Monster Hunter Delusion【更新停止】   作:ヤトラ

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今回のテーマは「猛毒の代わりに麻痺毒を吐くゲリョス」です。読者様のアイディアを参考にしました。
毒の変わりに麻痺ってのがゲリョス変異種らしくて気に入りました。強さじゃなくて嫌らしさが強化された所がまた良い(笑)
ていうか、前回の虚龍といい、嫌な面で強化されたのが続いちゃいましたね(笑)

それにしてもpart30か……変異種もこれで30種超えることになったんですよねぇ(しみじみ)

11/20:サブタイトル修正+誤字修正




part30:「痺れ怪鳥の生態」

 この世に善も悪もない。あるのは人間だけだ。

 何故なら正義も悪も人が定めた物であり、本来なら世界に善悪など存在しない為である。

 モンスターもそうであり、人から見れば肉食モンスターは残虐極まりない存在に思えるが、肉食も草食も日々を生き抜くのに必死なだけだ。

 アイルーだって良い悪しがあるしメラルーに至っては悪戯三昧ではあるが、彼らは知能こそあれど、善悪の判断が低いのだろう。

 

 しかしハンターなら誰しも思わざるを得ない事がある。

 

 

 それは―――なにこれウゼェェェ!―――である。

 

 

 ハンターなら一度は経験しただろう。モンスターに悪意は無いはずなのに、明らかに悪意を込めてやっていないか?と思うことが。

 例えば、ランポスといった小型の鳥竜種。飛び跳ねてすばしっこい彼らは片付けようと思うと逆に面倒になる。特にイーオスは厄介極まりない。

 例えば、ガブラスやブナハブラといった飛行モンスター。大型モンスターとの戦闘中ブナハブラに刺され麻痺したときの危機感は半端無いだろう。

 例えば、クンチュウとリノプロス。大型モンスターが居ても怯むことなく、なぜかハンターへ一直線に突進してくる。お前ら絶対ワザとやっているだろ。

 

 上記はまだ悪意は無いが、そうしたことで狩りの効率が上がると理解した賢いモンスターも多々存在している。

 近年になって数が増したとされる蛇竜種がその筆頭とされており、ガブラスはもちろん、音で動きを止める狡蛇竜、水ブレスを反射させ翻弄する水蛇竜など様々だ。

 

 だが長年狩人をやって来たハンターなら解るだろう……元祖「嫌らしい系」モンスターは誰かを。

 

 

 

―――

 

 ゲリョス―――別名「毒怪鳥」。

 

 毒を吐き、クリスタル系統の成分が入ったトサカで閃光を放ち、突く際に道具を奪うといった狡猾な鳥竜種として有名。

 ゴムのような皮は帯電性に優れるだけでなく打撃系の武器を弾き、場合によっては壁を垂直に走る程の驚異的なスタミナを持っている。

 若きハンターにとって登竜門的存在であるイャンクックを討伐した後の難問と言っても過言ではないだろう。大抵は鳥竜種だからと侮って嫌な目に合うからだ。

 

 今回、上位になったばかりのハンター2名に与えられたクエストの狩猟対象がそいつとなる。

 ただし依頼主の情報では「盗まれたと気づいて振り向いたらピカっと光ったから、多分ゲリョス」としか解っていない為、亜種である可能性も高い。

 まぁ亜種との違いといえば「突く際に閃光を放つ」事ぐらいで、事前知識さえあれば大丈夫だろうと高を括った2人は、充分な装備とアイテムを整えて原生林へと向かった。

 

 

 ところがドッコイ。世の中、特に大自然は物事が上手く行かないのが常である。

 2人は確かにゲリョスを発見することが出来たのだが―――黄色が混じったゲリョスだったのである。

 ゲリョス原種なら青紫、ゲリョス亜種なら濃い紫。ならこの黄土色のゲリョスはなんなのかといえば―――最近話題の変異種であった。

 

 変異種とは未知数であることが多い。無論2人は全く知らないし、下手をすれば上位でなくG級である可能性もありえた。

 しかし2人は上位に上がったばかりでテンションが高まっていた事、未知数とはいえゲリョスみたく嘔吐物と閃光に気をつければ良いだろうと判断した事もあり狩猟を開始。

 下位装備とはいえ、片方は炎属性の刀とレウス装備、片方は氷属性の双剣とジンオウガ装備。護石と装飾品で毒対策もしている。いけない事もないだろう。

 

 

―そう思っていた時期が俺達にもありましたby体はベテラン頭脳は新米なハンター2人

 

 

 この黄土色のゲリョス、毒は毒でも麻痺毒を撒き散らすのだ。

 一体何を食べればこうなるのか、上位以上の実力があるのか口から吐く麻痺毒の量は下位のゲリョスとは比べ物にならない程に多い。

 泥のように黄色い毒液が地面に広がり、当然ながら走りながら麻痺毒を撒き散らす為にアチコチに黄色い毒液が目立ち、走る際にかなり邪魔ったらしい。

 

 ここまではゲリョスと変らないし動きも事前に聞いた上位ゲリョスのものと変らないが……毒の使い方が絶妙だった。

 

 どうやらこの麻痺毒は気化しやすいものらしく、翼を羽ばたかせて風を起こせば霧となって周囲に広がり、モヤの塊となって飛んでくる。

 さらに麻痺毒の特性を理解しているのか、跳びかかって嘴で突く際、わざと地面に食い込ませて麻痺毒を注入、簡易的なシビレ罠を作るという巧妙な手口を編み出す。

 しかも穴が空いているだけなので戦闘中だと解りづらく、2人はしょっちゅう簡易シビレ罠に引っかかり麻痺することに。

 麻痺して倒れれば狙うかのように黄土色のゲリョスは跳びかかり、嘴で体を突いてアイテムを盗む。

 

 アイテム盗みはもちろん閃光も放つのだが……ここでもこの黄土色のゲリョスならではの狡猾な手段が潜んでいた。

 

 さぁ閃光を放ってやるぞ、と言わんばかりにトサカを打ち鳴らそうとして―――急に止めて突進してくる。

 さぁ閃光を放ってやるぞ、と言わんばかりにトサカを打ち鳴らそうとして―――麻痺毒を吐いて飛ばす。

 さぁ閃光を放ってやるぞ、と言わんばかりにトサカを打ち鳴らそうとして―――普通に閃光を放つ。

 

 恐らくはトサカを鳴らす直前までに放つ放たないを決めることが出来るらしく、その時次第で発光するかしないかが決まる。

 その気まぐれが逆に新米ハンター2人には相当イラついたらしく、何度下手を出したことか。

 猛毒が麻痺毒に変っただけでも苦戦しているというのに、毒を巧みに使うだけでなく閃光のタイミングを決められるとなると、コレでもないぐらいに厄介だった。

 2人の知識が通用しないことや想像以上の苦戦を強いられているにも関わらず挑んだのは、彼らの頭に大量の血液が上っていたからだろう。

 

 

 結局3回ほど倒れてネコタク送られ、報酬金が底を尽きてクエストリタイア。

 相方が倒れて3乙目と知った時のジンオウガ男は、目の前でドタバタ走る黄土色のゲリョスに唾を吐きたい気持ちで一杯だったという。

 

 

 この後、2人はバルバレギルドにクエスト失敗を伝え、黄土色のゲリョスの詳細を報告。

 ここ最近になって目撃されていたらしく、黄土色のゲリョスと実際に戦闘を行ったのは2人が初めてだという。

 

 このゲリョス変異種を、麻痺毒を吐く特性から「痺怪鳥(シビレカイチョウ)」と命名。

 これまでのゲリョスの対抗策を真っ向から否定するような、厭らしさ満点の鳥竜種の名と生態が記されたそうな。

 

 

 

―完―




●変異種紹介
痺怪鳥ゲリョス変異種
食性が変化した為か猛毒の代わりに麻痺毒を吐くようになったゲリョスの変異種。
地面に撒き散らした麻痺毒を翼や嘴で巧みに利用し、閃光のタイミングを自在に操る。
手癖も相当悪く、原種以上に嫌らしいだけでなく、商人などへの被害も多くなっている。

○本日の防具と素材一覧

●ゲリョスMシリーズのスキル一覧
・麻痺無効
・気絶無効
・盗み無効
・寒さ倍増
・暑さ倍増

●主に剝ぎ取れる素材一覧
・ゴム質の黄柔皮
痺怪鳥のゴムのような皮。毒素を通しにくい素材で出来ており、とりわけ麻痺毒に強い。
・痺怪鳥の黄翼
ゲリョス変異種から取れた質の良い翼。伸縮性に優れ、特に皮膜は分厚く強度も高い。


そういえば本編「ヤオザミ成記」がアクセス総数30万を超えました!
本編でも言うつもりですが、皆さん本当にありがとうございます!
本日中にモンハンデルシオンの最新企画を活動報告にて記載する予定なのでお楽しみに!

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