ。でも、今は内緒。ただ、1つ言えるのは、私は潤のこと大好きだよ?」

その言葉を聞き、潤はまた照れて顔を背けた。そして、言葉を発しようとしたとき、前から衝撃を受けた。秋帆が潤の体を押したのだ。全くの不意打ちだった為、潤は簡単に倒れてしまった。

「痛っ!秋帆!?」

と叫び、抗議をしようとしたがそれは叶わなかった。凄い衝撃音と共に、車が突っ込んで来たのだ。

「び、ビックリしたぁ。…あれ?…秋帆?秋帆!?」

とさっきまで側にいた彼女の名前を叫び周りを見渡す。

「ま、まさか…。」

と思い、潤は立ち上がり、車に近づいた。車の先はペチャンコになっており、ぶつかった建物もグシャグシャになっていた。しかし、潤は車と、建物間に挟まっている秋帆にしか目が入らなかった。

「あ、あ、あ、秋帆ー!」

潤の叫び声が夏空に響いた。

 

―――――――――――――――――――――

潤が話終えると、明るかった空が少しだけ暗闇を帯びていた。

「…大体の経緯はこんな感じかな?ね?面白くない話でしょ?」

と潤は苦笑いしながら言った。

「………。」

「うん?牛込さん?」

「うぅ…。ヒック…。」

「う、牛込さん!?」

「ご、ごめんなさい。泣くつもりは無かったんだけど…。ごめんなさい。」

りみはティッシュで目頭を押さえながら言った。

「ごめんね。あまり人に聞かす話でも無かったのにね。」

「ううん。そんな事ない。潤君、辛い話してくれてありがとう。…ちなみに、秋帆さんは…?」

「うん。すぐ、救急車を呼んだけど、ダメだった。それからはしばらく僕もショックでダメになっちゃって…。家に引きこもって、なんで助けれなかったんだろう。なんで自分じゃ無かったんだろう。って思っちゃって。」

「…。そっか。」

「ふーっ。なんか暗い雰囲気になっちゃったね!この話は終わり!で良いかな?」

潤が明るく言うとりみは涙を綺麗に拭き取り、「はい。」と言った。

「ところで、牛込さんに聞きたい事があるんだけど良いかな?」

「なんですか?」

「それ!敬語。止めにしない?僕はもっと気軽に話してくれたら嬉しいかな?」

「分かったよ。潤君がそっちの方が良いならそうするね!私も潤君にお願いがあるの。」

「何?」

「私の事、牛込さんじゃなくて、名前で呼んで欲しいな!」

「ふぇ?な、名前?」

「うん。ダメかな?」

「ううん。ダメじゃないよ。なら、名前で呼ぶね。」

「…今、呼んでみて欲しいなぁ。」

「分かったよ…。えっと…。りみ?」

「………。」

「は、恥ずかしがるなら呼ばせないで?」

「うぅ…。ごめんなさい。こんなに恥ずかしいとは思わなくて。」

りみが顔を真っ赤にした。

「お二人さん?盛り上がっているとこ悪いんだけど、入って良い?」

「うわぁ!」

「ひゃ!」

2人はビックリして入り口を見ると、ゆりが立っていた。

「お姉ちゃん?帰ったなら言ってよ~。」

りみの言葉にゴメンと言いながら、ゆりは潤を見た。

「こんにちは。潤君!CiRCLEではどうも!」

「あっ。いえ。こちらこそ。」

潤がペコっと頭を下げると、

「ところで、2人きりだったのよね?潤君、りみの事、襲ってないよね?」

「お、お姉ちゃん!?」

ゆりがふざけたように言うと、りみは顔を真っ赤にして叫んだ。

「襲うなんてとんでもないです!」

潤も叫んでしまった。

 

 

 

 




本日、2話目です。
こんな作品にお気に入りや感想を書いてくださる方がいて本当に嬉しいです。こんなに嬉しいものとは思いませんでした。ありがとうございます。
感想や評価等、どんどん書いてくださいね!

物語は、少しだけ潤の過去に触れました。
好きな人が急にいなくなる経験…。本当に辛いです。辛いって言葉では言い表せません。
少しだけ、作者の実体験も含まれてます。
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