ー渋朝駅、駅前。
学校から駅に向かった3人は、アンデッドたちで溢れかえっている街を見た。駅に向かうまでに、途中途中でアンデッドに襲われ、レイとカナンは精霊をタロットカードから解放し戦う。
駅に着いた4人は、二手に分かれ、クツガヤとカナンは駅構内に見守りに行く。レイとメネンは、監視と防衛のために駅前に残り、アンデッドが来たら戦うことにした。
「レイくん、どう見たって、誰かが意図的にアンデッドを生み出しているようにしか見えないわ」
メネンのいうとおりにしても、状況が見えないのではどうしようもない。
「やっぱり、駅構内も荒されてる。移動手段の電車も動いてないよ」
「あとは車か、バスぐらい使えればな」
カナンとクツガヤは、駅中を見てアンデッドに破壊された構内に驚愕した。ホール内は崩れ、血が流れていた。アンデッドが人を食した形跡だ。
「どうしたって、大人がいないと運転無理よ。それに、ここはもうアンデッドだらけ」
駅の近くにアンデッドが多数集まってきていた。レイたち4人は、駅構内の別出口から逃げる。カナンとクツガヤが安全を確かめておいたので、アンデッドに遭遇せずに南口から脱出できた。
「ここからが正念場よ。助けを求める人が集まっている場所は、閉鎖しやすく、防衛機能が固いところ。目指す場所は、防衛軍本部エデンジア!」
しかし、防衛軍本部は壊滅状態にまで陥っていた。多数のアンデッドに囲まれ、本部頂上に避難している人たちが大勢いた。
「皆さん、自衛隊はもう機能しません。救助隊が来るまで止まっていてください」
国会議事堂もアンデッドに襲われ、機能を失い、日本列島は多数のアンデッドを徘徊させた。その脅威は、海外に逃げ延びようとした人間にも感染者がいて、墜落して東アジアにも感染が広がった。
無限に増殖するアンデッドの脅威に対して、世界は対策を取り、核ミサイルの発射を余儀なくされていた。
一方、レイたち4人は、防衛軍本部に着き、大勢のアンデッドに囲まれている本部を見て、屋上に取り残されている人たちを救うため、レイとカナンは精霊をタロットから解放する。
やはり、各階にもアンデッドがおり、迂闊に侵入できないでいた。
「現れよ、時計の精霊!」
フォーチュンの精霊は、アンデッドとの時間を止め、カナンの騎士精霊によって消滅した。
「屋上までもう少しだ。アンデッドを振り切って、屋上に向かおう!」
レイに先導され、4人は屋上に辿り着く。レイは屋上に避難していた人たちに事情を話し、屋上から脱出することを提案する。レイたちが道を開くと言い、メネンとクツガヤが避難者たちを誘導することになった。
けれど、ようやく一階ホールに辿り着いたのに、アンデッドが多数集まっており、簡単には通ることができずにいたのだった。
さらに、地下通路からもアンデッドが歩いてきたおり、近くに避難していた人たちが襲われそうになっていた。レイとカナンは手分けして精霊を解放して戦うが、巨大ホール内全てを守ることは容易ではなかった。メネンたちのいる避難者たちに、アンデッドが襲いかかり、メネンの突発的な蹴りで弾き返すが、アンデッドがどんどん迫ってきた。
『あなたの内に眠る精霊を解放なさい。メネン様には、女教皇の力が宿っています』
メネンは手に宿ったタロットカードを投げ、気高い女教皇を解放する。女教皇は、持っている杖を振りかざして、周りに結界を張り避難者たちを守る。続いて女教皇は杖を振り、迫ってくるアンデッドを軽々と炎で消し去っていく。
「いきなさい、エンプレス!みんなを守って!」
メネンに従い、エンプレスは魔法を使いレイやカナンの精霊を助けて戦闘に加わった。
「済まない、メネン!」
「前に助けてもらった恩返しよ。残りのアンデッドを早く倒しましょう!」
周りで見ていた避難者たちは呆然とその戦いを見守るしかなかった。
「凄い!」
「彼等は何者なの?」
避難者たちは口々に呟く。アンデッドが全て消えた時、ようやく落ち着いた場所は、世界が色鮮やかに見えた。避難者の中から、一人の女性が出てきた。
「初めまして、九月レイくん、その他クラスメイトの方々。私の名前は、ユウヤ メイルと言います。元警視総監の娘です」
彼女はさらに、自分は刑事だと名乗る。アンデッドの増殖により、彼女の所属する警察当局も壊滅。自分も避難者の一人としてここに来たと話す。
「あなたたちは何者なの?そのタロットカードは何?」
メイルはレイたちの持っているタロットカードを睨む。
「今は言えません。ただ、今この世界を救う唯一の切り札と思っています」
「そう信じましょう。今のところはね。ここはもう駄目よ。アンデッドがまた現れたら、機能しない建物に隠れてもお終いなだけ。皆でできるだけ遠くに逃げましょう」
メイルは避難者とレイたち4人を連れて、隠してあった大型バスと2人乗りの戦車を見せる。
メイルはレイを自分の後ろの席に乗せ、メイルはバスを運転できる大人の避難者の手を貸してもらい、いよいよ出発の時間を待つ。避難者の人たちは倉庫に隠してあった大量の食糧や水などをバスの倉庫に積み、急いでバスの席に乗る。
メイルは戦車に付いている通信機を起動させ、
「こちら、メイル。避難者の救助完了しました。応答願います!」
メイルの通信に、音はザーザーと数秒鳴り続く。
『こちら、・・・ア・・・、敵の・・・こ・・・、・・・お・・・ね・・・』
メイルは何か起きていることが分かった。
「避難誘導場所は、通称アスギルドと呼ばれる地下なの。遥か昔、エデンジアの社員の祖先たちがそこに住んでいて、世界の悪魔から人々を救っていた伝説があるの」
レイは立ちくらみが起こり、目を開けるとクイーンネイルと老人のいる部屋にいた。
「ようこそおいでくださいました。あなたはまさに今、次なる力を得るための準備段階。全てを知り、世界を取り戻したいのなら、アスギルドに向かうのです」
目の前が真っ暗になり、再び戦車の中に戻る。
「どうしたの、レイくん?」
「いえ、少し目眩がしただけです」
「そう。でも、あなたも主力の1人なの。気を付けてね」
戦車、大型バスの二台が準備が整い、アスギルドへの出発が始まる。しかし、アスギルドへは船か、飛行機が必要。港か、空港に着いても動かす人がいないとすぐに周りはアンデッドに囲まれてしまう。奇跡を信じ、港と空港が無事なのを祈るしかない。
ー大阪都市ー某空港。
「ここを何としても死守しろ!最後の頼みは、必ずここにある」
眼鏡の男は、周りに集まってくるアンデッドに、リーダーの男、サポートの女の3人でタロットから精霊を解放し、アンデッドを消していく。
「おいおい、キリがねえぞ!どうすんだ?」
「ヘイ、リーダー!口動かすより、手を動かすネ」
大阪の某空港では、数百のアンデッドを対峙しながら、大型飛行機を守っている3人であった。全ては、レイたちを待ち望んでいるためである。
ー外国ー某エリア。
「通信が、何者かによってジャミングされています!これでは、各国の政府に連絡が取れません。アスギルドにも!」
「ええい、何てこった!奴等があの力を解放しなければ、世界にアンデッドが蔓延することはなかったのに。何としても、ジャミングを止め、各国の全てに我々の居場所を伝えるのだ。ここも、最後の情報を伝える一つのエリアだからな!」
各地で、様々な情報と戦闘が行われている中、レイたち一行はアスギルドに向けて、今出発を開始したのであった。
ースキル: 4 に続くー