俺の第2の人生は戦車道と言う競技のある世界でした   作:ふみみん

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いつも初投稿です。


25・戦車、乗ります!

みほの案内で女子寮へとやってきた。

 

「なんだ、みほの住んでるとこってここなのか」

「守矢君の家も近いの?」

「近いって言うか……あそこだ」

 

俺は寮の正面にある古びた一軒家を指す。

 

「大洗は男子寮ってのはなくてな。

学校が指定した家に住むことになってんだよ」

 

ちなみにここは男子生徒の間ではものすごく倍率の高い物件だった。

そりゃ女子寮の近くだもん。

じゃあ、何故俺が住むことになったのかというと、

 

 

 

「荒谷ちゃんなら問題も起こさないだろうし、

逆に女子が何でも頼みに行けばいいじゃない?水道トラブルとか。

生徒会の権限で荒谷ちゃんを住まわせることにするからねー」

 

 

俺はなんでも屋じゃないんだが。

 

 

そんな角谷の姐さんの一声で俺が住むことに。

そもそも女子寮にわざわざ近づくことなんてないから、

別にどうでもいいんだがね。

ただ、学校から近いのはすごく助かるんだよなぁ……。

 

 

「となると、俺がみほの家に行こうが

みほ達が俺の家に来ようがほぼ変わりないのか」

「今日はみほの家で、今度は守矢君の家ということで!」

「いずれにせよ来る気なのか……」

「男性のお部屋は初めてですし楽しみですね~」

「五十鈴、お前もか」

「では、西住殿のお部屋に行きますか?」

「うん、じゃあこっちだよ」

そう、みほが案内しようとする。

 

「あー、俺は1度家に帰っていくことにする」

「どうして?何か忘れ物?」

武部よ……ちょっとは気を利かせろよ……。

「俺にだって異性に見られたくないものがあるんだから、

みほにだって見られたくないもんの一つや二つあるだろ……」

洗濯物が干してあったら、どう反応したらいいんだよ。

「大丈夫になったらメール送って、下まで降りてきてくれると助かる」

「う、うん……わかった」

「んじゃ、また後でな」

俺はとりあえず一度我が家へと戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お邪魔します」

「どうぞどうぞー」

少ししてから連絡があり、みほの部屋へと案内された。

 

「ふむ、ボコだらけでいい部屋じゃねぇか」

「そうでしょ!」

 

案の定と言うべきか、実家の部屋同様ボコがたくさん並んでいた。

 

「そうだ、引っ越し祝いにこれやるよ」

俺は家から持ってきた紙袋を手渡す。

「うわぁ!福岡限定の明太子カラーボコだ!」

袋の中からはピリ辛カラーのボコが出てきた。

「最近出たやつで通販で買っといたんだが、

懸賞で応募してたのも当たっちまって2個あってな」

「ありがとう!」

 

鼻歌交じりでボコを飾るみほ。

うむ、渡してよかったな。

 

「よし!守矢君もきたし作るか!」

「ちなみにこの中で料理の出来るのは?」

 

武部とみほが手を挙げる。

 

「五十鈴は?」

「花しか切った事がないので……」

「秋山はそのカバンから取り出した野営道具を片付けような」

「えぇ~、これで色々出来るんですよ?」

「室内で飯ごうでご飯を炊く必要はねぇよ?

そもそもなんで一式持ってんのよ」

「いつでもどこでも野営できるようにです!」

「みほの家を使わせてもらうのでみほは休んでもらうから、

……やるぞ、武部」

「おっけー!」

そう言って、眼鏡をかけだした。

 

マジか……まさか武部に不意打ち食らうとは。。

 

「……コンタクトだったのか」

「いつもはね、家とかだと眼鏡の方が楽だからね」

「そうだったのか」

「眼鏡がどうかしたの?」

「別に眼鏡がどうこうって訳じゃないが」

「なになにー?眼鏡をかける仕草にドキッとした?」

からかう武部。

「不覚にも少しな、眼鏡もなかなかじゃねぇか」

「あ、うん……そうなんだ……」

 

照れるな、黙るな、俺が辛い!

 

「いいから作るぞ」

「そ、そうだね!」

 

強引に話題を変えてしまえ。

 

「何を作る気なんだ?」

「定番の肉じゃがかな?後何品かは作るけど」

「了解、作るもん教えてくれりゃこっちで

下準備やら何やら受け持つぞ」

「じゃあ、まずはこのジャガイモの皮を……」

 

 

 

 

俺と武部は手早く晩御飯の支度を勧めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほいよ、お待ちどうさん」

肉じゃがとから揚げ、蛤の酒蒸しを机へ運ぶ。

「いやー、守矢君の手際の良さが半端じゃなかった」

「そんなにですか?」

「それなりに勉強して料理が出来ると思う私が嫉妬するレベル」

「何言ってんだ、これ作ったのほとんど武部じゃねぇか」

俺は手伝っただけだからな。

最初は、俺も途中でなんか作ろうかと思ったんだが、

予想した以上に武部の料理の腕は良く、

この際だからと色々なものを教えてもらうために

裏方に徹することにした。

 

 

「みほ、机借りていいか?俺はそっちで食うわ」

「うん、使って大丈夫だよ」

俺は自分の分をみほの机へと運ぶ。

 

「「「「「いただきます!」」」」」

 

 

全員きちんと手を合わせて食べ始める。

こういうのは大事だよな。

 

 

「しっかし、この肉じゃがうめぇな」

味付けはほとんど武部にやってもらった。

ついでに手伝いながら味付けや隠し味なんかを教えてもらうことに成功した。

これで我が料理のレパートリーにまた1ページ……。

「いやぁ~、男を落とすにはまず肉じゃがだからね~」

「落としたこと、あるんですか?」

「何事も練習でしょ~?」

「と言うか、男子ってほんとに肉じゃが好きなんですかね?」

「守矢君はどう思う?」

そこで俺に振るか、みほよ。

何答えても間違いな気がせんでもないんだが……。

 

「料理の腕がそこそこ必要で手間がかかるからじゃないか?

今は万能だしなんかがあって簡単にはなったが、

昔は調味料のさじ加減で味が決まってたからな。

そこいらを上手く調整して、さらにきちんと全体に味を

染み渡らせる必要があるからな」

 

俺の予想だけどな、と付け加える。

 

「手間のかかるものを美味しく自分のために作ってくれる。

それに肉じゃがの作り方っていろんな調理工程を踏まえるから、

これが美味しく出来る=料理が上手って図式になったんじゃないか?」

 

ただ、現代の世の男性が肉じゃが好きかって言われると、

自信はないな……俺も違うし。

 

 

 

「ちなみに、守矢君は何を作ってもらいたい?」

「俺か?」

女子全員が注目する。

「そうだな、俺のために作ってくれるんなら何でも嬉しいぞ」

「違う!守矢君違うんだよ!そこはバチっと言ってもらわないと!」

食い気味だなぁ、武部。

「とは言ってもなぁ……基本的に好き嫌いねぇんだよな」

「一個くらいないの!?」

「そうさなぁ……鉄板ナポリタンかなぁ……」

「なにそれ?」

「アンツィオにあんだよ、そういう料理が」

「私が去年作ったやつだよね?」

「え!?みほって守矢君に手料理作ったことあるの!?」

「ちょっと状況が特殊だったけど……」

 

まぁ、千代美さんの鉄板ナポリタンを超えるものには出会ってないんだがね。

 

「しかしパスタか……」

 

パスタ……ドーム……ティーガー風……。

 

うっ、お腹が膨れる!

 

 

「ちなみに、守矢君は作れるの?」

「みほに教えたのは俺だからな」

「じゃあ今度作ってよ!」

「機会があればな」

 

 

その日、みほの家で食べた夕食は大変にぎやかで楽しいものとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、今日は初めから戦車道の授業のため早めに登校しようとしていた。

 

「あ、守矢君おはよう」

「おはよう、朝はこの時間なのか?」

「早めに行こうと思って」

 

玄関を出てしばらく歩くと登校中のみほに出会った。

そのまま二人で登校していたのだが……。

 

「……はぁ、今日もまたダメだったか」

 

目の前をふらふら歩いている人物に溜息が出る。

「だ、大丈夫ですか!?」

心配して駆け寄るみほ。

「辛い……生きているのが……辛い」

「えぇ!?」

「だが……行かねば……」

みほが肩を貸す。

このまま冷泉に付き合ってると早めに出たとはいえ、

みほの力じゃ無理だな……。

 

「冷泉、これじゃ授業にすら間に合わんぞ」

「おぉ……荒谷の知り合いだったか……」

「守矢君、知ってるの?」

「冷泉麻子、学年トップで武部の幼馴染だ」

「学年トップ!?」

「とりあえずいつも通り運ぶぞ、いいな?」

「……すまない」

そう言って俺は冷泉の前にしゃがみこむ。

 

「ほら」

「ん……」

 

冷泉はしゃがみこんだ俺に全体重を預け首に腕を回す。

その冷泉をそのまま背負う。

 

「さてと、遅刻はしちまうが真面目に学校に向かうとするか」

「え、そのまま行くの?」

「じゃねぇと、冷泉の力が尽きちまうからなぁ」

「……すまない」

「みほは先に言っててくれて構わんぞ、俺はどうせ雑用だしな」

「そういうわけにもいかないかな……あ、冷泉さんと守矢君のかばん持つよ」

「いいのか?」

「うん、このまま学校に行っても気になっちゃうし」

「そうか……なら一緒に風紀委員に怒られますかね」

 

俺はみほと一緒にゆっくりと学校へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「冷泉さん、あなたこれで連続245日の遅刻よ!」

「やべぇな、ある意味尊敬するぞこの記録」

「荒谷君、尊敬なんてしなくていいの!」

「でも、それだけ頑張って学校には来ようとしたってことじゃねぇか」

「間に合わなきゃ意味ないじゃない!」

「そど子……」

「何か言った?」

「別に……」

 

校門では風紀委員の園先輩が立っていた。

 

「荒谷君は甘いのよ、いつもそうやって背負ってくるじゃない」

「いつもじゃねぇよ、見かけたときだけだ」

「ほぼ毎日じゃない!」

「まぁ、通学路だからな」

さすがに俺も待ったり探したりはしない。

頑張って冷泉なりに早く登校したときだけ時間が合うので、

その時は手伝ってやっている。

……いろんな事情は知ってるしな。

 

 

「西住さん、今度から冷泉さんを途中で見かけても先に登校するように」

「は、はい……」

 

 

 

 

園先輩のありがたい説教を受けて校門をくぐる。

 

「悪かった……」

「気にすんなよ、俺も朝つらいときがあるしな」

「冷泉さんこそ大丈夫ですか?」

 

 

「……いつか借りは返す」

 

 

 

そういって冷泉は下駄箱へと向かった。

 

 

「俺たちもさっさと車庫に向かうか」

「うん」

 

みほと共に足早に車庫へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お二人とも遅いから心配しました……」

「寝過ごしちゃって……」

「戦車道が楽しみすぎて寝られなくて……」

「二人とも小学生じゃないんだよ!?」

とりあえず、冷泉のことは伏せておき適当にごまかしておいた。

 

そうこうしてると遠くのほうから輸送機が轟音を響かせやってきた。

 

「なぁ、みほ。どうやって着陸する気だと思う?」

「えっと……無理じゃないかな……?」

「奇遇だな、俺の答えもそうなんだ」

 

そのまま見ているとどうやら後部ハッチが開いたようだ。

 

「なぁ、みほ。どうやって戦車をここに持ってくると思う?」

「パラシュートつけてそのまま降下……だと思う」

「偶然だな、俺の答えもそうなんだ」

 

その言葉通り、輸送機から戦車が降下してきた。

が、勢いがつきすぎて学園長のスポーツカーに戦車が直撃。

当然スポーツカーは横転した。

「学園長の車が!」

「あー、やっちったねー」

 

 

さらに、何を思ったか戦車はそのままバック。

止めといわんばかりに車を踏み潰した。

 

 

「なぁ、みほ。俺さ……角谷の姉さんから、

今日来る講師は戦車教導隊から来るって聞かされてんだ」

「そうなんだ……え、戦車教導隊……?」

「浮かんだろ?戦車教導隊所属で思い切りのいいというか、

躊躇ないと言うか、豪快な人が一人」

 

一人だけ浮かぶんだよなぁ……。

その人だったら遠慮しなくて楽だけどなぁ……。

 

 

 

「こんにちは!」

 

 

 

そこで笑みを浮かべていたのは浮かんだ人物その人だった。

 

 

 

 

 

 

「特別講師の戦車教導隊、蝶野亜美一尉だ」

「戦車道は初めての人が多いと聞きましたが、一緒に頑張りましょう!」

 

 

武部の騙された、という声は無視しておくことにする。

そもそも戦車道の講師で男ってのはほぼいないぞ?

整備課や上の方の役員になるとまた変わるんだろうが。

 

「あら、みほちゃんじゃない!」

 

蝶野さんがみほの存在に気づく。

 

「師範や、お姉さまはお元気?」

「メールや電話する限りは元気でやってるみたいです」

 

みほに注目したところで辺りがざわつきだす。

 

 

「師範って……?」

「有名なの……?」

「みほさんのお母様が師範をしている西住流ってのはね、

戦車道の中でも最も由緒ある流派なの」

まぁ、歴史は古いよな。西住流って。

 

それがイコール強さに直結はしないんだがね。

 

「まぁ、みほはみほさ。

家が古い流派やってようが関係はないんじゃないか?」

 

俺が後ろから口を出す。

 

 

「……あら、この学校は男子も戦車道をやっている……の……」

 

蝶野さんの動きが止まる。

 

「あいつは雑用ですから、気にしない……で……」

桃ちゃんが言い終わる前にすごい勢いで蝶野さんが詰め寄ってきた。

 

 

「もしかして……荒谷君?」

「お久しぶりです、蝶野さん」

「あんなに小さかった子がこんなに大きくなるなんてねー」

「蝶野さんもあれから変わらずお綺麗で」

「お世辞なんか言える歳になって」

 

いや、蝶野さん実際美人だろ。

……中身は豪快だけど。

 

 

 

「あれ?荒谷ちゃん知ってるの?」

「前にちょっとあってな」

「前って、最後にあったの高校に上がる前かしら?」

「え、小学生の時以外に何かあったの?」

「あー、うん。色々だ、色々」

 

「守矢君、なんか歯切れ悪くない?あ、蝶野さんに告白して撃沈したとか!?」

 

何言ってんだこいつ……。

 

 

「それは逆、私が撃破されたのよ」

 

 

何言ってんだこいつ!?

言葉が全然足りてねぇ!?

 

「も、守矢君……」

「何々!?好きな人でもいたの!?」

 

視線が……視線が痛い……!

 

 

 

 

 

 

「……戦車教導隊と殲滅戦をして勝ったんだよ」

静まり返る車庫前。

 

 

 

 

 

 

「荒谷ちゃーん、賭け事はよくないなー」

「賭けじゃない、純粋に選手として出たんだよ」

 

「……」

 

静まり返った車庫前。

ちゃんと飲み込めたのは、事前に俺が戦車道をしていると

知っていたみほと秋山のみ。

角谷の姉さんですらぽかーんとしてる。

 

 

「嘘はよくないと思う!」

武部がいち早く我に返る。

「みほさんは、守矢さんが戦車道をしていることご存知だったんですか?」

「……うん、目の前で試合を見たこともあるよ」

「どうだったんですか!?」

食い気味の秋山。

ぶれねぇなぁ……。

 

「照さんもいたけど、正直勝てる気はしなかったかな……」

「照さん?」

「荒谷殿のお母様ですね、今の戦車道の日本代表の選手で、

撃破率は世界トップですね!日本では『流星』の異名で知られています!」

秋山の説明が入る。

 

「まぁ、俺のことなんてどうでもいいさ。

公式試合で乗れねぇんだからな」

 

選手になれないのであれば俺がどれだけ

頑張れるとしても無意味だからな。

 

「で、今日は何やるんですか?」

この話題を続けても仕方がないので蝶野さん今日の講習の説明を促す。

 

「そうねぇ……本格戦闘の練習試合、やってみましょうか!」

「えぇ!いきなりですか!?」

 

小山の姐さんが驚くのも無理はない。

普通、徐々に慣らしていくもんだが……。

 

「大丈夫!戦車なんてバーっと動かしてガーっと操作して、

ドーンと撃てばいいんだから!」

 

豪快すぎやしませんかね……。

 

「何事も実践よ!では、この地図に書いてあるスタート地点へ向かってね」

「蝶野さん、俺は?」

試合に出るわけにもいかねぇからな。

「荒谷君は私と観戦でもしましょうか」

「了解です」

「じゃあみんな、行動開始!」

 

 

蝶野さんの号令で、生徒たちがそれぞれの戦車へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

試合は思いがけないほど順調に進んでいった。

「戦車の操作ってそんなに簡単じゃねぇんだけどな」

蝶野さんと並んで双眼鏡で試合を艦戦していた。

っと、Ⅲ突と89式がⅣ号を橋の中間に追い詰めたか。

「さて、ここからどう動く……?」

「もし荒谷君がⅣ号に乗ってたのならどうする?」

「1番戦闘力があるのが自分たちの乗るⅣ号なので、

ほかの4両は全力で自分たちを叩きに来ると仮定します。

その他のチームは敵同士であろうが今は結託するのが上策ですから。

現にⅢ突と八九式は明らかに組んでるみたいですし。

あそこに居ない38(t)とM3の2台は前から漁夫の利も狙って挟撃する気かな?」

1年に関してはとりあえずついていってる感がある。

 

 

 

 

「……ん、Ⅳ号の運転手が代わったか?」

一度停止したⅣ号が先ほどの動きとは変わっていた。

後退から前進がえらくスムーズになったな。

 

 

「俺がいつもの面子でここを突破しろといわれたら

全速力で前進して前から来る2台を先に叩く。

Ⅲ突や八九式に比べれば行進間射撃になるので若干でも命中率は下がると思うので」

 

 

お、Ⅲ突と八九式を撃破したな。

みほはそっちから狙わせるか。

まぁ、当たらない確立の方が多いだろうし。

「おいおい、それを外すかよ……」

38(t)とⅣ号が同時に放った砲弾は、

一方は明後日の方向へ、一方は車両へ。

直撃し白旗が出たのは38(t)だった。

 

「んで、焦った1年は自爆しちゃったか……」

逃げようとしたところ泥にはまって行動停止になってしまった。

 

 

「生き残ったのは予想通りみほ達のチームか」

まぁ、初心者ばかりだしな……。

しかし、ここまで動けるのは予想外だったな。

もうちょっと頑張れば1回戦で相手次第で良い試合は出来る…・・・かもな。

 

 

「さて、試合も終わったことだし、みんなに総評を言いにいきましょう!」

蝶野さんが気分良く観戦塔を降りて行った。

しかし蝶野さんが総評……ねぇ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「みんなグッジョブ!ベリーナイス!これだけガンガン動かせたら上出来よ!」

大雑把すぎねぇか……?

「特にAチーム、よくやったわね!」

まぁ、最後まで生き残ったしな。

「じゃあ……荒谷君はなにかある?」

「え、俺ですか?」

「戦車道の先輩として、アドバイスを送ってあげなさい」

えぇ……同い年の俺が何か言ってどうすんだよ……。

「荒谷ちゃん、思ったこといっていーよ」

「……角谷の姐さんがそう言うのなら」

しかし、これといって言うこともないな……。

「まずⅢ突と八九式、組んでⅣ号を落とそうとした判断は決して間違いではない。

隊長がいないこの試合でその判断ができるのなら上出来だ」

 

戦力なんかを十分見極めた上での判断だろうしな。

 

「38(t)は連動してない味方を利用しての挟撃はよかったと思う。

ただ、最後の射撃が明後日の方向に行かなきゃもっとよかった」

 

桃ちゃんがなんか喚いてるが無視だ。

悔しかったら俺より当ててくれ。

 

「1年のM3リー。目の前で全員撃破されてしまって、

ビビッてあそこで逃げるという判断をしたと思うがそれでいい。

逃げ延びれば冷静になる時間が生まれる、冷静になれば意外と出来る事は浮かんでくる」

 

ただ、危険だから戦闘の最中に車両を降りて逃げるのだけはしないこと、と念を押す。

勢いあまって車両を降りて逃げちゃ危ないからな。

砲撃の余波でなんか飛んでくるかもしれないしな。

 

「Ⅳ号は、急に動きが変わったが……動かしたのはいつの間にかそこにいる冷泉か?」

「……そうだが」

「いい動きだ、そのまま戦車道に入っちまえよ」

「……面倒だ」

「まぁ、入らざるを得ないと思うがな」

 

主に特典関連のせいで。

 

「これぐらいかね。さっきも言ったが聞き流してくれてかまわないからな」

「荒谷ちゃん思った以上に真面目なこと言うんだねぇ」

 

みんなが一斉に頷く。

 

「ほんとにやってたっぽい?」

「なんかかっこいいかも……アウトローっぽくて!」

 

1年にはなぜか好評のようだ。

 

「というか、やっぱ信じてないんだな」

「そりゃ、みほを疑うわけじゃないけど簡単には信じられないよ」

「まぁ、そうか……。戦車に乗る機会があれば、目に物見せてやるさ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時は知らなかったんだ。

その戦車に乗る機会が思った以上に早く来るってことを。




多分、本編の台詞やら何やらを極力なぞろうとするから長くなるんだな。
今後はカットできるようなところはカットしていこうかな……?

沙織の眼鏡って良いよなぁってのを書きたかっただけで、
わざわざきちんと夕飯のシーン書いたからなぁ……。

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