Monster Hunter Delusion【更新停止】 作:ヤトラ
ポッケ村ァァァ!ユクモ村ァァァ!森丘!雪山!渓流!新フィールド!
続々登場する新モンスター!個人的にはマンモスっぽい奴が一番気になる!
そんなモヤモヤをようやく解消できた気がします(苦笑)
注意:異世界転生への偏見的な妄想があります。
6/4:誤字脱字修正
白と黒の二色しかない四角い空間の中、黒い人影が白い光を放つモノクロの画面を眺めていた。
『チキショォォォこのイレギュラーめぇぇぇ!呪ってやる!恨んでやる!死んでもまた転生して―――』
「つまらない」
ひたすら白い世界にひたすら白い轟竜に呪言を吐きながら死んでいった人間。
そいつに言っているかのように黒い人影が呟くと、白黒の画面が別の映像に切り替わる。
『あんな、化け物、ゲームにゃ、いなかった―――』
「コイツも」
ボロボロのまま逃げ惑っていた人間を、キラキラと輝く爆鎚竜が驚異的な跳躍力を持って飛び越え、踏み潰す。
先ほどの人間よりも呆気ない最後を見送った黒い人影はつまらなさそうに言って、また画面を切り替える。
『ヤダ……モウイヤダ……モウ斬ラナイデ…オ願イシマス神様仏様蟹様―――』
「コイツも」
『目玉が潰れている癖に生意気なんだよ!死ね!さっさと死ね!し――――』
「コイツも」
『ウワァァァ!来るな来るな来るな!雪で動けないってのに反則だ――――』
「コイツも」
『落ち着け落ち着け俺は大丈夫だきっと逃げられるアイツはどっかに行ったはずだ姿が見えないだけだそうだそうに決まっ――――』
「コイツも!」
刀のような鋏に延々と刻まれる人間。盲目の飛竜種に斬り殺された人間。蒼い角に突き刺され息絶えた人間。物陰で怯えていた処を丸呑みにされた人間。
次々と息絶えていく人間達を見て、とうとう黒い人影は癇癪を起して画面を蹴っ飛ばした。画面は微動もしないので、意味はない。
「人間って僕らに近い知能を持っているけど、てんでダメだな~」
人影も蹴っておきながら痛みを生じず、しかし画面内の無慚な光景を見ながら溜め息を零す。
影は転生を司る神―――などではない。とある名もなき異世界では在り来りな高等魔術師の1人だ。
この異世界の魔術は異常にまで優れており、異世界に干渉する術は勿論のこと、輪廻転生や空想実現にまで手を伸ばしている。
そんな異世界の低俗な魔術師達が秘密裏に話題となっているが―――地球と呼ばれる異世界の人間を使った転生。
地球では「異世界転生」という物が流行っており、それを利用して地球の魂を呼び集め、その世界のゲームに限りなく近い異世界に転生させ、波乱盤上な人生を送らせ楽しむのだ。
もちろん、別世界の魂を勝手に転生させ能力を付与させるのは法律で厳しく禁じられているが、破る者は案外多い。
この魔術師もその1人。オタクや引きこもりといった魂を使って転生させ、異世界の秩序を掻き乱す事を娯楽としていた。
だが大半の魔術師がそうであるように、この魔術師も思惑通りの展開に行った試しがない。
「下級人もそうだけど、この下等生物どもが厄介だな」
楽したいが為に努力を怠る転生者にも起因しているが、一番の原因は「モンスターハンター」の世界にあると人影は考えていた。
モンスターが出てくるゲームに近い異世界は確かに厳しい。ゲームにはない動きや生態、そして実物という現実が転生者を恐怖に追い詰める。
だがこの異世界は異質だ。転生者の知識に当て嵌めて選んだ世界なのに、イレギュラーと呼べるモンスター……変異種が数多存在していた。
確かに
「そうか、僕と同じ魔術師が関与しているんだ。異世界転生にはモンスターに憑依する系統もあるみたいだし。
ならその邪魔な無能魔術師を司法魔術師に突き出せば、僕の序列も上がって邪魔者も居なって、僕の天才性が評価される!まさに一石三鳥!」
人影―どうやら男性らしい―はありがちな出世妄想を描きながら満悦している。
「そうと決まれば、転生者どもには雑魚モンスのみに集中してもらおう!いかにチート転生モンスターでも餓死には耐えられないし、やっぱり経験値稼ぎは基本だよね」
すっかり目的が変わってしまった人影は、今後の新たな方針を決定づける。
弱者を抹消すれば生態系を狂わせるのは容易い。安易にそのような手に乗るのは、彼ら魔術師が絶対優位であると信じて疑わないからだ。
「じゃあまず関与できる転生者どもの精神を操作しないと。せっかく空想世界の能力を実現化してやったのに、使うだけで鍛えるっていう概念がないからな~」
人影は嬉々として画面に手を伸ばし、高度にして複雑な術式を操作していく。
これもまた数多ある「異世界転生」の内の1つ。
異質なまでに発達した魔法文明を持つ異世界による無責任かつ身勝手な干渉。
神が娯楽として人を殺し転生させる平行世界があるように、神に近い魔術師が平然と神を装って騙す平行世界もある。
そして転生される側の人間も、どんな事情や精神力を持ったとしても、特別な能力を得てしまった以上はマトモでは無くなるのだ。
踏み台的な思考を持つようになったのは人影が原因ではない。有り余る力を持ってしまったら咎が外れてしまうのが人間の性だからだ。
しかし。そんな世界にも秩序というものはある。
「さて、後は適当に転生者を増やして……」
―バリィンッ!
画面内に移る人魂のような物をスライドさせていた所へ聞こえた破砕音。
ガラスが砕けるような音を聞いて即座に人影が振り返ると、警官と魔法使いを足して2で割ったような男達が次々とモノクロの世界に侵入していくではないか。
「ば、バカな!?」
「司法魔術師だ!貴様を異世界干渉法及び輪廻干渉法違反の容疑で逮捕する!」
上官であろう男が術式を施された手帳のようなものをかざすと、モノクロの世界が急激に変化し、元の空間へと戻っていく。
殺風景だった世界は機械や術式でゴチャゴチャした個室に、曖昧だった人影は眼鏡をかけた青年魔術師へと変貌……いや再編していく。
「そんな!?僕の術式が……っ!」
「捕えろ!」
余程自信があったのかショックを受けているようだが、その隙を逃すものかと複数の魔術師が押し寄せる。
逃走または攻撃の術式を展開する暇もなく青年は魔術師によって捕縛され、身動きどころか口ですら封じられてしまう。
「ターゲット捕縛完了。続いて干渉修正に入れ」
「ハッ!」
部下は上官の命令に従って、青年が弄っていたであろう画面に己の術式を展開し、干渉していく。
これによって異世界への干渉及び異世界転生を修正するのだが……部下の表情に戦慄が走った。
「……マズイです上官!この異世界は―――危険レベルSS級に指定された平行世界です!」
「なんだと!?」
部下の報告に上官ですら驚愕し、すぐさま画面に近づいて術式で干渉し……舌うちする。
「くそっ!あのガキめ、よりにもよって
「干渉レベル増大!34、65……102!?急激に増えていきます!」
「修正中止!切断しろ!」
「……ダメです!既に吸着レベルにまで達して……世界が繋がってしまいます!」
「本部へ緊急連絡!危険レベルSS級異世界『MHD』に接触!至急―――!?」
上官の言葉はそこで途切れる。
彼の目の前では―――画面からありえない程の質量を誇る、真っ白な怪物が這い出てくるのだから。
―――
異世界の空間と魂に干渉するまでに発達した魔法文明。
そんな魔法文明にも弱点が存在している―――目測の不安定さだ。
1つの異世界に干渉したとして、その異世界には数多の平行世界が存在している。
レベルを1とした異世界を基準にして、レベル0.5の平行世界もあれば、レベル100の平行世界もあるのだ。
だが魔法世界が異世界に干渉し映像で測定した場合、全ての平行世界がレベル1でしか見る事が出来ない。
故にもしも異世界への干渉が接合にまで至った場合……その異世界が実は魔法世界を圧倒する程であったと気づく事もあるのだ。
そして同じ「モンスターハンター」の世界であっても、多数の平行世界が存在している。
転生者が存在しない世界。転生者が生き延びている世界。モンスターに憑依する転生者がいる世界。
そして―――転生者を決して許さない、千差万別の進化を続ける世界。危険レベルSS級異世界『MHD』。
捕えられた魔術師の青年が選んでしまった「モンスターハンター」の世界が、まさにそれであった。
さぁ、蹂躙の時だ。
そして思い知れ。弱肉強食の理を。
―Extra8-0b「純白のクシャルダオラ」に続く―
これが作者流「異世界転生」です。あくまで作者内の妄想ですので、あしからず。
そして申し訳ありませんルヴァンシュ様、本格的な登場は大分先になります。しかも蹂躙もの(汗)
最後に……活動報告「MHD4G「弱肉強食」」にて新企画を発表しております。
興味のある方はご覧ください。そして関心があれば是非ご参加ください。豪華ですよ(謎
ではでは!