私の新しい仕事はハンターです   作:abc2148

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死闘

最初に狙われたのは隊列の先頭にいたカムイだった。クイーンは翅を震わせ攻撃してくる。その動作はこれまで見たランゴスタの攻撃に酷似しており速度も速くはない。

 

だが遅いわけではない。それに加えて見上げる程の巨体が迫ってくる。悠長にしている暇は無かった。

 

「突進、避けろ!」

 

その言葉を聞いたヨイチ達とカムイは身体を投げ出すようにして突進を回避、四人がいた空間を巨体が過ぎ去り置き土産と言わんばかりに突風を起こした。

 

何とか生き残ったとカムイが気を緩めた瞬間、後ろから聞き慣れた音が迫って来た。振り向くと同時に手にしたハンマーを振るう、だが武器を持った手からは何も感じない。

 

ーー避けられた。

 

ハンマーを構えた先にいたのは飽きる程目にしたランゴスタ。だがその大きさは女王に及ばずともかなりの巨体。それだけでも恐ろしい個体、だが相手は一匹だけではない。

 

「嘘だろ……」

 

誰が言ったかは分からない、だかその気持ちは痛い程分かる。群れの中で一際大きく成長したランゴスタが何体も女王に付き従っているのだ。さながら女王を守る親衛隊、その数は十は下らない。

 

止めがカムイ達が来た通路から聞こえてくるランゴスタ達の羽音だ。その音は少しずつ大きく、この空間に来るのも時間の問題……いや、遅かった。通路から次々とランゴスタが湧いてくる。その数は沢山としか言いようがない有様。

 

「嫌だ、死にたくねぇ、死にたくねぇよ!」

 

「煩い!そんな事よりどうするか考えろ!」

 

「じゃあお前が何か考え……」

 

「解毒剤は持っているか!」

 

圧倒的な彼我の戦力差に絶望し自棄になりかけたヨイチ達を一喝して黙らせる。ここで呑気に話し合いする暇は無い。注目を集め、矢継ぎ早に命令を下す。

 

「あ、あぁ、持ってるぞ」

 

「毒煙玉を撒け!この部屋の中を毒で満たせ!」

 

「そんなことしたら俺たちまで!」

 

「何のための解毒剤か!一気に全部使うな、毒も薬も考えて使え!そして逃げ回れ、捕まるな、時間を稼げ!」

 

「カムイはどうすんだ!」

 

「俺は女王の相手をしながら逃げ回る!通路から出て来る奴がいなくなったら巣から出る、分かったか!」

 

馬鹿正直に戦っては数の暴力で蹂躙されるだけ、だから戦場を毒で満たして数を減らす。狂ったとしか言い様がない策、だが数を減らさなければヨイチ達では捌き切れない。湧き出る雑兵をこれでどうにかしなければ待っているのは死だけ。そしてこの場で女王を相手に時間稼ぎが出来る可能性があるのはカムイしかいなかった。

 

「来い、デカブツ!」

 

自分を奮い立たせる為にもカムイは吠えた。その言葉を言い終わるのと同時に辺り一面が紫、毒で覆われた。解毒剤を口に含んだカムイの耳が蟲達の断末魔を拾う。女王の出す旋律も合わさり世にも恐ろしい交響曲が完成した。

 

それを背に受けカムイは走り出す。だが女王には向かわず、その周囲を走り回るだけ。そもそも目的は時間稼ぎであって戦い勝つ事では無い。ヨイチ達も各々が逃げ回り戦闘を極力回避している。戦う場合も毒に当てられフラフラと飛びながら近付いて来た個体に限られている。

 

こうして時間を稼ぎ通路から湧き出る雑兵がいなくなるまで戦い続ける。成功する保証は何も無く、しかしそれ以外にここを乗り越える策を誰も思いつかない。だからその策にヨイチ達も、発案者であるカムイも乗るしかなかった。

 

そうしてカムイは女王と対峙する。自在に蟲達を操るこの存在を自由にさせない為に。

 

しかし女王にしてみればこれ程目障りな存在は無い。纏わり付いた邪魔者を駆除する為にその巨体をしならせ、毒針を突き出す。女王の巨体から繰り出された攻撃は間合いの長さと巨大な針も合わさって最早槍だ。そして槍の先にはランゴスタと同じ様に毒に濡れている。もし少しでも擦ればその瞬間に自由を奪われ死ぬ。避け損ねれば巨大な針に貫かれ死ぬ。

 

その恐るべき一撃をカムイは全身を使い転がるように回避した。そして武器を構え直した目の前には引き戻す前の無防備な腹部があった。それを見逃す事なく引き戻される前にハンマーを全力で振るう。だが武器を振るった手に伝わって来たのはランゴスタを潰した感触とは程遠いもの。

 

「クソッタレ!」

 

全く効かない。見ればハンマーで殴った部分の甲殻は割れず、逆に跳ね返って来た衝撃に手を痛める有様。それでもと女王の身体に伝わった筈の衝撃は巨体に吸収され、なんの痛痒も与えられなかった。

 

威力が足りない、根本的に威力の元になる武器が小さすぎるのだ。コレでは例え百回、千回振って当てたとしても無意味だ。

 

女王が何かされたのを感じたのだろう。頭部を動かし自らの腹部を覗き込んだ。その視線の先にいたカムイはその眼を見た、見てしまった。カムイを見つめる眼ーー複眼からは感情を窺い知る事は出来なかった。そもそも蟲には感情、怒り、恐怖、憎しみさえ無いのだ。そこにあるのは機械じみた本能だけだ。

 

カムイは直ぐに武器を引き戻し距離を取ろうと走り出す。今出来る事は逃げ回る事くらいしかない。だがそれを見過ごす程相手は愚かではなく、追撃として親衛隊が差し向けられた。

 

空間に満ちた毒に当てられランゴスタは次々と堕ちていくが、親衛隊は違う。確かに毒は効いている、動きが目に見えて遅くなっているのが証拠だ。だがそれだけ、堕ちる気配は無く、女王に至っては何の変化も起きなかった。

 

毒に身を蝕まれていながら迫り来る親衛隊と戦う。例え動きが緩慢になろうとも女王に次ぐ巨体から繰り出す攻撃は脅威だ。突き出された針を躱し、代わりにハンマーを身体に打ち込み潰していく。それを差し向けられた親衛隊全てに行う。

 

一手間違うだけで死ぬ攻防を連続で休む暇も無く続ける。精神と体力がガリガリと擦り減っていく。

 

ーーどうすればいいんだ!

 

声に出さず、胸の内で叫んだ。武器も毒も効かない。戦いにすらならない攻防をあとどれ程続ければいいのか。

 

通路から出で来たランゴスタは毒に蝕まれて次々死んで行く。足の踏み場も無い程の死骸が時を重ねるほどに増えていく。だが後どのくらいの数が残っているのか。あと一分、一時間、一日待てば尽きてくれるのか。

 

そして戦い続ける内に入り乱れた思考の隙を女王は見逃さなかった。だがそれは体当たりでも毒針を突き刺す動きでもなかった。毒針の先をカムイに向け何かを発射。思考の乱れたカムイはそれに気付くのが遅れた。回避は出来ない、直撃する。それを理解すると羽織っていた毛皮を広げ包まる事で防いだ。

 

ビチャリと毛皮に何か液体の様なものが付いた。その瞬間、鼻に突き刺さるような刺激臭を感じ取った。だが匂いはオマケ、本当の恐怖は

液体が付着した毛皮から起きた。

 

ぼとりと何かが落ちた。地面を見ればそれは毛皮だった。悪寒を感じて羽織っていたアオアシラの毛皮を確認する。見れば液体が付着した部分が溶けて、いや、腐れ落ちていた。

 

「うわぁあああ!?」

 

直ぐ様羽織っていた毛皮を脱ぎ捨てる。腐食液、物を溶かすのでは無く腐らせる液体を女王は打ち出した。その事実と近距離に加え、遠距離攻撃が出来るとは想像出来なかったカムイは慌てふためき大きな隙を晒してしまった。

 

それは致命的だった。敵対者の隙を見逃す事なく女王は攻撃、その巨体から繰り出された体当たりをカムイは避ける事が出来なかった。遠く積み重なったランゴスタの死骸まで吹き飛ばされた。

 

「カムイ!」

 

それを見ていたヨイチは叫んだ。遠く死骸に埋もれたカムイは身じろぎ一つせず動かない。この状況にあって柱であるカムイが死ぬ可能性にヨイチ達は恐怖する。何より今まで持ちこたえられたのはカムイが女王を押さえていたからだ。ヨイチ達では女王の相手は務まらない、それを何よりも本人達が理解していた。

 

「俺が助けに行く、それまで捕まるな!」

 

ヨイチが声を張り上げ折れそうになった仲間を叱咤する。そうしてカムイに向かって走り出した。カムイの代わりがヨイチに務まるとは本人さえ思っていない、だがあと少しなのだ。通路から出て来る数は目に見えて減った、後少しだけ耐え切れば生き残れる。その為にはカムイの力が必要だ。いざとなれば抱えて指示だけでも出してくれればいい。だがその行く手に親衛隊が立ち塞がった。

 

「邪魔だ、どけぇ!」

 

叫び構えた剣を振るう。だが毒に蝕まれ動きが鈍った筈なのに剣が親衛隊に届く事は無かった。何より追い払う筈が気が付けば親衛隊に囲まれてしまった。

 

絶望はそれだけに終わらない。ヨイチを新たな敵と定めた女王がゆっくりと近付いて来た。

 

「う…、あ…、あ、あああ!」

 

剣を持つ手は震え、口からは言葉にならない叫びが出る。腹の底からは胃液がよじ登り、全身から冷汗が止めどなく溢れてくる。

 

想像出来てしまった。生きたまま身体をその顎門で散々に引き千切られる様を明確に想像出来てしまった。それから逃げ出す為にヨイチは身体を必死になって動かそうとする。だが両足は、腕は、身体は岩のように固まって動かない。思考だけが虚しく空回りを続けていた。

 

ーー死ぬしかない。

 

避けられない絶望がヨイチを満たし

 

「アハハ!」

 

死地に相応しくない嗤い声が聞こえてきた。

 

 

 

 

「これは何ですか」

 

「気付け薬ですよ」

 

カムイの手の中には黒い丸薬があった。それはケンジから渡されたもので初めて目にする代物だった。

 

「とはいってもその丸薬の効用はそんな単純な物ではありません。カムイ君は村にモンスターが襲ってきたときどうしているか知ってますか?」

 

「村の男衆が総出して迎討ちます」

 

「そうです。しかし村に住む者は皆が皆モンスターを恐れています。それなのに武器を持ったとしてそのまま戦えると思いますか?」

 

「何が言いたいのですか」

 

「この丸薬は恐怖を失くし、闘争心を掻き立て、痛覚を鈍くさせ、そして身体の枷も外してしまいます。例えモンスターに噛み付かれたとしても痛みに泣き叫ぶことはなく、逸る闘争心のままに体が壊れるまで戦い抜く事が出来ます」

 

「ケンジさんそれは……」

 

危険薬物ーー麻薬というべきものではないのか。

 

「これを作り、その時が来たら渡す。此処までが私の役割です。だからコレは使わないほうがいいのです。ですがカムイ君に必要な物かもしれません。だから渡しておきます」

 

使いどころを間違わないでください。そう言ったケンジさんの表情はどんなものだったか、思い出そうにも頭に靄がかかった様で思い出せない。身体もあちこちが痛んで動かすだけで激しい痛みが襲ってくる。しかしそれは些細な問題、なにより一番の問題は心だった。心が恐怖で潰れそうに、いや潰れてしまった。

 

立て、動け、戦え、諦めるな、理性が頭の中で何度も吠える。

 

立つな、動くな、逃げろ、諦めろ、理性が頭の中で何度も吠える。

 

そして恐怖で固まった体は命令を受け付けない。出来ることは精々腕を動かすくらい。

 

だから使った。動く片手で懐を探り、丸薬を取り出し、口に含んで嚙み砕いた。苦いような辛いような甘いような分からない味を舌に感じた。

 

この薬の効果は、副作用は教えて貰った。その全てを承知の上で使う。恐怖を消し、偽りの闘争心を創り出し、痛みを消し、そして身体の枷も外す。

 

そうして心と理性を従えた、これで奴と戦える、奴を倒すために動く事が出来る。

 

だけど本当は戦うため、倒すためじゃない。ただ生き残るために動く筈だった。なのにその考えはいつのまにか融けてしまっていた。

 

 

 

 

絶望を前にして立ち上がったカムイの姿を見たときヨイチは安堵した。これであと少しで耐えれば生き残れる、そう思っていた安堵した筈だった。

 

「アハハ!」

 

「カ、カムイ…………」

 

ヨイチは立ち上がったカムイを見た。血を流し、身体は蟲の体液に汚れ、武器を、身体を引き摺り、それでも顔を歪ませ声高に嗤っていた。

 

辺りの空間には毒が満ちている。そこにランゴスタの屍が積み上がり、砕かれ、まき散らされている。さながら地獄のように。ならばその中で立ち上がり、顔を歪ませ、声高に嗤う子供は一体何なのか。

 

恐ろしかった。モンスターと同じようにカムイを恐れてしまった。

 

「ハハハハハ!」

 

カムイはそんなヨイチの気持ちを知らず嗤って走り出した。向かう先は女王、誰から見ても無謀な行い。そしてそれを見て黙っている女王ではない。再び敵となった存在に攻撃を行う。巨体を用いての体当たり、毒針による突き刺し、腐蝕液による攻撃。それらに加えて親衛隊がカムイを襲う。

 

「アハハ!」

 

だがそれを理解していないのかカムイは嗤いながらそれらを回避していく。その動きは戦い始めの頃よりも速く、明らかに身体に無理をさせている。だがそのお陰で容易く女王の間近に迫る事が出来た。そして腹部に何かを突き刺した。それに終わらずハンマーを突き刺した箇所に打ち込んだ。

 

女王が鳴く。それは痛みに対しての悲鳴なのか、身体を傷付けたモノに対しての怒りなのかヨイチには分からない。

 

ハンマーを振り切ったカムイは距離を取り近くにあったランゴスタの死骸を漁る。そしてある物を引き抜いた。

 

「あれはランゴスタの毒針……」

 

ヨイチは理解した。カムイはランゴスタの針を女王の腹部に打ち込んでいたのだ。毒針を甲殻の隙間に突き立てハンマーで打ち込む。それだけをカムイは何度も何度も繰り返している。突進を避け、毒針を避け、腐食液を避け、その腹部にー甲殻の隙間に針を突き刺しハンマーで打ち込んだ。立ちふさがる親衛隊は避けるか潰していく。

 

ーー正気じゃない

 

だがクイーンランゴスタが動くたびに筒状になっている針からは体液が、組織が、何よりも命が流れていく。穴が連なった箇所は内圧によって繋がり大きな裂け目となる。そこからさらに多くのものが流れ出ていく。

 

狂気に支配されたその戦法は、しかしクイーンランゴスタには有効だった。流れ出た命に引き摺られるように動きは緩慢に、何より旋律が弱まった。

 

「今だ!生き残った虫ケラを殺せ!」

 

ヨイチは叫ぶ。カムイについて考える事を辞め、巡ってきた機会を逃さず掴み取る。それを聞き届けた残りの二人は逃げるのを辞め剣を取り戦い始めた。連携を失い、生き残っているのは毒で弱り切った個体だけ。此処で殺し尽くすとヨイチ達は決めた。

 

ヨイチ達が数多い雑兵を、カムイが女王と親衛隊をそれぞれ相手にして戦う。斬って、潰して、避けて、ぶつけて、踏み潰して。そして雑兵を、親衛隊を殺し尽くし女王の命は尽きようとしていた。

 

だが女王はそう易々と膝を屈する事は無かった。死の間際に行った体当たり、それは遠く離れたカムイならば簡単に避けられる筈だった。だがカムイの脚はこれまでの酷使で既に限界を超えていた。

 

避ける事は出来なかった。死に掛けの女王が吹き飛ばしたカムイに覆い被さり、その咢で頭蓋を砕こうと弱弱しい旋律を響かせ迫る。それをカムイは片手で持ち上げたハンマーを咢に突き立てることで阻止、女王の牙はカムイに届かない。

 

だがそう長く持ちそうにない。武器の柄からメキメキと金属の悲鳴が聞こえてくる。持って僅かな時間、その間にこの状況を何とかしなければならない。

 

その方法は唯一つ、一刻も早く女王の命を奪う事。そのためにカムイは動く片手でナイフを取り出し迫る頭部に突き立てた。だが頭部を守る甲殻は固く貫けない。ならばとカムイを噛み砕こうとする咢に、鋭い牙を動かす甲殻に守られていない剥き出しの筋肉に、間近に迫った複眼にナイフを突き立てた。

 

ナイフを突き立てるたびに肉片が、体液が、組織が飛び散りカムイの顔を汚す。それを何度も何度も繰り返す。だが出来たことは片方の牙の動きを奪う事と片目を潰しただけ。女王の命は奪えなかった。

 

そしてこの勝負に勝ったのは女王だった。突き立てていたハンマーの柄が曲がり、そして折れた。その瞬間ナイフとハンマーは吹き飛ばされ、遮る壁を破った咢がカムイの顔めがけて迫る。

 

それをカムイは咄嗟に左手を突き出すことで目前に迫った死を止めた。だがそれだけ、状況は何も変わっていない。突き出され口内に入り込んだ手を腕を潰そうと女王の咢が閉じられた。

 

小手はその瞬間に潰されることは無かった。だが武器と同じように腕を守る小手、アオアシラの甲殻からはメキメキと悲鳴が聞こえてきた。

 

ーーどうすればいいのか。

 

融け残った理性が打開策を考え付くよりも前に、女王の潰れた片眼に無意識に右手を突き刺した。それは明確な考えがあっての事ではない。だがそれ以外に出来る事、考え付くことが無いのも事実。

 

メキメキと咢に挟まれた小手が鳴る。

 

ズブズブと眼に突き刺した手が進む。

 

これが二回目、最後の勝負。女王がカムイの頭蓋を砕くのが先か、カムイが女王の命を奪うのが先か。

 

カムイが叫び、女王が鳴く。両者の声にならない叫びが空間に反響していく。

 

女王の咢が邪魔立てする腕を押し切り頭蓋を砕こうと迫る。そしてカムイの手は蟲の眼を、頭を、肉を、神経を掻き分けて先に進んでいく。

 

そして先に到達したのはカムイ、掻き分けた先にあった何かを指先に感じ、五指で掴んだ。

 

「ああああああああ!」

 

その掴んだ何かを力の限り引き抜こうとする。腕を動かす度に何かが千切れる音が体を通して聞こえてきた。それが自分の体から出たものなのか相手の体から出たものなのか分からない。

 

だが二回目の勝負はカムイが勝った。抜き出したものは何か分からない、だが目前に迫っていた咢は動きを止め、僅かに聞こえていた旋律も止んだ。

 

女王が死んだ。融けた頭でもそれくらいは分かった。

 

そして辺りに静寂が満ちた。この空間にいた蟲は息絶え、その中で聞こえるのは人間の息遣い、そして嗤い声だ。

 

「アハハ!」

 

カムイの嗤い声が一際大きく空間に木霊した。




書いていて思った、これモンハン?vsエイリアン(弱体化)みたいになってしまった。

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