サムライ・レーアの懐郷   作:ダラ毛虫

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第6話、水の都編でごぜーます

が、侍圃人、欠席です
理由は後書きにて


前半は、前回入れ損ねた5話のシーンから





サムライ・レーアの遠征

「トロルの群れ?」

 何の宴会かも知らずに、丁度食事でその場に居たからと巻き込まれた、新米戦士と見習聖女の小さくとも勇敢な冒険を祝う席で、侍圃人はフリッテッラを頬張りながら首を傾げる。

「うむ! ここから北に行った方の街の近くに住み着いたそうだ!」

 それに対して大仰に頷くのは、麦酒(エール)片手の女騎士。

 曰く、現地の青玉等級一党(パーティー)が遭遇し、情報を持ち帰ったものの、その規模に対処できる冒険者が居ないため、こちらの街まで話が流れてきたそうだ。

 

「……確認できただけでも十体以上……。

 玉の等級(中堅)じゃ返り討ちがオチね。撤退して賢明だわ」

「放っておけば、向こうで幾つかの一党(パーティー)徒党(アライアンス)を組んで討伐するだろうがーー……」

「頭数が増えれば報酬の取り分が減るからな。

 単独の一党でこなせるなら、それに越したことはねえ」

 女騎士の隣に座っていた、頭目(リーダー)である重戦士が話に加わる。

 

「要するに、臨時一党(パーティー)のお誘い、ってことね」

 得心がいった侍圃人に、再び「うむ!」と返す女騎士。

 なんならそのまま正式に加入してくれても、という発言は無視した。

 

「十体以上が相手となると、流石に、後衛を守る余裕は無いわよ?」

「ああ。行くなら俺ら三人だな。

 ガキどもは、こいつとこっちで適当な依頼でも受けさせる」

 少年斥候と少女巫術師について言及すれば、重戦士が半森人(ハーフエルフ)の軽戦士の方を示す。

 

 大剣(グレートソード)を振るう、純粋な戦士としての技量に優れる重戦士。

 長剣(ロングソード)と大盾を操り、奇跡の心得もある女騎士。

 二人に、湾刀と術を扱える侍圃人が加われば、オーガや上位の悪魔(デーモン)でも出ない限り、大抵の状況はどうにかなる。

 

「報酬は一人当たり金貨一袋半ってところか」

「奮発したわね」

徒党(アライアンス)に支払う予定で準備されたものだからな。経験点も期待できるぞ」

 即物的な笑みを浮かべる女騎士に、それで良いのか聖騎士志望、と思うものの、いつものことと流した。

 

 

 ここで侍圃人が断れば、如何に銀等級の二人でも、手に余る依頼として他に回すだろう。

 

 しかし、みすみす見送るには、少々惜しい、旨味も大きな仕事だ。

 

 

「分かったわ。臨時で組みましょう」

「よぉぉっしっ!! 勝ったぞゴブリンスレイヤー!」

「何がよ?」

「こないだお前を誘った時、ゴブリン退治に行くから、って断られたの気にしてたんだよ、あいつ」

 立ち上がり、近くに居た連中と大声で乾杯し始めた女騎士に、勝ち負けの話じゃないでしょう、と呆れた視線を向ける侍圃人。

 

「移動手段の当てはあるの?」

「歩くにゃ遠いし、俺らの得物は重いからな。馬車でも借りるさ。

 運賃は奢るぜ?」

「あら。それなら有り難く、同乗させてもらうわね。助かるわ」

 

 酒の席で、とんとん拍子に予定を詰める。

 

 

 打てば響き、剣と術が使えて、圃人(レーア)という種族柄、斥候も多少はできる。

 

 

 相方の言ではないが、この機会に引き込めないものか、と思案しながら、重戦士も麦酒を飲み干した。

 

 

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「えぇー!? じゃあ、今回は来ないってこと!?」

「申し訳無いけど、先約だから」

 頬を膨らませる妖精弓手を宥める侍圃人。

 

 実年齢二千歳をあやす外見幼女。

 字面が酷い有り様である。

 

「オルクボルグも何か言いなさいよー! 取られちゃうわよ!」

「いや……」

 俺は強制できる立場ではない。先に約束したのなら、そちらを優先するのが道理だろう。

 以上、ゴブリンスレイヤーが圧縮した内容だが、女神官も、大体解読できた。

 

「来るのか来ないのかは、好きにしろ」

 ぶっきらぼうな、選択を迫るだけの発言でも、精一杯の誠意なのだと。

 

 

「分かっている」

 それを、侍圃人も理解している。

 寧ろ、ちゃんと確認が取れるように成長したなぁ、と感動している。

 

 

 

「割れ鍋に綴じ蓋、たぁ言うがのぅ……」

「こればかりは、当人同士の問題でしょうや」

 そんな、どうにも不器用で、妙に器用で、ちぐはぐな有り様に、鉱人導師と蜥蜴僧侶は、やれやれと苦笑し、それぞれ火酒とチーズに舌鼓を打つ。

 

 

 一方のゴブリンスレイヤーは、話題が火と水と毒の禁止に移り、別の手を考えていた。

 

「煙玉を使わないのなら、借りても良い?」

「ああ」

「火の秘薬とメディアの油(ペトロレウム)は?」

「ある。使うか?」

「使うかは分からないけど、一応」

「そうか」

 

 そしてその分、侍圃人の装備が増えた。

 

 

「ちょっと待って、あんたたち」

「私は禁止されていないし、今回は別行動」

「使える者が使えば良い」

「トロルが相手なら、手札は多目に用意したい」

「む……ぐぅ……」

 畳み掛けるように言われ、ぐうの音は出たものの、だからといってどうなる訳でも無い妖精弓手。

 

「あーもー! 分かったわよ! そっちは好きにしなさいよ!

 ただし! こっちは火も水も毒も禁止だからね!」

「ああ」

「分かっている」

 根負けした妖精弓手に、淡々と応じる二人を見て、口数が少ない時は本当にそっくりだなあ、と、女神官は思った。

 

 

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「……今頃は、あちらも夜営中かしら」

 街道の脇に設けられた焚火場の傍らに馬車を停めて、馬に餌と水をやり、食事を済ませた後の一時。

 愛刀を手入れしていた侍圃人が、南東、西の辺境と水の都の間辺りへ視線を向け、呟く。

 

「あっちも遠征だったか。指名依頼らしいな」

 独り言のつもりだったそれに応えたのは、焚き火の番をしていた重戦士。

 見張り役の二番目である女騎士は、早々に馬車へ戻って熟睡している。

 

「耳が早いわね」

「一党を預かる頭目としちゃあな。どんな情報が生き死にを分けるか、分からねえからよ」

 ご立派ご立派、とくすくす笑う侍圃人に、からかうな、と渋い顔をする重戦士。

 

「……そっちも、一党の人数は揃ったみたいだな」

「ええ。妖精弓手(エルフ)鉱人導師(ドワーフ)蜥蜴僧侶(リザードマン)。しかも全員銀等級」

「羨ましいこって」

「私も含めると、術師が四人だものね。戦力がある分、厄介な依頼が転がり込んできそうなのが難だけど」

 前衛に盾役(タンク)が足りないのよね、とぼやく侍圃人。

 贅沢言うな、と重戦士。

 良い人材は居ないかしら、と問えば、単独(ソロ)でそんな奴がいたらうちに貰う、と返される。

 

 重戦士の一党は、彼と女騎士に半森人の軽戦士で、前衛は必要十分なのだが、それはそれ。

 欲を言えば、状況に応じて前にも出られる術師が欲しいところだが、目下、最有力候補(サムライ・レーア)には振られっぱなしだ。

 

 

 そんなことは、お互いに分かっている。

 

 分かっている上で、これは単なる、軽口だ。

 

 

「臨時で手が欲しい時は、貴方達のどちらかに声をかけるから、よろしくね。

 そのまま、こっちに入ってくれても良いけれど」

「行かねえし、行かせねえよ。臨時ならともかくな」

「あら。残念ね」

 

 

 飾らない、気の置けないやり取りは、侍圃人が装備の手入れを終え、床に就くまで続いた。

 

 

 

 翌日、女騎士が除け者にされたと拗ねて、いつも以上に面倒臭くなるのは、また別の話。

 

 




《眠雲》で動きを鈍らせ、大振りな攻撃は回避し、飛び掛かるゴブリンの首をはね、大火力の《火矢》がある


ええ、そうです
小鬼英雄にメチャクチャ相性良いんです、AGI型サムライ
装甲が魔法防具頼りなので、足止めされてクリティカル喰らったら即死ですが、味方と連携して雑魚に群がられないよう立ち回ったら、判定いらないレベルで勝ててしまうんです


ゲームだったらハメ殺し上等だけどなぁ! それじゃストーリーが山なし落ちなし意味なしなんだよぉっ!!


はい、とゆー訳で水の都は侍圃人抜きでアニメ通りに展開
ゴブスレさんはチャンピオンに殴られていただき、本作では、重戦士、女騎士、侍圃人による、トロル群退治に突入します
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