Monster Hunter Delusion【更新停止】   作:ヤトラ

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今回は珍しい事に、当選予定の4匹とは別にモンスターを参加させています。言っては失礼ですが噛ませ犬です(滝汗)
なるべく戦闘描写を良い感じに書くのと、読者の案である「当選モンスター同士の戦い」を書いて見たかったんです。
贔屓するようで申し訳ありませんが、当選とは別として扱わせて頂いております。ご了承ください。

今回もグダグダになりますが、久々にモンスターのみです。楽しんでくれると嬉しいです。

9/13:勝手ながら文章を元に作者が描いたアイコンを挿絵に追加しました。




Extra7-3:「獣骨鳥の生態」(※挿絵あり)

 未知の樹海。それは未だ正確な広さや地形を理解しきれていない領域。

 数多くのモンスターが生息するこの樹海では、樹海にしか生息しないモンスターも多く、ギルドの悩みの種とされている。

 そして未知の樹海でしか採取できない物も多く、ハンター達はこぞって古代の遺品を発掘せんとギルドクエストを受注するのだ。

 しかし仮にも「未知の樹海」と名の付いた地域だ。旨味が発掘装備だけとは限らない。

 

 例えば―――。

 

 

 

―――

 

「あったニャ~、あったニャ~♪」

 

 両の小さな肉球で挟んで持ち上げた石をキラリと輝かせ、灰色の毛並みを持つアイルーは嬉しそうに小躍りする。

 その石は「幸運のかけら」と呼ばれる売り物で、いわゆる精算アイテムと呼ばれる物。ハンター達にとっては、貴重な素材が袋一杯にあれば捨ててしまうようなものだ。

 それでもこの灰色のアイルー(名はグレ。安直だが飼い主である老商人からつけてくれた大事な名だ)にとっては何よりのお宝。売れば小遣いに、持っていれば幸運を宿すお守りなのだから。

 

 グレは老商人の真似事として、未知の樹海に立ち入っては欠片を集め、それを子供相手にお手ごろな価格で売る商売をしている。

 ハンターとは違ってアイルーは好きな時に好きな場所に立ち入ることが出来る為、こうして探索ごっこをしに行く事もできるのだ。暢気な連中である。

 

 しかし、荷物を先端に括り付けた棒を担いで、意気揚々と帰宅しようとした頃。

 

 

 

―――謎の二体の大型モンスターがバッタリと出会い、グレを恐怖のどん底へと陥れたのである。

 

 

 

―――

 

 未知の樹海にはとても広いエリアがある。その広さ故にズワロポスやアプトノス、ガーグァなどの群れが集う事が多い。

 そんな草食性モンスター達は、各々の命が助かるようにと懸命に走り、散開して逃げ惑っていた。大小関わらず、小型の肉食モンスターであるジャギィやランポスですら逃げて。

 

 

 広いエリアを陣取り、2匹の見知らぬモンスターが大暴れしているからだった。

 

 

 片方は獣竜種。特徴たる強靭な後ろ足と小さな前脚を持ち、前傾姿勢で身構えている。

 見た目は灰色のドスジャギィと言った感じで、一般の獣竜種と比べると小柄な体を持つが、見た目で侮ってはいけない。

 何せこのモンスターが口に銜えているのは鉄鉱石の塊であり、それを容易く噛み砕いてしまったのだから。

 この獣竜種は、後に凍土で目撃されるようになり「コルバルス」という名称が与えられるのだが―――ここでは別名を省き、後ほど紹介するとしよう。

 

 そんなコルバルスと対峙しているモンスターは、奇妙な姿をした鳥竜種である。

 

 一般的に鳥竜種と聞くと空を飛ぶ印象が与えられる。『鳥』竜種と言うのだから、飛べると思い込む人は多いだろう。ランポスやジャギィといった例外も居るが。

 無論、イャンクックやゲリョスといったモンスターは空を飛べる。それに加えて脚力もある為、たかが鳥と侮れない連中でもある。

 

 しかしこの鳥竜種は羽毛こそあれど、翼が小さく後ろ脚が強靭と、まるで獣竜種のような外見をしていた。

 赤茶色の羽毛で体を覆っているが、強靭さを物語らせる後ろ脚は羽毛が変質して出来た硬い鱗で覆われており、いかにこの脚が重要視されているかが物語られる。

 さらに特徴的なのは尾だ。3本ある尾の内の中央の細長い尾は鞭のようにしなり、骨が浮き出て出来た太く頑丈な2本の尾はそれを守るようにして伸びている。

 

 ドシンドシンと地団駄を踏むその姿は、走ることに特化した鳥。しなやかな尾を振るう姿は飾りでは無い事を外敵に知らせている。

 鳥竜種から獣竜種に進化したかのようなこのモンスターの名は「フルジィラソル」。別名「獣骨鳥(ジュウコツチョウ)」。

 

 この2匹もまた、未だ知らされていない「未知のG級モンスター」である。

 

 

 

――

 

 グレはニャーニャー言いながら逃げ惑っていた。地中に潜る暇が無い程に危険が間近に迫っているからだ。

 心は恐怖で満ち溢れ、頭の中は生き延びる為の最善の手を瞬時に思い浮かべ、体は獣ならではの俊敏さを生かして走り続け、獣人族の第六感が的確に敵の攻撃を避けようと体を動かす。

 アイルーの底力ここにあり!逃げろグレ!子供達の夢である幸運の欠片をその身に抱いて!

 

 

 フルジィラソルとコルバルスの戦闘は、お互いの独自の戦法を惜しみなく発揮させ、混沌とした戦いを見せ付けている。

 片方は獣竜種で片方は鳥竜種。しかし骨格はどちらも獣竜種に近い為に動きは似ており、しかし性質が違うからか動きが特徴的だった。

 

 本来は凍土で活動している為か、コルバルスの後ろ脚には鋭い爪を持っており、強靭な足腰を用いることでしっかりと地を踏み締めて走れる。

 鉄鉱石をも砕く顎を武器にフルジィラソルに迫り来るが、この鳥竜種の動きが厄介で、大きさに似合わぬ軽やかな動きで避ける。

 

 

 

 傍から見れば2匹の竜がグルグルとエリアで競争しているように見え、その前方に不運にもグレが混ざっており、2匹の攻防から逃れる為に必死で走るのだった。

 

 

 

 フルジィラソルは丈夫で軽い骨をしており、これに強靭な筋力が加わることで獣竜種にはない俊敏な動きを発揮することができるのだ。

 その骨は尾にも受け継がれており、皮を被った細長くしなやか骨の尾を、まるで鞭のようにして振り回して攻撃することもできる。

 早速とばかりに動きを止め、首だけを後ろを振り向き、敵であるコルバルスに向けて尾の鞭をしならせる。

 

 だがコルバルスも獣竜種の端くれ。サイドステップで尾の鞭を避けようとするも、異常に伸びる尾がそれを逃さず、驚異的に伸びてコルバルスに一撃をお見舞いする。

 頑丈な骨はコルバルスに相当のダメージを与えたらしく、側面に大きな傷が走る。だが動きを止めている隙をコルバルスは逃さない。

 

 そこでコルバルスは口から何かを吐き出し、フルジィラソルの足元に命中。

 何事かと足を上げて確認しようとするフルジィラソルが、地面から太い糸を引いて伸びる液体に足を獲られ、思うように動けない。

 コルバルスの体内には粘着性の液体を溜める器官があり、これを吐き出し獲物の動きを鈍らせる習性がある。

 故に後につけられる2つ名は「粘着竜(ネンチャクリュウ)」。粘着液で動きを止め、頑強な顎で一気に仕留める狡猾なハンター。

 

 だが動きを止めただけではフルジィソルは狩れない。何故ならフルジィラソルには尾の鞭があるからだ!

 近づかせてたまるものか!とばかりに尾を振って振って振りまくり、コルバルスを近づけないようにする。

 だがコルバルスも隙有らば噛み付こうと身を引きながらも口を開いて威嚇し、尾の鞭を避けつつ前へ後ろへと身を乗り出し機会を伺う。

 

 

 

 ちなみに粘着液を受けてしまったグレは、頭上で繰り広げられる鞭乱舞がこっちに当らないでくれと、幸運の欠片を抱いて必死に祈っているのだった。

 

 

 

 やがて粘着液の効き目が切れ、脚が自由になったことで後方へと跳び下がるフルジィラソル。

 よくもやってくれたな!とばかりに短い翼を広げ、威嚇の咆哮をあげる。どうやらお怒りの様子。

 すると背骨と後ろ脚の骨が浮き上がり、全体的に見て刺々しい姿に変貌。怒り状態になると体内の骨に変化が生じるようだ。

 

 しかしコルバルスも負けじと威嚇の咆哮を轟かせ、身を屈めたと思えば走りだし、今度は一気に接近する。

 怒っておきながらフルジィラソルはコルバルスに対し後方へステップして避ける。コルバルスはこれを尻込みしていると思い込み遠慮無しに攻め寄っていく。

 

 だがフルジィラソルは毒怪鳥並の狡猾さを持つ鳥竜種。敢えて回避に専念し、敵が調子に乗った所を狙うのだ。

 ガチガチと噛み付き攻撃を連続で繰り返していた所で横へステップ移動すると、案の定コルバルスは勢い余って前へ出すぎてしまう。

 すかさず強靭な足腰を活かし強引に旋回し、至近距離からの骨尾攻撃がコルバルスの顔面に命中!

 

 強靭な顎とはいえ頑強な骨を打たれた以上、強烈な振動がコルバルスの脳を直撃して思考が麻痺し、フラフラと体が揺れ動く。

 しかしフルジィラソルは容赦しない。鳥竜種ならではの軽さを生かし、ヒプノックの如き蹴りをお見舞い。横っ腹を蹴りつける!

 脳震盪を起こしてフラついていたところへ強靭な足腰を活かしたキックを食らったことで、コルバルスは吹っ飛んで倒れ込む。これだと気絶するのは当然だろう。

 

 

 未知の樹海における『未知のG』同士の戦いはフルジィラソルが制した。

 勝利の雄叫びを上げ、邪魔者が居なくなった所でガーグァ……同類でありながら捕食対象である鳥竜種を狙う為に大地を蹴る。

 

 

 

 

 ちなみにグレは無事に生還。飼い主である老商人に抱きつき、猫の癖にワンワン泣いたのだとか。

 翌日は夢見る子供達に欠片を売るのだが、未知の樹海での体験談が子供達にとっての何よりのお土産になったそうだ。

 

 今まで大したモンスターに会わなかった幸運と、強大な2匹のモンスターに遭遇しながら生き永らえた幸運。

 やはり幸運の欠片は偉大だと、あの日から慎重に未知の樹海に乗り込むようになったグレは再認識するのだった。

 

 

―完―

 




獣竜種に近い鳥竜種とは珍しいと思い、しかしダチョウとかに似ているなぁと感心して採用しました。キックは作者が勝手に追加しました、すみません。
そしてそんな獣骨鳥の相手は生粋の獣竜種。粘着液を吐いて強靭な顎で攻撃するとか獣竜種にしては斬新な……ん?ボルボが似たような(ry

詳しいデータは活動報告の「モンスターハンターデルシオン4G」を見てください。

とにかく応募ありがとうございました。採用させていただきました。

次回でモンハンデルシオンGのラストです!
どれにするか未だ悩んでいる上、ラストに相応しい文章が書ければいいんですが(汗)

獣骨鳥アイコン(作者描写)

【挿絵表示】

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