Monster Hunter Delusion【更新停止】   作:ヤトラ

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今回のテーマは「盲目のナルガクルガ」です。
MHP2Gでは「傷ついたイャンガルルガ」や「錆びたクシャルダオラ」が居るのに、それ以降は傷ついたりするモンスターってあまり見かけないですよね。
読者の応募もあったのですが、盲目のモンスターを書いて見ました。手負いの獣はよく吼えるともいいますし(笑)

後、今回は「ニャ」が多いです。


part12:「盲目の迅竜」

 傷を負っているからといって勝てると思い、挑むハンターは未熟者だ。

 むしろモンスターにとって、傷を多く負っているほど強い固体である証拠となる。なぜならそのモンスターは、歴戦を勝ち抜いてきた強敵に他ならないからだ。

 

 代表的な例として「傷ついたイャンガルルガ」を挙げよう。

 イャンガルルガは好戦的なモンスターとして知られ、多くの傷を負った固体の発見数が多いほど。

 それらは最低でも上位クラスの実力を持ち、熟練ハンターでも度々返り討ちに合う。

 

 これらを踏まえて忠告しよう――決して侮るな。絶命を確認するまでが狩猟。弱まっているからといって油断すると死にも繋ぎかねない。

 

 

 

―例え、目が潰れているモンスターが居たとしても。

 

 

 

 ニャニャ、まーたあのナルガクルガに挑むハンターさんが出てきたのかニャ?

 どれどれ、どんなハンターさんかニャ……4人とも凄い装備だニャー。飛竜は軽く倒せそうだニャ。

 このハンターさん達なら勝てるかニャ……あいつに。

 

 ここは樹海だニャ。けど最近はやけに静かなんだニャ。それもこれも、全てはとあるナルガクルガが出没したのが原因なんだニャ。

 『盲目のナグルガクルガ』……僕達の間ではそう呼ばれているニャ。

 なんでも、僕のお爺ちゃんが若かった頃から生き続けている迅竜で、中々姿を現さないらしいニャ。

 昔ハンターさんに討伐されかけたんだけど、なんとか生き延びて今に至るらしいニャ。

 その代わりに目が失ったけど……ニャ、ハンターさんが襲われたニャ。

 

 目が潰れて盲目になったナルガクルガだけど、むしろ前より強くなったんだニャ。

 元々からその強さは尋常ではなくて、そのおかげで目を失っても現役のままなんだニャ。

 けど目が潰れて盲目になった分、加減できなくなって……あ。

 

 さっそく一人のハンターさんにナルガクルガが跳びかかって、逆に吹っ飛んだニャ。

 あの、一瞬で振り向いて即座に飛びつく攻撃は、初見殺し間違いなしの鬼畜技ニャ。

 出会いがしらに吹っ飛ばされるだなんて、ハンターさんは予想だにもしていないだろうニャー。

 しかも、ハンターさん達はナルガクルガが盲目だってことを知らずに来たらしいニャ。可哀相に……。

 

 あのナルガクルガは視力を失った分、その他の感覚が優れているんだニャ。

 反射神経もピカイチで、音と気配ですぐに探知するどころか居場所ですら丸わかりなんだニャ。

 

 ちなみに僕らは木陰に隠れて観戦しているニャ。こんがり魚うめぇニャ。

 今回、皆はどっちに賭けるニャ?僕はナル……満場一致でナルガかニャ。それじゃー賭けは無しだニャ……ニャニャッ!?目が、目がぁーっ!?

 

 だ、誰だニャ、閃光玉投げたの!?あのナルガクルガは目が潰れているって解かっていないのかニャ!?

 盲目だから閃光玉は無意味……ニャ?叫び声が……ああ、攻撃されたのかニャ。教えてくれてありがとニャ。

 

 ……ふー、だいぶ目が落ち着いたニャ。酷い目にあったニャ。

 さーてと、現状は……ふむ、尻尾を狙う為に2人ほど後ろへ回るかニャ。まぁセオリーニャ。

 しかし甘いニャ。ナルガクルガは音に敏感だから、後ろに近づいても見えているかのように丸解かりだニャ。

 案の定、一人ハンターが尻尾で薙ぎ払われて吹っ飛ばされたニャ。もう一人は大剣だったから防げたニャ。双剣ってこういう時不便だニャー……。

 

 前方2人のハンターさんも負けていないニャ。一人は太刀で慎重に立ち回り、もう一人はランスで正面からコツコツと攻めているニャ。

 流石にあんな至近距離での攻撃は避けようがないから、チマチマと傷が出来ていくニャ。

 

 けどいつまでも攻撃を受けているナルガクルガじゃないニャ。

 前方にも敵がいると解かったナルガクルガは、其の場で回転して尻尾薙ぎ払い、ハンターさんをまとめて吹っ飛ばしたニャ。

 ランスのハンターさんだけは無事だったみたいで、隙をついて突撃していったニャ。勇敢だニャ~。

 

 だがしかし、ナルガクルガを前に走るだなんて間違いニャ!

 ドタドタと足音がするから、ナルガクルガは音を聞いて、跳ねて距離を取るニャ。

 時には大胆に攻めるけど、基本的に盲目のナルガクルガは慎重なんだニャ。

 

 こうして長引けば長引くほど、ハンターさん達は盲目のナルガクルガの情報を整理していくんだろうニャ。

 けどそれは盲目のナルガクルガも同じだニャ。ナルガクルガは戦うにつれて嗅覚・触覚・聴覚を駆使し、獲物がどんな奴なのか判断していくニャ。

 目が悪いからと、こちらを侮っていて手を抜いていると思ったら大間違いだニャ。

 

 するとハンターさんは、散開してナルガクルガを四方から……ニャニャ!?出た!盲目のナルガクルガの全方位針飛ばしだニャ!

 盲目のナルガクルガだけが持つこの技は、全方位に針を飛ばすという荒技だニャ。

 足音を頼りにハンターさん達が囲みつつあると解かったから、あの攻撃を仕掛けたんだニャ~。

 

 もちろんハンターさん達はモロに受けて気絶状態……ニャニャ、ランスのハンターさんも粘るニャア。

 けど、ナルガクルガは音を感知して攻撃が弾かれたと知った途端、跳びかかったニャ。

 

 まずは一名脱落か……ニャ?ランスのハンターさんが何か投げたニャ。あれは……こやし玉かニャ。的確な判断だニャ。

 嗅覚が鋭くなったナルガクルガにとってこやし玉は天敵。当たって匂いが広がった途端に大暴れだニャ。

 特に音爆弾なら怯んで隙が生まれるんだけど……まぁ流石に持ってはいないだろうニャ。

 

 こやし玉の臭いに参ったナルガクルガは、其の場を飛び去って一時離脱。

 目の覚めたハンターさん達も回復に専念した後、盲目のナルガクルガについて作戦会議を始めたニャ。

 油断していたとか、あんなナルガクルガいんのかとか、あんなのいるとか聞いていないとか暴言が飛び交っているニャ。

 

 傍から聞くと、どうやらハンターさん達は盲目のナルガクルガを討伐しにきたんじゃないようだニャ。

 当初の目的は……ヒプノックだったのかニャ。それならとっくの昔に盲目のナルガクルガの朝飯になっちゃったニャ。

 珍しくギルドの対応が遅かったようで、情報に誤りが生じてしまったようだニャ。可哀相にニャ~。

 

 あ~あ、とうとうハンターさん達が諦めて帰っちゃったニャ……まぁ仕方ないニャ。

 あのナルガクルガを盲目にしたのはG級ハンター、それも大ベテランの方ニャ。

 随分昔の話だから、今となってはG級ハンターさんですら撃退がやっとなんだニャ。

 そんなナルガクルガを相手に生きて帰れるだけでも良い方だニャ。頑張るニャ。

 

 

 

 さてと、僕らも盲目のナルガクルガに気をつけつつ、さっさと巣に帰るとするかニャ。

 抜け足差し足忍び足、ここ最近の樹海では足音ですら立てられないから困るんだニャ~。

 

 

 

―完―




今回は素材データ無し。出るとしたらG級ですよ。
ちなみにこのナルガクルガを書いたのは、ナルガクルガ希少種の存在を知る前でした。

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