ガーリー・エアフォース Sisiter's Vaportrail 作:liris
追加されるプレイアブル機は一体なにになるんでしょうね
(ハードの関係で6が出来なかった身としてはCFA-44を使ってみたいですが)
ベルクト編もとうとう折り返し地点に到達。ライノファンの方々はもう少々お待ちくださいませ
ベルクト達と遊びに出てから数日、寝る時にベルクトが一緒にとせがむようになった。元々ゲイザーも一緒に寝る事が多かったからベッドが手狭になった事自体は別にいいんだけど……
「……抱き枕にするのはいいけど着てる服を脱がしてくるのは直せないの、二人とも?」
「その……ごめんなさい……」
「わたしもベルクトも脱がせようと思ってやってるわけじゃないんだよ? その、ミュベールの身体でも特に胸を枕にすると柔らかくて気持ちいいからそれを求めてやっちゃうんだよ。……アレ? そう考えるとミュベールの胸が気持ちいいのがいけないんじゃ……?」
「ゲ イ ザ ー ?」
お仕置きの意味も込めてゲイザーの頬を引っ張る。手加減はするけど痛くしないとお仕置きにならないから適度に力は込める。
「い、いひゃいいひゃい! ふぉへん、ひゅへーる。ふぉれはいふぁふぁらひゅるひへ!」
「あら? よく聞き取れないわね~?」
頬を引っ張られて上手く喋れないゲイザーに『聞き取れない』と言って続けるミュベール。笑顔なのに怒りのオーラが見えるのは決して気のせいじゃないだろう。実に恐ろしい所業である。
「あの、ミュベールさん。そこまでにしてあげた方がいいんじゃ……」
「……そうね、これぐらいにしておきましょう」
そうして解放されたゲイザーの頬は紅い。半分涙目になっているがここで反論するとまたされると判っているので文句を言ったりはしない。
「……いたかった」
「自業自得よ。ちゃんと加減したわよ、一応」
「むー」
恨みがましい目を向けてくるゲイザー。そんな妹分に少しだけ少しだけ嗜虐心を刺激される。
「……反対側も引っ張ってバランスを揃えた方が――――――」
「ゴメンナサイ。モウイイマセン」
私が冗談を言い終える前に謝るゲイザー。……まぁバランスを取るという理由で引っ張られるのは嫌よね。
「…………いいなぁ」
そんな私達を羨ましそうに見るベルクト。私達との距離が近くなったせいか、こうしていると自分の望みを口に出すようになってくれたのは嬉しい。
……呟いた内容は私達の関係性にであってそういう趣味じゃない事を祈りたいけど。
「そういえばE.F社から来た人達の伝言には驚きましたね」
「ええ。是非とも実現してほしいわ」
増援として来てくれた隊の人達から預かっていた伝言。それは日本政府が受け入れれば
実現すれば現場の負担がかなり楽になるから
「でもニュースとかで見るけど日本って未だにザイを甘く見てるっていうか外交でなんとか、って言ってる人がいるでしょ? 難航しそうだよね」
「その辺りは交渉する人達を信じるしかないわね」
私とゲイザーが揃ってため息をつき、ベルクトが困ったように苦笑したその時、私の端末に八代通室長からの着信が入った。
「はい、もしもし。……はい。はい、判りました。……仕事よ。説明をするからブリーフィングルームへ来い、だそうよ」
「「うん(わかりました)」」
電話を切ってブリーフィングルームへ急ぐ。本来オフだった鳴谷君にも召集をかけたそうだからいつものスクランブルじゃないのは確かだった。
「早速だが状況を説明する。朝鮮半島から新型のザイが向かってきている。やっこさんの今の速度は時速にして100㎞ほどで現在位置は
ブリーフィングルームには私達アクィラ、そして鳴谷君を含め独飛のメンバー全員が集まってる。モニタには朝鮮半島の広域マップが表示され、いくつかの✕印とそれらを結んだ二本の矢印が表示されている。
「質問があります。時速100㎞程度の速度なら小松に到着するまで相当かかります。領空に侵入されたならともかく、今のタイミングなら通常の戦力でも対処出来るはずです。なのに私達全員に招集をかける必要があるのですか?」
ファントムの疑問ももっともだけど足が遅いみたいからといって楽な相手とは限らない。……むしろそんな遅いのに“脅威”として捉えられてるという事はそれだけ厄介な能力を持ってると見るべきね。
「ああ。まず、こいつを見てもらう」
そう言って八代通室長は画面を切り替え、別の映像を表示する。おそらく問題のザイの写真なんだろうけど……ずいぶんと変わったフォルムのザイだった。
パッと見た印象は。支柱を起点にして三本のアームが放射状に伸びていて先端には巨大なファンがある。映像を見る限り他に推進機関は見当たらないからザイ版のヘリといった感じだ。
「これが……ザイ?」
「見ての通り、制空型や爆撃型でもない。当然誘導兵器や爆弾の射出能力もないから
物理的には、ね。その言い方だとやはり他になにかあるみたいね、このザイは。
「が、こいつは通常の数十倍という出力でEPCMをまき散らしてる。ここまで強烈だと電磁パルスと言っていいレベルだ。低速で動いているから効果範囲に入った都市は長時間電気や通信といったライフラインが軒並みブラックアウト状態になった」
電子戦型か……マズいわね。そんなのが大都市や発電施設……特に原子力発電所や病院に近づいたら大事故やパニックが起きかねない。私達全員が招集されたのも納得だわ。
「お父様、韓国空軍はスクランブルに上がらなかったのですか? それだけ低速なら地対空ミサイルでも墜とせそうなものですが」
「もちろん上がったさ。第10
「なんです、反撃って?」
「……こいつを見ればわかる」
鳴谷君の疑問に八代通室長が画面を切り替える。するとガンカメラの映像とおぼしき動画が再生される。韓国軍の戦闘機から発射された十発近いミサイルが例の新型ザイに向け集中する。
すると次の瞬間、アームについている突起部分が動いたと思ったら接近したミサイルが突如爆発していく。火線等は見えないから視えない“ナニカ”によって守られているように見える。
「もしかしてコレ……レーザーCIWS?」
「レーザー……なんだ?」
「レーザーCIWS。半導体レーザーを使った近接防御用の兵器だよ映像を見る限り威力と射程はあまりなさそうだけどミサイルを撃ち落とすのは問題なさそうだね」
「加えて普段より強力なEPCMのジャミング下です。通常の兵器では相手にならないでしょう」
レーザーCIWS……。また面倒なモノを装備してるわね。
……前から思ってたけどザイの技術ツリーってどうなってるのかしら? 自然発生というには科学よりだし人間の技術よりも進んでる。実は宇宙から来た“ナニカ”だったりしないでしょうね……?
「そして面倒な事に連中は二手に分かれた。進路をほぼ真っすぐ小松に向かって来る方をα、南東に向かっているものをβと呼称する。今回お前達への任務はこの新型が侵入する前に叩き落とすことだ」
八代通室長の声で頭の中での考察を打ち切る。
「連中が途中で進路を変えんとも限らん。そこでα方面にバービー、β方面の敵はアクィラに向かってもらう。方法としてはEPCM対策をしたミサイルを四発以上同時に撃ち込んでもらう。確認されているレーザーCIWSは三基だから四発目以降は撃ち漏らすはずだ」
四発以上の同時攻撃って……私達アクィラはゲイザーの管制能力があるしEMLもあるから問題はない。けど――――――
「お父様。私達は三機しかいません。那覇のバイパーゼロが来るなら話は別ですが――――――」
「残念ながらバイパーゼロはスクランブル済みだ。台湾沖で別のザイと交戦中らしい」
そう。問題はα方面担当のバービー隊。バイパーゼロが来れないなら頭数が足りない事になる。
「ではα方面は私達三機でやれと? せめてミュベールさんかベルクトのどちらかをこちらに加えてほしいのですが」
「却下だ。ミュベールを抜くわけにはいかんし、増援が出てこんとも限らん。α方面はお前たちの内誰かが一発目のミサイルの点火タイミングをズラし、二発目と同時に着弾するよう調整してもらう」
「――――――つまり、ただでさえ難易度の高い同時協調攻撃で内一名はミサイルの点火タイミングも調整しろと?」
「出来ないのか?」
挑発的にファントムに訊き返す八代通室長に思わず引く。
この作戦は
――――――流石にリスキー過ぎる。
「八代通室長。意見具申、よろしいですか?」
「いいぞ。なにかいい案があるのか?」
「今回の作戦、α方面でタイミング等を計るのは能力的にファントムですね?」
「そうだ」
「……ファントムを中継する事でゲイザーの管制能力を届かせられませんか? ゲイザーの管制能力ならミサイルを個別にコントロール出来ますから同調攻撃を容易に出来ると思います」
今回の作戦で一番のネックになっているのは作戦可能機の数が足りない事。けどゲイザーの管制能力を届かせられるなら話は変わってくる。ゲイザーなら複数のミサイルを同時に着弾させる事は出来るハズだから。
「……ふむ。中尉はこう言ってるが、どうだ二人とも」
正直私の案は試してみないと判らないところがある。可能なら作戦の難易度がだいぶ下がるんだけど……。
「実際に試してみないとわからないけど……ファントムの演算能力ならいけると思います」
出来る、というゲイザーの言葉に一同の注目を集める。ただし当の本人は気乗りしないように見える。
「ただ……それをするにはファントムの中枢……コアにわたしがアクセスしてリンクしないといけないし、わたしの中継をしている間ファントムにはかなりの不快感があると思う。それでも「――――――いいでしょう」……え?」
ゲイザーの予想に一瞬思案したファントムだけどそれを即断で受け入れた。むしろあまりの即断にゲイザーの方が驚いてる。
「それで成功率を高められるなら私に文句はありません。……一応言っておきますが私の
「わかってる。借りる以上は成功させるよ」
二人の間での話は決まった。
「全力出撃だ。十分以内に出撃準備を整えろ。あの不細工なシャンデリアを海に叩き落としてこい」
小松を出発した私達はアフターバーナーを焚き、デルタ編隊を組んで隊としての最大戦速(ベース機の関係上ゲイザーが一番遅い)で
≪AQUILA01から02ならびに03へ。攻撃はまず02がEMLによる狙撃を行い、ソレが失敗したらミサイルによる同調攻撃を行う。いいわね?≫
≪わたしは問題なし≫
≪わかりました≫
さて、時間的にそろそろバービー隊が接敵する頃だけど……
≪BARBIE03からAQUILA02へ。こちらの目標を確認しました。始めてください≫
≪AQUILA02、了解。AQUILA02から01、03へ。BARBIE03に接続している間無防備になるから警戒よろしく≫
≪OK。AQUILA03、私は右翼につくから左翼側の警戒を任せるわ≫
≪わかりました≫
ファントムとの接続に集中するためか、ゲイザーの速度が一気に落ちる。私とベルクトもゲイザーに合わせて減速し、周囲を警戒する。
≪AQUILA02からBARBIE03。接続するよ≫
≪ええ、どうぞ≫
≪それじゃ……接続開始!≫
ゲイザーの機体の輝きが増し、直接視ていなくてもその発光が感じ取れる。雲にもゲイザーの固有色である赤褐色が映り、そこだけ見れば昼とは思えない色合いの空になっていた。
≪……っ……んぁ≫
時折通信でファントムの声が聞こえてくる。……色々と変な想像をさせる艶っぽい声をあげるのは抑えれないのかしら、彼女。
ファントムの声を聞いてそんな事を思うミュベールだがそれは難しいだろう。ゲイザーはファントムの身体を内側、それも彼女自身の感覚を無視して動かしているようなもの。神経の内側から他者の感覚が這いまわれば声が出てしまうのは仕方ないだろう。
≪……ッ! ん…ぁ…!≫
これ以上ファントムの声を聞いていると別の意味でマズい事になりそうだから、向こうの状況把握をゲイザーに任せてファントムとの通信をカット。周囲の警戒に専念する。
――――――やがてゲイザーからの発光が徐々に収まり、ゲイザーが機体の速度を上げる。
≪ふぅ……。こちらAQUILA02。β方面の敵は撃墜したよ。後はジャミングで隠れてた護衛を片付けて終わりだって≫
≪AQUILA01、了解。それじゃこっちも向かいましょう≫
再びデルタ編隊を組み速度を上げる。
≪AQUILA02から01、ならびに03へ。攻撃プランの変更を願いしたいんだけどいい?≫
≪……どういう事?≫
ゲイザーがこういう事を言ってくるのは珍しい。逆に言うとそうしなければいけない程の問題が出たという事でもある。
……向こうでなにかあったようね。
≪α方面の相手を攻撃した時なんだけど相手はジェット気流の中にいたの。ミサイルはわたしが
ゲイザーの提案はもっともだ。ジェット気流はひどい時は秒速百メートル近くになる。砲撃であるEMLが影響を受けるのは必至だった。
≪ジャミングで護衛が隠れてる事を考慮すると何度も撃てないわよ?≫
≪外れてもジェット気流のデータが取れるからそうなったら最初の予定通りわたしがEMLでやる。……どう?≫
当たればそれでよし。外れてもゲイザーの照準を補正出来るデータが入る。……なら、問題はないわね。
≪AQUILA01から02、ならびに03へ。AQUILA02の案でいくわ。ターゲットを確認したらAQUILA02は待機。01と03で攻撃を仕掛ける。いいわね?≫
≪おーけー!≫
≪わ、わかりました≫
ゲイザーの案を聞いている間に隊の速度は最大戦速に達し、主翼の翼端から白い尾を引きながら私達は攻撃ポイントを目指す。
戦術マップを見ると問題のザイは朝鮮半島を抜け、日本海の横断にかかっていた。距離が近くなってきたからか、レーダーにノイズが入り始める。
≪……思ってたより強烈なジャミングね≫
まだだいぶ距離が離れてるのにもうジャミングの影響が出始めてる。ここまでのモノだとミサイルの発射位置まで近づいたらレーダーは役に立たないでしょうね。
≪……ミュベール。こっちにも護衛いると思う?≫
≪たぶんね。向こうにいてこっちにいない、なんて都合のいい事はないでしょ≫
≪だよね……≫
目の前にいたらがっくりと肩を落とす様子が目に浮かぶ。
……ふと、出発してから最低限の応答しかしてないベルクトの事が気になった。
≪ベルクト。上がってから口数が少ないけど……緊張してる?≫
≪は、はい。……その……正直、緊張しています≫
やっぱり。原因は……前回の出撃でザイにやられかけたから、でしょうね。
今回の作戦で目標への攻撃自体はそんなに不安要素はない。問題なのはその後に出てくるであろう護衛機との戦闘だ。その意味ではベルクトは実力よりもメンタルの方に不安がある。訓練で払拭出来ればと思ったけど、やはり彼女の不安を取り除くには実戦で結果を出さないと駄目ね。
≪……ベルクト。今回の作戦、ターゲットへの攻撃はゲイザーがするからソレ自体はそう気負わなくていいわ。正直私だって今回はゲイザーに丸投げしてるようなもんだし≫
≪ミュベール……隊長としてその発言はどうかと思うんだけど≫
≪実際そうでしょ、今回は≫
ゲイザーから呆れたような声が入ってくるけど、この作戦はゲイザー任せなのは事実。だから最初から隠れているであろう護衛機に集中しておいた方がいい。
≪だからベルクト、今回私の
≪……え? あの、それは一体……?≫
≪護衛が出てきたら私が突っ込むから、貴女には私の後ろを取ろうとするのを墜としてもらうわ≫
勿論そのためにはベルクトがサポートしやすく、かつ囲まれないように突撃しないといけない。……うん、いつもと大して変わらないわね。
≪そういうわけだから背中、しっかり護ってね。頼りにしてるから≫
≪……はい!≫
シンプルだが信頼を籠めたその一言は確かにベルクトの胸に届き、不安から来る緊張を解きほぐした。
≪……二人とも仲がいいのは結構だけどそろそろ準備してよ? ――――――目標を見つけたから。方位、3-1-0高度10500≫
≪OK。AQUILA01から03へ。行くわよ、攻撃準備!≫
≪はい!≫
ベルクトと先行してターゲットの元へ向かう。こっちのレーダーにも輝点が現れ、近づくにつれてディスプレイやインカムに混ざるノイズが強くなる。ディスプレイはの方はともかく、インカムから聞こえるザーザーという音が耳障りで仕方ない。
≪AQUILA01から03。だいぶノイズが強くなってきたけどそっちは?≫
≪こっ…も出始…てます。…ちらからのつ…信もノ…ズが混…っています≫
アニマとAZCCの電子防御でも防ぎきれないEPCMに思わず舌打ちする。
……加えて少しだけだけど視界がぼやける。久しぶりに感覚に干渉される不快感を抑え込む。
≪AQUILA02から01ならびに03へ。そこからでも狙えます≫
≪ありがと。――――――AQUILA01から03へ。3カウントで撃つわよ≫
≪AQUILA03、了解しました≫
私とベルクトは機体を並べ、
≪いくわよ。――――――3、2、1。≪FOX2≫≫
二発ずつ放たれたミサイルがゲイザーの誘導の元、散開しながら足並みをコンマ単位で揃えて飛翔する。もう少しで当たるというところでザイが反応する。各アームの突起が白く発光したと思ったら数秒後、ミサイルの内三発が迎撃される。けどこれは予想通り。残りの一発は迎撃される事なく見事に着弾し、残骸を撒きながら墜ちていく。
≪やったの?≫
≪うん、バラバラ。けどやっぱり出てきたね≫
クリアになったレーダーに複数の輝点が現れる。……ここからが本番ね。
≪AQUILA03、いくわよ。しっかりついてきなさい!≫
≪はい!≫
ベルクトの前に出て速度を上げる。
≪FOX2!≫
こちらのミサイルに散開し、独特の鋭角的な機動を見せるザイ。私が撃ったミサイルは外れたけどそれは問題なし。
≪AQUILA03、FOX2!≫
――――――回避し、動きが緩慢になったところにベルクトの撃ったミサイルがあるからだ。
そして、残り三機になったうちの一機を後方から飛来した閃光が貫く。
≪AQUILA02、スラッシュ!≫
≪いいわよ二人とも。その調子!≫
二人を褒めつつ、次のターゲットに機首を向ける。縦横無尽に逃れようとするザイだけど見逃すつもりはない。ロックすべくシーカーが稼働、ロック・オン。
(
――――――しかし、ミサイルを発射しようと指を動かしたその瞬間、その異常は現れた。
さっきまでとは比べ物にならない、機体と私の視覚と聴覚を揺さぶるノイズ。
(EPCMッ!? アレは墜ちたのにっ!?)
そして、異変を受けたのは私だけじゃない。目前のザイが突如反転し、こちらに向かって来る。
それは以前にも見たザイの不可解な動きであり、脳裏にその時にザイが採った行動が浮かぶ。
(マズい! あの時と同じならベルクトが危ない!)
前にいたザイはもう目の前まで迫ってる。ミサイルは間に合わないっ!
≪FOX3!≫
反射的に機銃の
――――――そうして向いた先、後ろにいたハズのベルクトは高度を上げてザイから逃れるために必死にもがいていた。
≪ベルクト! 今助けるからもう少し頑張って!≫
≪ミュベール! そっちはわたしがやる! ――――――AQUILA02、スラッシュ!≫
再び空に閃光が
≪間に合ってよかった~。ベルクト、大丈夫?≫
≪はい。その、ありがとうございました≫
≪いいっていいって≫
≪それじゃ、作戦終了ね。帰りましょう≫
小松基地に帰還する事を伝え、再びデルタ編隊を組んで帰路に就く。
作戦は成功したけど私の心中には重くのしかかるモノがあった。
(……あのEPCM、発信源はザイじゃなかった)
そう。
発信源は――――――
(ベルクト、だったのよね)
ミュベールは以前二人で出撃した時からベルクトに、彼女個人としてはともかくアニマ・ドーターとしては疑念を抱いていた。
そして今回の一件はミュベールの『ベルクトにはザイを誘引する能力があるのではないか』という疑念を確信に近づけた。
(……実際にどうなのかは戻ってEPCMのパターンを詳しく分析してもらってからだけど……おそらくブラックでしょうね)
軍関係者にもあまり知られていないが実はEPCMには個体差というべきモノがある。例えば同じ制空型でも細かく分析していけば若干パターンが異なるのが見えてくる。とはいってもそれは本当に細かい差で、1㎝に見えるものがきちんと測ったら1.1㎝だったり0.9㎝だったというレベル。しかし、確実に異なる差でもある。
だから戦闘時に全く同じEPCMが検出される事は基本的に有り得ない。有り得るとすれば過去に遭遇した相手と再びまみえた時か、――――――そのパターンの持ち主が味方にいた時だ。
(……気が重いわ。事が事だけに流石にこれは黙っている訳にはいかないし、たとえ私が黙っていても分析に協力してもらってたヘンガー主任が気付く。知られるのは避けられない、か)
――――――そして、ミュベールの危惧は現実のものとなる。
ベルクトから発せられたEPCMは前回観測されたものと全く同じパターンを示し、ベルクトにザイを誘引するナニカがあるのは確定的だった。
ミュベールの報告を受けたE.F社は社の義務として雇い主である防衛省にこの事を通達。その結果、元々ベルクトに疑念を持っていた防衛省はベルクトの廃棄を命じる。
――――――彼女達に残された時間は刻一刻とリミットが迫っていた。
次回はいよいよベルクトの内側に潜ります
……夏の間に投稿出来るといいなぁ(白目)