ここは星熊勇儀が経営している星熊旅館である。
そこの一室で、ジンは目を覚まし、霊夢からこれまでの経緯を聞かされた。
因みに、ジンはまだ鬼の状態である。
「そうか、それでここで眠っていたりしていたのか・・・・・」
「そうよ。本当に大変だったんだから」
「それはすまない霊夢。俺が誘ったばかりに・・・・・」
「あんたのせいじゃないでしょ。それに、私だって落ち度はあったし・・・・・」
「お互い様って訳か、それよりも勇儀っていう鬼に礼を言わないとな。
何処にいるか知らないか?」
「私なら此処だよ」
そう言って、勇儀は部屋に入って来た。
「あんたが勇儀? 俺は―――」
「ジンだろ? 萃香から色々聞いているよ。
何でも、鬼の人妖だってね」
「萃香の知り合いなのか?」
「まあ・・・・昔馴染みだね」
「そうか、取り合えず礼を言う。
助けてくれて、ありがとう」
「礼はいらないよ。それよりも、あんたらは御客だ。星熊旅館のオーナーとして、歓迎するよ」
「鬼の歓迎か・・・・・一体どんなものだろうな」
「それは後のお楽しみさ。
それと、あんたらとは別に客が来ているだ。
そいつらと一緒で良いかい?」
「私達以外の客? 一体誰よ?」
「それは会ってからのお楽しみさ。
ともかく、歓迎会にはまだ時間が掛かるから、先に温泉でも入っておいで」
「そうね、せっかく来たんだし、温泉に入らないと損よ。
行きましょうジン」
「ああ、わかった」
こうしてジンと霊夢は、勇儀に勧められて、温泉に入る事にするのであった。
しかしこの後に、二人の予想外の出来事に出会うのであった。
―――――――――――
「まさか・・・・・混浴だったとは・・・・・」
「普通は男女に別れているものよね・・・・・」
二人は温泉の真ん中にある岩を挟んで、お互いを見ないようして入っていた。
「・・・・・・・・・・ねえ、何か喋ってよ」
「何かって・・・・・何を?」
「何でも良いから、気を紛らせたいのよ」
「そんな事を急に言われてもな・・・・・」
「まったく、こういう時こそ気をつかうものじゃないの?」
「無茶ぶりに対応出来る程、器用じゃないんでね」
「そういう所が、未だにわからないのよね。
殺人料理を作る一方、お粥だけは超一品だったりとかね」
「あれは霊夢が悪いだろ。
俺はハッキリと言った」
「だって、あんな美味しいお粥が作れるんだったら、普通に料理が出来ると思わない?」
「あのお粥はお袋直伝だからな」
「だったら、他の料理も教えてくれば良かったのに」
「因みに、うちのお袋はお粥しか作れない」
「・・・・・ああ、何となく想像がついたわ」
思いの他会話が弾む二人。
そして、霊夢はおもむろに言葉を言った。
「そう言えばさ・・・・・まだ言ってなかったわよね」
「ん?」
「もう、勝手にいなくなったりしないでね。正直、心臓に悪かったのよ」
「・・・・・それは悪い事をした。本当にすまない」
「よろしい」
そう言って、霊夢は笑った。
再び沈黙する二人であったが、先程の気まずさはもうなかった。
そろそろ上がろうとした時、女姓の脱衣所から一人の少女が入って来た。
「一番乗りだぜ!」
「魔理沙!?」
「お、霊夢に・・・・・ジン!?
何でここにいるんだ!」
「へ?」
「ここは女湯だぜ!
まさか・・・・・覗きか!?」
「いや待て! 誤解だ!」
「問答無用! 食らえ!
星符“メテオニックシャワー”!」
「話を―――ギャアアア!!!」
ジンは哀れにも、魔理沙のスペルカードによって場外に吹き飛ばされたのであった。
「悪は滅びた・・・・・」
「魔理沙・・・・・あんたって奴は――――」
「どうしたんだ霊夢? 何を怒っているんだ?」
「逢い引き中に横やりを入れられたんだ。
そりゃ怒るだろうね」
「なに!? ジンと霊夢はそんな仲だったのか!?」
「ち、ちちち違うわよ!!
いい加減な事を言わないでよ萃香!」
「はっはっはっ、冗談だよ」
「まったくもう、勇儀が言っていた客ってあんた達の事だったのね」
「ああ、何でも旅館を開いたって聞いて、遊びに来たんだぜ」
「右に同じ」
「はあ・・・・・それよりも魔理沙」
「なんだ霊夢?」
「あんた、ここが混浴だって事知らなかったの?」
「え? そうなのか?」
「私は知ってたけど」
「知ってたら、教えてやりなさいよ!」
「だって、その方が面白そうじゃん」
「そのせいで、ジンが吹き飛ばされたじゃない」
「大丈夫だって、後で回収しとくからさ」
「後でじゃなくて、今すぐ回収しなさい。
それと魔理沙は、ちゃんとジンに謝ること」
「お、おう、わかったぜ」
「はあ・・・・・騒がしい夜になりそうだわ」
そんな予感を感じながら、霊夢は地底の空を眺めるのであった。
―――――――――――
温泉を出た一同は、旅館の一室に集まっていた。
「まったく、冤罪にも程がある。
鬼化してなかったら、大怪我していたぞ」
「め、面目ない・・・・・」
「萃香も、面白半分に情報を隠蔽するな。下手すればトラブルの原因になるのだからな」
「次から気をつけるさ」
「本当に分かっているのか・・・・・?」
「はいはい、説教はそこまでにしときな」
「勇儀か、ところで俺達をここに集めて何をするんだ?」
「それは勿論―――宴さ!」
そう言って指を鳴らすと、旅館の従業員が次々と料理や酒を持って運んで来た。
「おお! 美味そうだぜ!」
「旅館といったらこれだよね」
「まあ、何となく予想出来たわ」
「鬼は宴会好きなのか?」
「細かいことは気にしない!
今夜は思いっきり騒ぐよ!」
こうして、鬼の宴が始まったのである。
翌朝、外では既に朝日が昇っている頃。
ジンは頭痛に悩ませられながら目を覚ました。
頭を擦ると、鬼の角は引っ込んでいた。
「いててて・・・・・昨日も飲み過ぎ――――」
そこでジンは固まる。何故なら、裸同然の霊夢達がすぐ側で寝ていたからである。
(一体・・・・・何が!?
落ち着け俺! こういう時こそ能力で何があったかを見るんだ!)
ジンは能力を使い、深夜零時頃からの動きを視始める。
その時には既に全員が酔っていた。
(改めて視ると悲惨だな・・・・・せめてもの救いは、自分の軌跡が視れないって事か)
ジンの能力制限の一つで、自分の動きの軌跡は視ることは出来ないのである。
取り合えず、他の人物の動きを観察する事にした。
動きから予想するには、王様ゲームをしていたらしい。
その光景はとてもじゃないが、口に出す事を憚る物であった。
(・・・・・・・・霊夢と魔理沙が覚えていたら、俺死ぬな・・・・・)
次にやったのは、何と野球拳であった。
動きの内容を視るには、最初は勇儀とジンの勝負であったらしい。
(酔っていたとはいえ、何をやってんだよ俺!)
自己嫌悪に陥るながらも、ジンは真相解明の為に続きを視る。
勝負の結果はジンのストレート勝ちであった。
次に萃香が挑むものの、結果は同じ。
魔理沙、霊夢に続くが、負けたようで、次々と衣服を脱ぎ始めた。
(これは・・・・・そうとうエロイな)
そんな訳で、真相解明という大儀名分の元。霊夢達のストリップショーを視続けるジン。
そんなおいしい目にあっているこの男の末路は、呆気なく訪れた。
「んっ・・・・・ふぁ~よく寝・・・・・た・・・・・」
ジンがストリップショーに夢中になっていると、霊夢が起き。自分と回りの姿に気がつく。
「な、ななななな何よこれ!?」
「っ!? 霊夢!?」
「ジン! これはどういう事よ!?」
「待て! 落ち着け霊夢!」
「落ち着ついていられるかー!!!」
「んっ・・・・・何なんだぜ・・・・・って、何なんだぜ!?」
「ふぁ~・・・・・うるさいね・・・・・人が気持ちよく寝ていたのに」
「一体何の騒ぎ?」
霊夢の声で次々と起き始めるメンバー達であった。
その後、ジンに制裁を加えた霊夢と魔理沙は、彼に事の発端を追求し始めた。
「どうして私達が裸だったのよ!?」
「えっとだな・・・・・酔った勢いで野球拳をやっていてだな・・・・・」
「嘘だな。
霊夢はともかく、そんな破廉恥な事は私はしないぜ!」
「私だってしないわよ!
そんな事よりジン! 本当の事を教えなさい!」
「本当の事って言われてもな・・・・・」
「ジンの言っている事は本当だよ」
「え・・・・・嘘・・・・・」
「嘘だと言ってくれよ勇儀!」
「いや、嘘じゃないよ。私も覚えているからさ」
勇儀と萃香の証言により、真実だと知った二人は羞恥心で悶え始めた。
これで一件落着かに見えたが、この後勇儀がとんでも無い事を口走る。
「いや~それにしても、見かけによらず大胆だねジンは」
「へ?」
「そうだね。野球拳の時に言っていたことを有言実行するなんてね」
「俺・・・・・何か言ったのか?」
「ああ言ったさ。
“お前達の身ぐるみ剥いで、裸にしてやるぜヒャッホーイ!”ってね」
「何言ってんの俺!?」
「「ジ~ン~」」
「ま、待て二人とも! 話せばわか―――あーーーー!!!!」
勇儀達の更なる証言によって、事の原因はジンであると判断した霊夢と魔理沙は、彼を完膚なきに叩きのめした。
その後、しばらくジンは二人の奴隷としてこき使われるのであったとさ。
これにて地底編は終わりです。
因みに、主人公の過去についてですが、書かない事にしました。
一応設定はあるんですが、妙にシリアス&グダグダになるので、断念しました。
取りあえず、ほのめかす程度には書いていくつもりです。