もしかすると、投稿ペースが落ちるかもしれません。
目標としては、二週間に一話、出来れば良いと思っています。
深夜の暗い夜道を歩くジンと霊夢の姿があった。
二人の周囲には、辺りを照らすジンの方術の光があった。
「悪いわね、こんな時間にまで付き合わせて」
「これくらいお安いご用だ。それにしても、こういう時は幻想郷は不便だな」
「確かにね。以前行ってみた外の世界みたいに、明るければいいんだけど」
「うーむ・・・流石にそれは難しいと思うな。色々と設備やエネルギーが必要だし」
「そうよねぇ・・・・・・あ!」
「ん?」
二人は不意に、夜空を見上げた。すると夜空に、大きな流れ星が落ちて行った。
あまりにも大きな流れ星に、二人はしばらく、呆気に取られていた。
―――――――――――
翌日、昨夜の流れ星の事について、遊びに来ていた魔理沙と華仙を交えて話をしていた。
「それにしても、昨日の流れ星は凄かったな」
「あんな大きな流れ星は初めてみたわ。もしかして、燃え尽きず、何処かに落ちたかも」
「それはそれで、被害が凄いと思うんだけ・・・・・・」
「でも、落ちていないんじゃないか? もし落ちていたのなら、新聞に載っているはずだ」
「載ってなかったの?」
「ああ、流れ星が流れたぐらいしか、書かれていない」
「でも、あの大きさなら、燃え尽きずに落ちていてもいいと思うんだが・・・・・・」
「もしかしたら・・・幻想郷じゃなくて、外の世界に落ちたのかもしれないわね」
「そうか、それなら拾いにいけないな・・・・・・。あーあ、貴重な鉱石が手に入ると思ったんだけどな」
「え? 何で拾いに行けないの?」
「「「え?」」」
華仙のその一言に、三人は目を丸くした。
「あれ? 私、何か変な事言った?」
「変っていうか・・・意外だな、華仙が幻想郷の結界について知らないなんて」
「まあ、結界について詳しい奴なんて、紫ぐらいなものよ。
とりあえず説明するけど、幻想郷の結界は、常識と非常識を分ける結界で、そこには明確な壁は無いのよ。
どこまで行っても端には辿り着かない、閉鎖空間なのよ」
「流れ星の光は見えたのに、変な話よね」
「私も詳しい事は知らないわ。どうしても知りたいのなら、紫にでも聞いてみれば?」
「そうね、機会があれば是非教えて貰いたいわ」
そう言って華仙は、何処までも透き通る青空を見上げた。
―――――――――――
それから数日後。ジンは寺子屋から帰る途中、広場で人だかりが出来ていた。
「一体何をしているんだ?」
興味本意で近づくと、そこには早苗が台の上で、何やら演説をしていたのである。
「皆さん! 先日の閃光は妖怪の仕業ではありません! 客星の一種! 神の奇跡なのです!
しかし、安心してはいけません、神の意向に無視すれば、たちまち天罰が下ることでしょう!」
早苗は人々に安心させるように言った後、再び不安を煽る。そうして人々の信仰を集めていたのである。
(だが、やり方が胡散くさいぞ・・・大丈夫か守矢・・・・・・?)
そんな心配をしていると、肩を叩かれる。振り向くとそこにはにとりがいた。
「こんなところで何してるのジン?」
「にとりか、ちょっと人だかりが気になってね」
「あー、守矢の勧誘だね。ちょっと詐欺ぽいけど」
「詐欺とまではいかないが、俺から見ても胡散くさげだがな。
それよりも、俺に何か用か?」
「まあそうだね。ジンに折り入ってお願いがあるんだ」
「俺に?」
「ライって電気トカゲいるだろ。それを貸して欲しいんだ」
「ライを? 何でまた?」
「これを動かす為さ」
そう言って、にとりは一枚のチラシを取り出した。そこに書かれていたのは、プラネタリウムの宣伝が書かれていた。
「プラネタリウム!? そんな物が幻想入りしたのか!?」
「結構前に流れ着いてね。最近ようやく修理が終わったんだ。そしてこの前の流星騒ぎで、人々は良くも悪くも星に関心を持ち始めた。これは商売のチャンスだよ」
「そうか、ライを借りたいのは、稼働させる為の電力が欲しいって訳だな」
「御名答! 山から離れると、電力の供給がままならないからね」
「わかった、頼んでみる。その代わりと言ってはなんだが・・・・・・」
「ん?」
「優先チケットくれないか? 是非見てみたいんだ」
そう頼むジンに、にとりは笑顔で応じてくれた。
「それくらい御安い御用さ、なんなら何人分かの優先チケットをあげるよ。それで皆と見に来てよ」
「本当か? ありがとうにとり!」
「いえいえ、御越しを快くお待ちします♪」
にとりは笑顔で、ジンにチケットを手渡すのであった。
―――――――――――
神社に帰って来たジンが見た物は、何やらゴムチューブを持っている霊夢と、頭を抱えている華仙の姿があった。
「二人とも、一体何をしているんだ?」
「ああジン、いいところに。貴方からも何か言ってちょうだい」
「へ?」
「霊夢がまた、詐欺紛いの商売をしようとしているのよ」
「何だって!?」
「詐欺とは失礼ね。これはれっきとした商売よ」
「何処がよ! 一昔の噂を流し、人々の不安の煽い、それに付け込んで、しょうもないゴムチューブを売りつける! 何処からどう見ても詐欺じゃない!」
「詐欺なの?」
「詐欺かどうかは、その噂によるが・・・一体どんな噂を流そうとしたんだ?」
「えっとね、昔、彗星が近づくと、数分間空気が無くなる噂が流れたらしいじゃない。だから、もう一度その噂を流せば――――」
「まさか・・・・・・空気が無くなる対策として、ゴムチューブを売りさばくと?」
「その通り!」
霊夢の自信満々の声に、ジンと華仙は頭を抱えた。
「それは完全な詐欺だぞ霊夢。それに霊夢は、空気が無くなったらどうなるか知っているのか?」
「知らないわよ。一体どうなるの?」
「まず、気温がマイナス十度以下になる。空気には地球を暖める二酸化炭素があるから、これが無くなると気温が上がらなくなる」
「そっか、それなら防寒具も売れそうね」
「それどころじゃないわよ! 作物は育たなくなるし、動物の大半は凍死するわ!」
「あと、オゾン層も無くなる。
オゾン層には、太陽から発せられる有害な紫外線を防ぐ役割があるんだ。これが無くなると、有害な紫外線が直接地表に照らされる」
「照らされるとどうなるの?」
「酷い日焼けや、皮膚病になったりする。それに眼だって悪影響が出る」
「ふーん、意外と大変なのね」
「・・・・・・あと最後に、体が破裂する」
「・・・・・・へ?」
「は、破裂するの?」
体が破裂するという言葉に、霊夢は持っていたゴムチューブを落とし、華仙は戦慄を覚える。
「空気が無くなると、気圧も無くなるから、破裂するんだ」
「ちょ、ちょっと! それじゃゴムチューブなんか意味ないじゃない!」
「だからさっきも言っていただろう? それは詐欺だって」
「ど、どうしようジン? もし彗星が来て、空気が無くなったら――――」
「地球上の生き物は絶滅だわ!」
二人は事の重要さに、慌てふためく。そんな二人を安心させるように、ジンは次の言葉を言う
「落ち着け二人とも、そもそも彗星が近づいたら、空気が無くなるというのは、完全なデマだ」
「え? そうなの?」
「ああ、ハレー彗星が近づいた時も、何の影響もなかったからな」
「なーんだ、焦って損しちゃった」
「だけど当時は、それなりに騒ぎになってな。それに乗じて詐欺を行う者や、自殺するもの、更には不安に付け込こまれ、邪教徒になってしまった人もいるんだ」
「なんか、話を聞いていると、噂を信じてしまった人は哀れね・・・・・・」
「そうだな、だから俺としてはこんな商売はして欲しく無いんだ」
「・・・・・・はあ、わかったわよ。話を聞いてたら、なんだか馬鹿らしくなったわ」」
霊夢はやる気を無くしたように、その場に腰を下ろして座り込んだ。
「まあそんな落ち込むなって、こんなのは外から来た俺だから知っていたことなんだ。幻想郷の中じゃ、なかなか知り得ないさ」
「それはそうだけどさ・・・・・・」
「なんだったら、これから知ればいいんだろ」
そう言って、ジンはにとりから貰ったチケットを霊夢に見せる。
「それは?」
「にとりから貰ったチケットだ。近々プラネタリウムを公開するらしいんだ」
「そう言えば、そんなチラシを配っていたわね」
「そのプラネタリウムって?」
「簡単に説明すると、星を映し出す機械の事だ」
「星なんて、夜になればいつでも見れるじゃない」
「季節によっては、見れない星もあるんだ。だけど、プラネタリウムならどんな季節の星をいつでも見れる」
「ふーん・・・・・・」
「一度でもいいから、見てみないか? どうせタダなんだし」
「まあ、それもそうね。試しに行ってみるのも良いわね」
「よし決まりだな。華仙も一緒にどうだ? 絶対に損は無いから」
そう言って、華仙にチケットの一枚を手渡す。
「え? 良いの?」
「いいって、こういうのは皆で楽しむ物なんだから」
「そう・・・それならありがたく貰うわ」
「ああ、損は無いから、楽しみにしてくれよ」
そう言ってジンは、自分は満面の笑顔をするのであった。
―――――――――――
プラネタリウム公開当日。
人里から少し離れた場所に、巨大な天幕が張られていた。
人々はプラネタリウムを見に、天幕の回りに集まって行く。その中には、博麗神社一行の姿もあった。
「結構来ているのね・・・・・・忌々しい事に」
「仕方ありませんよ。なんたって、星空を写し出す道具が公開されるんですから、皆さん興味津々なんですよ」
「興味ねぇ・・・うちでも何か新しい事でもしようかしら・・・・・・」
霊夢と妖狐がそんな話をしていると、サニー達がジンがいない事に気がついた。
「そう言えば、ジンは?」
「あれ? いつの間にいなくなってる?」
「迷子かな?」
そう考えるサニー達に、針妙丸がジンの言伝てを伝える。
「ジンなら、少し用があるって、ライを連れて何処かに行っちゃったよ」
「まったく、あいつと来たら・・・・・・」
「まあ、ジンさんの能力があれば、私達が何処にいるか辿って来れますから、心配無いと思いますよ」
「それもそうね、それじゃ今のうちに列に並んでおきましょ」
霊夢達は先に、長い列へと並ぶのであった。
―――――――――――
一方ジンは、ライと共に一足先に天幕の中に入っていた。
「充電の方はどうだにとり?」
「うん! バッチリだよ! これなら公開中に電源が落ちる事は無いよ」
「そうか、お疲れ様ライ」
「ギィ」
ジンはライに手を差し出すと、ライはそれを伝って肩に昇った。
「それじゃにとり、俺は外に戻るからな」
「え? 別にここで待ってても良いんだよ?」
「他の皆が待っているのに、一人中で待つことなんて出来ない」
「ジンって、本当に律儀だね。まあ良いさ、待つのも楽しみの一つだしね」
「そういう事だ。それじゃ頑張れよにとり」
そう言って、ジンは天幕から外に出た。
「さーて、皆の所に戻ると――――ん?」
ふと、視線の先に正邪の姿があった。実は彼女も誘ったのだが、行かないと突っぱねられたのである。
(大方、留守番がつまらなかったんだろうな。やれやれ、面倒くさい性格だよな・・・・・・)
そう思いながら、ジンは正邪に近づいて行った。
「正邪」
「げっ、ジン・・・・・・」
「こんなところで何をしているんだ?」
「べ、別にどうだっていいだろ」
「やれやれ・・・・・・ほら」
そう言ってジンは、チケット一枚を正邪に差し出した。
「一枚余ったんだ。いらないから正邪にやる」
「は? 私は別に――――」
「別にプラネタリウムを見たく無いのなら、その辺の誰かに売っても良いし、捨てても良い。どうするかはお前に任せた」
「あ、おい!」
ジンは正邪にチケットを手渡すと、さっさと霊夢達がいる場所へと戻って行った。
―――――――――――
霊夢達のところに戻ると、霊夢達の他に華仙と魔理沙の二人もいた。
「あ、ようやく戻って来たわね。一体何処に行ってのジン?」
霊夢にそう訪ねられた。どうやら心配させてしまったようである。
「いやちょっとライと一緒に、にとりの手伝いをしてな。
それよりも、華仙と魔理沙も来てくれたんだな」
「ああ、せっかくチケット貰ったんだし、行かないわけにはいかないぜ」
「そうね、私もプラネタリウムには興味があるもの」
「それはチケットをプレゼントした甲斐があった物だ」
そんな話をしていると、受付の河童の声が響き渡る。
「まもなく開演です! 御越しの方は、チケットを持って受付まで御越しください!」
その声と共に、列が動き出し、次々と天幕の中に入って行った。
「おっ、ようやく入れるみたいだな。それじゃ皆、行こうか」
ジン達は長い列の動きに沿って、受付へと向う
受付にチケットを見せ、中に入り用意された席に座る。
しばらくすると、ブザー音が響くと同時に、天幕の灯りが落とされ、辺りは闇に包まれる。
しばらくすると、天井に星が映し出された。
「うわぁ・・・・・・」
「すごーい! 本物みたいー!」
「偽物の星だと思っていたけど、中々の良いできね」
「これは凄いですね・・・・・・」
「うん! 凄く綺麗だね!」
「確かにな、下手すれば本物の夜空より凄いかも知れんな」
「外の技術は凄いものかも知れないけど、それを直す河童の技術も相当な物ね」
「・・・・・・」
初めて見るプラネタリウムに、一同は呆気に取られていた。
しばらくすると、星座が映し出された。
《こちらに見えるのは伊吹童子座。冬に見れる三つ星が有名な星座で―――》
「伊吹童子座? オリオン座じゃなくて?」
解説を聞いているジンは、首を傾げた。自分が知っている星座と、まったく違う星座が紹介されていたのだから。そんな疑問を抱いていると、魔理沙が教えてくれた。
「どうやら、このプラネタリウムでは、妖怪の星座を教えているみたいだな」
「妖怪の星座? そんなのがあるのか?」
「そうだぜ。と言っても、星座に正解もへったくれも無いがな」
「妖怪の星座か・・・それは面白そうだな」
妖怪の星座を興味を持つジン。その間にも、プラネタリウムは次々と妖怪星座を写し出していった。
《そして最後に紹介するのは天龍座。これは他の星座と異なり、今も生きている龍なのです》
「今も生きている・・・本当に?」
「流石に与太話だろこれは」
「与太話なんかじゃないわ」
「華仙?」
「これは本当の話よ。龍は地面から空を昇り、天を支配しようと今も昇り続けているのよ」
「今もって・・・何処まで行くんだ?」
「それは解説を聞いてれば、分かるわよ」
そう言って、華仙はプラネタリウムを見続けた。ジンと魔理沙も、解説に耳を傾けた。
《この龍は、北の空に輝く天の星―――北極星、またの名を不動星を喰らいに行こうとしている最中なのです。そして――――》
すると今まで微動だしなかった天龍座が突如動きだし、光輝く不動星を喰らう。
《天龍が不動星に食らいついた時、天下を揺るがす何かが起きるでしょう》
その瞬間に、暗い星空が割れ、光が天幕内に照らされた。
―――――――――――
プラネタリウムが終わり、ジン達は天幕の外に出た。
「いやー、凄かったなー。特に最後の天龍座」
「そうね。まさか動くとは思わなかったわ」
「中々の迫力だったな」
「ギィギィ!」
「ライもそう思うか、お前もいつか立派な龍になれると良いな」
「ギィ!」
「ところで、霊夢の姿が見えないんだけど」
「霊夢さんなら、サニー達や針妙丸と一緒に、天体グッズを買いに行きましたよ」
「あの子ったら・・・・・・」
「まあ何はともあれ、霊夢にも喜んでくれたようで、良かった。ところで華仙」
「ん? なにかしら?」
「さっきの解説が本当なら、あの龍が不動星を喰らうのはいつ頃なんだ?」
「さあね、明日かも知れないし。十年後かも知れないし、百年―――いえ、千年後かも知れないかも知れないわね」
「千年後か・・・・・・それじゃ、何が起こるかわからないな。人間の寿命は百未満だからな」
「そうねぇ・・・・・・」
「なら不老不死になれば良いだろ? 華仙に修行を受けているそうじゃないか」
そう言う魔理沙に対して、ジンは首を横に振った。
「いや、俺は人間のままで良い。長生きし過ぎると、また大切な家族を失う悲しみを味わいそうで、怖いからな」
「ジン・・・・・・」
「おーいみんなー」
すると霊夢の呼ぶ声がした。彼女の所に行くと、天体暦表を見せながらある提案をした。
「今度みんなで、流星群を見ない? この日辺りにふるらしいって」
「そうなのか? だったら見に行かないと損するな」
「そうだ、せっかくだから香霖の奴も呼んで、流星群を見る会を開こうぜ」
「「さんせーい」」
すっかりノリノリのジンと霊夢と魔理沙の姿を見て、華仙は微笑ましく思うのであった。