戦闘狂は正義を振り翳す   作:HDアロー

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三章、始まるよー
まったり(土日祝19時)更新予定

高評価くれた方々ありがとうございます!


三章 七天魃倒
一話 Ride on the cities


 よく、勝てば官軍負ければ賊軍という言葉を聞く。

 この言葉の意味は『勝てばよかろうなのだ』ということで、『勝ったものが正義だ』ということだ。

 ならば、この勝利というのはいつ訪れるのだろうか。

 

 例えば遠いカロス地方。

 ここでは三千年前に、他国から侵略を受けるということがあった。

 終わることのない戦争を前に、一人の男が兵器を用いて、すべてを終わらせたという。

 この場合、男の一人勝ちなのだろう。

 それは分かる。

 

 だがしかし、男はこの戦争で大切なポケモンを失ったと聞いている。

 つまり、男が兵器を持ち込むまでのカロスは負け続きだったのだ。

 ならばどうして、カロスを攻めた国は正義にならなかったのか。

 戦争の勝敗は、どのタイミングで決まったのか。

 

 最近読んだ仮想戦記に、『神国日本』というものがあった。

 強敵と言われた清という国から領土を勝ち取り、難攻不落の露国を攻め落としたその国はしかし、十全な資源が得られずに敗北した。

 どれだけ勝っても、たった一度の敗北で、その国の正義は悪へと転がり落ちた。

 

 歴史を振り返ればいつだってそうだ。

 

 後に正義と謳われるものは、最後の勝利を掴むまでに何度も敗れている。

 何度敗れても、最終的に勝てれば勝ちなのだ。

 ならば、最後はいつ訪れるのか。

 相手も自分も諦めない限り、終わることのない戦いなのか。

 

 私の正義は、あとどれだけふりさけ見れば姿を現すのだろうか。

 

 森は好きか? 私は好きだ。

 吹き抜ける風も、揺れる木の葉の奏でる音色も、遠くで響くせせらぎも、すべてが好きだ。

 強いて言うなら虫ポケモンがいるところがマイナス評価といったところか。

 木漏れ日の落ちる草原を、私はルクシオと一緒に歩いていた。

 

 このルクシオは、無き友人の忘れ形見。

 友人の名を借りて、この子にもコニーと名付けた。

 周囲のポケモンのレベルを見る限り、スーちゃんはレベルが高すぎる。

 せっかくだからコニーのレベリングも行うことにした。

 

「よーしッ! 君はポケモン持ってるな? 勝負しようぜ!」

 

「……あ、はい」

 

 不意に、麦わら帽子に半袖短パン、虫取り網を抱えた如何にも虫取り少年という子供に話しかけられた。

 驚いた、カントーはこんな無法地帯だったのか。

 いや、話には聞いていた。

 目と目が合えば、始まるものがあると。

 恋ではなく、ポケモンバトルだ。

 

 なんだかんだ野良バトルは初めての気がする。

 いつもはきちんと対戦メニューが組まれていたからね、突発的なバトルなんて初めてだ。

 思った以上に世界はバトルジャンキーだらけだった。

 少しくらい、期待してもいいのかな?

 

「行くよ、コニー」

 

 そうルクシオに語り掛ける。

 ルクシオの爪から、バチバチと電流が流れだす。

 ……この癖は治した方がいいな。

 さて、相手のポケモンは?

 

「いけっ! ビードル!」

 

 ……そっかぁ。

 私の興味は、一瞬で消えうせた。

 せめてスピアーまで育てろよ。

 何のための成長が早い虫ポケモンだと思ってるんだ。

 

 そんな相手に苦戦するはずもなく、試合は一方的に終わった。

 ビードルの裏にキャタピーがいたが、こちらも低レベルだった。

 試合とも呼べない、実力差による暴力。

 

 それだけならまあ、別によかった。

 トレーナーの質を知るという授業料だと考えれば無駄な時間ではなかったのだから。

 だが、その後に放たれた言葉は、聞き流すことができなかった。

 

「負けたー! キャタピーなんかじゃダメか!」

 

「……は?」

 

 踵を返していた体を巻き戻す。

 負けて悔しがるのではなく、次は勝てるようにと反省するでもなく、こいつは何と言った?

 

「キャタピーなんかじゃダメ……? 本気で言ってるの?」

 

「な、何だよ。文句あんのかよ」

 

 堪えきれないくらいの怒りが沸き上がっていた。

 虫取り少年は、私がなぜ怒っているのかまるで分っていない様子だった。

 これが、トレーナーの実態だというのか。

 

『これから先、力及ばず敗れる度にそう言うつもりか。ベストを尽くさなかった自分に言い訳をして、他人のせいにして、そうやって生きて行くつもりか?』

 

 あの日の言葉が蘇る。

 脳裏に焼き付き、剥がれ落ちない、嫌な思い出。

 たった一度、ただ一度だけ経験した、敗北の記憶。

 

 ああ、そりゃ憂うわけだと、そう思った。

 こんなトレーナーに使われるポケモンがかわいそうだ。

 

 自然に生きていれば、成長し、サナギとなり、羽ばたくときがあっただろう。

 だがもしかすると、この少年に捕まったことで、永遠に幼虫のまま飼い殺しとなってしまったのかもしれない。

 指示を出すだけなんて、トレーナーじゃなくてもできるというのに。

 

「あなたは、自分の事が情けなくないの?」

 

 底冷えするような声で私は問い掛けた。

 少しだけ零れてしまった殺気で、虫取り少年は意識を失った。

 

「チッ」

 

 恐怖を刻み込もうと思ったのに、その前に意識を失いやがった。

 幸せな野郎だ。

 

 少し先に進むと、また別のトレーナーたちがバトルをしていた。

 こっちはこっちで、互いにたいあたりするだけの児戯のような戦闘。

 糸を吐くで相手を縛ったり、結界を作ったりすることもない、低レベルの争い。

 こちらも、偶然の勝利に喜び、当然の敗北を受け入れていた。

 

(トレーナーのレベル、凄い低かったんだな)

 

 私の水準値は、ニューアイランドにいた彼らだ。

 彼らでさえ物足りなかったというのに、ここに居るトレーナーたちでは彼らにさえ手も足も出まい。

 

(どこかに、私の渇きを癒してくれるようなトレーナーはいないかしら)

 

 無駄な争いをせずに済むように、トレーナーと極力目を合わせずにトキワの森を後にした。

 

「博物館? ポケモンジムじゃなくて?」

 

 私はなぜこんなところにいるのだろうか。

 ジムリーダーならあるいは、私を打ち負かすかもしれないと期待を胸にニビシティに立ち寄ったのが少し前。

 第一村人を発見し、ジムの場所を聞くと北にあると言っていた。

 だから北へ北へと進んでいったのに、何故私は博物館にいるのだろう?

 

 まあ折角なので見学していくことにした。

 見学料五十円て……それでよく経営できてるな。

 まあ私としてはラッキーだから何も言うまい。

 

(んー?)

 

 展示物の陰に、良く見知った集団がいた。

 黒い服に黒い帽子。

 胸元には大きく赤で書かれたRのマーク。

 

(ロケット団じゃん。なんでこんなところに?)

 

 うん、いつ見てもダサい。

 私? あんな恰好するわけないじゃん

 普通におしゃれしてるよ、右腕のアームカバーを含めてね。

 それが許されるくらいの立場なのさ。

 

 そんなことはどうでもいいんだ。

 大事なのは、あのゴミどもが何をしているのかということだ。

 

(んー、私としてはジムバッジさえ集められればそれでいいんだよね)

 

 それは絶対に外せない。

 逆に言えば、それ以外は好きにしていいということなのでは?

 

「……潰すか」

 

 何を企んでいるのか知らないが、こいつらを潰したところで誰も悲しまないだろう。

 悲しんでくれる相手がいる奴らが、こんな組織に属さないだろう。

 なら潰しても問題ないな。

 

 よーし、暴れるぞー。

 

 そう思った時だった。

 不意に部屋の温度が下がったような気がした。

 背筋が凍り付いたかという錯覚。

 直後、私の背後に飾られていたポケモンの化石が。

 まるで意識を持っているかのように、動き出した。

 

「ッ! コニー!」

 

 ルクシオのコニーを繰り出す。

 一体何がどうなっているんだ。

 

 館内アナウンスが鳴り響く。

 入場客が慌てふためく。

 我先にと出口に駆け込み、かえって詰まっている。

 くそっ、ロケット団を見失ったじゃないか。

 

 仕方ない、こっちで我慢してやろう。

 私は今目の前で活動している骨と向き合った。

 

「コニー! スパークで加速して!」

 

 ルクシオとは付き合いが短い。

 少し前まで彼女のポケモンだったんだ。

 スーちゃんの様に、視線で会話なんてことはまだできない。

 故に、細かな指示を出して補助をする。

 

 ルクシオは電気を足元に集中させて、自らをはじいた。

 電光石火すら置き去りにするスピードで、化石にとびかかる。

 

「図鑑は……」

 

 ルクシオが弾き飛ばした隙に図鑑で調べる。

 しかし、合致する情報は出てこなかった。

 

「なら、この目で見極める」

 

 骨格から、化石になる前のポケモンを推測する。

 尖った二つの角、鋭い牙、発達した顎、長いしっぽ、翼の部分にある手。

 一言で言えば、翼竜のような見た目。

 そんなポケモンがいたはずだ。

 

「そう、あなたの名前はプテラだわ」

 

 化石ポケモンプテラ。

 それが化石の状態で動いている。

 一体どういうカラクリなわけだか、さっきのロケット団達が一枚噛んでいるのは間違いないと思うが。

 

 じりじりと間合いを詰める。

 どちらかの射程圏内に入ったタイミングで、勝負が動くはずだ。

 だから、近づくにつれ緊張感は増すはずで、それに対し私は高揚感を覚えるはずなのだ。

 しかし今あるのは、ただただ奇妙な感覚だけ。

 

(……? どうしてこうも昂らないんだろう)

 

 私自身がどうしようもないほど壊れているのは、既にわかっている。

 私は、私に対して絶対的な信頼を置いているのだ。

 ならばなぜ、こうも胸躍らないのだろう。

 

 目の前で羽ばたくプテラの化石を観察する。

 そもそも、翼の無い骨格だけなのだから、羽ばたく必要もないのだ。

 そして次に、こいつからは間合いに入ってきた瞬間に食い殺してやる、そういった気概が感じられない。

 そう、まるで操り人形のように。

 

 どこかでピースがハマったような気がした。

 けれどその全体像を確認する前に、私の意識は引っ張り戻された。

 

「君! 無事か?」

 

「誰、あんた」

 

 ほんの一瞬だけ、流し目で声の主を確認する。

 糸目の男だった。

 危ないから下がっておけばいいのに。

 

「俺はニビジムのジムリーダーのタケシだ。ここまで持ちこたえてくれて感謝する。君も早く避難するんだ」

 

「ジムリーダー?」

 

 その単語に、ピクリと反応する。

 バックステップを踏み、タケシを視界に入れる。

 ふーん、これがジムリーダーか。

 なかなか実力者っぽいじゃん?

 

「タケシって言ったわね。何か手立てはあるの?」

 

「いや、ない。だが町のみんなを不安にするような危険を前に、リーダーの俺が引くわけにはいかないんだ」

 

「ふーん」

 

 なかなかにカッコいいこと言うじゃないか。

 

「それなら、私も手伝うよ」

 

「いや、みんなを危険に晒すわけにはいかない」

 

「いいのいいの、どうせ私ここの人間じゃないし。それにこの後あんたに挑むつもりだったのよね。だからチャチャっと済ましちゃいましょ」

 

 私が助力を申し出ると、タケシは少し驚いた様子をした。

 糸目だというのに、どうしてそんなにも表情が出せるんだ?

 世界はなぞに包まれている。

 

「ああ、君は実力も十分そうだ。頼んだぞ、イシツブテ!」

 

 ラッシャイ!

 イシツブテが場に現れる。

 サカキが地面タイプのエキスパートだったはずだから、この男は岩タイプか。

 良く鍛えられたイシツブテだ。

 おそらく、意図的に進化させていないのだろう。

 

 ジムリーダーは立場上、様々なトレーナーと対峙する。

 駆け出しトレーナーから、他のバッジをそろえたエリートトレーナーまで。

 その為、意図的に実力を抑えたポケモンというものを育成している。

 こういった場合、能力以外の部分を鍛えることが多く、強力な技を覚えている場合が多い。

 

「しかしまあ、何だってプテラの化石が動いてるんだ? 君がここに来たときからこうだったのか?」

 

「まさか、私が来たときは止まっていましたよ。突然、不意に動き出したんですよ。ポルターガイストのように……」

 

 ポルターガイスト、操り人形、下がった室温。

 それぞれのキーワードが結びつく。

 そうか。

 

「タケシ、種はおそらくゴーストポケモンよ」

 

「ゴーストポケモン……そうか!」

 

 このプテラは生きていないし、自我も有していない。

 何者かが動かしているだけ。

 

「しかしどうしてゴーストポケモンなんだ? エスパーポケモンの可能性はないのか?」

 

「このポケモンが動き出す前に、空気が凍り付く感覚があったわ。それはきっと、ゲンガーの仕業」

 

 ゲンガーというポケモンが現れると、部屋の温度が五度下がるとも言われている。

 私の知る情報の中では、一番それがしっくりくる。

 

「なるほど、しかし困ったな。相手がゲンガーということは実体がないというわけだろ? どうするんだ?」

 

「実体がない……? まさか。ありますよ、実体。ゲンガーにはね」

 

 進化前のゴース、ゴーストの体重は僅か百グラム、それに対してゲンガーの体重は四十キロほどある。

 ただのガスがあの体積で四十キロもあるはずがない。

 

「それなら、一体ゲンガーはどこに」

 

「まあ見ててくださいよ。いくよ、コニー」

 

 コニーに放電を纏わせる。

 体表に煌めく稲妻を纏い、一条の光になる。

 

「コニー、プテラの影を貫いて!」

 

 ゲンガーには、熱を奪うという効果の他に、もう一つ特徴がある。

 それは影に忍び込むというものだ。

 化石を操るのなら、化石の影に忍んでいる可能性が高い。

 

 コニーが先ほどのスパークの要領で射出される。

 一条の稲妻が、プテラの影を引き裂く。

 

「ゲンゲロゲーッ!?」

 

 たまらずと言った様子で、ゲンガーが影から飛び出してくる。

 さて、お膳立てはしたぞ?

 

「タケシ!」

 

「任せろ! イシツブテ、とおせんぼう!」

 

 なるほど、あくまで人の安全を優先するか。

 先ほどのとおせんぼうは、相手に逃げの一手を打てなくする技。

 これでゲンガーは、どちらかが倒れるまで逃げることができなくなった。

 

「イシツブテ! 撃ち落とすだ!」

 

 唯一の有利だった浮遊できるという特性も、撃ち落とすという技で封じられる。

 確かにリーダーというだけある。

 技の効果をしっかりと把握している。

 

「コニー、戻って」

 

 となれば、最後に放つ技は地面技だろう。

 ルクシオが居たら巻き沿いを食らってしまう。

 

「感謝する。イシツブテ! とどめだ!」

 

 地均しかマグニチュードか地震か。

 どれかは分からないが、タケシが放ったのはやはり地面技だった。

 しっかりと情報を隠すあたり、やっぱりジムリーダーなんだなと思う。

 先ほどまで指示を出していたのは、私に作戦を知らせるためか。

 

 ゲンガーは避けることも逃げることもかなわず、その地面技に倒れ伏した。

 

 タケシは警察に連絡を取り、引き渡しの準備を始めた。

 ヤバ、流石に警察とかだと私の顔知ってる人いるんじゃね?

 ……よし、逃げるか。

 

「助かったよ。君、名前は?」

 

「メア。トキワシティのメア」

 

「メアか。この後ジム戦を希望しているんだったね。準備をしておくよ。ジムバッジは何個持っている?」

 

 すまん、お前が警察を呼んだせいで長居出来ないんだ。

 早く済ましてくれ。

 そう思い、素直にゼロだと言った。

 

「ゼロ個!? あれだけの知識を有しながら? いや、トキワシティから来たと言っていたか。ならばニビは一番近くにあるジムでもあるのか」

 

 タケシは少しだけ思案していた。

 

「ふむ、本来対戦相手の保有バッジによってポケモンを調整するのだが、君相手には不要かと思う。君が了承してくれるならば、まともなメンバーで戦いたい」

 

「へぇ」

 

 それは何とも、心惹かれる提案だ。

 もちろん快諾だ。

 より刺激的な戦いを得られるならば。

 

「じゃあそれで頼むわ。せいぜい私を楽しませてよね」

 

「もちろんだ」

 

 じゃあ私はコレで!

 早く逃げないといけないので、ではっ!

 

 そういう感じでそそくさと逃げようと思ったが、折角だから情報を流してみた。

 タケシに歩み寄り、ちょいちょいと顔を招く。

 タケシは膝をかがめ、私に耳を寄せる。

 

「町々を襲いつくせ、撃ちのめせ、悪の牙たちよ」

 

「……それはッ!」

 

「じゃあ、伝えたからね」

 

 ふむ、流石にジムリーダーともなれば伝わるか。

 私は手を振り、博物館を後にした。

 

 俺はニビシティのタケシ、ジムリーダーをやっている。

 いつも通りジムで挑戦者を待ったり、ポケモンを育成したりしていると複数の住民が駆けつけてきた。

 今日は挑戦者がいっぱいだなと喜んだが、どうもそうではないらしい。

 なにやら博物館で、化石が暴れ出したというのだ。

 うん、知ってた。誰もジムに挑戦するつもりがない事くらい。

 

 化石が動くとは一体どういうことか。

 そう思いながら博物館に駆けつけた俺が視たのは、確かに動く化石だった。

 そしてそれを、一人の少女が足止めしていた。

 

「君! 無事か?」

 

 俺はそう声を掛けた。

 ジムリーダーが来たからもう大丈夫だと安心させようと思って。

 

「誰、あんた」

 

 ショックだった。

 いや、ジムリーダーといっても全員に顔を覚えてもらえているわけではない。

 ただまあ、それなりに有名人だと自負しているだけに、少し凹んだ。

 だが話を聞いて行くうちに、彼女がニビの人間ではないことが分かった。

 それなら仕方ないな! 他の街の町長とか覚えている人の方が少ないだろう、そのはずだ。

 

 さて、そんな話をしていたわけだが、現状を打破する手段は思いついていない。

 俺だって岩タイプをエキスパートにしているんだ。

 この化石は、プテラのものだということは分かる。

 だが、それ以上の事は分からない。

 

 どうしたものかと悩んでいると、そこからは彼女の独壇場だった。

 わずかの情報から相手を絞り、豊富な知識で特定する。

 一体どれだけポケモンに精通しているというのか。

 俺は少し恐れを抱いた。

 

(こんな子供が、これだけの実力を有しているのか)

 

 トキワのメア。

 聞いたことがない名前だ。

 どうしてこれだけの実力者が、今まで無名だったのか。

 

 何にしろ、彼女の協力もあり、無事に事件は解決できた。

 ジムバッジの数を聞くと、なんとゼロだと言っていた。

 なるほど、今までは鍛錬に励み、ようやく旅に出た感じか。

 それならば彼女が無名なことにも頷ける。

 

 だがそうなると、非常に口惜しくもなる。

 彼女はこれから先、絶対に有名になるトレーナーだ。

 そんな相手と、全力で戦うことができないなんて。

 

 後半のリーダーたちが全力で戦えるのに少し嫉妬し、彼女に全力で挑んでいいかと提案した。

 彼女はこれを了承した。

 よし、久々の強敵だ。

 腕が鳴る。

 

 立ち去ろうとする彼女は、思い出したかのように俺を手招きした。

 何か言いたいことがあるのかと思い、顔を近づける。

 彼女が放った言葉は、俺に衝撃を与えた。

 

「町々を襲いつくせ、撃ちのめせ、悪の牙たちよ」

 

 まて、どうして君がそれを知っている。

 彼女は事も無げに、立ち去って行った。

 

 今の言葉を、英語に訳すとこうなる。

 

『Raid On the City, Knock out Evil Tusks.』

 

 『ROCKET』……ロケット。

 このカントーを根城とする集団。

 極悪非道のポケモンマフィア。

 そんな彼らを表す言葉だった。

 




岩タイプのこと以外は何も知りま専門家。

ゴーストタイプに影踏みやとおせんぼうが聞かないことに気付いたのは、とおせんぼうを書いてから。
ゲンガーの特性を浮遊にすればええんちゃう? って思ったけど六世代なら浮遊で影踏み無効だった。

そういう細かい仕様は結構自由に選択していきます。
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