Monster Hunter Delusion【更新停止】   作:ヤトラ

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今回のテーマは「長生きして経験豊富になったドスジャギィ」です。
モンスターって生き延びれば生き延びるほど高い順位に立つそうですね。剛種とか。
このドスジャギィは長生きしてより賢くなったという設定のモンスターです。

ちなみに、ヤオザミ成長期の最初の頃に出てきたドスジャギィだったりします(笑)


part13:「古狗竜の生態」

 鳥竜種は賢い。これは事実だ。

 ゲリョスやクルペッコなど癖の多いモンスターは多々あるが、それ以上に知恵を垣間見る種が存在している。

 

 それが社会性を築く鳥竜種……ランポスやジャギィといった群れをなすモンスター達。

 彼らは多くの群れで行動する。これだけでも繁栄が約束され、自然界に生き残る可能性が飛躍的に上がる手段なのだ。

 中でもドスジャギィを始めとする狗竜は鳴き声で指示を下し、専用の逃げ道でハンターを撒く知恵を持つ。

 群れを守る為に働く防衛本能も高い為、より生存率が上がるというもの。

 

 幸いなのが、彼らは他の種族に比べて力が弱い事と、攻撃性が低く臆病な種が多い事か。

 もし彼らがより多く、より強く、より攻撃的な種であれば危険度は増していただろう。

 それに狗竜は群れで行動する程度だ。ゲリョスやクルペッコに比べれば小賢しい程度である。

 

 

 

―ではもし、より多く、より強く、より攻撃的な狗竜の上位が現れたとしたら?

 

 

 

 ここで、あるモンスターを紹介しよう。

 

 最初は何の変哲も無い、孤島を主な縄張りにするドスジャギィであった。

 だが彼は多くの苦難を乗り切り、あのオニムシャザザミの幼少期を相手に苦戦を強いられてきた。

 永きに渡って身についた苦労と経験。それこそが、このドスジャギィの力である。

 

 彼はオニムシャザザミの幼少期……ブシザミと悪戦苦闘を繰り広げた。

 ブシザミはジャギィ達の巣に生えているキノコが目当てなのだが、それを許すドスジャギィではない。

 幼少の頃から重く硬いブシザミをどうにか追い払えた彼は、子分達の信頼を手にした。

 その苦労の経験があったからこそ、ドスジャギィは賢く生きることが出来た。

 

 リオレウスを相手に喧嘩や獲物の奪い合いをするのは得策ではない。

 獲物を自分達の巣へ追い込めば、自分達の領域でのんびり食事を取ることができる。

 アオアシラやロアルドロスなど飛べないモンスター相手なら、必ず数を揃えて戦う。

 ジンオウガに至っては、近づくことですらやめるようにした。触らぬ神に祟り無しだ。

 

 だからといって、戦わないわけにはいかない状況もあるはず。

 

 飛竜種なら洞窟へ誘い込んで狭い場所で戦えば有利になる。

 段差を利用して岩を落とすことも有効であると知った。

 群れをより効率よく従えるために別の群れを取り入れ、そのリーダーを副リーダーとして群れに加えた。

 時には1対1でアオアシラに挑み、力を磨き、力強いリーダーとしてアピールした。

 

 何事もコツコツと物事を習得していくことが肝心。ドスジャギィは過去の苦労を知ったからこそ、今の苦労を飲み込むことができた。

 彼は徐々に力を付け、知恵をつけ、徐々に自分の群れを大きくしていく。

 その狡賢さは凄まじく、自分よりもハンターを前に不可侵領域に逃げ込むという知恵を見せ付けた。

 強敵から身を守る術を多く手に入れた彼と彼の群れは、急激に力を身につけることとなる。

 

 

 

 そして彼は、トライジャギィ……通称「古狗竜(こくりゅう)」と呼ばれる変異種に進化を遂げたのである。

 

 

 古狗竜とは。その二つ名の通り、古くから生きながらえてきた狗竜を指している。

 古狗竜事体の特徴としてまず挙げられるのは、二つ名のもう一つの由来となった、その黒い体色。

 かつて群れで倒したというイビルジョーを喰らった時から、その体は徐々に黒くなっていった。

 歳故に鱗が古くなってきた事も起因だと思われるが、サンプルが無い以上はハッキリとは解からない。

 続いての特色は、首を覆うほどに大きなエリマキ。あまりにも大きくなり過ぎた為に威嚇用として広げられないが、それでも群れのボスとしての証になっている。

 

 そして古狗竜の最大の特徴は……その群れの規模の大きさである。

 

 まず、群れには最低でもジャギィが100匹ほどいる。これだけでも驚異的な数字だろうが、これだけではない。

 巣を守るジャギィノスが75匹。それを従える普通のドスギャギィが5匹。単純計算でも、ドスジャギィ一匹に対してジャギィが20匹、ジャギィノスが15匹いる計算となる。

 そんな群れを5つ全て統一しているのが、黒いドスジャギィこと、トライジャギィ一匹だ。

 

 彼らは大規模な群れを率いて、一つの地域を転々とまわり、陣取っている。

 もちろん、彼ら全てがその地域全てを支配するわけではない。獲物を取りすぎて生態系を狂わすこともしない。

 トライジャギィに従わず勝手にやっているわけではなく、彼らは本能的に、上には上がいるということを理解しているからだ。

 無理に戦わない。無理に争わない。無理に命を散らせない。これを徹底しているのだ。トライジャギィは群れの繁栄と安泰を主に指揮し、子分達はそれに従っている。

 

 それに、トライジャギィは金冠サイズのドスジャギィよりも一回り大きい程度。大きければ大きいほど強くなるとはいえ、彼一匹ではリオレイアにも勝てない。

 彼の最大の特徴は、その鳴き声の音量と、パターンの多さによる複数の指令。これにより狗竜独特のネットワークを持ち、遠くからでも群れに届き、集合させることができる。

 それだけではない。目撃例によれば彼らは地形を利用し、他の小型モンスターですら利用したと聞く。

 

 そして終結する、総勢180匹以上のジャギィの大群。ただでさえ多い彼らが一つのエリアに密集すれば、4人ハンターが揃っていても全て相手するのは難しい。

 そこへトライジャギィの巧みな指令によって円滑な動きを見せるとなれば……恐ろしいものである。

 

 何よりも厄介なのは、一度でも命の危機を感じれば群れを全て引き下がらせ、フィールドから逃げ出すことだ。

 G級ハンターですら、後一歩というところでトライジャギィと小さな群れを逃がし、再び大群へと繁栄させてしまった記録がある。

 それほどまでに彼らは賢く、生きることに執着している。人間への被害も最小限で、別段目立った動きもない。

 

 だが、我々学者は彼らを危惧している。大規模な鳥竜種の群れが効率よく生き延びることで、我々人類の敵に成りえないかを。

 その危険性はギルドも理解しており、ハンター達に討伐を依頼している。

 しかし寄せられるのは、失敗の報告と情報提供ぐらい。たかが狗竜の親玉だと侮っていた、というのが大半の言い訳だ。

 

 

 

 忘れないで欲しい。トライジャギィは確かに危険なモンスターだ。強者としてではなく、賢者としての危険性を、奴は孕んでいる。

 彼らはいずれ、どんなモンスターよりも厄介なモンスターになるであろう。トライジャギィという賢者が、人間の目を掻い潜って攻めてくるようになると。

 強大な力とは違った、狡猾な知恵。それもまたモンスターが身につくと厄介な所ともいえよう。

 

 

 

―完―

 




 群れるって大切ですよね。弱者の知恵。その上で大事なのはリーダーの能力。いかに群れを生き残らせることができるか。
 そんな能力に秀でたドスジャギィが出てきたらこんなことになるかなぁと(笑)

 そんなわけでドスジャギィの変異種、トライジャギィの登場です。
 実はヤオザミ成長期を書く前から、こんな風にドスジャギィを強くしようと考えていたんです。
 それが変異種編を作成するにつれて、こんな形で登場する形となりました(笑)

 どうです皆さん、ドスジャギィだって進化すればやりますでしょう?(笑)ちなみに黒龍との関連性はありません。

○本日の防具と素材一覧

●ジャギィOシリーズのスキル一覧(剣士)
・攻撃UP【大】
・斬れ味レベル+1
・砥石高速化
・心配性

●ジャギィOシリーズのスキル一覧(ガンナー)
・攻撃UP【大】
・連発数+1
・装填速度+1
・心配性

●主に剥ぎ取れる素材
・古狗竜の尖爪
 古狗竜の鋭い爪。殺傷力が強まっただけでなく、物を程好く掴めるほどに湾曲している。
・賢者のエリマキ
 大きすぎる襟巻。これをローブとして身につけた男はたちまち賢者の如き知恵を身につけたと云う。

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