サムライ・レーアの懐郷   作:ダラ毛虫

6 / 8

エピソード混ぜれば良いんじゃね???って提案したの原作者様で草


そんな5話




サムライ・レーアの日常

 オーガと戦い、馬車で街へ戻った翌日。

 

「三十三、三十四」

「三十五」

「三十六、と。これで……」

「……終わりだ」

 

 侍圃人と「彼」は、いつも通り、ゴブリンを殺しに来ていた。

 

 

 他の面々は、銀等級三人が休養で、女神官はギルドに呼び出され、ここには居ない。

 あれ程の難敵と戦った後だ。普通なら幾らかの休みを取る。

 

「拐われた娘は?」

「まだ生きている」

「分かった」

 

 翌朝から早々にゴブリン退治へ出ている方が、異常なのだ。

 

 そして、そんなことは、手早くゴブリンを皆殺しにし、救助した村娘を村まで送るこの二人も、理解はしている。

 

 

 理解した上で尚、「彼」はゴブリンを殺し続け、彼女はそれについていく。

 

 

 いつも通り。

 

 いつもの通り。

 

 

 

 

「……傷は、どうだ?」

 

 村に娘を送り、依頼達成の連絡をしてから、次の巣穴へ向かう道中、「彼」がぼそりと尋ねる。

 

「…………ああ、あの時の。

 問題無い。額に痕も残っていない」

「そうか」

 

 それを侍圃人は、『姉と似た顔』に傷が残ることへの懸念と受け取った。

 

「……街へ戻ったら、数日休みにする。お前も休め」

「……分かった」

 

 真意を「彼」は語らない。

 

 傷の具合を尋ねたことについても、休むように言ったことについても。

 

 

 

 侍圃人も、それを確かめない。

 

 

 

 寄り添うには、向き合うには、二人は互いを、傷付け過ぎた。

 

 

 いつも通り、同じ道を、同じ方を向いて歩いても、二人の距離は変わらない。

 

 

 

 

▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼

 

 

 

 休日となった以上、依頼を受ける訳にもいかない。

 

 鍛錬を日頃より多少増やし、何か掘り出し物が無いかギルドの工房や市場を巡り、少しだけ贅沢な食事をして、時間を潰す。

 

 日没前には、ギルドで借りている部屋に戻り、買ってきた怪物辞典(モンスターマニュアル)や魔術に関する本をめくる。

 十年も冒険者をしていれば、新しく知識を得られる機会はなかなか無いが、忘れかけていたことを見直すのも無駄にはならない。

 それに、怪物辞典も魔術書も、同じ本でも内容は度々更新されている。古い知識を鵜呑みにした結果、失敗する事例は多々ある以上、情報の更新は不可欠だ。

 思い込みは失敗の元。

 冒険での失敗は、些細なことでも容易く死に繋がる。

 のめり込んで熟読する熱意はとうに失せているものの、やらないよりは良い。

 初心を思い返す意味でも、基礎の魔術書を探してみるのも、良いかもしれない。

 

 

 そんなことをつらつらと思いつつ、文字列を目でなぞっていると、控え目なノックが三回、部屋に響いた。

 

「どうぞ」

「えっと……失礼します……」

 

 念のため編み笠を被ってから返事をすれば、入室してきたのは、ここ数ヵ月、行動を共にしている女神官。

 胸元に、真新しい黒曜の認識票が揺れている。昇級は無事に済んだようだ。

 

 その背後に誰も居ないことを確かめ、侍圃人は笠を外した。

 

「あ、あの……!」

 

 笠を被ってから来客を迎え、「彼」では無いと確認してから、笠を外す。

 一連の動作を見届けて、問うべきか黙っておくべきか、直前まで悩んでいた女神官は、意を決した。

 

 

「……どうして、ゴブリンスレイヤーさんの前では、顔を隠しているんですか?」

 

 

 聞かれない限り、言葉にはしないだろう領域に、踏み込む決意を。

 

 

▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼

 

 

 時間にすれば、きっと数秒。

 

 だけど、ずっと長く感じた沈黙の後、彼女は儚く笑った。

 

 

 圃人という種族の、年齢より幼く見える容姿にも、熟練の銀等級冒険者という肩書きにも不似合いな、草臥(くたび)れて大人びて、弱々しく痛ましい、その笑顔。

 

 

 これこそが、彼女の本当の素顔なのだろうと、感じた。

 

 

「愉快な話では無いことは、察しているでしょうけどーー……」

 

 ーー昔話をしましょう。

 

 そう言って、寝台に腰掛け、椅子を勧められる。

 借り物であることを差し引いても、最低限の物しかない殺風景な部屋で、数少ない家具である寝台と椅子、それぞれに座り、向き合う。

 

「牧場の()とは、確か会ったことがあるわよね?」

 こくりと頷いて応えれば、彼女は体重をやや後ろに傾け、視線は宙に。

 どこか遠く、きっと、過去の風景を眺め、彼女は語る。

 

「私達はーー私は生まれが違うけれどーー同郷でね。子供の頃は、良く遊んだわ」

 

 眩しげに目を細め、言葉を紡ぐ。

 

「私と「彼」とあの子……」

 

 自身の古傷に、指を這わせる様に。

 

「時々、「彼」のお姉さんも、一緒に……」

 

 

 

 十年前、何があったのか。

 

 

 あの人が、何を失ったのか。

 

 

 どうして彼女は、あの人に顔を見せないのか。

 

 

 

 彼女は語る。

 

 

 

▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼

 

▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼

 

 

 

 必要な分だけのつもりだったが、思いの外、長話をしてしまったらしい。

 

 退室し、自分の部屋に戻る女神官を見送って、侍圃人はすっかり暗くなった空を、窓越しに眺める。

 

 

 窓に映るのは、十年前と殆んど変わっていない顔。

 

 石礫で割られた額も、すぐに治癒したおかげで、傷痕は無い。

 

 変わりなく、「彼」の姉と、良く似た顔。

 

 

 

 忘れられない。

 忘れてはならない。

 忘れたくない。

 過ぎ去った日々を思い出させてくれる、自分の顔だ。

 

 

 

 窓の向こう、夜空に、二色の月が浮かんでいる。

 

 





姉が「居た」、でお姉さんが故人であることを察する判定に失敗した女神官ちゃんに、ゴブスレさんの過去話をぶっ込むオリ主が居るらしい

この影響が本編にどう作用するかは未知数!
ノープラン! 相変わらずの無計画!
どうも、私です



新米戦士君と見習聖女ちゃんとも絡ませようかとも思ったんですが、これの直後にほのぼのパート入れてもなぁ、ってことでカット!


そう言えば、アニメには出番ないかと思った重戦士一党の少年斥候、出番ありましたね、おめでと
何故か彼まで黒髪になっていましたが、何でですかね? スタッフの趣味?(知らん

そして少女巫術師ちゃんの素足prpr
レーアなのに、うちの侍圃人、魔法の革足袋と草履なんて履いてるんですよ、けしからんですね←筆者


まあ、全身魔法防具で固めていなかったら、オーなんとかさんの石礫アタックで重傷だったんですけれども
防具は大事、装備しないとオタッシャ重点
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。