Monster Hunter Delusion【更新停止】   作:ヤトラ

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 今回の変異種テーマは「あらゆる毒を操るギギネブラ」です。イメージはモルボル(笑)


part4:「混怪竜の生態」

 ある日の凍土の昼下がり。

 

―ぐー。

 

 一匹のギギネブラが腹を空かせていた。

 というのも、先日イビルジョーが現れ、主な獲物であったポポやガウシカを根こそぎ食らってしまったのが原因だ。

 この間ハンターが討伐したからいいものの、最近は満足に獲物を得られていない。

 

―生きていくのに食べるのは必要不可欠。肉食種が獲物を食べられないのは死活問題に繋がる。

 

 だからこそギギネブラは、空腹のあまり、思い切ってドスバギィを食べてみることにした。

 毒で弱らせて殺し、凍土の気温で凍らせてから口に含んで食す。食べれらないことはないようだ。

 しかしドスバギィの体内には昏睡袋があるので、当然食べてしまったら眠ってしまう。仰向けになってグーグー寝込むギギネブラ。生きる為とはいえ、少しマヌケっぽい。

 

 しかしそこをバギィが叩き起こすことで目覚め、それを捕食。

 体内の睡眠袋のおかげで、またギギネブラは眠る。そしてまた起こされる。

 今度はブナバブラだ。バギィ達だけでは腹が満たされないのか、首を伸ばしてそれを食べる。

 今度は麻痺した。ピクピクと震えるが、時期に起き上がり、またバギィを食べる。

 

 

 

 いくら生き抜く為とはいえ、慣れぬ餌を食らい付いて痛い目に合う姿は、やはりマヌケだ。

 だが、モンスターの中には、食性が変わるで姿や性質を変えるモンスターも多い。

 その中でも、ダイミョウザザミの変異種であるアラムシャザザミは異常な進化を遂げることに成功。

 毒キノコを食べて酷い目にあった回数だけ耐性が付き、ついにはあらゆる毒を吐く毒蟹へと進化したのだ。執念にも近い食い意地が為せる技ともいえよう。

 

 

 

 

 イビルジョーがもたらした、一時的な食物連鎖の崩壊。その崩壊に合わせ、ギギネブラは新たな進化への道を歩んでいくのだった。

 

 

 

 

 それからしばらくして、ユクモ村を中心にハンターが新大陸を闊歩するようになった頃。

 1人の女ハンターがギギネブラを狩り終えた所だった。

 

「はぁ……はぁ……ふふ、ふふふふふ……」

 

 仰向けになって倒れたギギネブラを眺めて、ネブラU装備の女―キュラは妖しく笑っていた。

 金色のショートヘアーに青い目をした、どちらかといえば背丈の高いお姉さん系のスタイル。

 只でさえ色っぽい格好だというのに、ギィギに噛まれた痕やネブラの唾液まみれでより色っぽい。

 

「これで通算49匹目……」

 

 そんな酷い目に合っているにも関わらず、彼女の表情には達成感に近い物があった。

 ギギネブラを嫌っておきながら、何故ギギネブラを狩っているのだろうか。

 それは、彼女がいにしえの龍骨狙いの採取クエスト(上位)にばかり通っているからである。

 しかしこれが中々手に入らず、しかもギギネブラに好かれているのではないかってぐらいに真っ先に襲われる事が多い。

 ギギネブラ嫌いの彼女がネブラUシリーズを装備してクエストに挑むのも、ギギネブラへの怨み辛みがあるからかもしれない。

 さて、これでゆっくりと龍骨を捜すことができる……と思って歩き出した瞬間。

 

―べちょ

 

 上から何かどろどろしたのが降ってきた。それだけならまだよかったが、それが溶解液となれば話は別。

 

「あづづづっ!」

 

 防具の一部を軽く溶かす程のそれは、ブナハブラの防御ダウン液そのもの。

 それを雪で流してから、まさかと思い、武器である片手剣――を構えて天井裏を見上げる。

 

 

 

―案の定、洞窟の天井に張っていたのは、ギギネブラだった。

 

 

 

「おのれぇぇぇぇぇ!まだ邪魔をするかぁぁぁぁ!!」

 

―そのキレっぷりは、普段のお淑やかさをふっとばすほどだったという。

 

 怨敵が居るというだけでキュラは光速で打ち上げタル爆弾を設置。それを放つ。

 ギギネブラらしい影はそれを察知したか天井から跳び、それを回避。天井が爆発で抉られた。

 興奮の余り息が荒くなりつつも、キュラは飛び降りたギギネブラを見つめる。

 

 

―原種とも亜種とも違う、バギィに近い体色をしたギギネブラだった。

 

 

 とはいえ、その不気味な姿は間違いなくギギネブラ。

 もしかしたら最近話題の変異種なのかもしれない。だがそんなことは無意味だ。

 

「ギギ殺し50匹目の糧となれぇぇぇ!」

 

 そう、ギギネブラ嫌いの彼女にとっては。

 片手剣を振りかざして切りかかろうとした途端、ギギネブラは身体からあるガスを発射する。

 これが毒だったとしても、既に護石と装飾品で毒耐性は出来ているから問題は……。

 

 

―あった。

 

 

「くっさ!」

 

 そう、それは毒ではない。悪臭だ。

 しかも、ラングやガンキン亜種の悪臭とは比べ物にならないぐらいに臭い。

 どれだけかというと、体がふらふらして痺れてくるような……。

 

(ちが、これ、麻痺……っ!?)

 

 キュラは驚愕した。体が痺れて動けないではないか。

 倒れている間も、頭の中で混乱していた。原種でも亜種でもこんな悪臭はなかったはずだ。

 数多くのギギネブラを狩ってきたからこそ解る経験と知識。それをいとも簡単に切り捨てた。

 そんなことを考えている間にも、ギギネブラは大きく口を広げ……。

 

 

―ずるんっ。

 

 

 

 その後、キュラはなんとかギギネブラの口から脱出することに成功。

 体を悪臭まみれにしながらも、またしても逆上し、戦いを挑むキュラであった。

 

 

 

 その後しばらくして。

 青……だった色が怒って緑色になったギギネブラと、アイテムを使い果たし疲労しているキュラが睨み合う。

 もはや採取クエストだったことを忘れていたキュラは、冷静になってこの緑のギギネブラとの戦闘を思い返す。

 

 戦い方自体はギギネブラと同じだ。首を伸ばしたり、上から攻撃したり、ガスを放ったり。

 ただ、そのガスというのが、一体何を食べてそうなったのかは知らないが、あまりにも種類が多い。

 毒を始めとして、睡眠ガス、麻痺ガス、悪臭、口から防御を下げる酸を吐くどころか、恐ろしいことにギィギの卵巣をも吐き出した。

 しかも食いしん坊らしく、毒を吐けば吐くほど腹をすかせてしまい、バギィやブナハブラを手当たり次第に貪る始末。

 

 やることなすこと全てがおぞましい。今までのギギネブラがかわいいと思えてしまうほどに。

 これではまるでバギィとブナハブラを足したような相手ではないか。

 

 

 あらゆる毒を撒き散らす、最低にして最悪のギギネブラの変異種。

 それが――オレンジ色の眼光を放つギギネブラ変異種。名付けるなら「混怪竜(こんかいりゅう)」。

 

 

―そして、とうとう我慢の限界を超えた。

 

 

「こんな奴、相手にしていられないわ!もう帰る!」

 

 べとべとのどろどろのぐちゃぐちゃのギィギまみれで泣き叫ぶキュラ。

 回復薬や食料の類ですら無くした今、便りの綱であるモドリ玉を使い、その場を脱出。

 腹を空かせたのか、天井裏からキュラを食らう気満々だったギギネブラ変異種から逃げ出したのである。

 

 

 

―ギギネブラ変異種は仕方なく、その辺を飛んでいるブナハブラを食すのだった。

 

 

 

―その後、キュラの体に付いた悪臭は洗っても中々落ちない為、一週間は洗う為に家に引きこもったという。

 

 

 

―完―




 これもやりすぎ。ですがアラムシャという事例もありますし、いいよね?(コラ)
 別名モルボルモドキ。必殺技は毒・麻痺・睡眠・防御ダウン・悪臭を混ぜた「臭い毒」。この毒を受けたら一週間は洗っても匂いが落ちません。女の大敵ですね。

 ○本日の防具と素材一覧

 ●ネブラMシリーズのスキル一覧 (共通)
 ・調合成功率+45%
 ・早食い+2
 ・広域化+1
 ・スタミナ回復遅延

 ●主に剥ぎ取れる素材
 ・はかりしれない皮
  混怪竜の背中の皮。食性により変化した皮は計り知れないほどの不気味な触感を持つ。
 ・化物のクチ
  鋭い歯がビッシリと生えた混怪竜のクチ。見続けると喰われてしまいそうな程に恐ろしい。
 ・混沌袋
  あらゆる毒素が入り混じった危険な物体。一滴でも零すと大変なことになる。

 こんな悪夢のようなギギネブラ、本気で出ないで欲しいと願っています(謎)

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