「母さん、おはよ。」
「お、おはようございます。」
潤の準備が終わり、2人でリビングに行くと、潤の母親がせっせと朝ご飯を準備していた。
「おはよう!あなたがりみちゃんね?」
「あっ、はい。牛込りみと言います。朝早くからいきなりすみません…。」
りみがペコリと謝る。
「良いのよ~!日菜ちゃんに連れられて来ただけだし、気にしないで!りみちゃんさえ良かったら毎朝来ても大丈夫だよ!」
「い、いえ。そんな訳には…。」
「ホントに気にしなくて平気だからね!りみちゃん、何飲む?コーヒーか、紅茶か、オレンジジュースがあるけど。」
「あっ…。なら、オレンジジュースでお願いします。」
「うん!分かったよ!潤!?あんたは自分でコーヒー準備してね。」
「母さん!?りみと僕の対応の差つけすぎじゃない?」
潤が苦笑いをすると、りみはふふっと笑った。ちなみに、潤の朝食は基本、洋食であり、今日もパン、サラダ、スクランブルエッグ、ソーセージなど様々な料理が並んでいた。
「潤君の家っていつもこんなに豪華なの?」
りみがびっくりして聞くと
「うん。母さん、専業主婦で料理が好きだからいつもこんな感じだよ。ちなみに、りみが来るって分かってたら、もっと凄かったよ。」
と潤が言うと、潤の母親が台所からやって来て、
「りみちゃん、潤と付き合いたいなら料理で私に勝たないとねぇ~!」
と言った。その瞬間、潤は飲んでいたコーヒーを吹き出し、りみは顔を真っ赤にした。
「ち、ちょっと!母さん!」
と潤が言うと、潤の母親は「ごめんね~。」と言いながら台所に再び向かった。
「はぁ~。」
と潤がため息を付き、横を見ると、顔を真っ赤にして、フルフルと震えているりみがいた。
「り、りみ大丈夫?母さんの冗談だから…ごめんね?」
「はぅ~…。だ、大丈夫。じ、潤君は料理上手な女性の方が良いですか?」
「うん?あんまり気にしないけど、出来た方がそりゃ良いかな?」
「や、やっぱり?…わ、わ、わ、私、頑張るから!」
「へ?そ、それって!?」
潤がびっくりしてりみを見ると、りみは固まり、再び顔を真っ赤にした。
「りみ?」
「へ?あっ。…えっと。わ、わ、忘れてくださいっ!」
「わ、分かったから落ちついて?とりあえず、朝ご飯食べよ?」
潤がりみを落ち着かせながら言うと、りみは「はぅ~…。」と言い、俯いた。
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「ごちそうさまでした。」
「いえいえ。ホントにいつでも来てね。」
「はい。ありがとうございます。」
あれからなんとか立ち直ったりみは朝ご飯に舌鼓を打ち、潤のバイトの時間が来た為、2人で家を出た。
「良いお母さんだね。」
「そう?普通だよ。ところで、りみは今日の予定は?」
「私は10時から蔵で練習だよ。。」
「そうなんだ。ん?ちょっと待って。電話だ。」
潤がスマホを確認するとまりなからの着信だった。
「月島さんから?なんだろ?………はい。もしもし。一宮ですけど。」
「あっ!潤君?おはよ!」
「おはようございます。どうしましたか?」
「潤君、今どこ?」
「今ですか?家を出たところですが?」
「今日ね、シフトのミスでスタッフが物凄い数いるんだよね?だから、悪いんだけど、潤君、休んで!?」
「……はい?」
「だから、潤君は今日、休み!分かった?」
「あっ…はい。分かりました。」
「明日はよろしくね~!」
「明日ですか?明日は元々休みになってましかたが…?出勤した方が良いですか?」
「え?そうだっけ?なら、明日も休みだ!」
「…月島さん?適当過ぎじゃありません?」
「良いじゃん!私に2日間も会えないのは辛いかもしれないけど。」
「あっ、それは大丈夫です。では、また明後日よろしくお願いします。」
「はぁ~い!よろしくね~!」
電話が切れて潤は立ち止まって「う~ん。」と考えた。
「潤君?どうしたの?」
「あぁ…。まりなさんから電話でね。今日、休みになっちゃった。なんか、シフトのミスらしくて…明日も休みなんだけどね。」
「え?そうなんだ。なら、今日は…。」
「うん。暇になっちゃった。まぁ…。宿題やらないとだけどね。」
潤は苦笑いしながら言う。
「う~ん。なら、練習終わったらまた宿題しますか?」
「そうしよ!教えてください!りみ先生!」
「せ、先生?潤君大袈裟だよ~。えっと、練習終わったら連絡するね。」
「了解!とりあえず、りみの家まで送るね?」
「あ、ありがとう。そういえば!」
「どうしたの?」
「やまぶきベーカリーに帰りに寄った方が良いかも?」
「え?なんで?」
「実は日菜先輩がね…。」
りみは潤に朝の出来事を詳しく話した。話を聞いた潤はびっくりして理解が出来なかった。
「……はい?」
「だから、日菜先輩がパンを買ったんだけど、潤君にツケといてって…。」
「はぁ~。日菜姉さんは…。分かったよ。教えてくれてありがとうね。……後から紗夜姉さんにチクっとこ。」
「あはは。あっ、着いちゃった。」
「だね。なら、また夕方かな?」
「うん。そうだね。よろしくね。」
バイバイと言いながらりみは家の中に入った。
「さて、やまぶきベーカリーに行きますか。」
と潤は呟き、蝉の声を背に来た道を戻って行った。
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客足が落ち着いたやまぶきベーカリーでは沙綾が店番をしつつ、新しい曲の確認をしていた。
「(ここはリズムが狂いやすいからチェックと。)」
楽譜にペンで書き込みながら沙綾はチラッと時計を見た。
「(練習まであと1時間。今日も楽しくなりそうだなぁ。)」
う~んと伸びをしながら沙綾は考えていると、店の扉が開いた。
「いらっしゃいませ~。あっ!潤君。おはよ!待ってたよ~!」
「おはよう。朝は日菜姉さんがご迷惑お掛けしました。」
「全然大丈夫だよ!ちょっとビックリしたけど…。」
沙綾が苦笑いしながら言う。
「はぁ~。ちなみに、日菜姉さんの代金はいくら?」
「あっ!えっと、680円です。」
「分かりました。」
と潤が言い、財布を出そうとする。
「メロンパンとチョココロネ、焼きたてですよ?」
「え?」
「だから、メロンパンとチョココロネ、焼きたてですよ?」
「そ、そうなの?」
「はい!焼きたてですよ!」
「……分かったよ。いただきます。」
「あと、夏限定のパン。今日からですよ?」
潤が沙綾を見ると沙綾はニッコリ笑っていた。
「分かった!分かったから!」
「ありがとうございます!お会計、1150円です!」
潤がお財布からお金を出して渡す。
「お買い上げありがとうございます。」
「いえいえ。山吹さんも今から練習でしょ?頑張ってね。」
「ありがとう。あと、沙綾でいいよ!」
「え?いやぁ~…。ちょっと恥ずかしいかな?」
「え?りみは名前で呼んでるのに?」
「いや、それは…。って、なんで知ってるの?」
名前を呼ぶようになったのは昨日の夜なので沙綾が知ってる事に潤は驚いた。
「だって、今さっき、2人で楽しそうに歩いてたじゃない?その時にりみって呼んでたじゃん。」
「み、見てたの?」
「やまぶきベーカリーの前を通ったからね!声をかけようと思ったけど、邪魔したら悪いから止めたの。仲良さそうだったよ。」
「あぁ…。なるほど。」
潤は納得したように頷いた。
「で?」
「で?とは?」
「名前、沙綾って呼んでくれる?」
「わ、分かったよ。呼ぶよ。」
「…………。」
「え?どうしたの?」
「呼ばないの?」
「う、…さ、沙綾…。」
「ぷっ。あはははは」
潤が恥ずかしそうに名前を呼ぶと、沙綾は腹を抱えて笑った。
「……。山吹さん?」
「ごめん、ごめん!潤君ってついからかいたくなって!」
「もう、山吹さんって呼ぶ…。」
「あぁ。良いよ?」
「え?」
「からかいたくて言っただけだから!」
沙綾の言葉に潤は唖然としてやまぶきベーカリーを後にした。
「おかしいなぁ…。月島さんに弄られてるから耐性が着いてると思ったのに…。」
潤はゆっくり家に向かって歩いた。深い深いため息をつきながら…。
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それから1時間後…。Poppin`Partyの面々は有咲の蔵に集まっていた。
「わた~しの心はチョココロネ~♪」
りみがチューニングをしながら鼻歌を歌う。
「(練習が終わったら潤君に会える!練習も楽しいし、ホントに最近楽しいなぁ~!)」
とりみが考えてると周りから視線を感じた。りみが顔を上げると他のメンバーがりみをじーっと見ていた。りみがびっくりして
「え?み、みんなどうしたの?」
「りみりん?凄く機嫌いいね!何かあったの?」
香澄が代表して聞くと
「え?な、なんで分かったの!?」
とりみがビックリしたように聞いた。
「だってなぁ?」
と有咲が言うと、
「鼻歌、歌ってたし。」
と、おたえが答えた。
「うぅ…。き、機嫌が良いのはホントだけど…。そう言われるとは、恥ずかしいなぁ。」
とりみがモジモジしながら言うと、沙綾がニヤッと笑い
「潤君にりみって呼んで貰ってるもんね!それに朝から潤君に会えたしね!」
「さ、沙綾ちゃん!」
とりみがますます顔を赤くして言うと、
「どういうこと!沙綾!」
と香澄が言うと沙綾は朝の出来事を皆に話した。
「一宮さんの家で何してたんだ?りみ?」
と話を聞き終わった後、有咲が聞いた。
「あ、朝ご飯をご馳走になっただけだよ…。」
とりみが言うと、「「「おぉ~。」」」と他のメンバーが同時に言った。
「ところで、1つ気になったんだけど、りみ、出会った時、私が一目惚れしたのって言って凄く否定してたけど、どういう心境の変化があったの?」
と沙綾が言う。他のメンバーも話しが気になると言わんばかりに、楽器を置いて、ソファーに腰かけた。有咲にいたってはお茶を準備していた。
「わ、分かったよ。話すよ…。あのね。」
りみが静かに話し始めた。
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ゆりは自分の部屋で雑誌を読んでいた。読み進めているとたまたまページは「恋愛」のコーナーに入ってた。そのコーナーを読み始めた瞬間、ゆりは自分の妹であるりみの事を思い出してた。
「(りみも恋する乙女になっちゃったかぁ。私もまだなのに先越されそうかな?)」
と微笑みながらページを捲った。
「(雑誌も飽きたなぁ。ギターの練習しようかな?うん?)」
ゆりが雑誌を閉じると、玄関の引き戸が凄い勢いで開き、ドンドンと廊下を歩く音が聞こえた。
「(え?誰?誰が帰ってきたの?)」
とゆりが考えていると自室のドアが「バーン」と開いた。
「お姉ちゃん!ちょっと話を聞いて!」
「うん。りみ?落ち着こう?聞くから。」
ゆりはりみを椅子に座らせた。
「それで?どうしたの?」
「あ、あのね!お姉ちゃん!わ、私って潤君の事、好きなのかな?き、今日ね、潤君とやまぶきベーカリーでパン買って、羽沢珈琲店で一緒に食べてたんだけど…。」
「へぇ~!デートしたんだ!」
「や、やっぱりデートだよね…。じゃなくて!そこでね。Afterglowのひまりちゃんとモカちゃんに会ってね。私、2人に話しかけられた時に付き合ってるの?って聞かれて、潤君が違うって否定した時に悲しくなっちゃって…。しかも、モカちゃんには嫉妬しちゃって…。これってやっぱり好きなのかな?」
一気に説明をしたりみは「ふぅー。」と息を吐いた。最初はニコニコと話を聞いていたゆりだったが、途中から額に手を当てていた。
「お、お姉ちゃん?」
「りみ?絶対に潤君の事好きだよ?」
黙っていたゆりが呆れたように言った。
「…やっぱり?」
「うん!間違いないかな?りみは潤君が他の子と仲良く買い物とか食事とかしてたらどう思う?」
「そ、そんなん嫌やぁ…。」
「でしょ?それを好きって言うんじゃないかな?」
最後にニコッとゆりが微笑むと、りみは顔を赤くして
「はぅ~…。今更ドキドキしてきたよ~。」
と顔を赤くして言った。ゆりはそんなりみを見て、
「りみ!頑張って!でも、ホントに恋する乙女って感じの顔つきだね!」
「お、お姉ちゃん!?」
「あはは。ごめん、ごめん!」
「もぉ~。…でも、わ、私、頑張るから!」
りみが立ち上がりそう言うと、ゆりは雑誌を撫で、
「(雑誌、読んどいてよかったぁ~。)」
と思っていた。雑誌には「特集!これって恋?」と書かれていた。
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「…てことがあったの…。」
りみが話終わり、Poppin`Partyを見ると、香澄は目を輝かせ、有咲は赤面し、沙綾は微笑み、おたえは何とも言えない顔をしていた。
「なーんかドキドキしちゃった!ね?有咲!」
「お、おう。」
「有咲、顔真っ赤だよ?熱?」
おたえが首を傾げて有咲に聞くと「ちげーよ!」と叫んだ。
「まぁまぁ、有咲も落ち着いて。りみりん。話してくれてありがとう。」
「ううん。大丈夫だよ。」
りみがそう答えると香澄がりみの側に近づき、
「りーみりん!ちなみに、潤君のどこが好きなの?」
と聞いた。
「ふぇ!?」
とりみが驚くと
「確かに気になるかも?」
と沙綾が続いた。更には有咲も
「確かに。りみには悪いけど、一宮さんってなんていうか、普通じゃん?顔とか性格とか?まぁ、りみ程、深く関わってるわけじゃないから、知らないだけかもしれないけど…。」
と言った。ちなみにだが、潤は身長も日本の男性の平均身長で、体格も細くも無ければ、太ってもいない。
「あ、あのね。凄く優しいし、何より自分の事より、まず他人なの。私といても凄く気遣ってくれるから…。うぅ~…。めっちゃ恥ずかしい…。」
とりみが言うと、
「りみ。ベタ惚れだね。オッちゃんと一緒だ。」
とおたえが言った。
「オッちゃん?」
りみが首を傾げて聞くと
「私もオッちゃんの事、大好きだから!りみの気持ち、分かるよ。」
とおたえが答えた。
「ウサギと一宮さんを一緒にするなっ!」
と有咲がツッコミをいれると「どっ」と笑いが起きた。
「ねーねー!りみりん!私、今、新しい歌詞書いてるんだけどね。」
と香澄が言うと
「ま、マジかっ!この前、新曲出来たばかりじゃん!」
と有咲が言った。
「えー良いじゃん!で、話を戻すと、ラブソングを書いてるの!」
香澄が笑顔で言うと、メンバーは驚き
「か、香澄がラブソング!?」
「香澄、お前、正気か!?」
「オッちゃんの歌かな?」
と言った。
「皆、まだ話の続きがあるよ。でも、なかなか書けなくてね。りみりんの事書いて良い?」
「か、か、香澄ちゃん!?」
話を聞き、りみも驚いた。
「えっと…。やっぱりダメ?」
「だ、だ、ダメじゃないけど…。うぅ~。恥ずかしいよ~。」
とりみが言った。
「まぁ、出来てから考えたので良いんじゃない?」
と沙綾が言うと、他のメンバーも「そうだね。」と納得して言った。
その頃、潤は夏休みの宿題をしながら盛大にクシャミをし、「風邪かな?」と呟いていた。
8話でした。
書きためていたものがなくなりつつあるので、更新スピードは落ちるかもです(;´д⊂)
申し訳ありません…。