俺の第2の人生は戦車道と言う競技のある世界でした   作:ふみみん

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知ってるか?初投稿は3つに分けられる。

初投稿を求める奴、
初投稿に生きる奴、
初投稿を読める奴、

この3つだ。



歪んだパズルがリセットされたので初投稿です。


30・抽選会場……の外です!

「男は抽選会場に入れない、と」

「申し訳ありませんがお引き取り下さい」

 

全国大会の抽選会場。

そこにみんなと一緒に意気揚々と来たのだが、

入り口で俺だけ係員の女性に止められてしまった。

 

ちなみに抽選に遅れてもいけないので

他の人達には先に会場内に入ってもらっている。

まぁ、問題になってるのは俺だけだしな。

 

「ちゃんとした大洗学園戦車道の履修生なんですけど」

「えぇ、そのようですね」

 

ふむ……戦車道関係での男性への風当たりが強いのは重々承知している。

未だに男子禁制を謳っているところもあるくらいだ。

 

しかし抽選会場にすら入れないとはなぁ……。

専用のチャンネルじゃライブ配信もしてるんだぞ?

 

 

「男子で戦車道を履修しているから入れないんですか?」

直球で聞いてみたが、その言葉に何かに気付いたような係員さん。

 

「あぁ、何か勘違いなさっている様ですね」

 

あ、そうじゃないっぽい?

 

「何をしていようが関係なく男子だから入れないのです。

中は女の子ばかりなのでその為ですよ」

 

そう微笑む係員。

 

「中にいるスタッフも女性しかいません。

子供達に万が一にも何かあってはいけないと言う理事長の配慮です」

 

「理事長……しほさんがですか?」

「あら、理事長をご存知なのね」

「マジであの人自分の子供にだけ不器用発揮してんなぁ……」

 

こんなにちゃんとした配慮が出来るのに……。

しほさんはなぜこんなにも局所的ポンコツなのか。

 

 

「そういう理由であればしょうがないですなぁ」

「でも男子で戦車道を履修するなんて珍しいわね。

公式試合には一切出られないと言うのに」

「戦車に乗ってるのが楽しいですから。

では、時間まで外で時間を潰しておく事にします。

お仕事頑張って下さい」

 

俺はその場から立ち去った。

 

 

 

 

 

 

「とりあえず駄目だったことと終わったら連絡くれるように

みほにメールしておいて……と」

 

……その間なにしようか。

 

 

「暇を潰せるようなことがあれば……あれ?」

会場の外、ちょっと外れたところに座る着物美人。

 

 

「菊代さん?」

「あら、荒谷様ではないですか」

 

西住家家政婦井手上菊代さんがそこにいた。

 

「えっと……どうしてここに?」

熊本からなんで態々こんなところに?

「理事長として参加される奥様の付き添いですよ」

「え、家のほうは……」

「あぁ、家政婦としても働いておりますが、

奥様の秘書としての役割も担っていますので

今日はそちらのお仕事優先です」

なら納得だ。

「正直言えば、奥様の付き添いはついでで

お嬢様方の様子を見に来たのですけど」

しほさんはついでなんですか……。

まぁ、しほさんは大人だしなぁ。

 

「先ほど、みほお嬢様をお見かけしましたが

元気でやっているみたいですね」

「えぇ、仲間と戦車乗ってますよ」

「聖グロと試合をされたとか」

「情報はやいですね」

「ふふ、家政婦で秘書ですので」

家政婦で秘書ってのはヤバイんだな。

「冗談ですよ、練習試合とは言え戦車道連盟が必ず絡みますからね」

壊れた家屋の補償やらなんやらがあるからな。

認可の書類なんかで知ったってわけか。

「荒谷様、久しぶりの砲手としての試合はどうでしたか?」

あ、そこらへんも知ってるんだな。

「みほの化け物っぷりを再確認しましたね。

それと思った以上に選手の戦闘に関してのセンスがいい。

実際、あの練習日数で聖グロを食らいついてるのは異常ですよ」

「それを阻んだのは荒谷様でしょう?」

「敗北を知って得られるものがありますから」

「本当のところはどうなんですか?」

くすくすと笑う菊代さん。

かなわねぇなぁ……。

「練習試合とは言え負けるのは嫌です」

 

これが正直な感想だ。

 

「男の子ですね」

そう微笑む菊代さんだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……黒森峰を出ていい出会いをしたのですね、みほお嬢様は」

しばらく無言が続いた後、ぽつりと菊代さんが呟いた。

「黒森峰に居た時とは表情がぜんぜん違いました」

「あいつに足りなかったのは張ったものを緩められる場所ですからね」

 

 

 

黒森峰にもエリカと言う親友はいたが、

気の抜いていい場所はほとんどなかっただろうからな。

西住の名前を背負っている以上、

あの学校で求められるのは西住流としての立ち振る舞いだ。

 

あいつの性格や戦い方とは真逆だからな。

まほは隊長としての立場があるだろうし、

エリカがいくらフォローしても多分追いつかなかったろう。

 

みほの問題はあの一件でほぼ片付いた。

現状を見れば上手い事いい方向に動いたと思う。

 

 

「まほの方はどうなんですか?」

「まほお嬢様ですか?」

 

 

結構なシスk……妹思いなお姉ちゃんだからな。

あれからも結構な頻度で連絡が来てるから、

今も黒森峰で踏ん張ってるのは知っているんだが……。

 

 

「まほお嬢様も黒森峰を立て直そうと必死になっておられますよ」

「……やっぱりみほの抜けた穴は大きいですか」

 

そりゃそうか。

今までみほが人知れずカバーしてた部分を

誰かが補わなきゃいけないんだから。

 

「逸見様がカバーはしていますが、

みほお嬢様ほど上手くはいかないようで」

 

エリカも頑張ってるんだな。

最近めっきり連絡くれなくなったから

どうしてるか知らなかったんだよな。

 

「焦りとプレッシャーですかね。

余裕がない分周りが見れてない、か」

 

押しつぶされそうな不安とも戦ってるんだろうな。

前任者が有能だった分重たくのしかかってそうだ。

 

あいつも才能はすげぇと思うんだけどな。

ちょーっと、視野が狭くなる部分があるんだよなぁ。

 

まほほど固くはないが、みほほど柔らかくはない。

突出しているわけではない。

かと言って中途半端というわけではない。

かなり高い水準で今は収まってる。

 

正直なんかのきっかけで突き抜けたら、

島田流の愛里寿ちゃんを除いて、みほやまほの最大の脅威になると思うんだよなぁ。

一番近いところで化け物二人を見てるんだからな。

 

 

 

 

 

そんな時、ポケットのスマホが鳴り出した。

 

「すみません……みほからだ」

画面に映された相手の名前はみほ。

 

「もしもーし」

『あ、守矢君?今抽選会が終わったんだけどどこにいるの?』

「会場近くにはいるぞ」

『今から沙織さん達と戦車喫茶?に行くんだけど守矢君もどうかなって』

 

マイクを抑えてちらっと菊代さんのほうを見る。

 

「私も奥様のところへ向かいますので大丈夫ですよ」

 

抽選会が終わったみたいだしそうなるか。

 

「おっけー、会場の入り口に向かうから近くにいてくれ」

『うん、早めに来てくれると助かるかな』

「了解、んじゃ後で」

 

そう言って通話を切る。

 

「すんません、みほの所に行って来ます」

「みほお嬢様に宜しくお伝えください」

「わかりました、しほさんにも宜しく言っておいてください」

「承りました、それではまた」

 

 

綺麗にお辞儀をして菊代さんは行ってしまった。

 

「うし、俺も集合場所に急ぎますかね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

みほ達と合流し一同は戦車喫茶エクレールへ。

「やっぱ女の人が多いな……」

流石戦車道関連の施設、男の俺が完全に浮いてるじゃねぇか。

6人で席に座りメニューを開く。

 

スイーツばっかだな……嫌いではないが。

 

 

90式戦車の形をしたボタンを押し、店員を呼ぶ。

ボタンを押すと結構な音がした。

……音が主砲になってんのか。

 

「ケーキセットでチョコレートケーキを二つ、イチゴタルト、

レモンパイにニューヨークチーズケーキを1つずつ」

五十鈴が慣れた感じで注文をする。

「守矢さんはどうされます?」

「俺はアイスコーヒーを」

「承りました!少々お待ちください」

メニューを回収し店員が立ち去る。

 

あちこちから主砲の音がするが1つ1つ違うんだな。

こういう細かいところちゃんとしてるのは嫌いじゃない。

 

しばらく待っているとドラゴンワゴンでケーキが運ばれてきた。

ケーキの形も戦車のようになっている。

マジか、こんなに凝ってるのか。

そりゃ、客も多いわけだ。

 

「ごめんね……1回戦から強いところに当たっちゃって」

「そういや1回戦どこと当たるんだ?

その言い方から察するに強豪校っぽいが」

 

「……サンダース大付属」

「また、すごいところと当たるな」

「そんなに強いところなんですか?」

 

知らない人はわからねぇか。

 

「強いと言うよりすごくリッチな学校ですね。

戦車の保有台数が全国1位でチーム数も1軍から3軍まであります」

 

さすがのゆかペディアである。

簡潔にわかりやすく説明してくれるな。

 

「序盤で当たるのは逆にラッキーではあるがな」

「どういうこと?」

「公式戦の1回戦は車両が10両までって決まってるの。

砲弾の総数も決まってるし」

「でも10両ってうちの倍じゃん!

それって勝てないんじゃ……」

 

んん???

 

「何で車両数でそんな心配になるんだ?」

「何でって倍だよ!?倍!」

それはわかる。

だけど()()だぞ?

「つまり1両でたった2両撃破出来ればいいんだろ?」

「え”っ?」

何だその声は、その引き気味な表情は。

「も、守矢君。自分を基準にしちゃ駄目だよ……」

みほも引き気味じゃねぇか。

「ちなみに荒谷殿なら出来るんですか?」

「どんな手を使ってもいいなら2両くらいなら多分撃破出来るぞ」

「さっすが荒谷殿です!」

うんうんと頷く秋山。

他の人間は呆れたような視線だ。

 

 

何故だ、10両とか無茶言われてるならわかるが、

2両ならどうにかできるかも!って思うだろ?

 

……え、違うのか?

 

 

「……まぁ、2倍は初心者ばかりの大洗じゃつらいかもしれない」

話の流れを無理矢理変える。

 

「ただ、全国大会はフラッグ戦だ」

そう、殲滅戦ではなく()()()()()なのだ。

「それがどうしたのよ」

武部がプリプリ怒っている。

かわいくねぇぞ。

「極端な話、こっちがフラッグ車1両に対して向こうが30両でこようが

先にフラッグ車を落としちまえば関係ないだろ」

車両数が戦力の優劣に直結はするが

イコール結果とはならない。

 

そこは戦術と腕でカバーすればいい。

 

みほの言う『みんなで勝つ戦車道』が

それを見せてくれると俺は信じている。

 

「……」

武部、その非難するような視線はやめろ。

 

 

「……単位は」

ぼそりと呟く冷泉。

「我が道を行くなぁ……少なくとも負けたらもらえんだろ」

 

「むぅ……」

 

冷泉がケーキをぱくつく。

意外と食うんだな……こいつ。

 

「それより、全国大会ってテレビ中継されるんでしょ?

ファンレターとか来たらどうしよう!」

「生中継は決勝だけですよ」

「まぁ、専用のチャンネルならライブ配信があるし

勝ち進むにつれてギャラリーは増えていくからな。

準決勝くらいになると結構な数になるぞ」

 

実際戦車道のファンってのはかなりの数いるからな。

 

「よーし、みんなに見てもらえるように頑張ろう!

……ん~、美味しい~!」

 

理由はどうあれ頑張ることはいいことだ。

 

「ほら、みほも食べて!」

「うん」

 

フォークを手に取りケーキを食べようとしたみほだったが、

 

 

 

 

 

 

 

「みほ?」

 

 

 

少しだけ懐かしい声にその動きが止まった。

 

 

「アンタ、こんなとこで何やってんの?」

 

 

 

そこには黒森峰の制服を着たエリカとまほがいた。




もうすぐ年末なのナ!
後1本くらい上げたいのナ!

……多分無理だナ!
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