俺の第2の人生は戦車道と言う競技のある世界でした   作:ふみみん

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ちなみに僕は料理はほとんど出来ません。




ネクストキングのしほさんである
カモミールをクリアしたので初投稿です。


18・ビストロ西住開店です!

現在、夜の18時。そろそろお腹もすいてきたころ。

 

居間に設けられた特設の審査員席の前には二人の戦士が立っていた。

特設と言っても、人数の関係でいつものテーブルじゃ席が足りなかったので、

別の部屋からテーブルを持ってきてくっつけただけである。

 

『ぼっこぼこにしてやんよ』とでかでかと書かれた

ボコのエプロンを装着する西住みほ。

 

『今夜も電撃戦』と意味深な文字の書かれた

デザインのエプロンを装着する西住しほ。

 

 

「まずはみほにパスタ系の料理を一品作っていただきます」

「が、頑張ります!」

「その後、しほさんにも同じようにパスタ系を一品作ってもらいます」

「守矢君」

 

「なんでしょう?」

「なんで常夫さんまでそこに座ってるのかしら?」

 

審査員席にはしほさんの愛する旦那さん、

西住常夫さんもニコニコしながら座っていた。

 

「守矢君からしほさんが晩御飯作ると聞いてね、すっ飛んで帰ってきたよ」

「くっ……余計なことを……!」

「……母さんや千代さん呼ばなかっただけ有情だと思っていただきたい」

「常夫さん!私頑張るから!」

「うっし、じゃあみほ。早速台所で料理を作ってくれ」

「わ、わかった」

 

台所へと向かうみほ。

 

「後は……まほ、スマホ貸してもらえるか?」

「貸すのは別に構わないが、何をする気だ?」

「一般家庭に中継設備なんかそろえられないからなぁ」

 

審査会場(仮)にあるテレビにケーブルを差し込む。

 

「スマホの画面をテレビに映しても構わないか?」

「問題ない」

 

スマホにもケーブルを刺してテレビの映像出力を切り替えると

まほのスマホの画面を映った。

 

「おぉ、私のスマホがテレビに映ってるぞ」

「壁紙はみほか、お姉ちゃんらしくていいじゃないか」

「隊長の携帯ミラーリングして……あぁ、中継設備ってそういうことね」

「逸見さん、わかるんですか?」

 

エリカのやつは察しが付いてるみたいだな。

 

「設定をリアカメラにしてまほのスマホにビデオ通話すると……」

 

テレビの画面いっぱいに今の会場が映し出される。

 

「これで簡単だが台所の中継が出来るようになるって寸法だ」

 

遅延があるのはしゃあない。

一昔前の衛星放送だと思っていただければ問題はない。

 

 

「んじゃあ、俺は台所に行って中継してくるから」

 

 

俺は、スマホを構えたまま台所へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「みほー、ちゃんと料理できてるかー?」

「まぁ、パスタくらいなら普通に……って、何で携帯構えてるの?」

 

冷蔵庫からひき肉を準備しながらこちらに反応するみほ。

 

「ビデオ通話でみほの姿を中継してるんだよ」

「や、やめてよ!恥ずかしいよ!」

わたわたとするみほ。

「見てるのは身内みたいなもんだ、問題ねぇよ」

「大ありだよぉ……」

「気にしたら負けさ」

「もう……」

諦めた様子で料理を再開するみほ。

 

 

「あ、しほさんにもだけど味付けとかそこらへんは手を出さないけど、

何か切るとか冷蔵庫からなんか出すとかアシストはするから言ってくれ」

 

それくらいなら手伝ってもいいだろ。

……じゃないとみほはともかくしほさんは怖ぇ。

 

これは、常夫さんからのお願いでもある。

「いとも簡単に指切りそうだからカバーしてくれ」と。

 

 

「んー、だったら手伝ってもらおうかな」

そう言いながら大量の水を入れた鍋に火をかける。

「玉ねぎとピーマンを切ってくれるかな?

玉ねぎはスライス、ピーマンは種をくりぬいて輪切りでお願いします」

「ん、任された」

スマホを台所が移る位置に固定して綺麗に手を洗う。

「守矢君、前より早くなってない?」

話している間にみほは厚切りのベーコンを短冊状に切っていく。

「ずーっと家で飯作ってるからなぁ」

みほの横に立って玉ねぎをちゃっちゃか切っていく。

「あ、相変わらず照さんって料理ダメなんだ?」

気づけばソーセージを数本斜め切りし終わっていた。

「みほは上手くなってるじゃねぇか」

ピーマンの上下を切り落として中の種を取り除いていく。

「食堂でご飯は出るけど、部屋のキッチンで自炊もしてたから」

みほはトマトピューレに少量のウスターソースを入れ混ぜ、

フライパンにも火をかけ始める。

「ずっとしてると嫌になるがやらなきゃやらないで落ち着かないんだよな」

種を取り除いたピーマンを輪切りにしていく。

「だよねぇ、自分の好きな味でご飯食べたくなっちゃうもん」

沸かしたお湯に塩とオリーブオイル、パスタを加えていく。

「さて……と」

熱したフライパンにオリーブオイルをひき玉ねぎを投入。

「ふむ……しんなりするまで炒めてからソーセージとピーマンか」

ここまでくると何作るかは大体予想が付くよなぁ。

「あ、パスタが茹で上がる時間だから鍋から上げてこれに入れてくれる?」

十分に火が通ったらケチャップを加え塩故障で味を調える。

「あいよ」

みほの指示通りに茹で上がったパスタを具材に放り込む。

「絡めてる間にこっちのフライパンもあっためてと……」

パスタを絡めながら別のフライパンにも火をかける。

「ふむ……ただのナポリタンじゃねぇな」

「ただのナポリタンじゃインパクト薄いから」

ナポリタンをお皿に盛り付け終わると今度は溶き卵を作り始めたみほ。

「あぁ、そういうことか」

「まずオリーブオイルは多めにいれてっと」

別に熱しておいたフライパンにオリーブオイルをたらす。

「ひき肉とベーコンから火を通して、ある程度経ったら今度は溶き卵。

トマトピューレも一緒に入れてトロトロになるまでかき混ぜてー」

出来たスクランブルエッグをナポリタンの上に盛り付ける。

 

 

「はい、守矢君直伝アンツィオ名物鉄板ナポリタンの完成ー」

 

 

通常の鉄板ナポリタンとは違うんだよなぁ。

アンツィオ高校に存在するアレンジされた鉄板ナポリタンがこいつだ。

 

……アンツィオに行った千代美さん頑張ってっかなぁ。

 

 

「ちゃんと美味しく出来てるかな……」

「見てたけど失敗なんて無かったさ、みんなに美味しいって言って貰おうぜ」

 

 

俺は出来上がった料理とスマホを手に取ると特設会場(仮)へと戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「出来上がったぞー……って、まほはどうした?」

会場に戻ると、ものすごい不機嫌なまほがいた。

 

 

「えっと……何があったの?」

後から来たみほも困惑している。

「みほ」

「な、なに?」

「楽しんでたな?」

「な、なんのことかなぁ?」

この有無を言わさぬ威圧感は試合のものと変わらんな。

 

「守矢!守矢!こっち来なさい!」

さりげなく席を立ったエリカに呼ばれた。

「まほのやつ、どうしたんだよ」

「どうしたじゃないわよ!どうしてくれんのよ!」

「何で俺とみほが責められるのかさっぱりわからん」

いや、わからんというより何故?

「あんだけ二人でいちゃついてればこうなるのもわかるでしょうが!」

「あぁ?いちゃつくって……料理してただけじゃねぇか」

「そんな風に見えなかったのよ!隊長には!」

まほの方を見てみる。

 

 

「なぁ、みほ。新婚さんごっこは楽しかったか?」

「し、新こ……た、楽しかったよ!もちろん!」

何故張り合う、そこは引くべきでしょうに。

「守矢君、さり気なく私が必要なもの渡してくれたりだとか……、

もうなんかわかってるって感じだよね」

何故そっからマウント取りに行くんですかみほさん。

 

 

「さらに戦火広げてるじゃないの!」

「今のに関しては関係ないと俺ははっきり言うぞ」

「どうにかしなさいよ!」

どうにかしろってなぁ……。

まぁ、俺は料理が出来る出来ないは関係ないしな。

 

 

「まほ」

「なんだ守矢、今みほと大事な話を……」

「俺は料理が出来る出来ないじゃなくて

美味しくご飯を食べてくれる人が好きなんだよね」

 

どっちかっていうのなら美味しいものなら美味しいと

ちゃんといってくれる人のほうが好きだからな。

その点まほは美味しいものならどこが美味しいかを。

好みに合わないのならどこが合わないのかを、

ちゃんと言ってくれるから作り手としては非常にありがたい存在だ。

 

「みほ、早く作ったパスタをみんなに配るんだ」

「ぐぬぬ……守矢君はどっちの味方なのかな!」

「はいはい、さっさと配って食べてもらいましょうね」

こういうのはさっさと話を進めてしまうに限る。

「ちょ、ちょっと!守矢君はどっちの……もう!」

納得のいかない面持ちをしているが我慢してもらおう。

 

 

 

 

 

 

 

 

「んじゃ、みほの鉄板ナポリタンを食べてみてください」

 

みんながそれぞれみほの料理を口にする。

 

「うわ、これ美味しいじゃないの」

「みほさん!これすごく美味しいですよ!」

「うむ、これはいい。卵の甘みとナポリタンの味が非常によく合う」

 

学生さんたちの反応は上場だな。

 

「本当……みほお嬢様に後でレシピを聞いておこうかしら……」

「うん、ボリュームもあるし美味しいよこれ」

 

大人達にも好評みたいだな。

 

「で、しほさんは?」

 

ちゃんと対戦相手の評価も聞いておかないとね。

 

「……美味しいわね」

 

悔しそうで、でもどこか満足げに話すしほさん。

娘の成長が嬉しくないわけないんだよなぁ。

 

「では、次のしほさんの料理を食べた後で、

どっちがよかったか判定してもらいましょう」

 

 

 

 

さて、しほさんの料理はどんなもんかな?

俺はさっき呼ばれたときにビクっと

反応したのを見逃してないからね?

 

 

ちゃんと食べられるものが出るといいなぁ……。

 




自分で作ってみたけど鉄板ナポリタンはマジで美味い。
そんなに難しい工程も無いから作ってみるといいゾ。
料理が苦手な俺でも出来るんだからヘーキヘーキ。

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