世界を救わない物語   作:west4610

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バレた!!

 

 此処は冬木。

 決定的な何かが掛け違い、特異点と化した土地。

 模擬戦──ランスにとってはキャスター殺害の為のだが──が終わり、立夏達一行は洞窟の前に集っていた。

 

「…………」

 

「うーむ、心の友普通に完敗だったな」

 

「うるせー! あんな卑怯な手を使われなきゃ俺様が勝っていたわ!」

 

「心の友搦め手に弱いからなー、もっと鈴女ちゃんに教えてもらってればよかったのにー」

 

 立夏の隣に居たランスは、そんな会話をしながらカオスとしていた。

 

「鈴女?」

 

「何だ興味があるのかガキンチョ」

 

「だってランスロット様はイギリスの英雄なのに、日本人の名前が出たから……」

 

 その発言に、ランスの表情が固まった。

 ここまでランスロットと誤解されたままで来た彼だが、現在オルガマリーに正体を危ぶまれている状況にあった。

 そんな状況で迂闊な事を言って誤解が解けるのは、ランスとしては非常に面倒な事態である。

 

「あー……うむ、大人の関係だからガキンチョにはまだ早い、だから教えてやらん」

 

 ランスは直ぐに立夏の頭に拳骨を落とすと、一歩前に出た。

 

「それより、本当にこの中で合ってるのか?」

 

「何だ兄ちゃん、今更怖気づいたのか?」

 

「違うわ! いい加減面倒になってきたからぱぱっとそのセイバーとかいう奴を倒して終わらせたいだけだ俺様は」

 

「だったらこの奥で間違いない、セイバーはこの奥に間違いなく居る」

 

「どうしてこの奥に居るのが分かるのキャスター?」

 

 二人の会話に、オルガマリーが疑問を投げかけた。

 

「奴さんは俺の捜索は泥に飲まれた……あぁつまり、自分で倒したサーヴァントに探させて自分はこの中である物を守ってるのさ」

 

「ある物、ですか? それは一体──」

 

 オルガマリーの次はマシュが疑問を投げかける番だった。

 その疑問にキャスターは洞窟の入り口の方へ体を向けるとこう答えた。

 

「この土地の心臓さ」

 

「心臓? 所謂龍脈やそれに類する物という事、キャスター?」

 

「ま、其処に関しては行けばわかるさ」

 

「勿体付けるわね……」

 

 キャスターはオルガマリーの質問に勿体ぶる様に答える。

 

「しかし天然の洞窟の様に見えますが、これも元から冬木の街にあったものなのですか?」

 

「これは半分天然、半分人口よ。 魔術師が長い年月を掛けて拡げた地下工房ね」

 

「こんな場所に拠点を作る奴なんざどうせ陰気臭い奴に決まってる、この中に居るセイバーもどうせ雑魚に決まってる」

 

「さて、それはどうかな」

 

 ランスは洞窟の中を見ると大きく口を開け笑い飛ばした。

 その時、遠くから風切り音と声が聞こえた。

 

「! エイワズ!」

 

 空中で、何かが燃えた。

 

「な、なんだぁ!?」

 

「心の友、崖の上崖の上!」

 

 キャスターの叫び声と突然の燃焼音にランスは驚き、カオスが声を上げた。

 其処には……。

 

「アーチャーのサーヴァント!?」

 

 黒い洋弓と、螺旋を描く様な鏃の矢を構える浅黒い肌の男が崖の上に立っていた。

 

「おう、信奉者の登場だ。 相変わらず聖剣使いを守ってんのか、テメェは」

 

「信奉者になった覚えは無いがね、つまらん来客を追い返す程度の仕事はするさ」

 

「ようは門番じゃねえか。 何からセイバーを守っているかは知らねえが、ここらで決着つけようや」

 

「……ふん。 悪いがそこまで──暇では、ない!」

 

 アーチャーは、再び崖の上から矢を放った。

 

「エイワ────」

 

 立夏へ向け放たれた矢をキャスターは迎撃しようとし、少しの間言葉を失った。

 

「ダアアアアアアアアアア!」

 

 真っすぐ飛んできた矢を、ランスがカオスで叩ききったのだ。

 

「さっきからよくわからん会話ばかりしおって! 俺様を放置するとは何事だ!」

 

「……何だねキャスター、このセイバーは?」

 

「さぁてね、敵のお前さんに教えてやる必要は無いだろ」

 

「ガハハハ、そのとーり! そしてお前はこれからこのフード男によって殺されるのだ。 うむ、よし、行けフード男」

 

 一瞬、キャスターとアーチャーの間に微妙な空気が漂った。

 何となく腐れ縁っぽさを醸し出す彼らに疎外感を感じたランスは、無理やり割って入ると突然無茶苦茶な事を言い始める。

 

「は? ちょっとセイバー、貴方何を言って──」

 

「いや、セイバーの言う事俺は乗ったぜ。 どっちにしろこいつは倒しておかなきゃならねえし、セイバーは相性的に不利っぽそうだしな」

 

「むっ、別に俺様はあんな奴余裕だ。 だが脇役のお前に出番を譲ってやると言っているのだ、感謝しろ」

 

「へいへい、それじゃあマスター達はセイバー退治任せたぜ」

 

 ランスの提案に、オルガマリーは意味が分からないという顔をした。

 だがキャスターはすぐさま彼の提案に乗ると、杖を頭上で回転させ、構えた。

 

「先輩、どうしますか? キャスターさんの援護を──?」

 

「いや……ここはキャスターの言う通り、中に行こう!」

 

「提案したのは俺様だぞ俺様!」

 

「どうでもいいから、さっさと奥へ向かって走る!」

 

 立夏、マシュ、オルガマリー、少し遅れてランスが洞窟の入り口を駆けていく。

 アーチャーはそれを追おうと崖の上から飛び降りるが、キャスターがその道を阻んだ。

 

「キャスター……一人で私と戦うと?」

 

「おうよ、遠距離で撃ち合っても埒が明かねぇ。 ここからはいつもの喧嘩と洒落こもうぜ!」

 

「ふん、キャスタークラスでか? いつもより、頭が良くなったんじゃないのかね?」

 

「ハッ! 頭の出来と趣味趣向は──別ってことさね!!」

 

 立夏達が立ち去った後、二人の英霊は地上で激突した。

 

─────────────────────────────────────

 

 一方、地上でキャスターとアーチャーが戦闘を開始してから少し後。

 立夏達は洞窟の中を懸命に駆け、ついに終点へと到達した。

 

「ハッ───ハッ───」

 

 立夏は息を切らし、先を行くランス、マシュに大きく遅れながら洞窟を抜けた。

 オルガマリーもその後に続く。

 

「なんだ──これ……?」

 

「これは……聖杯? それにしては大きすぎる……超抜級の魔術炉心じゃない……なんで極東の島国にこんなものがあるのよ……」

 

「うーむ、良く分からんけど凄いのかこれ」

 

「心の友こういうのからっきしだからなー、っと……敵に気づかれたみたいだぞ?」

 

 洞窟を抜けた先に見えたのは、小さなエアーズロックの様な整然と切り立った崖とその奥から立ち上る光の柱。

 そして──。

 

「──────。」

 

「……なんて魔力放出……あれが、セイバーなのですか?」

 

「おぉ、女の子──って何だガキンチョではないか……これでは手を出せないではないかー!」

 

「いやランスロット様、手を出すとか出さないとか言う問題じゃないと思いますよ……」

 

 崖の先端に、黒い鎧を纏った金髪のセイバーが立っていた。

 ランスは持ち前の嗅覚で女性と嗅ぎ付けたが、次の瞬間にはやる気をすっかり無くしていた。

 そんなランスの叫びと、諫めようと偽りの名を呼んだ立夏の言葉が彼女の耳に入った。

 

「───────ほう、ランスロット?」

 

「ん?」

 

「心の友、ヤバ────」

 

 黒いセイバーが腰を落とし剣を腰溜めの状態で構えた。

 瞬間、物凄い勢いで魔力が放射され、それは射出された。

 爆発。

 そうとしか思えない音が響いた。

 

「な…………なにぃーーー!」

 

「いってぇぇぇえーーーーー! お、折れる! 儂折れるーーー!」

 

 黒いセイバーは自らの剣から魔力を放出すると、ロケットの様な勢いでランス目掛けて直進しながら剣を振るった。

 カオスの助言で、何とか一撃を防ぐことが出来たランスは鍔迫り合いの状態で何とか硬直を保っていた。

 だがランスの足は岩盤を踏み砕き、先ほど振るわれた一撃が異常な重さを持っていることは明白だった。

 

「今、ランスロットと呼ばれていたのは貴様だな?」

 

「そ、それがどうした! 俺様は……えーっと──」

 

「心の友、円卓最強の騎士、円卓最強の騎士!」

 

「あぁそうそう、俺様は円卓最強の騎士ランスロット様だ!」

 

「────嘘だな」

 

 ランスの叫びに、セイバーはほんの少しのイラつきと共に剣から魔力を放出しランスの顔に浴びせた。

 

「どわーっ!」

 

 それを寸での所躱すと、両者は互いに10メートル程の距離を取った。

 

「ら、ランスロットさん、大丈夫ですか!?」

 

 髪が少しだけ焦げたランスをカバーする様にマシュは彼の前に立ち、盾を構える。

 

「ほう。 面白いサーヴァントが居るな」

 

 黒いセイバーは駆け付けたマシュを興味深そうに見ると、次に氷の様に冷たい目線をランスへ投げかけた。

 

「我が臣下を詐称するサーヴァントに、盾のサーヴァントか」

 

「さ、詐称? ちょっと、あんたやっぱり……!」

 

「あー心の友、もしかしてこればれちゃった系? あれ、でも何で偽物ってわかったんじゃろ」

 

「え!? ら、ランスロットさんはランスロットさんじゃないんですか!?」

 

「アホーーー! ギリギリばれてなかったっぽいのに何ばらしてんじゃこのボケ剣がーー!」

 

 セイバーが語った詐称、という言葉に一同は愕然とした。

 更にはカオスが口を滑らせ、ランスに盛大に地面に叩きつけられる。

 

「イデーーーッ! た、たんまたんま! ちょっとたんま! それより今あいつ、我が臣下って言った!」

 

「確かにそうね……と、言うことはあのセイバー、もしかして────!」

 

「えーっと……状況が急で良く分からないんだけど、ランスロットの上司ってことは……?」

 

「星の聖剣を持つセイバー……アーサー・ペンドラゴン──!?」

 

 カオスの発言にオルガマリーはランスを追求しようとするのを止め、セイバーへ振り返った。

 状況が呑み込めていない立夏は、おろおろとしながらも疑問を発し、オルガマリーがそれに答えた。

 

「成程、キャスターからは私の真名は聞いていないということか」

 

 冷酷な表情を保ったまま、セイバーは口を開き。

 

「だが────関係は無い。 侵略者、そして盾のサーヴァントよ」

 

 再び剣を構えた。

 

「構えるがいい、お前達の覚悟の程を、この剣確かめてやろう!」

 

「来ます────マスター!」

 

「よ、よく分からないけどセイバーを倒せば終わりだ! 一緒に戦おう、マシュ、セイバー!」

 

「えぇい、行くぞーーー!」

 

 ランスは大口を上げ、叫び声を上げるとカオスを構えたまま突進を開始した。

 こうして地上でキャスターとアーチャーが激闘を繰り広げている最中、地下でももう一つの激闘が始まった。

 

 

 

 

 




サーヴァント プロフィール変化

【クラス】セイバー → セイバー?
【真名】???
【筋力】C → C+
【耐久】C → C+
【敏捷】C → C+
【魔力】D
【幸運】B
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