Monster Hunter Delusion【更新停止】   作:ヤトラ

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今回は作者オリジナルテーマ「爆破属性を持つゲネル・セルタスとそれをフォローするアルセルタス」です。
前作に引き続き、今回も爆破属性がメインになっちゃってますね(汗)

今回の変異種には読者様のアイディアも一部流用させてもらっています。ありがとうございました!

久々にあのコンビが登場します(笑)


part25:「弾甲虫と爆甲虫の生態」

 ギルドクエスト、というものがある。

 これは未知の樹海を対象にした特別なクエストであり、ハンター毎にその依頼内容は変わってくるという奇妙なクエストだ。

 何せ未知の樹海というだけあってその全貌は未だハッキリと解っておらず、生態系も謎のまま。むしろ生態系が解き明かされることは無いと思われるぐらい、謎に包まれている。

 

 そんな未知の樹海にハンター達が足を踏み入れる理由は生態調査だけではない。古代の遺産、すなわち「発掘装備」がお目当てなのだ。

 未知の樹海の各地には遺跡らしき痕跡があり、時にはその深部に隠された財宝を手にすることができる。その財宝こそが「発掘装備」である。

 これらは古代のハンター達が使われていた武器や防具が眠っていたもので、見た目は現代のものと同じに見えても性能は多種多様といった謎使用となっている。

 しかし発掘当初は錆びておりとても使える品物ではないが、ナグリ村に住む土竜族の技術により研磨されることで初めて使用する事ができる。

 その性能はピンからキリまであり、時には強大な力を宿すこともある。古代のハンターもまた性能美を追求していた、ということだろうか?

 

 

 そしてその「発掘武具」があるからこそ多くのハンター……特に俗に言う「炭鉱夫」達が未知の樹海に挑むのだ。

 

 

 

―――

 

「発掘ーの為ーなーらエーンヤコーラ」

 

「お宝ーの為ーなーらエーンヤコーラ」

 

 ふー、今日もツルハシの良い音が耳に響くぜ。どらどら、何か掘り出し物は……。

 

「見ろよカタアイ、天空の結晶獲ったどー」

 

「マジかアイボー。俺なんか鉄鉱石だぜ?」

 

 結構レアな鉱石だよな、天空の結晶って。鉄鉱石も鉄鉱石で重要だ。発掘した武具って大量の鉄鉱石がいるからなぁ。

 

 俺ことカタアイとアイボーはツルハシを振るっているが、これでも立派なハンターだ。所謂炭鉱夫ハンターってやつだが。

 俺達は二人で未知の樹海を訪れており、俺の下で発注されたギルドクエストに挑んでいる最中だ。狩猟対象はバサルモス亜種。

 ギルドクエストは何が起こるか、そして何が出てくるのか解らないので、とりあえずフル装備。俺が操虫昆とフルフルUで、アイボーはハンマーとスキュラS。

 

 けど未知の樹海はたまーに発掘武具や研磨剤がザクザク取れるお宝エリアが発見されるし、樹海でないと取れない結晶とかも多いのでツルハシは持参。

 俺達にとって武器の次に手にしっくりと来るのは、やっぱツルハシだよなぁ。こっちに来てからも採掘が多かったし。

 

 採掘も終えて次のエリアに足を運ぼうとしたら羽音と足音が聞こえてきた。

 ブハナブラにしては大きい音に警戒した俺らは手のサインだけで交わし、その辺のクンチュウを避けながら物陰に潜む。

 

 何が出てくるかと二人して物陰から顔を出して見たら―――。

 

「おいカタアイ、ゲネル・セルタスって知っているか?」

 

「知っているぜアイボー。緑色(・・)のデカい甲虫種だろ?」

 

「だよな。ゲネル・セルタスってあんな(・・・)真っ赤な(・・・・)()していないよな?」

 

 そうだぜアイボー、お前は間違っていない。ついでに俺も見間違いじゃないって解った。

 何せ俺達の見ているゲネル・セルタスは、身体が驚く程に真っ赤なんだからな。

 

 こちらに気づいていないようなのでよーっく観察してみるが、見た目はゲネル・セルタスとほぼ変わりない。

 尻尾の先についた鋏が肉厚で蟹の鋏みたいになっていて、甲殻の表面は滑りを帯びてテカっていた。あれは……油かなんかか?

 とにかくあれはゲネル・セルタスの亜種かなんかに違い無いだろう。これってかなりレアじゃね?

 

「なぁアイボー、なんとか落し物を採取してみっか?」

 

「そうだな、様子を見ながら戦えば最悪死にはしないだろ」

 

 ギルドクエストに乱入してきた敵は倒さなくていいんだが、こんな初めましてなモンスターを目の当たりにしては調べざるを得ない。

 落し物か何かを拾って、ギルドに貢献できるかもしれないと思った俺らは、武器を持ってゲネル・セルタスの背後を取ろうとする―――が。

 

―ブウン、と羽音を響かせながら、赤くて螺旋状の角を持ったアルセルタスが目の前に下りてきた。

 

 えーっと……。

 

「「ど、どうも」」

 

 と挨拶したら赤いアルセルタスが声をあげ、その音を聞いてゲネル・セルタスがこっちに気づいちゃったよ。

 まぁ俺らもハンターだから、物事は上手くいかないってのは解っていたんだが……仕方ないからやるだけやるとしますか!

 

「行くぜアイボー!」

 

「おうよカタアイ!」

 

 

 

―――

 

 未知の樹海で発見された赤いゲネル・セルタスとアルセルタス。

 この2匹は後に、前者が「爆甲虫(バクコウチュウ)」、後者が「弾甲虫(ダンコウチュウ)」と呼ばれるようになる。

 この2匹の二つ名の由来は戦い方にあるので、この2人のハンターとの戦いを見て知ってもらおう。

 

「あ、足が、足が引っかかった!」

 

「ああもう俺が囮になるから焦るなアイボー!」

 

 ハンマーを構えたまま歩いていたアイボーが足元の粘着液に引っかかり慌てるが、自ら囮になることで落ち着かせようとするカタアイ。

 白い弾のようなものを無造作に発射するアルセルタス変異種を背負ったまま歩くゲネル変異種の前を横切り、注意をこちらに向ける。

 案の定カタアイに狙いをつけたゲネル変異種は尾の鋏を打ち鳴らし突進を仕掛け、その間にアルセルタス変異種がカタアイに向けて燃え盛る弾を三方向に発射。

 しっかり視界に捕らえていたカタアイなら突進も燃える弾も避けられたが、地面に着弾してもそのまま燃えていた。

 

 このアルセルタス変異種は草食性となっており、主食はネンチャク草と火薬草だ。

 なので、原種のように腐食液を放つことはなくなったが、ネルスキュラのような粘着液や先ほどの燃える弾を発射するようになった。

 これらが地味に厄介で、粘着液で足を引っ掛ければゲネルの突進の餌食になり、火炎弾に当れば火傷状態になる。しかも広範囲かつ無造作にばら撒くのだから性質が悪い。

 ゲネルとアルセルタスだけでなく足元にも注意しなければ、アイボーのように粘着液を踏んでしまい、足を取られてしまう。

 

 そして当然ながら、ゲネル・セルタス変異種も厄介な点が増えている。

 ゲネル・セルタスは自身の足を狙っているカタアイを薙ぎ払おうと、緩慢ではあるが全身を使って尾を振り回す。

 この時、普通のゲネル・セルタスとは違う箇所がある。それは尾を振り回した際に鋏から漏れる液体にあった。

 

「まったく、爆破液とかどこのリーゼントさんだよ……!」

 

 カタアイが地面にばら撒かれたそれを見ながら愚痴を言いつつ、振り回し攻撃を前転することでスレスレながらも回避する。

 

 このゲネル・セルタス変異種の主食は、のりこねバッタ、ボンバッタ、そして非常食としてアルセルタス変異種。

 振り回しによりばら撒かれたオレンジ色の液体は、粘着液と爆薬が合わさった、ブラキディオスと同じ爆破液なのだ。

 しかも何を食したのかは解らないが油のようなものを蓄えているようで、これを高圧ブレスの水代わりにし、直前で引火させ巨大な火球として発射する。

 高いパワーだけでなく、油を使った火炎に粘着性のある爆破液と絡めても充実。動きが遅いとはいえこれは面倒極まりない。

 とはいえ甲殻の表面に滲んでいる油は自身の足回りにも影響が出ているらしく、突進の勢いで滑ることも多々あるが。

 

 とにかくこのゲネル・セルタスとアスセルタスは、動きだけでなく足元にも注意しなければならないという、厄介と厄介の二乗で性質の悪い連中となっている。

 もちろん合体時の連携攻撃(足から粘着液を滲ませゲネルの油を無効化している)も強力だが、何よりもアルセルタスが個別に動く方が厄介だ。

 

「よし、アルセルタスが崖に刺さった!」

 

「集中攻撃して倒すぞ……って何ぃっ!?」

 

 カタアイがアルセルタス変異種の突進を引きつけ崖に誘導し、まんまと角が突き刺さってラッキー、と思った所へアイボーが叫ぶ。

 アルセルタス変異種は身体を横に回転させ、螺旋状の角で崖へと掘り進んだではないか。2人はそのまま奥へと潜っていく様子を呆然と眺めるかなかった。

 

 アルセルタス変異種が食す火薬草の根は長い。変異種であるアルセルタスはこれを根ごと食す為、前脚の鎌と角を変形させるほどに掘り進む術を手に入れたのだ。

 その結果が先の掘削機能。火薬草が多めに生える火山地帯へ適応し熱で変形した角を生かし弱点を克服し、さらなる攻撃への伏線を可能とした。

 

「下から来るぞ、気をつけろ!」

 

「え、もぎゃーっ!」

 

 ボコリと盛り上がった地面を目撃した頃には遅く、地中からアルセルタス変異種が角を突き出し、カタアイを吹き飛ばした。

 そのまま前脚の鎌を上手につかって地中から這い出てきた。縦横無尽とはまさにこの事だろうか。

 

 持ってきてよかった生命の粉塵……そう安心していたのも束の間。

 

―シュゴッ!

 

「あぢゃーーーっ!?」

 

 気をとられていたアイボーはゲネル・セルタス変異種の口から放たれた火炎玉をモロに食らう。

 彼の装備しているスキュラSシリーズは火に弱いこともあり大ダメージを負う羽目に。それでも鎮火させようとゴロゴロと転がる。

 

 吹っ飛んで倒れるカタアイ。火達磨になってゴロゴロ転がるアイボー。

 恐らくは合体の為に動きを止めたのだろうが、そんな2人の前で動きを止める様は、まるでもがく姿を見下しているかのよう。

 ゲネル・セルタスの上にアルセルタスが乗っかるとすぐに攻撃態勢に入るが。

 

 

 ようやく態勢を立て直した2人がとった行動は……。

 

 

「逃げるぞカタアイ!」

 

「おうさアイボー!」

 

「「別エリアに向けて全速前進だ!」」

 

 まぁ賢い判断ではある。戦いと焦りで忘れかけていたが、2人が受けているのはあくまでギルドクエスト。この2匹は討伐の目的ではない。

 バサルモス亜種を探し出す為にも、まずは2匹から逃げる必要がある。幸いな事にこの先のエリアは入り組んだ細い道である為、あの巨体が入る余地は無い。

 さらに幸いな事に、背を向けて逃げても2匹が追う様子は無く、このまま逃がしてくれるようなので2人は全速力で走りだす。

 

 

 不運だったのは、バサルモス亜種を見つけた時に再び爆甲虫と弾甲虫の2匹に出会ってしまったことか。

 とりあえずギルドクエストは達成できた、つまり生還した事だけは言っておこう。

 生き残った2人がどうなったのかは、読者のご想像にお任せする。少なくとも、先ほどの戦いで大怪我を負ったのには違いないが。

 

 

 

―――

 

 発掘武具は確かに強力なものが多い。しかしそれを探すまでの道のりは長く、厳しいものになる。

 そもそも未知の樹海の何が怖いかといえば、どんな大型モンスターが出てくるか解らない事だ。

 ギルドクエストを発注する側であるギルドですら、生態系を正確に把握することは難しいとされている。

 しかし今回のようにまだ見ぬ変異種を見つけ出すことはかなり稀で、地底火山に出没するようになった鎧蜘蛛(よろいぐも)もまた、未知の樹海での発見報告は少ない。

 あるいは、発見しても逆に狩られてしまった者が多いからなのかは……誰も知らない。樹海で無くなるハンターは増える一方なのだから。

 

 

 炭鉱夫コンビが出会った「重厚の爆弾魔」及び「鉄砲玉の兵士」は、あれ以降に姿を現していない。

 もしかしたら地底火山に移ったのかもしれないし、ハンターか大型モンスターに狩られたのかもしれない。

 

 

 

―ただ、彼らの痕跡である爆破痕が点々と残っている以上、生き残っている可能性が高いだろうが。

 

 

 

―完―




一週間延ばしてまで練りに練って戦闘描写をよくしたかったのに、結局ダメでした(涙)
もっと伝えたいことがいっぱいあったのですが、作者の文章力ではここまでです。悔しい!

そんなわけで爆甲虫と弾甲虫です。ちなみに一つ目の文字をあわせると「爆弾」となります(笑)
元々作者1人で妄想していたのですが、アルセルタスやゲネル・セルタスに関する読者様のアイディアも摘発され、せっかくなので合わせてみました。
全て採用できず申し訳ありませんが、いかがだったでしょうか?不満なら別のpartで新しく書こうと思います。

せっかくなので変異種2匹の簡単な紹介と、スキル及び素材の一覧を書いておきました。
ではまた次回をお楽しみに!もしかしたら更新が今日から二週間後になるかもしれないです(汗)

●変異種紹介

弾甲虫アルセルタス変異種
ネンチャク草や火薬草を主食とした草食性のアルセルタス。熱により変形した角を持つ。
空気に触れると高温を発する液と粘着性のある液とを使い分けて戦闘に応じる。
また螺旋状に変形した角による突進も驚異的で、時には地中潜行を行う事もできる。

爆甲虫アルセルタス変異種
のりこねバッタやボンバッタ、弾甲虫を主食としたゲネル・セルタスの変異種。
特殊な油を体内で循環させており、高熱の冷却やフェロモンガスの調合に使われている。
油と粘着液と爆破成分を織り交ぜることで、爆破液をばら撒いたり火炎玉を発射したりと、様々な搦め手を使いこなす。

○本日の防具と素材一覧

●セルタスBシリーズのスキル一覧(共通)
・砲術師
・ボマー
・罠師
・鈍足

●主に剝ぎ取れる素材一覧
・弾甲虫の螺旋角
 弾甲虫の特徴的な角。鋭い上に硬度が非常に高く、捻れば岩盤をも貫ける程。
・弾甲虫の堅殻
 弾甲虫の外殻。表面はザラついていりるが、代わりに軽くて丈夫な素材になっている。
・爆甲虫の堅殻
 爆甲虫の分厚い外殻。衝撃に強いだけでなく耐熱性にも優れており、防御力抜群。
・濃縮重油エキス
 爆甲虫の体内で循環する油のようなエキス。空気に触れると引火し悪臭を放つ。
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