東方軌跡録   作:1103

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サグメの元ネタを知って、正邪との親子ネタが急にやりたくなりました。正直に言いますと、勢いで書いています。
二人に関しては、完全な独自設定です。捏造も多々あると思います。
後編は夜か、明日辺りに投稿出来ると思います。


サグメと正邪 前編

博麗神社に住んでいる天邪鬼―――鬼人正邪は、ここ数日誰かにつけられていた。

 

(くそっ、またかよ)

 

正邪はイラつきながら、尾行者を捕まえようと行動する。

しかし、尾行者の気配が突然消える。

どうやらこちらが気づいた事を察知し、逃げたようである。

 

「ったく、何なんだよ・・・・・・」

 

悪態をつきながら、正邪は尾行者がいた場所を見に行くと、そこには必ず白い羽根が落ち着いていた。

 

「・・・・・・まさかな。今さらアイツが迎えに来るわけ無いか」

 

そう小さく呟いて、羽根を思い切り踏みつけ、その場を後にした。その様子を、遠くから見ていた人物がいるとも知らずに。

 

――――――――――――――――

 

それから数日後。業を煮やした正邪は、この事をジンに相談していた。

 

「誰かにつけられている?」

 

「ああ、この最近頻繁に。どうにか捕まえようとしたけど、直ぐに逃げられるんだ」

 

「相手の姿は見たのか?」

 

「いいや、見る前に気配が消えるんだ。中々のやり手だ」

 

「尾行者に心当たりは?」

 

ジンがそう尋ねると、正邪は嫌そうな顔をして、答えた。

 

「さあな、有りすぎて絞れん」

 

「そうか・・・それで? 俺にどうしたい?」

 

ジンは普段、こういった問題は有無言わず引き受けるのだが、この時だけ意地悪な質問をした。

それに対して、正邪は心底嫌な顔をした。

 

「お前なぁ・・・わざと聞いているだろ?」

 

「さあな、それでどうしたいんだ?」

 

ジンの意地の悪い質問に、正邪はへそを曲げた。

 

「ああそうかい! もう頼まねぇよバーカ!」

 

そう吐き捨てるかのように、正邪は部屋を出て行ってしまった。

その様子を見たジンは、ほんの少し罪悪感を感じた。

 

――――――――――――――――

 

翌日、ジンは正邪の事をこっそりつけ、彼女の周囲に尾行者がいないか調べていた。

 

(昨日は意地悪してしまったが、本当はに尾行者がいるなら捕まえてみるか)

 

何だかんだで正邪の事を心配に思うジンであった。

しばらく彼女をつけていると、不振な人物を発見した。その人物は、ジンの予想外の人物であった。

 

「え? 何で彼女が?」

 

その人物の名は稀神サグメ、月の賢者の一人である。ハッキリと言って、正邪とは最も縁が無い人物なのだが、そんな彼女が何故正邪をつけているのかジンはわからなかった。

 

(もしかして、正邪が何かしたのか?)

 

そう結論づけたジンは、サグメに声を掛ける事にした。

 

「あの、うちの正邪に何か?」

 

「ひゃあ!?」

 

サグメは驚き、慌てふためく、それに釣られてジンも驚いてしまった。

 

「わ、悪い、驚かすつもりは無かったんだ」

 

「っ・・・・・・」

 

サグメは何か言おうとしたが、直ぐ様口を閉ざした。

 

「えっと・・・もしかして怒っている?」

 

その問いに、サグメは首を横に振る。

ジンは、何故サグメは喋れるのに喋らないのだろうと、不思議に思った。

そんな疑問に、答えたある人物が答えた。

 

「やっぱり、あんただったのか・・・・・・」

 

「・・・・・・!?」

 

いつの間にかそこに正邪が立っていた。

正邪の姿を見て驚くサグメと、そんなサグメを見て嫌悪をする正邪。どうやら二人は知り合いのようである。

 

「えっと・・・二人は知り合いなのか?」

 

「ああ、こんな奴と知り合いなんて、胸糞悪い話だがな」

 

「・・・・・・」

 

「おら! 何とか言ってみろよ!」

 

それは異様な光景であった。あらゆる面で勝っている筈のサグメが、正邪に一方的に言われていた。

その姿は、とても月の賢者とは思えない程弱々しかった。

 

「けっ、結局は黙りか、あんたいつもそうだよな? 何もせずに静観し、最後は見捨てる。それが例え、“実の娘“だろうとな」

 

「それは違っ―――――」

 

「何が違うんだよ!? ハッキリと言って みろよ!」

 

「・・・・・・」

 

「ほらな、何も違わない。あんたは私を見捨てた。私が弱者というだけで」

 

そう言って、正邪は踵返した。

 

「さっさと月に帰んな、そして二度とその面を見せんな」

 

そうして、正邪は去っていた。

事態がイマイチ把握出来ていないジンは、とりあえずサグメの様子を伺った。

 

「サグメ? 大丈夫か?」

 

「・・・っ・・・っ・・・・・・」

 

サグメは声を押し殺して泣いていた。

そんな彼女に対して、ジンは何も出来ずに見ていた。

 

――――――――――――――――

 

翌日。ジンは永遠亭に訪れていた。永琳にサグメと正邪について話を聞く為に。

 

「永琳、サグメと正邪は一体どういう関係なんだ?」

 

「無関係よ。それ以外何者でも無いわ」

 

ハッキリとそう言う永琳であったが、ジンはその答えで納得しなかった。

 

「関係無い訳無いだろ。もし関係無かったら、正邪がサグメを責めたりしないし、彼女が泣く筈が無い」

 

「あの子、正邪と会ってしまったの?」

 

「やっぱり、何か関係があるんだな」

 

永琳は口を滑らせた事を後悔し、深くため息をついた。

 

「どうしても聞きたいの?」

 

「・・・正直迷っている。本人に断りも無く、過去の話を聞くのは間違っているような気がするから」

 

「そうね、誰にでも話したく無い過去はある物よ。それが、悲惨な過去なら尚更」

 

「でも、今回は知らないといけないと思う。でないと、彼女の涙の理由がわからない。何故彼女は、あんな悲しい涙を流した理由が」

 

「・・・ジン、今から私は独り言を言うわ。聞くかどうかは貴方が決めなさい」

 

永琳はジンに向けてそう言った。対するジンは、動かずに永琳を見つめた。

 

「・・・・・・鬼人正邪は稀神サグメの実の娘よ」

 

それを聞いたジンは、内心“やはり”と思った。正邪とサグメの会話から、親孝行またはそれに近い関係だと推測していたのである。

永琳はそのまま、話を続けた。

 

「彼女の本当の名は、稀神セイジャ。月の賢者であるサグメの娘として生まれたけど、彼女の才能を何一つ受け継が無かった、所謂落ちこぼれよ」

 

「落ちこぼれって・・・・・・」

 

「不快に思うのなら謝るけど、それ以外に表現しようが無いもの。でも、それが理由でサグメとセイジャの間が不仲になった訳じゃないのよ」

 

永琳の話によると、サグメは正邪を溺愛していた。

よく娘の自慢をしていたと、永琳は語った。

話を聞けば聞く程、仲が良い親子だと思うジンであった。

そして永琳は、核心について語りだす。

 

「当時の彼女は、私が知る限り最も饒舌だったわ。だけどそれが悲劇を生んだわ」

 

「・・・・・・一体何があったんだ?」

 

「・・・・・・彼女は自分の上司を死なせてしまったの」

 

それはほんの些細な出来事であった。彼女がほんの一言を言っただけで、彼女の上司は事故で死んでしまったのである。

 

「ちょっと待ってくれ、一言いっただけで、サグメのせいになるのはおかしいだろ?」

 

「そうね、普通だったらまずそんな事は思わないでしょうね。でも、彼女の能力が原因なのは確かよ」

 

「サグメの能力?」

 

「彼女は良く悪くも、運命を逆転する力を持っていたのよ」

 

永琳の話によると、彼女が口に出した事柄は全て逆に働くというものらしい。

例えば、AとBが勝負をしていたとする。そして流れ的にAが勝ちそうであった。この時サグメが、この勝負に関して口を出した瞬間、流れが逆転し、Bの勝利になってしまうのである。

一見強力な能力に思えるが、この能力はあくまでも流れの逆転なので、自分にとって良い流れすらも逆転させ、悪い結果を呼び寄せるリスクがあるのだ。その為彼女は、極力喋らないようにしていたのである。

 

「あの時期のサグメはとても饒舌だったわ。それが災いしたとしか言えないわ」

 

「・・・・・・それで、その後どうなった」

 

「彼女はその事故の後、責任を取らされたわ。そして、セイジャの前から去っていった」

 

「それは、自分の能力で正邪を害さない為か?」

 

「そうだと思うわ。彼女にとって苦渋の選択でしょうね。でも、それがセイジャを苦しめる事になった」

 

「苦しめる?」

 

「しばらくして、こんな噂が流れたわ。“セイジャは、サグメ様に見捨てられた”って」

 

それは根の葉もない噂であったが、その噂はどんどん広がり、セイジャの近状から、それが真実味を帯びていった。

 

「そしてセイジャは、ある事件を起こした」

 

「事件を?」

 

「ええ、彼女はあろう事か都に火をつけたのよ」

 

心無い言葉を聞かされ続けた結果なのか、セイジャは月の都に火をつけた。その結果、多くの建物が燃え、大勢の人達が怪我をしたという。

 

「何故セイジャが火をつけたのかは分からないけど、それが原因で、彼女は地上に落とされたわ。その後はどうなったかは知らないけど、まさか妖怪になっていたなんて」

 

永琳の話によると、昔のセイジャと今の正邪は姿は違うらしい。彼女の髪は元々黒ではなく、角も無かったとの事である。

おそらく、妖怪化した時にそのようになったと思われる。

 

「私が知っているのはそれぐらいよ」

 

話を聞かされたジンは、何とも言えない気持ちになった。それと同時に、どうにかしたいと思えた。

 

「・・・・・・永琳、頼みがある」

 

この時永琳は、ジンの頼み事の内容を聞いて、度肝を抜かしたという。

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