Monster Hunter Delusion【更新停止】   作:ヤトラ

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今回のテーマは「ボスクラスモンスター」です。アカムトルムやアルバトリオンのような存在です。
まずは作者オリジナルモンスターからスタートします。姿はまんまティガレックスですが(笑)


Extra6-1:「地下世界の支配者」

 

 かつてオニムシャザザミが支配していた豊穣の島・楽土。

 そのオニムシャザザミが旧大陸に渡ってくれたおかげか、楽土の調査が捗っていて大助かりだった。

 代わりとして大型モンスターが次々と楽土に上陸してくるが、そこは依頼を請け負ったハンター達に任せれば問題は無かった。

 とはいえ、ラギアクルスやガノトトスが襲ってくるかもしれない状況下の中、研究・調査は慎重に行われている。

 

 つい先日になって、遺跡調査隊のグループがあるものを発見した。

 それは大昔の地層や近隣の海底遺跡に眠っていた、古くなってボロボロとなった大剣や片手剣などであった。

 数多くの武器が太古の状態で発見され、鎧だったものや鎧を着た人骨までもが出てくるほど。

 研究者の考察によると、かつてこの島には人が闘技をもって競いあっていたのではないかと云われている。

 出て来た武器は対人戦用に作られた物だと推測でき、海底には闘技場らしき遺跡も眠っている。

 

 太古の昔より、モンスターだけではなく人間ですら、群雄割拠の時代を練り歩いていたのかもしれない。

 誰もが覇者であり勝利者を目指すものなのだろうと、この楽土の文明を調査するごとに解かってくる。

 そして負けたものは、この無様に砕け散った骨達が物語ってくれる。勝敗とは光と影そのものともいえよう。

 

 

―――

 

 

 ところ変わって、ここは楽土の地下深くに広がる地下洞窟。

 かつて強大な地上の支配者から逃げてきたモンスター達が生息している未知のフィールドだ。

 そんな未知なるフィールドに、さらなる世界が広がることとなった。

 

 今、一匹のモゲラドス(地下洞窟に生息する牙獣種)が地中から姿を現した。

 現したのはいいのだが、自分の居場所を把握する為か、スンスンと鼻を鳴らして周囲を見渡す。

 モゲラドスは光の届かないこの地下洞窟では嗅覚と音を頼りとしており、状況を把握しようとするのだが……首を傾げる。

 

 何せモゲラドスが姿を現したその空間は、洞窟にしてはとても広い場所であった。

 それもそのはず。ここは自然にできた洞窟ではなく、人の手が加わった人工物であったからだ。

 円柱形に削られたその空間はすり鉢上となっており、明らかに人の手が加えられた階段状の段差が並べられている。

 モゲラドスが地中より現れたのはその舞台の中央。丁度地上にある闘技場と似たような雰囲気を醸し出している。

 

 古代の人達は地下に闘技場を作り、そこで武を競い合っていたのかもしれない。

 そしてその舞台の広さからして、争っていたのは人間同士だけではなかったのだろう。

 中央に佇んでいるモゲラドスですら小さく見える闘技場。その舞台に相応しいのは、もっと大きなモンスターだった。

 

 

 

―ゴガアアアァァァァァ!!

 

 

 

 今、闘技場が震えた。

 闘技場ばかりではない。天井も、モゲラドスも、そして足元の大地もビリビリと振動している。

 とてつもない咆哮が周囲に轟く中、モゲラドスは盛んに動くようになり、警戒しているかのように周囲を見渡す。

 

 

 そして、その声の主は天井から姿を現し、闘技場の舞台に向かって着地した。

 

 

 大きな音を立てて着陸したその姿は、暗闇の中で淡く白く輝いていた。

 うっすらと輝く体表は甲殻のような硬いもので覆われては居ないが、硬い皮膚で身を包んでいた。

 骨格はティガレックスのようなワイバーンレックスの骨格を持つが、特徴的なのはその前脚であった。

 掘ることに特化したかのようなその太く強靭な足には、鑢のような甲殻と、鋭く太い爪が三本並んでいる。

 この強靭な前脚で掘り進んだのであろう、体は土汚れでまみれていたが、本人はどこ吹く風とばかりに周囲を見渡す。

 

 

 白く輝く身体を持つこのモンスターの名は「ディブライトス」。別名は「削竜(サクリュウ)」。

 その巨体はアカムトルムには劣るものの、明らかにティガレックスの体躯を越え、モゲラドスですら小さく見せるほどであった。

 

 

 どうやらこのディブライトスがこの地下洞窟における強者らしい。モゲラドスはその存在に気づくとすぐさま地中へと潜ろうとする。

 ディブライトスはそれを逃すまいと、口からあるものを吐き出す。それは蛍光色に輝く唾液であった。

 潜ろうとするモゲラドスの体の一部にそれが付着し、モゲラドスはそれに気づかぬまま潜行。ディブライトスから逃げ出す。

 ディブライトスはモゲラドスにつけた自分の唾液を優れた嗅覚で割り出し、後を追うようにして地中へ潜行する。

 その潜行速度はモゲラドスの比ではなく、強靭な前脚を駆使して素早く地中へ潜行していくのだった。

 

 ディブライトスは執拗に獲物を追いかける。

 モゲラドスがどこへ掘り進もうとも、ディブライトスに見つかるのは時間の問題だろう。

 現に、長く潜り続けていたモゲラドスが闘技場の階段に姿を現した途端、ディブライトスが目の前に出没。

 威嚇の為にディブライトスが吼えると、穴倉獣は再び其の場から逃げ出そうとする。

 

 だがいつまでも逃がすようなディブライトスではない。

 潜ろうと壁に爪を振り向けたモゲラドスに向かってディブライトスが跳躍、その強靭な前脚を振り下ろす。

 その強烈な一撃にモゲラドスは一撃で倒れる他無く、地面に身体をめり込ませて絶命。

 

 遭遇してしまった時から勝負はついていたらしい。

 ディブライトスは勝利の咆哮をあげることもなく、倒れ付しているモゲラドスを喰らおうとする。

 その顎の力は凄まじく、棘まみれの甲殻だろうとも平然と噛み砕き、中の肉を貪り食う。

 

 

 暗闇の地下世界における、ディブライトスの為の領域――地下闘技場。

 人間が築いたこの地底の空間を、ディブライトスは己の縄張りとして主張し続ける。

 かつて己が掘り進んだことによって、新たな生態系を築くほどに広がった地下洞窟を跡にして。

 

 

―今もなお、地下世界に己の咆哮を轟かせ、獲物を探し続ける太古の敗者が前進する。

 

 

 

―完―




●名称:ディブライトス
●別名:削竜(サクリュウ)
●異名:削りし竜
●種族:飛竜種
●生息地:地下闘技場
●特徴:
大きさは金冠サイズのティガレックスほど・目は無い・ワイバーンレックス骨格・強靭な前脚・長い爪・鑢のような甲殻(前脚のみ)・太く長い尻尾・後ろ脚は並。
体内で発光バクテリアを飼育しており、これを表面に纏うことで身体が薄く発光する。
バクテリアを【発光ブレス】として吐き出し獲物に付着することで、匂いと光を元にマーキングする。
また轟竜の血筋を思わせる大咆哮を持って地底内をソナーのように探索し、獲物を探り当てることができる。
視覚が無い代わりに、嗅覚・聴覚・触覚に優れており、これら全てが阻害されると「大暴走モード」に突入し見境なく暴れまわる。

モンハンデルシオンの沢山の応募、ありがとうございます!全て採用できるかは不安ですが、妄想が引き立てられました(笑)
誰が当っても当らなくても恨みっこ無しでお願いします(汗)ではでは。

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