サムライ・レーアの懐郷   作:ダラ毛虫

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「ゴブスレさんと同郷で当時と同じ顔かつ姉と良く似たゴブスレさんのトラウマ串刺し系オリ主」

書いてしまいました ( ̄ー ̄)



まさかゴブスレさん登場までに五千文字費やすとは……
剣士一党を生存させてみたばっかりに……

ですがこれで、とりあえずアニメ1話分
次回2話分、ってことは牛飼娘回か……
コレと牛飼娘の絡み……ぬぅん?




サムライ・レーアの帰還

 自分は運が良かった、と彼女は思う。

 

 

 生きているからだ。

 

 運が悪ければ、とっくに死んでいたからだ。

 

 

 

 住んでいた村が滅びた時、近所に住む少女が牧場に行く馬車に相乗りして、街へ行こうと父が言わなければ、ゴブリンに襲われ死んでいた。

 

 村がゴブリンに襲われたと聞いた時、様子を見てくると言った元冒険者の父に着いていっていたら、死んでいた。

 現に、一人でも村の知り合いを助けようとした父は、帰って来なかった。

 

 父が武器を、今も自分が愛用している大脇差を置いて行ってくれなければ、冒険者になれず、飢えて死んでいた。

 

 そもそも、湾刀の術理と魔術の手解きを父から受けていなければ、冒険者に不可欠な、力すら無かった。

 

 

 年齢を誤魔化し、冒険者になって十年。

 運が悪ければ、とっくに死んでいた。

 

 

 それでも、生きて、銀等級にまで昇格して、こうして西の辺境を再び訪れるまで、生きている。

 

 

 

 だから自分は、運が良い。

 

 

 

 

 

 

 

 四年ぶりに組合の扉を潜ると、編み笠越しに、これまた懐かしい顔を見つけた。

 この西の辺境を拠点に、「彼」と組んでいた当時、懇意にしていた受付嬢だ。

 

「ゴブリンなんて、四人もいれば楽勝ですよ」

 

 どうやら、良くある状況らしい。

 

 見るからに気が(はや)った新人といった様子の少年少女に、職務上、やめさせる訳にもいかず、助言が精々の受付嬢。

 新人一党の構成は、剣士、武闘家、魔術師、神官。

 前衛の耐久力に不安があるが、まあ、悪くはないだろう。

 

 

 依頼が実力相応で、準備を整え、油断せず、運が悪くなければ、だが。

 

 

 ともあれ、あの受付嬢には、「彼」共々世話になった。「彼」は今も世話になっているだろう。生きていれば。

 義を見てせざるは……なんとやら。少々、お節介を焼くとしよう。

 

 

▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼

 

 

 受付嬢の、五年間ゴブリン退治の依頼を殆んど「彼」専属として処理し続けてきた感覚が、この依頼は危険だ、と警鐘を鳴らす。

 しかし、危険だから、と冒険者が等級相応の依頼を受けることを止めていては、ギルドが立ち行かない。

 

 

 せめてもう少し、「彼」が来るまで少年たちをこの場に留めようとしていた受付嬢。

 

「久し振りね」

 

 その耳に、待ち人とは違う、しかし、「彼」に匹敵する声が、届いた。

 

「お久しぶりです! 戻って来られたんですね!」

「北に一年、東に一年、南に一年、中央に一年、と、一通り巡ったから。

 都で悪魔(デーモン)退治を続けたおかげで、銀等級まで上がってしまったわ」

 

 子供のような背丈。細い身体。高い声。

 知らぬ者なら侮るだろう編み笠の少女はしかし、湾刀の術理という、この辺境では滅多に見ない技術を修めた、歴戦の戦士だ。

 

「その依頼、少し見せてもらえる?」

「ええ、どうぞ」

 

 何より、四年前まで、「彼」と一年間組んでいた、ゴブリン退治の熟練者(ベテラン)

 

「ところで、「彼」は相変わらず?」

「……ええ。銀等級になっても、相変わらずです。

 今日も、もう少ししたら来られると思います」

「そう……まあ、そうでしょうね……」

 

 受付嬢には感覚的にしか分からない危険も、彼女なら、少年たちに説明し、説得してくれるかも知れない。

 

「……うん。分かったわ」

 

 依頼書をざっと流し読みし、侍圃人(レーア)が言う。

 

「私が付き添って、出番が無ければ報酬は要らない。

 刀を抜くか、呪文を使うか、道具を使えば、その分を貰うわ」

 

 よろしい? と、わざわざ銀等級の認識票をちらつかせる侍圃人。

 ともすれば嫌味な、らしくない仕草。実際、プライドが高そうな魔術師の少女は、むっと表情をしかめている。

 

 しかし、冷静に考えるまでもなく、上位の冒険者が「出番が無ければ報酬は要らない」なんて申し出ることなど、普通はありえない機会だ。

 万が一に備えて神官を仲間にしよう、と判断できた剣士は、幸い、保険として、侍圃人に同行してもらう決断ができた。

 

 本当に、彼らにとって、幸いなことに。

 

 

 

「ああ、そうだ。「彼」が来たら、急ぎの依頼が無ければこっちに合流するよう、伝えておいて」

 お願いね、と手を振り、新人一党の後を追う侍圃人。

 

 その背中を、受付嬢は安堵の息を吐き、見送った。

 

 

▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼

 

 

「第一問。拐われた村娘の人数は?」

「えーっと……」

「受付さんから聞いたでしょ。四人よ」

「それがどうかしたの?」

「……無事だといいんですけど……」

 侍圃人の問いに、新人一党がそれぞれの反応を示す。

 

 それに構わず、侍圃人は続けて言った。

 

「第二問。もしも私以外のこの一党で村娘を拐おうと思ったら、何人拐える?」

「はあっ!?」

「さ、拐うって!?」

「…………」

「そんなことしません!」

 

 騒ぐ面々を無視し、一人黙った女魔術師に、侍圃人は視線を向けた。

 

「気付いた?」

「……多分、だけど……」

 不思議そうな表情の、剣士と女武闘家と女神官。

 三人の方を向いて、女魔術師が口を開く。

 

「同時に四人拐うのは無理。

 でも、一人二人拐って時間を空けたら、村も警戒を強めて、それ以降が難しくなるわ。

 もっと多くの人手か、計画的に動く必要がある」

「うーん?」

「……あっ!」

「っ!」

 一人だけ分かっていないのが誰かは、彼の名誉のために伏せ……男は一人しか居ないが、伏せよう。

 

「ゴブリンは、人間を四人拐えるだけの数と、それを計画できる頭目がいる」

「はい。正解」

 女魔術師の解答に対し、満足そうに頷く侍圃人。

 

「ゴブリンは馬鹿だが間抜けではない。知り合いの言葉よ。

 そして、何も考えず、相手も何も考えていないことを期待する奴は、馬鹿で間抜けね」

 侍圃人がからからと笑うが、一党は四人揃って、さあっと顔を青くした。

 

 こうして質問されて考えるまで、自分達はまさしく、馬鹿で間抜けだったと、気付かされたからだ。

 

「物陰に隠れて襲う。隊列から離れた冒険者を狙う。罠にかける。囲んで叩く。遠くから攻撃する。

 子供並みの知能ってことはつまり、子供が考える程度のことはゴブリンも考える、ってことよ」

 

 助言は『出番』に含めないであげる、と、侍圃人はまた笑う。

 

 

 その笑い声すら、『もしかしたら死んでいたかも知れない』ことを感じさせられたばかりの一党には、空恐ろしく思えた。

 

 

 

 

 

 

 

「見張りは……いない」

「落とし穴とかは……多分ない、かな?」

「入口の脇にあるのは何でしょうか?」

「分からない……けど、魔術的な効果は感じないわね……」

 宗教的な象徴(シンボル)か、或いは縄張りを示すマーキングか、と、森の中に潜んで囁き合う一党。

 

 安全圏から情報を集め、可能な限り検討する。

 

 ギルドで見た姿とは正反対な態度に、侍圃人はくつくつと笑う。

 臆病者の方が、比較的長生きしやすい。必要な時を見定め、踏み出す勇気も不可欠だが。

 勇気と慎重の使い分けは、冒険者を十年やっていても難しい。

 

 

 結局、トーテムの意味は分からなかったようだが、簡単な工作ができるゴブリンがいる、という情報を得て、一党は進み始める。

 

 松明が一つしかなく、隊列が前衛と後衛に別れ、背後からの奇襲に備えきれていないのは減点だが、慎重に周囲を見渡しながら歩き、小まめに呪文遣い(スペルスリンガー)二人の様子を確認しているのは良し。

 

 今回は侍圃人が控えているし、及第点としておこう。

 

 

「また入口にもあった奴だ……」

「何かしら、これ?」

「…………どこかで、これと似た絵を見たような……何の本だったかしら……」

「いと慈悲深き地母神よ……」

 

 …………横穴見落とした。

 ……立ち止まった後衛二人を置き去りにしなかったから、辛うじて合格。

 

 後は、誰か田舎者(ホブ)の足跡に気付けば良いのだが、斥候(スカウト)が居ない。

 専門でなくても、森人(エルフ)鉱人(ドワーフ)圃人(レーア)が居れば、とも思うが、駆け出しでは難しい。

 

 

 再び進み始めた一党を追いつつ、侍圃人は、腰に差した愛刀の鍔に指を這わせる。

 いざとなれば、『出番』であろう。

 

 

 

 

 

 カツン、と、小石の転がる音が一つ。

 

 

 一党の中でも、殊更に慎重に進んでいた女神官が、ビクリと顔を上げた。

 

「どうしたの?」

「今、後ろから音が……!」

「どこか見落としたか……!?」

「それより、早く隊列を入れ替えるわよ! 二人はあたし達の後ろに!」

 

 不慣れではあるものの、行動は迅速。

 女神官が聞き耳に成功した側に、剣士と女武闘家が出て、後衛二人を庇う。

 

「一緒に戦うんだから、あたしを斬らないでよ!」

「わ、分かった! 気をつける! 大振りしない!」

「《火矢(ファイアボルト)》を使う時は、ちゃんと避けてよ!」

「怪我をしたら、すぐに下がってください!」

 

 口々に、各々の役割から注意点を言う一党。

 

 即席の一党なら尚更、確認は大切だ。大変宜しい。

 

 

 侍圃人は、小さく唇の端を上げながら、革足袋と草履の具合を確かめる。

 洞窟の足場は、十全とは言い難いものの、一党の危機を斬り払う分には事足りる。

 

 

 この少年少女ら、死なせるには、些か惜しい。

 

 

▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼

 

 

 順調だ、と剣士は思った。

 

 狭い洞窟に、女武闘家と二人並んで戦う以上、自然、味方に当たらないよう、突きを主体に細かく剣を振るわなければならない。

 剣士が村で練習してきた、相手を真っ二つにする剣技は使えない。

 しかし、ゴブリン共も、一度に襲ってくるのは二、三匹、多くても四匹。

 女武闘家と連携し、互いの隙を埋めるように動けば、何も問題はない。

 

 

 そう、自信を持って、慢心した。

 

 僅かであろうと、気を緩めた。

 

 

「な、なに……こいつ……」

 

 

 肌の色はゴブリンに似ている。

 顔もゴブリンに似ている。

 

 しかし、子供程度の大きさのゴブリンとは、比べ物にならない巨体。

 狭い洞窟の天井に、頭が当たりそうな気すらする。

 

 

 そんな巨漢が、剣士の胴ほどもありそうな太い腕を、女武闘家に向け伸ばしてーー……。

 

「なにっ! する気だ! お前ぇっ!!」

 

 ーー急激に向きを変え、剣士の渾身の突きを手の平で受けた。

 

 

 骨の隙間を抜けた刃が根元まで深々と刺さり、そして、剣士の両手が、巨漢に握り締められる。

 

 みしり、と、握られた手が軋む。

 ふわり、と、持ち上げられた身体が、宙に浮く。

 

 壁か、地面か、天井か。

 この巨漢に、全力で叩き付けられれば、きっと自分は死ぬ。

 

 

 濃密な死の気配に、剣士は抗えず、仲間達も咄嗟に反応できない。

 

 

「ようやく『出番』ね」

 

 動いたのは、侍圃人が唯一人。

 

 

 研ぎ上げた刃物で野菜を切るように、するりと巨漢の手首を断つ。

 持ち上げられ解放された剣士が尻餅をつくのに構わず、侍圃人は叫んだ。

 

「魔術!」

「っ! 《サジタ()……インフラマラエ(点火)……ラディウス(射出)》!」

 声に応えて、女魔術師が放った《火矢》が、突然片手を失い呆然としていた巨漢の顔面に突き刺さる。

 後頭部まで貫通した炎の矢は、そのまま、巨漢の胸元まで燃え上がらせた。

 

 

 巨漢の登場により逆転した戦況は、瞬く間に引っくり返る。

 

 用心棒の死に、残ったゴブリン共が、一斉に逃げ出して行く。

 

 

 

 一先ずは、戦闘終了だ。まだ拐われた女の子達を見つけていないので、依頼完了とは言えないが。

 

「私の『一刀』に払う報酬は、好きに決めて良いわ」

 

 とにかく、どうにか生き残った剣士は、侍圃人の手を借りて立ち上がり、大きく息を吸い、そして吐いた。

 

 

 

 

 

 

「小休止がてら、少し講義しておきましょうか」

 

 戦闘が終わると同時に緊張の糸が切れ、座り込んでしまった前衛二人を横目に、侍圃人が言う。

 語りつつ、倒したゴブリンを一匹ずつ覗き込んでいるのは、死んでいるかの確認らしい。

 

「まず、さっきの大きいゴブリン。田舎者(ホブ)っていうんだけど。

 巣穴の生き残りの『渡り』や、『渡り』に教育されたゴブリンが、先祖返りするらしいわ。

 新人は、前衛が足止めして魔術か弓矢で仕留めないと、勝てないでしょうね」

 

 侍圃人の言葉に、一党は無言で頷く。

 あんな奴と一対一で戦えと言われても、勝てる気がしない。

 

「『渡り』は田舎者(ホブ)以外にも、シャーマンやロードとかに進化する可能性もあるらしいわね。

 シャーマンは、少なくとも黒曜等級以上の呪文遣いと思っておきなさい」

 黒曜等級以上と聞いて、女魔術師がピクリと眉を上げる。

 ゴブリンに自分以上の魔術師がいる、と言われて、反応してしまったのだろう。

「入口とかにあった悪趣味なトーテムは、シャーマンが居る証拠よ」

 しかし、女魔術師が何か言う前に、(くだん)のシャーマンがこの洞窟に居るという事実に、一党全員が絶句した。

 

「ああ、丁度良いのがあったわ」

 

 何も言えない一党を置き去りに、侍圃人がゴブリンの短剣を拾い上げた。

 その表面には、べっとりと粘着質な物体がこびりついている。

「猛毒よ。もし受けたら、すぐに解毒しないと死ぬわ」

 さらりと語られた内容に、ついさっきまで、その短剣を振り回すゴブリンと戦っていた剣士と女武闘家が、真っ青になった。

 大慌てで、自分自身と相手の身体に傷がないか確かめる。

 

「私が見た限り、二人とも上手く避けていたから、大丈夫だと思うわよ」

「先に教えてください!」

「知っていたら怖がって動きが鈍るでしょう?」

 

 吠える剣士を軽くいなし、侍圃人が入口の側へ顔を向けた。

 

「さて……そろそろ来たかしら」

「ゴブリンですか!?」

「違うわ」

 

 ゆっくりと、足音が近付いて来る。

 

 侍圃人が、目の下から顎までを覆う、東国風の面頬を着け、編み笠を被り直す。

 決して、顔が外から見えないよう。

 

「ゴブリン退治の専門家(プロフェッショナル)よ」

 

 その声に込められているのは、喜びか、悲しみか、怒りか、哀れみか。

 

「後は私と「彼」で終わらせるから、貴方達は見学ね」

 

 

 

 闇の中から、松明の明かりと、薄汚れた鎧兜が浮かび上がる。

 

 

▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼

 

 

「……久しぶりだな」

「ええ。久し振り」

 

 それは、再会というにはあまりに固すぎた。

 固く。冷たく。重く。そして軋み過ぎた。

 その空気は正に、鉄塊だった。

 

「数は」

「十一と田舎者(ホブ)一は仕留めた。五匹逃げた。

 横穴の奥とシャーマンは未確認」

「呪文は」

「私が四。こっちの魔術師が残り一。神官が三。

 私の呪文は四年前と同じ。

 魔術師が《火矢(ファイアボルト)》、《火球(ファイボール)》、《力矢(マジックミサイル)》。

 神官が《小癒(ヒール)》と《聖光(ホーリーライト)》」

「そうか」

 

 重圧すら感じる空気の中で交わされる、どこまでも固い情報共有。

 

「シャーマンは任せる」

「分かった」

 

 それなのに、女神官には、先程までの笑っていた姿より、今の方が、何故か圃人(レーア)の女性が嬉しそうに見えた。

 

 

 

 

 

「《サジタ()……インフラマラエ(点火)……ラディウス(射出)》!」

 女魔術師が使ったものと同じ呪文が、遥かに早く、遥かに強く、練り上げられる。

 刀を握っていない方の手で瞬時に印を結び、只人(ヒューム)では見通せない闇の奥へ、《火矢》を放つ。

 

 広間の奥に座していたゴブリンシャーマンは、身に付けた呪文の一切を発揮することなく、炭と化した。

 玉座に隠されていた小部屋の中も、貫通した《火矢》により、同じく一瞬で。

 

「残り四」

 軌跡を描く《火矢》の残光に照らされ、手近なゴブリンの頭を叩き割った鉄兜の男の剣が、鈍く輝く。

「三」

 滑るように踏み込んだ侍圃人の刃が閃き、ゴブリンの首をはねる。

「二」

 叩き割る。

「一」

 首をはねる。

「これで終わりだ」

 鉄兜が投げた剣が、ゴブリンの顔面に埋まる。

 

 

 見学とは言われたが、新人一党が状況を理解する間もなく、銀等級二人によるゴブリン退治は完了した。

 

 それは最早、退治でも、駆除でもない。家畜の屠殺にも似た、一方的な殺戮。

 

「そこの三人」

「「「はい!」」」

 殺戮者の片割れ、侍圃人に声をかけられ、唖然としていた剣士、女武闘家、女魔術師が背筋を伸ばす。

「拐われていた子達を、ギルドまで連れていって」

「「「分かりました!」」」

「報酬は、貴方達と神官の子で分けて良い。

 その代わり……」

 三人に指示を出し終えた侍圃人が、自分は何をすべきか、と考えていた女神官の方を向く。

 

「貴女、まだ奇跡が三回使えるわよね?」

 

 顔が見えないのに、女神官には、侍圃人が笑っているような気がした。

 

 

▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼

 

 

「これからの予定は?」

「小規模な巣が付近に二つ、はぐれの退治が一つだ」

「分かった。

 ……大丈夫。貴女は私の傍に付いてくれば良いから」

「わ、わかりまし、た……!」

 

 村娘達を洞窟から運び出し、剣士がギルドの荷馬車を呼んでくるのを待つ女武闘家と女魔術師の視線の先で、いたいけな女神官が、古強者(ベテラン)二人に拐われていった。

 

 先程の経験の直後に、またゴブリン退治。

 

 ぷるぷると震えながらも、去り際に、行ってきます、と頭を下げた女神官の健気な姿を、少女達は忘れない。

 

 

「……帰ってきたら、ご飯奢ってあげましょう」

「ええ。肉はなしでね……」

「あたしだって、今は肉食べる気にならないわよ」

 

 

 

 

 ほぼ休みなくゴブリン退治を行う銀等級二人に連れ回される女神官と、なかなか食事のタイミングが合わないことに少女達が気付くのは、数日経ってからだった。

 




侍圃人「この年で二種類の奇跡を三回。素直。健気。慎重。
    そして、不覚にも私の感情が読まれた洞察力。
    確保ぉーっ!!」

サムライ・レーアはホイミスライムをつかまえた。

サムライ・レーアはさまようよろいとホイミスライムをならべている。




侍圃人からのゴブスレさんに対する感情は、喜怒哀楽愛憎を圧力鍋でじっくりことこと原形が分からなくなるまで煮込んだ感じです

拗らせてる? 私の書く連中は軒並み拗らせていますよ←開き直り
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