Monster Hunter Delusion【更新停止】   作:ヤトラ

43 / 63
今回のテーマは「性格が変わったオオナズチ」です。読者様のアイディアを参考にしました。
見た目だけじゃなくて中身、特に性格が変わっていても可笑しくないかなーと思い、大胆にアレンジしました。

要約すると「こんなオオナズチだったら相手にしたくない」ですね(笑)

注意:今回はホラー風かつ残酷な描写、流血表現などがあります。苦手な方はお下がりください。

それとモンハンデルシオンに関するリクエストを活動報告に上げる予定なので、よろしければ見ていってください。


part29:「虚龍の生態」

 生物とはまず見た目から分析される。大きさ、鋭い牙と爪、筋肉のつき方……水陸空に応じて生物は形を変えて適応するからだ。

 しかし見た目では解らないのが生物の本質。人も似たようで見た目も性格も違う以上、モンスターにも性格や個性が変わってくる。

 これまで記してきた多くのモンスターの対処法も、見た目から始まり本質を見抜いた、過去の人々の智慧と勇気が募った結果だ。

 

 だからこそ想像して欲しい。

 普段は眠り危険が無い限りは大人しい棘竜エスピナスが最初から好戦的であったなら、危険度と討伐難易度はグッと跳ね上がっていたことだろう。

 暴食の限りを尽くし見境無く食う恐暴竜イビルジョーが集落の家畜を狙うような知能があったならば、今頃は多くの人類が絶滅していたかもしれない。

 人間に友好的なアイルーやメラルーがチャチャブーのように害をなすモンスターばかりだったなら、モンハン界のアイドルにはならなかっただろう。

 

 そして本質とは、理由さえあれば唐突に変化する事が出来る。

 それは生命の危機であったり、誰かに害されたからであったり、効率を知ったからでありと、理由は様々。

 

 

 

 これは、あるモンスターの性格が変異した、1匹の変異種の話である。

 

 

 

―――

 

 原生林にて霞龍と思われる影あり―――ドンドルマの大老殿へ伝えられた情報だ。

 

 霞龍オオナズチ。姿を消し毒を吐く神出鬼没の、故に未知数とされている古龍種。

 しかもこの時期の原生林といえばG級と思われるラージャンが生息していたはずだが、情報が届けられた数日前、そのラージャンが姿を消したとも伝えられている。

 時に古龍種をも恐れさせるというラージャンが消え、その直後にオオナズチが居るとなれば危険度は高い。よって早急にG級ハンターへ依頼を発注した。

 

 

 だが彼らは知らない―――このクエストによって恐怖のずんd、どん底に落とされようとは。

 

 

 

 最初に異変に気づいたのは、大剣を背負ったドボルX装備の男だった。

 

 原生林に生息しているというオオナズチを探し出すために各自が散開したのはいいが、未だにペイントボールの臭気は漂ってこない。

 古龍種が居る為か不気味すぎるほどに静かなのを良い事に、大丈夫だろうかと不安になったドボルXの男は耳を澄ましている。

 すると微かに聞こえてきたのは滝の音に混じる女の悲鳴……ガルルガXシリーズを身に纏った弓使いの声だ。ドボルX装備の男はすぐさま駆けつける。

 

 バシャバシャと水辺を走るドボルX装備の男が目にしたのは、ガルルガXをつけた右腕と、水溜りに転げ落ちているペイントボールだった。

 呆然とそれを見下ろしているとセルタスX装備のガンランス使いが駆けつけ、二の腕の先が無くなった右腕を見て驚愕する。

 用心深いレギオスX装備のハンマー使いは事前に千里眼の薬を飲んでいた為、この狩猟フィールドにはオオナズチらしき影しか居ないと全員に伝えてある。

 

―――つまり、ガルルガX女はオオナズチにやられたと見て相違ないだろう。

 

 だが彼女もG級を生き抜いた強者にして熟練者だ。まさかペイントボールを投げる暇も無く殺されたのだというのか――――そんな恐怖が2人を襲う。

 故に2人は固まって行動することに決め、レギオスX男が最後に感知できたと言っていたエリア3―――滝の麓へと足を運ぶ。

 

 

 

 続いて気づいたのは、盾があるからとドボルX男よりは若干余裕があるセルタスX男。

 

 2人は互いの背中を預けあうようにして固まり各々の正面を見ながらゆっくりと前進していたのだが、セルタスX男は盾を構えつつ四方を見渡していた。

 だからか、真っ先に空間の歪みのような物を目撃する事が出来、即座にドボルX男に伝えることで警戒を深める事に成功した。

 彼もセルタスX男の言う事は正しいと判断できた。何せここは水辺。バシャバシャと自分達以外の足音―それも四足歩行ならではの足音が聞こえたからだ。

 

 まずオオナズチが居るのは違い無いのだが……一向に姿を見せようとしない。

 バシャバシャと音が聞こえ、時節思い出したかのように音が止み、また水音が響く。

 2人はいつ攻めて来るのかと恐れつつ、武器を身構えたまま周囲を見渡す。

 

 するとセルタスX男が途端に尻餅をついて倒れ出した。攻撃を受けたのかとドボルX男が振り向いて声をかけるが、彼は健在だった。

 セルタスX男は震える手で指差し、ドボルX男はその先を見る―――そこには、左足だけのレギオスXグリーヴが夥しい量の血で濡れた水辺にあった。

 真っ赤な血で染まった水辺に金色に光る装備が目立ち、故にその切れ目からとめどなく流れる鮮血にも目が行ってしまい、2人を恐怖に駆り立てた。

 

 セルタスX男は思い出す―――確かレギオスXの男と別れたのは、ガルルガXの女の右腕が見つかる数分前の事だったと。

 だからこそ解った。こんな短時間に2人のG級を遺体も無く殺したというオオナズチは、桁が違うと。

 

 2人は逃げ出した。

 仲間を失った悲しみや怒り、古龍種に対する恐怖や復讐心、己の保身などではない。

 彼女らのような被害を1人でも減らすべく、一刻も早くこの情報を大老殿に伝えなくてはならないというG級ハンターとしての責務だ。

 

 

 

 そして最後に気づいたのはドボルX男―――いや、気づいたのではない。気づかざるを得なかったのだ。

 何せ自分とセルタスX男の体に、まるで感電したかのような強烈な麻痺が襲ってきたのだから。

 

 ドボルX男は声も出なかった。出そうにも痺れて喉ですら動かせなかったからだ。ビクビクと痙攣して浅い水辺に倒れるしかなかった。

 首は事前に横へ向けていたから、隣のセルタスX男も痺れて倒れているところを目撃することが出来たが―――不幸はさらに続いた。

 

 

 大柄なはずのセルタスX男が頭から全身を飲み込まれていく様―――それを瞬きですら許されない目で見てしまったのだから。

 

 

 文字通り何もない空間から突如として現れたのは、毒々しい濃い紫色の表皮を持ったオオナズチ。

 そのオオナズチが不自然な程に縦へ避けた口でセルタスX男を丸ごと銜え込んだのだ。その後、ゆっくりと上へ持ち上げられ、ドボルX男の視界から見えなくなる。

 代わりに、頭上からビチャビチャと液体のような物が次々と零れていく。麻痺毒らしい黄色い液体と、真っ赤な鮮血。咀嚼する音が嫌でも耳に響き、容易に頭上での光景が脳裏に映ってしまう。

 

 

 やがてドボルX男に流れた麻痺毒が消え、動けると解った瞬間、這いずってでも逃げようと力を込めた。

 

 

 

 

 しかしオオナズチ変異種―――狡猾かつ残忍な性格となった『虚龍(ウツロリュウ)』は、逃げる獲物を逃しはしなかった。

 

 

 

 

―――

 

 

 

 4人の狩人が狩りに出かけた―――1人が右手になって3人になった。

 

 3人の狩人が滝へ向かった―――1人が左足になって2人になった。

 

 2人の狩人が逃げ出そうとした―――1人が血貯まりになって1人になった。

 

 残った1人が古龍に食われ―――後は誰もいなくなった。

 

~とある村に伝わる数え歌より~

 

 

 

 

―続く―




●変異種紹介
虚龍オオナズチ変異種
温厚な性格が一変し、狡猾かつ残忍な性格となったオオナズチの変異種。
古龍種に狂竜化はありえないということもあり、性格変化の理由は未だ解明されていない。
解っているのは、麻痺毒を所有する事、透明化の時間が長い事、獲物を丸呑みにする習性を持つ、ということぐらいだ。

○本日の防具と素材一覧

●ミヅハ恐シリーズのスキル一覧
・暗殺術(隠密・抜刀術【会心】・特殊会心の複合スキル)
・早食い+2
・体力回復量DOWN

●素材一覧
・現在不明

こんなオオナズチいやだぁ(汗)ちなみに私は未だに4Gのオオナズチに会っていません。
まぁけどザボア亜種を倒せるようになったから、今後頑張れる気がします!(ぉ)

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。