鉄紺のフシャスラ -偽典Final Fantasy-   作:銅如月

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< 赤き月が昇った夜 すべての竜は死に絶え すべての人は泣くだろう

  騎士は戦場にて 魂と肉体を分かち 魂は槍をなくし 肉体は書を失う 

  魂は光の中で闇に囚われ 肉体は闇の中で光を見出す

  すべての災厄と すべての希望は 光と闇のクリスタルの導きに >


序幕

「女神の御旗の元に――!!」

 

 

 頭の中にわんわんと響き渡る兵士の声。鼻を突く血膿の臭い。

 フシャスラは、己がどの母親の胎で育ち、何処で生まれ、誰に養ってもらったか。それすら覚えていなかった。

 彼の一番古い記憶は、何処ともつかぬ戦場。手には古びた槍、眼前には次々と倒れゆく仲間たちの背中。揃いの鉄紺の鎧に、兜をつけたその姿が、物言わぬ亡骸となっていく、その光景。

 その中で、フシャスラの体は、今母親の胎内から出でた赤子のように、べっとりと血にまみれていた。それが己の血なのか、敵の血なのか、はたまた仲間の血なのか、彼にも、誰にもわかりはしない。

 ああ、とフシャスラはつぶやいた。

 俺は、ここで生まれたんだ。

 

 今ここで、このとき、この瞬間、仲間たちの命を糧に。

 

 時は夜半。空には銀色――ではなく、禍々しいほど赤い月が輝いている。まるで、この戦場で死んだ騎士たちの血に、浸されたかのように。

 煌々と焚かれた松明の下、未だ戦は続いている。足許には、敵味方どちらもの遺体が、無数に転がっていた。

 ふと地面に眼を落とせば、一際いかめしい鎧を着けた男が倒れていた。長槍に龍を象った兜。そして鉄紺。

 ああ隊長だ――彼は半ば、フシャスラをかばうような形で倒れていた。顔の上半分を覆う仮面によって、その表情は大半を失っているが、彼の顔は驚いたもののまま、その時間を止めていた。

 フシャスラは、隊長の遺体を押しのけると、その手から長槍を取った。そして、それを軸にして立ち上がる。無数の人だったものを踏み分け、彼は戦場に一歩踏み出した。

 ふと振り返ると、そこには鉄紺の山。そうか、ここは我ら騎士団の死体を積んだ場所だったのか――。

 ぐしゃり、と女神の紋章が刻まれた旗を踏みにじり、フシャスラは長槍を構えた。

 

 死から生まれた騎士が、戦場を駆け抜ける。

 

 

 

 

 

 

 ※

 

 

 

 

 

 

 晶暦1560年 黒の月6日

 

 <赤き月荒野の戦い>

 長きに渡る、ダエーワ帝国とミトラス王国の戦いに、終止符を打った戦いである。

 しかしこの戦いにおいて、最も特徴的だったのは、新月にもかかわらず月が昇ったということであろうか。

 新月の日を見計らい、帝国軍は夜襲を仕掛けたのだが、戦いが激化するうちに、空には「血のように赤い月」が浮かんでいた、と当時の報告書には残っている。

 この記述は、帝国、王国どちらにも残っており、その戦場にいたすべてのものが「血のように赤い月」を見た、ということになる。

 

 また、この戦争に参加していた、ミトラス王国王太子が消息を絶っている。

 処刑の記録も、はたまた治療等の記録も残っておらず、王太子の所属していた竜騎士部隊の壊滅が確認されているため、戦死したとの説が有力である。




どうも、はじめまして。
銅如月(あかがねにょげつ)と申します。
ここまで読んでくださりありがとうございます。


えー、読んでくださった方はお分かりかもしれませんが、当小説はFFと銘打っておきながら既存FFキャラは一切登場しない予定です。
そして主人公が竜騎士です。
こんなマニアック街道をF1カーで爆走しているような小説ですが、完結させる予定なのでよろしくお願いしますm(_ _)m

あと、この小説に関する感想、注文等がありましたらコメントしてくださるとうれしいです。
それこそ「ここを直せ!」から「『おれは(略)』のセリフを登場させて!!」まで。
むしろ残していただけると私が小躍りどころか、窓を突き破ってスーパージャンプするほど喜びます。
なにとぞよろしくお願いします。

ちなみに当小説は、加筆前のものを私のブログに掲載してあります。
http://blogs.yahoo.co.jp/akagane0605
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