Monster Hunter Delusion【更新停止】   作:ヤトラ

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すみません企画が全然進んでいません……おのれ転生者!(←つまり作者のせい)
ヤオザミ成長記が更新できたのを切っ掛けに気分転換ということで書いてみました。


Battle1「鬼蛙VS雌火竜」

 地底にだって飛竜種は生息する。

 

 飛ぶ竜と書いて飛竜種の癖になんで地底に住むんだよーとか思うだろうが、それは進化のルーツに繋がっている。

 例えば鎧竜グラビモスは飛行能力を犠牲に溶岩でも溶けない重殻を得ることで、高温渦まく火山の洞窟でも平然と活動できる。

 グラビモスほどではないがある程度の飛行能力を失ったティガレックスは地上走破能力に優れる他、あらゆる地域に脚を運べる適応能力を得た。

 

 それとは別に、地底と言っても地底火山という、高低差が非常に激しい地域があるのだが。

 

 幾多もの崖がある狩猟地であるが故に飛行能力を邪魔されず、リオレウスですら悠々と飛ぶ事ができる。

 また、火山活動が沈静化することでアルセルタスやゲリョスといった熱に弱いモンスターも生息できるようになる。

 狭い場所や隠れる場所が多いとはいえ、激しい高低差故に飛行能力が働くのは嬉しい所。ネルスキュラの巣には注意。

 

 そんな地底洞窟は、雌火竜リオレイアが子育てをするには打って付けの時期なのだ。

 

 

―――

 

 まだ高温に耐えられない程に小さな雛達が巣の中でキィキィ鳴き、母に餌をねだる。

 一眠りしていたリオレイアは声を聞いてゆっくりと首を持ち上げ、アゴで軽く子供達を小突いてから起き上がる。

 羽ばたきの風で雛達を飛ばさないよう少し距離を取り、そのまま飛翔。「早く帰ってきてねー」と言っているかのように雛達は鳴いて見送った。

 

 地底洞窟には意外にも獲物が多く、リオレイアは空を飛ぶ中ですぐさま獲物を発見。ターゲットはリノプロスだ。

 少々肉質は硬いものの、比較的広い場所を好む彼らはリオレイアの狩猟ターゲットとしては容易い方だ。ちなみにアプトノスは今の時期は居ない。

 

 高所から見下ろしていると、リオレイアに気付かないはずのリノプロス達がいきなり威嚇しだした。

 尻尾を振り上げ声を上げるリノプロス達の視線は地上に向けられており、その岩盤を抉って地中から巨大な物体が現れる。

 

 現れたのは鬼蛙テツカブラ。食欲旺盛な両生種の代表格である。

 

 鬼蛙は狭い地中から出た開放感を表すかのように背筋を伸ばし、小刻みに頭を動かして状況を把握する。

 そんな鬼蛙に1匹の雄のリノプロスが果敢に突進してきたものだから、巨大な口にパクーリされてしまった。

 動く物は何でも食べるテツカブラにとって、雄のリノプロスは自ら食べられにくる「ロケット生肉」そのものなのだ。

 

 ガリゴリと嫌な音と流血を出しながら咀嚼し、ゴクリと飲み込み汚いゲップを吐いてご満悦なテツカブラ。

 「次の獲物はどいつだー」と言わんばかりにゆっくりと歩く中、背中に火球が直撃。炎には強いので割と平気だ。

 反射的に振り向けば低空を羽ばたいてテツカブラに向き合うリオレイアの姿が。悠々と餌を頬張っている様子が気に入らなかったらしい。

 

 互いにテリトリーを侵す敵として認識し、威嚇も兼ねた二種類の咆哮が轟く。

 

 それを合図にリオレイアが着地して突進。テツカブラは顔を地面にめり込ませ、巨大な岩を咥えた顔を上げた。

 そのまま発達した後ろ脚を用いて岩を持ち上げるが、それを見たリオレイアは翼を羽ばたかせブレーキも兼ねた低空飛行を開始。

 テツカブラが岩を噛み砕いたのはその直後。破片の幾つかがリオレイアに当り不意を着くことには成功した。

 

 甲殻に覆われていない腹部などに礫が当って痛むものの空中制御を乱すことなく、翼を大きく広げて低空飛行を続行。

 そこへ追い討ちを仕掛けるようにテツカブラが跳躍するが、リオレイアは難なく回避して側面に移動。尻尾サマーソルトをお見舞いする。

 肉厚な体を持つテツカブラにとっては軽い物だが、側面でしかも下から上へと叩き付けられたので横転してしまう。

 

 下り坂だったこともあってゴロンゴロンと転がり落ち、リオレイアはそれを追いかけるように地面スレスレを滑空する。

 止まった頃にはテツカブラは仰向けに倒れ、その眼前でリオレアが大きく翼を広げて止まり、後ろ脚の毒爪を突きつけた!

 

 柔らかな腹部に爪を突きつけられてはたまらないが、テツカブラはタフさが売りだ。

 毒で苦しい体を酷使して跳び上がり、その跳躍力に巨重を合わせてリオレイアに叩き付ける。

 下から叩きつけられて不意を突かれたリオレイアはそのまま墜落。リオレイアと地面がテツカブラをサンドイッチ!

 

 ここでテツカブラは強靭な後ろ脚を駆使してリオレイアを退けようと跳ねるように暴れまくる。

 パワーでも体重でも劣るリオレイアはテツカブラの暴れっぷりによって跳ね除けられてしまう。

 体勢を崩したことでもがくリオレイア。ようやく地面に脚を付けて落ち着くものの毒で苦しい目に合うテツカブラ。

 

 それでもテツカブラは口を開けながら、後ろ脚の存在感を忘れるような猪突猛進っぷりを発揮。リオレイアが起き上がる頃には翼にガブーリ!

 飛行するタイプの飛竜種にとって翼は命。しかし振り払いたくもテツカブラの強靭な顎と巨大を振り払う力はリオレイアにはなかった。

 

―ここでいきなり「ロケット生肉」が参上!

 

 上下左右に激しく移動するので尽く外れていたリノプロスの突進が今になって命中。

 偶然にもテツカブラの横っ腹に頭突きをかましたおかげで、驚いて口から翼を離してしまう。

 

 その隙にリオレイアは脱出。勢いよく走り、フラつきつつも空を飛ぶことに成功した。

 テツカブラが発達した後ろ脚で跳躍しようとしたがココでまさかの連続突進。別のリノプロスが反対側の横っ腹を頭突く。

 こうしてリオレイアは背後からの強襲を受けることもなく上昇、テツカブラのジャンプを持ってしても届かない高空へと逃げ出した。

 

 とはいえ片翼を噛まれたことで飛行能力に支障をきたし、これ以上の追撃は不可能だと本能で察知。

 覚えているよバーカと言っているように吠え声を残してリオレイアはテツカブラから去っていく。

 しかしテツカブラは突進してきたリノプロスをムシャムシャしてやったので気付いていないが。

 

―あ、忘れてた。

 

 突如としてリオレイアは空中旋回。ムシャムシャしているテツカブラとは別の方向へと高度を落としていく。

 そこには聴覚が届かないのか呑気に草を食べているリノプロスがおり、それを後ろ足でガッチリキャッチ。

 当初の目的だった雛の餌を忘れずに捕まえておく。縄張り争いばかりが母の仕事ではないのだ。

 

 

 

―どなどなど~な~ど~な~♪リノプロ()~れ~て♪

 

 

 

―終―




短いですが書いていた楽しかったです。
やはり私にとってモンスターの生態を書くってのは楽しみの1つみたいです。
こんなことなら転生者要素とか書かなきゃよかったなーと後悔。
ですが企画はなんとしても書き終えてみせます。どうか気長にお待ちください。

オリジナル変異種とは別にモンスター同士の争いは気まぐれで投稿する予定です。
今後も妄想モンハンをよろしくお願いします。

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