Monster Hunter Delusion【更新停止】   作:ヤトラ

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 今回のテーマは「ダイヤモンドを食べてダイヤモンド化したウラガンキン」です。
 ダイヤモンドって世界一硬い物だと思ってたのに、打撃に弱いという事実を読者様から聞きました!
 聞いた時、驚き桃の木山椒の木な気分でしたよ。浅知恵でした(苦笑)

 11/6:文章修正及び段落追加


part7:「宝鎚竜の生態」

 グルメ――それはさらなる味を追及する者達の俗称である。

 

 単なる食いしん坊のことでもあり、珍味を求める者でもあり、偏食家のこともである。ようするに、普通の味では満足できない連中のことを指す。

 誰にだって、美味しい物や癖になる物を食してしまえば、舌が肥えてしまうというもの。より美味しい物を食べたいという者は少なからず増えていくものなのだ。

 

 そしてそれは、モンスターにだって同じ事だ。より美味しい生肉や植物を食べれば、できればそれを食べたくなる。

 より丸々と太った家畜のポポを狙う大型モンスターが増えたのも、この為だと思われる。

 

 では、鉱石を食らうモンスターはどうなのだろうか?

 ご存知だろうが、グラビモスやウラガンキンといった、鉱石を食らうモンスターが存在している。

 それらは食した鉱石を、体内のバクテリアで分解し、栄養としているのだ。

 

 特にウラガンキンは、繁殖期に近づくと見た目が綺麗な鉱石を食すという。

 ただ彩るだけではなく、実は宝石類といった鉱石は味が良いらしく、美味しいから食べているという説もある。

 特に金剛石(ダイヤモンド)は、ウラガンキンにとって大好物で、これが食べたいが為に互いに争うほど。

 

 

 

―このお話は、偶然にも金剛石の鉱脈を見つけたが故に変異種となった、あるグルメなウラガンキンのお話である。

 

 

 

―カツーン、カツーン

 

 今日も今日とてツルハシ振るって、お守りを探しますよっと。

 

「はぁ……こっちも駄目だったわ。アイボー、そっちは?」

 

「光るお守りは出たけど……期待は出来ないなぁ」

 

「じゃ、次行くか」

 

「そだな」

 

 相方であるカタアイと一緒にツルハシを担ぎながら、周囲を警戒しつつ次のエリアに移動する。

 俺らはいわゆる炭鉱夫。火山に篭り、優れたお守りを探し続けるハンターだ。

 装備はもちろん、2人してレザーSシリーズ(暑さ無効持ち)。ツルハシは全種持ちが基本さ。

 にしても、この調子だと今日も外れかなー……ん?

 

―ズシン、ズシン

 

「やべ、現場監督(ウラガンキン)が来たかっ!?」

 

 カタアイが叫ぶ。この足音と地面が揺れる感じは、間違いなく現場監督こと、ウラガンキンだろうな。

 火山採取ツアーでよく見かけるから、炭鉱夫は皆して現場監督って呼んでいる。

 

「急いで逃げ……間に合うか?」

 

 この足音と揺れ具合からして、すぐそこまで近づいている……ていうか見えて……。

 

 

―ウラガンキンって、あんなダイヤモンドみたいに輝いていたっけか?

 

 

「な、なぁアイボー、ウラガンキンってあんなゴージャスだったか?」

 

「奇遇だなカタアイ、俺もそう思っていたところだ」

 

 ほんと、俺らって気が合うよな。気が合うっていう理由でコンビ始めたぐらいだし。

 まぁともかく、俺が見ている物は幻ではないってことが証明されたわけだ。

 

 こっちへやってくるウラガンキンは、黄色でも青でもない、綺麗な硝子のような色をしていた。

 ていうか、背中のアレってダイヤモンドだよな?しかも腹部はルビーにサファイヤと、宝石ばっかじゃないか。

 顎もダイヤモンドがいくつも付いていて、スパイクハンマーみたいになっているし。

 

「これは、まさか……!」

 

「ん?知っているのか?カタアイ?」

 

 とりあえず咆哮してきたウラガンキンから逃げる俺ら……って。

 

 

―と、跳んだーっ!?

 

 

「「どえーっ!?」」

 

 な、なんであんなでっかくて重い奴がジャンプできるんだよ!?

 イビルジョーみたく前方へ飛んで、顎を地面に打ち付けてきやがった!しかも俺らを狙って!

 緊急ダイブで避けられたからいいが、あんなのを受けたらペシャンコになっちまう!

 

 よし、体勢を立て直してダッシュだ、ぎゃー!今度は転がってきたー!

 と、とにかくエリア移動だ!こんなアグレッシブな奴とはおさらばだ!

 

 

――――

 

 

 な、なんとか命からがら、あのダイヤ監督(仮名)から逃げ出すことができた……。

 俺らが今いる地点は、エリア9。ここまでくれば奴もおって来られまい。

 

「ぜぇ、ぜぇ、な、なんだったんだ今の……」

 

「ありゃ宝鎚竜(ほうついりゅう)って奴だぜ」

 

 走り回ったおかげで疲れた俺らは、岩に腰掛けながら深呼吸を繰り返す。ていうか宝鎚竜ってなんだ?

 

「炭鉱夫ハンターの間で噂になっているウラガンキンの変異種だよ。滅多に見られないモンスターらしいが、まさかここで会うとはなぁ……」

 

 良く知っているなぁカタアイ。俺よりも長く炭鉱夫しているだけのことはあるな。気になるので、そのまま腰掛けて話を聞くことにしてみた。

 

「で、その宝鎚竜なんだが、見ての通りダイヤモンドで出来たウラガンキンだ。

 奴は相当なグルメで、特殊な金剛石と宝石を主に食らったからああなったらしい。そんな奴から取れる素材は、皆高く売れるって話だ」

 

「まるで歩く宝石箱だな……」

 

「それだけじゃない。過去に一度だけ、他の宝鎚竜を仕留めたっていう奴がいてな?そいつが『金剛の宝玉』ってのを剝ぎ取ったんだ。それはあの『金のたまご』以上の値打ちが付いて、売り払ったハンターは億万長者になったらしいぜ」

 

「ま、まじかよ……ごくり……」

 

「そんなわけで一攫千金を狙うハンター達が挙って宝鎚竜を探し回ったが……滅多に見つからないもんで、お守り以上に出会える確率が低い超レアモンスターだって言われている」

 

「なるほど、それじゃあ俺も知らないわけだよな……」

 

 そんな超レアモンスターが俺らの前に出てくるなんて……こりゃお守りが見つからないわけだ。

 運を使い切った感が沸いてくるほどの、高ぶる感覚……ハンターとしても血が騒ぐな……。

 防具はレザーSシリーズで頼りないが、武器だけは一流だ。俺がハンマーで、カタアイが大剣……。

 

「いくか?」

 

「もち」

 

 さすが俺の相方だ。話が解る。ハンターとして、そして炭鉱夫として、ここは見逃すわけにはいかないよな!

 

 

―――

 

 

 アイボーと一緒に気合入れて出てきたのはいいが……このウラガンキン、めちゃくちゃアグレッシブな奴だな!

 

 見た目は硬そうだが意外と身軽で、細かいステップでこちらの攻撃を避けてきやがる。

 小回りが利くだけじゃねぇ。さっきのジャンプハンマーといい、跳躍力も侮れない。

 なんていうか、こいつは脚力が半端なく優れているようだな。跳ぶのも無理ねぇわ。

 

―ズドーンッ!

 

「「どわっふ!?」」

 

 危なっ! 今、メチャクチャ高く跳んだよな!?あんなのイビルジョーでも跳ばねっての!

 ダイヤモンドだらけの背中を向けて全身ごと叩き付けとか、ありゃ死ねる!……いや、防具がレザーSシリーズな時点で、どんな攻撃でもヤバいか。

 しかも相手はウラガンキン。一撃が重いし、ダイヤモンドがめちゃくちゃ硬い。

 けどな、ダイヤモンドってのは、意外と叩き付けには弱いんだよ!

 

「どりゃ!」

 

―ガヅンッ!

 

 よっしゃ!ちょっとずつだが、顎についていたダイヤモンドが崩れてきた!

 ハンマー攻撃をモロに受けたウラガンキンも、スタミナ切れで動きが鈍くなってきたし……行けるかっ!?

 

「駄目だっ!」

 

「ちょ、なんでだよアイボー!?」

 

 確かに大剣だと相性が最悪だが、この調子ならいけるって!

 例え長い時間を掛け……ん?時間?

 

 

―残り時間、2分。

 

 

「採取ツアーは50分まで!」

 

「マジかーっ!!」

 

 

 時間切れ間近じゃねーか!なんでこんな時に出てくるんだよチキショー!

 次ぎ会う時は討伐クエストで会ってやるんだからな!覚えとけー!

 

 

 

 こうして俺らは、仕方なく火山を後にして、ユクモ村のギルドに向かった。

 一応あの宝鎚竜の事を報告したんだが、様子を見に駆けつけた頃には既に居なくなっちまったらしい。

 

「くっそー、一攫千金とレア素材ゲットのチャンスが……いつか絶対に狩る!」

 

 もう居ないって報告を受けた俺らは、もちろんカっとなっちまった。受付嬢を驚かせちまったな……カっとなって机を叩くなよ、俺……。

 仕方ないので温泉に入ってリラックスすることに。やっぱ温泉サイコー。

 

「ああ。俺達もこのままくすぶっている訳にはいかないな。というわけで……カタアイ!」

 

「おうよアイボー!」

 

 さすがは俺の親友だ!ここから先に何をするのかもう丸解りだな!

 採酒飲んで!レザーSシリーズを着て!ツルハシ持って!お祈りして!

 

 

「「行くか採取ツアーに!」」

 

 

 待っていろよお求めのお守りちゃん!必ず掘り当ててやるからな!

 掘り当てた暁には、あの宝石監督を倒してやんよ!楽しみだぜ!

 

 

 

―今日も、炭鉱夫ハンターの熱い戦いが始まる!

 

 

 

―完―




 炭鉱夫よ、永遠になれ。寝不足には注意。
 アイボー&カタアイ。名前の由来は……多分わかるだろうからパス(コラ)

 ウラガンキン変異種です。めちゃくちゃ硬いですが、ハンマー攻撃に弱いという謎仕様。
 素材はもちろんダイヤモンド素材。高値で売れるのでお金稼ぎにはピッタリです!
 ただし、全身叩き付け、火山石デカい、ステップで避けまくるなど、難易度は激高なのでご注意を(笑)

 これはほぼ読者様のアイディアに自分なりの考えを付け足した作品です。
 リクエスト及びアイディアをありがとうございました!おかげでこんなに強くなりました(笑)
 それでは最後にデータの発表をして終えたいと思います。ではでは。

 ●ガンキンDシリーズのスキル一覧(共通)
 ・防御UP【大】
 ・飛距離強化
 ・回避距離UP
 ・攻撃DOWN【小】
 ・挑発

 ●主に剝ぎ取れる素材一覧
 ・宝鎚竜の顎
  金剛石がスパイクように突き出ている宝鎚竜の顎。非常に頑丈なので加工が困難。
 ・金剛の宝玉
  宝鎚竜の中心に眠る宝玉。純度の高い金剛石が一点に凝縮した大変貴重なもの。


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