ガーリー・エアフォース Sisiter's Vaportrail   作:liris

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海だから8月の間に上げるつもりがここまで引っ張ってしまった……

そんなわけで作戦後の海水浴回です


ではどうぞ!!




Order10  Ocean vacation

「「う み だーっ‼」」

 

 海鳥島攻略戦を終えた私達は那覇基地の人達が薦めてくれた人の少ない穴場のビーチに来ていた。

 

 ……海鳥島から帰還してのデブリーフィングでは色々とあった。主にゲイザーについて色々と。

 ゲイザーは元が電子戦機だから電子能力に関してはさほど訊かれなかった。けどEMLは違う。EMLの方はザイのEPCMの干渉を受けずにザイを撃墜出来る数少ない兵装。自衛隊としては対ザイの装備として魅力的に映ったんでしょうね。

 ただEMLは運用の難しい装備(整備の難しさとロックオン不可という点で)。そもそもEML……というよりレールガンに関する技術はオーストラリアにとって機密事項。よほどの事がない限りその技術を他国に渡す事はしないでしょう。

 

 そんな色々あった作戦の翌日、私達は作戦前に鳴谷君の提案した海水浴で作戦後の息抜きをする事にした。……とはいっても穴場とはいえそれはあくまで有名なビーチと比べての話。今の時期は沖縄への観光客が元々多いから穴場のビーチにもそれなりの人がいるんだけど。

 ちなみに水着は那覇基地の人達が貸してくれた車で全員で買いに行き、会計後に店の更衣室を借りて服の下に着込んでいたから着いたら服を脱ぐだけ、という状態だったので着いてすぐにゲイザーとイーグルが揃って飛び出していったのだ。

 

 余談だが、水着を買う時にもそれはもう色々あった。ゲイザーとファントムが慧に水着を選ばせようとしてからかったり、グリペンがゲイザーとファントムの口車に乗せられて際どい水着をを選ぼうとして慧がそれを止めたりである。

 ……慧が色々と苦労しているがこの部隊にいる限り彼はそういう役回りなのかもしれない。

 

 

「それにしても可愛い娘が多いから注目集めるわね」

「……ミュベールさん。はっきり言っておきますが一番視線を集めているのはあなたですからね?」

 

 ミュベールの言葉に呆れたように言うファントム。淡い緑色を花と葉が彩るワンピースタイプの水着で(パッと見は)清楚に見える彼女によく似合ってる。

 確かにアニマ組も注目を集めているが一番注目されているのはミュベールだ。なにせミュベールの水着は黒を基調に朱色で縁取ったかなり目立つビキニタイプの水着(腰から下はパレオで隠れているが)。加えてミュベール自身、かなりの美人なので男女問わず注目を集めていた。

 

「あらファントム。ゲイザーとイーグルと一緒にいたんじゃなかったの?」

「あの二人ならあそこで競争をしてますよ」

 

 ファントムが指をさした先を見るとゲイザーとイーグルの二人が割と本気になって競争している。

 ゲイザーの選んだ水着はオレンジと白のボーダー柄のチューブトップビキニに胸元のリングから首紐を通したデザインで、自分の髪色とスタイルに合わせてる。イーグルの方は白地に赤いハイビスカスが左胸に描かれた胸元で結ぶタイプのビキニに裾が股下まであるジーンズのようなデザインで活動的なイーグルによく似合ってる。

 ……二人揃って泳ぐのに向いてない水着(トップスがズレやすい……というか脱げやすいという意味で)だけど選ぶときはそんな事考えてなかったんでしょうね。

 

「それに慧さんとグリペンのところに行くのは遠慮したいですし」

「あー。それには同意するわ」

 

 ちらりと二人の方に視線を向けると水をかけ合ってじゃれ合う二人。……どっからどう見てもデートしてるようにしか見えないわね、あの二人は。

 ちなみに水着を選ぶのに一番時間がかかったのがこの二人で原因は主にゲイザーとファントムだ。そんな二人の水着はグリペンがリボンのあしらわれたトップスにフリルのパティオを合わせたオレンジ色のセパレート。鳴谷君はグリペンのドーターに似た赤色のトランクスタイプだ。

 

「それで、一体どうしたの? 暇になったから私のところに来たわけじゃないんでしょ?」

「わかりましたか」

「わかるというか無駄話を楽しむってタイプじゃないでしょ、貴女は」

 

 例外というか誰かで遊ぶ時は手間を惜しまないようだけど。 

 

「ええ、そうです。少しお話したいことがありまして」

 

 ……なにかしら。わざわざ一人の時に来るなんて他のアニマ達に聞かれたくないのかしら?

 

「正直に言いますと今回の作戦、私は誰か失うと思っていました。が、最善の結果となってなによりです。……こう見えて少しは喜んでいるんですよ? 私は。ただお父様から私の価値観は聞いているとおり私は人類という種を守るためなら問題無く日本を見捨てられると言うだけです」

「……自衛隊所属のアニマとは思えない発言ね。下手したら査問会にかけられかねないわよ?」

「あなた方には異様とも言える考え方なんでしょうね。私には至極当然の理論なのですが」

 

 淡々と言うファントム。それ故に彼女の言葉には真実しかなかった。 

 

「さておき、本題に入りましょう。慧さんが操縦を行い、レーダーと火器管制はグリペンが行うというのは悪くない組み合わせだったと思います」

「そうね。極端な話アニマなら射程内であれば当てられる。HiMATを使えない事を引いても補って余りまるアドバンテージだもの」

 

 こればかりはAZCCでもまだ真似が出来ない。AZCCはあくまでも既存の戦闘機の延長線。根本から異なるアニマはモノが違うと言ってもいい。

 

「人間が操縦でアニマがサポートする。こう言う運用もありなのか、発想の転換だなと普通は思うのでしょうね。普通は」

「……貴女は違うの?」

「ええ、私などは捻くれ者ですから少しうがった見方をしてしまうですよ――――――簡単な事です。何故、()()()()()()()()()()()()()()()()と」

 

 私みたいな例外を除いて人の身体はカテゴリー的には無人機となるアニマの機動に耐えられない。もちろん私達だって耐えられる限度はある。けどその逆――――――人が操縦し、アニマがレーダーと火器管制を行うのは問題がない。むしろ『有人機』として見るなら能力は飛躍的に向上する。

 

「私達アニマはザイの部品を流用して作られた兵器です。コアの技術はブラックボックスでいつどんなエラーが出るのかわかりません。そんな物を自律機動で飛ばすなど危険すぎると思いませんか?」

「…………」

 

 ファントムの言葉にミュベールは押し黙る。――――――確かにそれはミュベールに限らず関係者がアニマに対して抱いている危惧だからだ。

 

「本来はアニマはサポートコンピューターとしての役割に徹し、人間が主としてあるべきでしょう。しかし、アニマの制御は自律制御でしか成功しなかった。技術進歩のスタート地点は神のみぞ知ることですがスタートがそうであり、他に成功例がない以上それが当然の形なのだと思っていました。……慧さんとグリペンに会うまでは」

「それは……あの二人があなたの言うアニマと人間、その本来のあり方だからかしら?」

「その通りです。人類が操る兵器としてあの二人の形は理想的なんです。なのになぜ他のアニマがそうならないのかと疑問に思いませんか?」

 

 ――――――ファントムの疑問はそのまま私の疑問でもある。

 形の上だけで言うなら私達有人機のパイロットとゲイザーもあの二人と似た関係になる。ただゲイザーと私達は『隊』としてならそうあれるのであってあの二人のように『個』としてそうなってるわけじゃない。

 私も数回だけならゲイザーのドーターに乗り、私が操縦しゲイザーがレーダーと火器管制という役割分担を試した事がある。けどそれは上手くはいかなかった。……正確にはメリットがなかったのだ。

 アニマの機動に耐えられるパイロットなら同乗するよりも別機で出撃させた方がいいし、一般のパイロットだと今度はエラーが出てまともに飛べなかった。……これは私見だけどアニマとパイロットが同調出来ないとエラーが出るんでしょうね。

(余談だがミュベールはゲイザーのドーターに同乗する試験飛行中にザイと遭遇。そのまま撃墜して基地に帰還している)

 

「そこで一つ提案なのですがRF-4EJ-ANM()に乗ってみる気はありませんか? あなたほどのパイロットが私に乗ればお互いこれまで以上の戦果を挙げられるかと」

 

 ……ファントムの提案はそう悪くない。アニマ側がパイロットを受け入れるならエラーも低くなる可能性は高い。彼女の言う通り戦果も上がるんだろうけど――――――

 

「魅力的な提案だけど答えはノーよ。私はS-32から降りる気はないし、私は複座……はっきり言って自分の飛ばす機に誰かを乗せる気はないわ」

 

 テスト飛行等での不意の遭遇戦ならともかく、戦場を飛ぶ時は誰かを乗せる事はしない。

 それは私が少なからず抱いている望みに起因している。

 

「……私達航空傭兵は死ぬために戦ってるわけじゃない。ただそれでもどうせ死ぬなら空でという想いがある。死に場所を見つけた時、同乗者(後ろ)を道連れにするわけにはいかないでしょう? ……貴女には理解出来ない考えかもしれないけど」

「そうですね。確かに私には理解できない考えです」

 

 こっちから訊いたとはいえ即答したファントムの言葉に思わず苦笑する。

 ま、このあたりはパイロット(同業)の中でも考えが分かれるところなんだけど。

 

「そもそも私が貴女に乗ったら個としてはともかく隊全体で見たらむしろマイナスでしょう。私の撃墜スコアがなくなるんだから」

「おや、やはり気づきましたか」

「気付きましたかって貴女ね……」

 

 そもそも隠す気なかったでしょう、貴女。

 ……というかゲイザー(あの娘)を差し置いてファントムに乗るなんて言ったら間違いなくへそを曲げられるし。

 

「話をしにきたのは私からですが興味深い話を聞かせていただいたお礼です。もう一つお話をしましょう。……私達アニマには一般的に生前の記憶が無いと言われています」

「貴女達の生前………ザイの時の事?」

「ええ、そうです。私達は生まれた時には既にアニマであり、細かい知識は全て機械学習によって詰め込まれます。生まれた当初、意識はまるで深海のような暗い密閉空間でたゆたっていました。もっとも、すぐに機械学習が始まって自身の存在意義を思い起こされたのですが。その前から私には微かにある衝動があったんです。空っぽから始まるはずだった私に唯一存在していた想い。機械学習の影響ではない感情・情動が」

「……それは?」

「『この星を守らなければ』という想いです」

「…………」

 

 ファントムが抱いていた衝動が戦いに関するモノだったならまだ私は納得していた。けど、ソレは私にとって予想外の言葉だった。

 

「不思議だと思いませんか? もしこれがザイであった頃の記憶だとするなら……私は一体何からこの星を守ろうとしていたのでしょうね?」

 

 『この星を守らなければ』、ね……。それがザイの行動する根底にあるのなら厄介な事になるかもしれない。

 

「……確証のない推論だけど……心当たりは少しあるわ」

「聞かせていただいてもよろしいですか?」

「あくまで私見よ? その衝動の元にザイが活動していると仮定するならザイは――――――」

 

 ミュベールの推論を聞いたファントムは驚きを感じながらもどこかで納得出来るモノがあった。 ――――――というよりミュベールの推論は矛盾が少なくむしろ核心を突いているのではと思うほどだった。

 

「……中々興味深い考えです。私としては説得力のあるように思えますが」

「何度も言うようだけどこれはあくまで私見だから正しいかは判らないわよ?」

 

 私のコレは確証のないモノだし、そもそも当たっていてほしくないんだけど。

 

「ミュベールー! ファントムー! こっちに来て一緒に楽しもうよー! せっかく海に来てるんだからー!!」

 

 私とファントムが話し込んでいる間に他の面子は一緒になっていたらしく

 

「一緒に呼ばれている事だし、行きましょうか」

「……そうですね。変に断ってむくれられても面倒ですし」

 

 ファントムの言葉に素直じゃないと思いつつもヤブヘビになりそうなので口には出さない。

 

 

 

 ――――――だって、今ファントムの浮かべている笑顔はいつも見せるどこか張り付けたようなモノじゃなく、自然な可愛らしい笑顔なんだから。

 




ミュベールとゲイザーは自分の中でのキャライメージが固まっているので水着もそれに合わせています

ファントムとの会話で出た空白ですが次話で明らかにする予定です



……このまま本編にするか番外編を一話入れるか迷っているのでアンケートで皆さんの意見を聞かせていただければ幸いです
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