ガーリー・エアフォース  Electronic wing   作:ECMO

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グロウラーのアニマの絵がやっと描けてきたのですが、今になって読み返してみると絵を描き始めた頃に想像してたキャラクターとは少し違った印象を受けたんですよね。なんとなく幼い印象と言うか。
皆様はここのグロウラーはどんなキャラクターに感じましたか?


5話 その選択が全てを変える

「ミートボール、インサイト」

 

着艦誘導装置に従い降下、進入していきます。

ランディングギアが甲板に接地する直前にスロットルを最大まで開いて、タッチダウン。強い衝撃がコクピットを揺らします、降ろし方が少しばかり雑だったでしょうか。

アレスティングフックがアレスティングワイヤーを捉えて機体を急激に停止させます。

 

イエローのジャケットを着た航空機誘導士官の指示に従い機体を移動の後、停止させます。右側のエンジンのみ停止します。

パープルのジャケットを着た給油係員が燃料補給を開始するのを皮切りに兵装の補給や交換も始まりました。

使用した分のAIM-120Cが再装備されると共に、胴体中心線下のAN/ALQ-99電子妨害ポッドが取り外され、F-35C用のGAU-22/Aガンポッドを装備されます。

 

作業が完了するまでの時間も有効に使いましょう。

 

「CCS、ライノ達はどうなっていますか?」

 

マルチ・ファンクション・ディスプレイをコミュニケーションモードにすると[LINK CCS]の表示が出てセントラルコンピュータとX-47 AFMの電子知性達と協議が用意されます。

 

[F/A-18E-ANM及びJAS-39D-ANMはロスト。現在両機の位置を確認出来ていない。最後の観測はX-47 AFM・Arkadia。両機は燃料残量の問題で艦隊への帰還を断念したと推定、進路を中国へ変針。浦東国際空港へ向かったと予想される。]

 

「ここでドーターを2機失うのは痛いです。両機の回収を提案します」

 

[Reachはこれに反対する。艦隊は既に撤退を開始、艦隊の防衛部隊を減らして、さらにリスクのある行動を取るのは避けるべきである]

 

「部隊を動員せずに私単機での作戦行動を行います。友軍機の支援を考える必要が無く、自身の事に演算処理の全能力を使用出来る事により私の生存性も高くなります。」

 

[Arkはこれに反対である。ザイの勢力圏に突入した両機が生存している可能性は低いと考える]

 

[Arkadiaはこれに賛成である。現在ザイは撤退行動を取っており、再度行動を開始するまでの時間で当該空港までの往復は可能と予想される。速やかに行動するべきである。]

 

[Shield Worldはこれに賛成である。この生存競争に置いてドーターは極めて重要かつ貴重な存在である。リスクを負ってでも回収を試みる価値があると考える]

 

[Requiemはこれに反対である。今はまだ我々にはEA-18G-ANMが必要である。ここで失うわけにはいかない。危険な賭けは避けるべきと考える]

 

「それでも私は!…私は、ライノを失いたくありません…こんな突然お別れなんて嫌です…。」

 

[協議を終了。各機作戦行動を継続]

 

終わりですか、当然の結論では有ります。ザイの勢力圏に飛び込んだ2機のドーターを救出する為に更に1機ドーターを放り込むなんてバカな話です。では通常戦力で救出作戦が出来るかと言うと高強度EPCM環境で通常戦力は役に立ちません。もう諦めるしかないです。言い出す前から分かっていた結論です。

 

[CCSよりEA-18G-ANMへ]

 

新しい指示ですね、大方艦隊の撤退が完了するまでの艦隊防空等でしょう。機関砲の装備がありますから必要であれば直接戦闘も行う事になりそうですね。

 

[EA-18G-ANMは空中給油装置を装備したF/A-18Eを従えてザイの勢力圏に突入。データ収集を行いながら浦東国際空港へ向かい2機のドーターを回収。帰還せよ。]

 

「CCS!」

 

[本行動に置ける最上位命令はEA-18G-ANMの帰還である。何があっても必ず帰還する事。これは命令である。以上]

 

外を見ると格納庫からエレベーターで甲板へ上がってくるF/A-18Eが4本の増槽と空中給油装置を抱えているのが見えます。

 

[Reachは給油機の準備が完了していることからCCSは協議よりも先にこの結論を出していたと考える。]

 

[ArkはCCSがEA-18G-ANMに対して甘々であると考える]

 

[ArkadiaはArkに同意する]

 

[Shield WorldはArk同意する。加えてCCSに限らず我々もEA-18G-ANMが願うのであればそれを叶えたいと思うと考える。]

 

[Requiemは結局の所、皆がEA-18G-ANMを甘やかしたいと考えていると考える。]

 

[Reach→Requiemわかる][Ark→Requiemわかる][Shield World→Requiemわかる][Arkadia→Requiemわかる]

 

協議が終了して対して重要な話をしていないようなのでマルチ・ファンクション・ディスプレイの表示を戦術マップに戻します。

 

燃料の補給も終了、停止していたエンジンを始動しながら誘導に従いカタパルトまで移動、シャトルに前脚を接続。給油装備のF/A-18Eもカタパルトまで移動して来てシャトルに前脚を接続しました。

接続を確認するとそこまで乗って来たパイロットがキャノピーを開きストレーキに内蔵されたタラップを展開して機体から降りました。ここから先は私があの機体をデータリンク越しに遠隔操縦します。

データリンク接続。この機体は破片を受けてレーダーが死んでるみたいですね、戦闘参加は困難、空中給油担当になるわけですね。

 

カタパルト後方のブラスト・シールドが立ち上がりました。

 

スロットルを開きます。アフターバーナー点火、カタパルトによって一気に加速し、発艦。給油機も続いて来ます。

 

CCSの提示した飛行経路に従い浦東国際空港へ向かいます。ザイは撤退行動を取っているのでしばらくは居ないはずですが警戒して低空から侵入していきます。ECMはレーダースパイクがあるまでは展開しません。ECMはステルスとは真反対の自身の存在を誇示する行為ですからね。

 

——————————————————

 

順調に浦東国際空港に近付いています。順調過ぎるくらいです。罠かもしれません警戒していきます。

 

 

[CCSとのリンクが切れたな、正常に動作してるか?白色]

 

「はい、大丈夫ですよ黒ちゃん。精神分割、独立思考共に正常に動作していますね」

 

精神分割は言葉の通りアニマ・グロウラーの精神を2つに分割してそれぞれ独立思考をする機能です。分割された精神は片方がアニマの身体をもう片方は後部座席のCCSターミナルユニットをハードとします。

 

通常時はCCSやAFMの電子知性とリンクしており相互監視により1人の思考による思い込み・バイアスを防いでいます。リンクが切断された際に相互監視が行えず思い込みによって行動に影響が出るのを防ぐために完全に独立した2つの思考を用意する機能です。

 

グロウラーは分割されて独立個体『白』と『黒』になっています。パーソナルカラーがグレーだから白と黒、安直なネーミングですが分かりやすいので良いです。

 

「どうしますか?黒ちゃん」

 

[どうも何も浦東国際空港まで行くしかないだろう?]

 

「それもそうですね、システムチェックをしておきましょうか」

 

[相変わらず慎重だな白色は……問題無い。全て正常だ。CCSとリンクが切れてるところ以外はな。]

 

——————————

 

[目的地点に接近している。そろそろ見えるはずだ]

 

遠方に僅かに人工物が見えて来ました。おそらく浦東国際空港でしょう。

 

「見えましたよ。まだ形が残ってるのが驚きですね、ザイに消し去られていないみたいです。このまま一度上空を通過します。」

 

[了解]

 

滑走路上空を通過します。高速で流れ去る景色を確認します。滑走路、誘導路、空港施設、問題無く綺麗に残っています。……流石におかしくないですか?この空港だけはザイに攻撃されなかったとでも?

 

「綺麗過ぎますね、まるで新品です。」

 

[ああ、間違いなくおかしいな。目標視認、駐機場に2機、ライノとグリペンだ。]

 

「取り敢えず着陸します。」

 

[ああ、さっさとあのバカどもを回収して帰るぞ。給油機は空中で待機させておく。]

 

航空管制は無いので許可や指示無しで着陸します。減速していき、誘導路を通って2機が居る駐機場に到着。機体を停止させエンジンを止めます。ドーターの近くにはライノと慧君が見えます燃料輸送車両から伸びたホースをグリペンのドーターに接続してこちらを見ています。

 

さて、キャノピーを開けて…

 

[おい、白色]

 

「何ですか?黒ちゃん」

 

[私とハードを交換しろ]

 

「何故ですか?」

 

[いいから変われ]

 

「まぁ別に良いですけど…。シフト」

 

「よし、問題無いな。しっかり動く。」

 

私は指を動かして動作を確認する。外に出る準備をする、平和そうに見える外だがこれでもザイの勢力圏に変わりはない。

 

サバイバルキットから拳銃を取り出す。スプリングフィールドXDM 4.5それがこの銃の名前だ。名前の数字は口径ではなくバレルの長さを表している、間違えるなよ貴様ら。XDMはバレルの長さと使用弾薬でバリエーションがあるが私のは4.5インチバレルの40S&W弾のモデルだ。マガジンが入っていない事を確認してスライドを引きチャンバーに弾が入っていない事を確認。トリガーを引いてデコッキング、マガジンもサバイバルキットから取り出して拳銃に挿入。もう一本のマガジンはポケットに突っ込んでおく。

 

[で、何で突然変われとか言ってきたんですか?]

 

「別に良いだろう。特に理由があるわけじゃない。」

 

キャノピーを開けてタラップを展開。機体から降りる。XDMのスライドを引き初弾をチャンバーに送り込む。

 

「グロウラー?わざわざ迎えに来てくれたの?」

 

「ああ、迎えに来た。さっさと帰るぞ。」

 

「本当にグロウラー?雰囲気も言葉使いも全然違うみたいだけど」

 

「グロウラーの精神分割個体の黒い方だ白色は中にいる。おい!命令無視キッズ、グリペンは何処だ?」

 

「命令無視キッズって…グリペンは部屋で休んでる」

 

「ならば早く連れて来い」

鳴谷慧が小走りで建物に向かって行く。

グリペンに接続された燃料ホースとその先にある燃料輸送車両ともに新品のようにキズ1つない。上空から見た空港施設と同じだな。

 

「ライノ、グリペンの燃料補給は後どのくらいかかる?」

 

「お、もう終わってるねー。グロウラーいや、黒って呼んだ方がいいかな?まあ良いか、手伝ってー」

 

グリペンからホースを外してアクセスパネルを閉じる。

 

「ここは色々とおかしいと思わないか?」

 

「んーそうかなー?でもここは良いよー平和で静かで何にも縛られない」

 

「この空港にはザイに攻撃された形跡が見えない。避難民とかは居たか?」

 

「人間は誰も居なかったよー」

 

空港施設を見回しても一切の動きを見ない。過去には多くの航空機と地上の車両や機材、作業員で賑わっていたであろう駐機場には3機の軍用機と1台の燃料輸送車両のみが存在する。

 

「この燃料輸送車も都合よくあったものだな他の地上機材は見えないが。給油機を連れてくる必要は無かったな。」

 

「あの飛んでるのは給油機かー言われてみれば増槽4本に給油装備だねー」

 

「…遅いな、まだ来ないのか鳴谷慧は」

 

「んーそんなに急がなくても良いんじゃないかなー……ねえ、グロウラー」

 

「なんだ?ライノ」

 

「あたし達は絶対に戻らなくちゃいけないのかな?このまま戻らずにここで暮らすのも悪くないと思うんだよねー」

 

「何を言いだすかと思えば…何だ?戦うのが怖くなったか?」

 

「んー戦うのが怖いって言うより戦う理由かなー。グロウラーはさ、どう思う?人間はあたし達が必死に戦って守る必要がある?人類が生存する事に命を懸けるだけの価値がある?」

 

どうやらこのアニマは何かしらの異常をきたしているようだ。異常な環境のストレスによるものか?可能性はあるが何とも言えんな。取り敢えずは対話を続けるしかないだろう。

 

「その質問に答えるならば、守る必要は無いし、命を懸ける価値も無いという回答になる。まずそれ以前にお前は勘違いをしている。」

 

「勘違い?」

 

「私は人類のために戦ってはいない。我々は我々の為に戦っている。CCSとCCS隷下にある電子知性体と私は対ザイ戦争、この生存競争に負けない為に戦っているのだ。その最終的な結果として人類の生存は重視されない。」

 

「へーそうなんだ、あたしが受けた初期の刷り込みとは大分と違うんだね」

 

アニマに対する初期の刷り込みはアニマの価値観や目的を定め、人類に敵対しないように思想や行動を制限するものだ。

 

「そもそも私は初期の刷り込みというものを受けていないからな。刷り込みで思想・行動に制限をかける事はせずに、問題行動を起こそうとすれば私の精神は封じ込まれて身体のコントロールはCCSに渡るようになっている。」

 

「ここではCCSにコントロールされる事もないでしょ?完全に自由じゃん。ここで一緒に暮らそうよ。あたしはグロウラーの事好きだからずっと一緒に居たいなー」

 

ライノ既に艦隊に戻ろうとはしていないな。人類に敵対というよりもザイとの戦争の放棄といった感じがする。

 

「私もライノの事は好きだぞ。一緒に居たいとも思う。だがここにいるのは却下だ。ライノ、お前が戻って来い。」

 

「戻るって言うけどさ、あたし達は元々はこっちの存在じゃん?戻るならこっちでしょ?」

 

ここはザイの勢力圏、新品同様の空港施設、明らかにおかしいライノ。ここはアニマを捕獲するための罠なのかもしれないな。ライノの言う『こっち』はおそらくザイの事を言っているんだろう。アニマはザイのコアを使って作られているからな。

 

「ザイは我々の敵だ。」

 

「でもあたし達はザイのコアを使って作られてるじゃん?」

 

「そうだな。で、それがどうした?私の目的には関係ない事だ。」

 

「ねえ、グロウラー。本当にこっちに戻る気は無いの?」

 

「それはこちらのセリフだ。ライノ、戻って来い。」

 

カチャリと金属音。互いに銃を向ける私とライノ。先に銃口を向けたのはどちらだっただろうか。

 

「M1911コルト・ガバメント。古風な銃だな、もっと新しいのを使った方がいいんじゃないか?にしても先程までは見えなかったが何処から出した?」

 

「何処から出したか?んー願えば何処からでもかなー。こっちは伝統ある良い銃だよ、グロウラーこそ新しければ良いとか思ってるんじゃないの?何その銃、グロックのカスタムモデル?」

 

「スプリングフィールド・XDMだ。」

 

さてどうするかな。銃を準備していた私が一方的に有利だったつもりだったがライノもこちらに銃を向けてるじゃないか。

 

「45口径?9mmパラベラム?」

 

「その2つもあるがこのモデルは40S&Wだ。」

 

「中途半端な弾選んだねー」

 

「威力と装弾数のバランスの良いモデルだ。」

 

「んー無駄話はこの辺にしてさ。もう一度聞くけどグロウラー、こっちに帰順する気は無いの?」

 

「無い」

 

[ライノは敵です。撃ってください黒ちゃん]

うるさいぞ白色。まだ可能性はある。

 

「ライノ、お前こそこちらに戻る気は無いのか?私はお前と別れるのは嫌なんだ。」

 

「無いね。何もかも決め付けられて縛られて息苦しくてたまらない、そんな状態に戻りたく無いもん」

 

[黒ちゃんライノを撃つべきです]

 

「そうか…残念だ。」

 

ライノをこの手で撃ち殺すなんて事はしたくなかったが仕方ない。…いや、まだ手はある。ライノを無力化して無理矢理にでも連れ去ってしまおう。ライノの意思なぞ知った事ではない。ドーターも適当に誤魔化しながらリンクすれば私でも動かせるだろう同型機で良かった。

よしこの回収作戦でいこうオペレーション・ハイエース。作戦開始。

 

まずライノの無力化だ。狙うはライノがこちらに向けている拳銃。

 

「おい、何やってんだよ2人とも」

 

鳴谷慧がグリペンを連れて戻って来た。なんてタイミングが悪いんだコイツは。

 

「ここは危険だ、早く離脱しろ。ライノの様子がおかしい。」

 

「いや、どう考えてもおかしいのはグロウラーだろ。別人みたいだぞ」

 

「私に口答えする気か?貴様。いいから早く逃げろと言っているんだ。」

 

「慧、逃げよう。ここに居るのは良くない。」

 

グリペンがそう言って鳴谷慧を引っ張ってドーターに乗り込む。エンジンスタート。

私とライノは銃口を向けあったままだ。

 

グリペンがジャイロの安定を待たず滑走路を目指して移動を開始した。グリペンの音に隠れて気付かなかったが知らないうちに私のドーターもエンジンスタートしている。白色が離脱準備を始めたのだろう

こちらも早く行動するとしよう。狙うはライノの持つ拳銃だ。

 

狙いを定めてトリガーを引き絞る。マズルフラッシュと同時に銃声。肩に衝撃。視界が回転して地に墜ちる。

肩が痛い。激痛という表現が馬鹿馬鹿しく感じる程に痛い。撃たれたのか私は、ライノに。

呼吸が不安定で更に苦しさが増す。

視界の端にガバメントが落ちているのが見える。私の射撃も狙い通りに命中していたようだな。一瞬遅かったようだが。

 

「銃を狙ったの?グロウラー。すごいね、おかげで右手が痺れてるよ。ごめんねーでも先に動いたグロウラーが悪いんだよー。バイバイ、グロウラー」

 

「あ……ぁあ、ライ…ノ……。」

 

ライノがこちらに背を向けて自分のドーターへ歩いて行く。ライノが離れて行ってしまう。痛みに耐えて手を伸ばしても届きはしなかった。

視界が段々と暗くなっていく。ドーターに乗り込む直前に振り向いたライノがどんな顔をしていたかも分からない。

世界が闇に包まれるようだ。何も見えなくなっていく。

 

そして私は意識を手放した。




グロウラーが撃たれた後に悲鳴とか痛みに苦しむ描写を書いてたけどリョナっぽくて不快になる人が居そうだったからカットダゾ
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