タイトル通り、今回はあの姉妹がでます。
季節が、夏から秋へと移り変わろうとするある日。サニー達と針妙丸が、落ちていくる紅葉をキャッチする遊びをしていた。
なかなかキャッチ出来ない葉をようやく捕まえたルナは、葉を見てこう呟いた。
「どうして葉は、秋になると色が変わるのかしら?」
その一言に、サニー、スター、針妙丸の三人は動きを止めた。
「どうしてって・・・・・・」
「それはそういうものじゃない? 青や紫だと気持ち悪いじゃない」
「それなら、ずっと緑のままでも良いと思うけど」
「言われて見れば、そうだね・・・どうしてだろう?」
「「「うーん・・・・・・」」」
針妙丸、ルナ、スターの三人は唸りながら考えた。そんな時、サニーは三人に言った。
「やれやれ、三人とも仕方ないわね。このサニー様が、その謎を明かして上げるわ!」
「え? サニーは知っているの?」
「知らないわよ」
サニーの言葉に、三人は思わずズッコケてしまう。しかしサニーはそんな事を気にせず、言葉を続けた。
「知らないけど、知っている人を知っているわ。その人に聞けば、一発でわかるはず」
「結局、他力本願じゃない」
「まあ、サニーだから仕方ないわ・・・・・・」
「さあ行くわよ三人とも!」
こうしてサニーを先頭に、ある人物の元に向かうのであった。
―――――――――――
博麗神社の境内を掃除をしていたジンに、サニーはこれまでの敬意を話した。
「そういう訳で、教えてジン!」
サニーが言っていた、知っている人物というのはジンであった。
彼はこれまで、サニー達が疑問に思った事や、不思議に思った事を、いつも分かりやすいように説明してくれるので、スッカリ物知り博士が定着していたのである。
しかし、今回ばかりはジンは難しい顔をしていた。
「うーん・・・葉の色が変わる理由か・・・・・・少し難しいな」
「難しい?」
「もしかして、ジンも知らないの?」
ルナがそう訪ねると、ジンは首を横に振って答える。
「いや、メカニズムはある程度理解はしているが、それを説明するとなると非常に難しいんだ。結構専門用語が出るからな」
「せ、専門用語・・・・・・」
「そうだな・・・まあ、大雑把で良いのなら、説明出来るが・・・・・・」
「それでお願いします!」
「よし分かった。それじゃ、何故葉の色が変わるかと言うと、それは日照時間が短くなってしまうのが、原因の一つだ」
「日照時間?」
「日照時間というのは、言葉通り日に照らされる時間のことを言う。秋になると、この時間が徐々に短くなっていくんだ」
「どうして日照時間が短くなるの? 太陽はいつも出ているのに」
「確かに太陽は出ている。だけど、この時期は太陽が高く上がらなくなっている。つまり、昼の時間が少しずつ短くなっているんだ」
「ええ!? 昼が短くなっているの!?」
「ああ、何故短くなるか説明すると、色々と説明が長くなるから、省かせて貰う。
昼は四季の中で、夏が一番長く、冬が一番短くなるんだ。そして今は秋、だんだんと昼の時間が短くなっていっているんだ」
「ガーン! そんな、昼の時間が短くなっているなんて・・・・・・」
サニーはショックのあまり、ガクッと崩れ落ちてしまった。
「そ、そんなに落ち込むことなのか?」
「落ち込むわよ! だって、昼の時間が短くなっているのよ!」
「そ、そんなに怒るなよ。それにこれは太陽と地球の位置と地軸の関係で、そうなってしまうんだから、どうしようも無いんだ事なんだ」
「くっそー、こうなったら、日が落ちない異変を起こしてやるんだからー!」
やけくそにそう言うサニー対して、ルナとスターは冷静に突っ込みを入れた。
「出来もしない事を言うものじゃないわよサニー」
「そうね、どんなに頑張ったって太陽は沈む物よ」
「うぐっ・・・・・・」
二人の正論に、ぐうの音も出ないサニーであったが、ここでジンが、意外な助け船を出した。
「いや、そうでも無いぞ」
「「「え?」」」
「白夜と言ってな、場所と時期によっては、太陽が沈まないの所があるんだ」
その言葉を聞いたサニーは、目を輝かせながら、ジンにその場所を訪ねた。
「そ、それって何処にあるの!?」
「外の世界の南極大陸に行けば、見れると思うぞ」
「よーし! みんな! 南極大陸に行くわよー!」
サニーは勢いよく飛び出そうとしたところ、針妙丸が慌てて止めに入る。
「ちょ、ちょっとサニー!? 最初の目的忘れたの!?」
「えっと・・・・・・なんだっけ?」
「私達は、葉の色がどうして変わるのかを知りに来たんでしょ?」
「そう言えばそうだったわね」
サニーの能天気な返事に、ルナ、スター、針妙丸の三人は小さくタメ息をついた。
「かなり話が脱線してしまったな。ともかく、葉の色が変わるのは、気温、水温、紫外線の三つの要素が複雑に絡み合ってなるって事だ」
「なるほど・・・」
「さて、ここまでは外の世界――――科学的に説明をしたが、次は幻想郷的な説明をするぞ」
「え? 幻想郷的な?」
「ああ、実は幻想郷には、葉の色を変える神様がいるんだ。その神様が、葉を紅葉に変えている」
「そうだったの!?」
「というか、そう説明した方が分かりやすくて早かったんじゃ・・・・・・」
「まあそうだが、片方だけ知って終わりだと、見識が広がらないだろ?
物事の見方は決して一つだけじゃない。様々な観点を知る事によって、新たな発見をしたりする事が出来る。これが幻想郷に来て、学んだ事の一つだ」
ジンの言葉に、感心する四人。そんな四人に、ジンはある事を提案した。
「そうだ、折角だし、会いに行ってみるか?」
「会いにって・・・紅葉の神様に?」
「この時期なら、魔法の森か、妖怪山にいると思う」
「そんな簡単に会える物の? 神様なんでしょ?」
「まあそうだが、彼女の邪魔さえしなければ、危害は加えて来ないし、供え物を持って行けば歓迎してくれるはず」
「ジンがそう言うなら、大丈夫そうね。よーし! みんなで紅葉の神様に会いに行くわよー!」
こうしてジン達は、紅葉の神様に会いに行く事にした。
―――――――――――
妖怪山の麓。
麓の木々の葉は既に緑から赤や黄色に変わっていた。
「もうすっかり秋だな」
「あまり気にしていなかったけど、こうして見ると綺麗だね」
「そうね・・・・・・でも、どうして色にムラがあるんだろう?」
「そうした方が綺麗だからじゃないの?」
「そうなのかな・・・・・・?」
「その辺りも、本人に聞いてみればいいと思うぞ。ちょうどいるみたいだしな」
「え? どこどこ?」
「ほら、あそこの木の上に」
そう言って、ジンが指差した木の上に、一人の少女が何か作業をしていた。
「彼女が紅葉の神様だ。ああして、葉を一枚一枚に色を着けているんだ」
「わりと地味なのね・・・・・・」
しばらくすると木から降り、今度は木を蹴り始めた。
「な、なんだか乱暴な神様だね・・・・・・」
「彼女はああして、葉を散らしているんだ。決して、八つ当たりとかじゃない・・・・・・たぶん」
「たぶんって・・・・・・」
「なんだか不安になって来たわ・・・・・・」
「折角来たんだし、話し掛けてみようよ」
「ちょ!? 針妙丸!?」
「まだ心の準備が――――」
「すみませーん」
サニー達の制止を聞かず、針妙丸は少女に声を掛けた。すると少女は気づいたように、こちらを振り向いた。
「ん? あら、貴方達は―――――」
「初めまして、針妙丸です。それとこっちが――――」
「サニーです・・・・・・」
「ルナです・・・・・・」
「スターよ♪」
「御丁寧にどうも、私は秋静葉よ。よろしくね」
そう言って、秋静葉は丁寧に自己紹介をした。
「仕事の邪魔して悪かったな静葉。今大丈夫か?」
「ええ、今日のノルマは終わったから。それで、私に何か用?」
「ああ、実は――――」
ジンはこれまでの経緯を説明すると、静葉は―――――。
「それで私に会いに来たの?」
「ああ、もしかして迷わ――――」
「すっごく嬉しいわ!」
目を輝かせながら、嬉しそうに言った。
「来る人の殆どは、穣子目当てだから、私目当てに来たのは、貴方達が初めてなの」
「穣子?」
「静葉の妹で、豊穣を司る神様なんだ。ほら、いつも収穫祭に来ているだろ?」
「そう言われてみれば、いた気がするわね・・・・・・」
「いつも祭に夢中だから、あまり覚えて無いわ」
「まあ、妖精の貴女達じゃ、あまり関心は無いかも知れないわね・・・・・・ともかく、妹は人間に人気があるのよ。だから、毎年毎年、収穫祭に呼ばれているのよ」
「あれ? この前の収穫祭の時は、静葉も居たよな?」
「妹の付き添いでね。でも、里の人間にとっては私は単なるおまけでしかなかったわ・・・・・・」
その言葉に、妹へ嫉妬の念が混じっているのを感じた。
そんな彼女に、ジンはこう言った。
「でも、静葉も立派な豊穣の神様だと思うぞ」
「え?」
「紅葉はやがて地に落ち、腐葉土となって大地の栄養源になる。その栄養が木に新たな息吹きを与える。これも立派な豊穣だと思うぞ」
「そう・・・・・・なのかしら?」
「ああ。それに、紅葉が無いと秋が来た気にはならないからな。静葉は、秋に無くてはならない神様だ」
「そ、そこまで言われると、照れるわ・・・・・・」
静葉は少し顔を赤らめながら、小さく呟いた。
そんな時、静葉を呼ぶ声が聞こえて来た。
「姉さーん!」
「あ、穣子」
来たのは、妹の穣子であった。彼女の両手には、沢山の芋が抱えられていた。
「里の人から芋を貰ったよ。一緒に食べ―――って、ジンじゃない。どうしたのこんな所に来て?」
「ああ、実は――――」
ジンは、今度は穣子にも経緯を説明した。
「姉さんに? なんか珍しいね」
「珍しいどころか、初めてよ。まあ、妖怪山なんか守矢以外に訪れる人なんて、ジンくらいなものだけどね」
「それでも、来てくれたんだから、歓迎しないと・・・そうだ!」
すると何かを思いついたのか、穣子は両手に抱えた芋をみんなに見せながらこう言った。
「折角だから、みんなで焼き芋を食べない?」
「え? いいんですか?」
ルナがそう訪ねると、穣子は笑顔で頷いた。
「いっぱい貰ったから、皆で食べよう」
「なら、一緒に芋焼酎もどうだ? 一応、供え物として持って来たんだ」
「いいねわそれ、それじゃ皆で紅葉狩りを楽しみましょう」
その後ジン達は、焼き芋と芋焼酎を美味しくいただきながら、秋姉妹と共に鮮やかな紅葉を楽しむのであった。