そして残念ながら、以前のように週一投稿は難しくなりました。よって、月一を目安にしていた思います。
楽しみにしていた人達には申し訳ありませんが、仕事が落ち着くまで月一でいきます。
二月十四日バレンタイン。女性が手作りチョコを用意し、男性に贈る日である。
その日に向けて、ジンがいない間に作ってしまおうと、その前日に集まった博麗一家。
そんな時に、事件が起きた。
「あれ? 買って置いたチョコが無い」
この日為にジンに内緒で用意して置いた材料用のチョコが無くなっていた。
霊夢が最初に疑ったのは、サニー達であった。
「ちょっとあんた達、材料用のチョコを盗っていないでしょうね?」
「霊夢さん、私達そんな事していないわよ! ちょっとならつまみ食いしたけど・・・・・・」
「ちょっとサニー・・・・・・」
「でも、正邪が買って来た、カカオ100%もあったから、全部は食べ切れないと思うけど・・・・・・」
「なに!? 私のとっておきも無いのか!?」
スターの言葉に、正邪は慌てて霊夢が見た棚を確認する。そこには前日まであった材料用のチョコがサッパリと消えていた。
「無い! 私の秘蔵のチョコが!? 高かったのに!」
ガックリと肩を落とす正邪を他所に、霊夢は改めて考える。
「確かに、あんな苦い物を食べるなんて、妖精のあんた達じゃあ無理ね。ところで、いつまみ食いしたの?」
「昨日の夕方。小腹空いちゃって」
「その事については、後でキッチリお仕置きするから」
「ひぅ!?」
霊夢の言葉に、サニーは酷く怯えた。この場にジンが居たら、それなりに弁護をしてくれたのだろうが、生憎彼はいない。サニーのお仕置きは、後日執行されるだろう。
「真犯人は後で見つけるとして、今は人里に行って、新しいの買って来る方が先ね」
そう言って霊夢は、身支度をし、新しいチョコを買いに人里へと向かった。
――――――――――――――――
人里に到着した霊夢が見たものは、里の洋菓子店に人だかりが出来ている光景であった。
「一体何の騒ぎかしら?」
誰かに事情を聞けないかと、辺りを見回すと、ちょうど魔理沙と華仙の姿を見掛ける。
「魔理沙ー! 華仙ー!」
「ん? 霊夢じゃないか」
「貴女もチョコを買いに?」
「そうなんだけど・・・言って何があったの?」
「チョコ泥棒が出たんだよ」
「チョコ泥棒?」
二人の話によると、洋菓子店に置かれていたチョコ全てが消えていたという物であった。
「チョコが?」
「ああ、一つ残らず全部だ。もちろんここだけじゃなく、里中のチョコというチョコが消えているんだ」
「被害は人里だけじゃないのよ。私の所も被害があって」
「え!? 華仙の所にも!?」
華仙も被害にあっている事に、霊夢ら驚きを隠せなかった。
華仙の屋敷には、特殊な結界が張れており、普通に行っても、辿り着けないようになっている
そんな場所にまで被害が出る。これはタダ事では無いと、霊夢は感じた。
「もしかして、妖怪の仕業かしら?」
「チョコを盗む妖怪なんているのか?」
「知らないけど、チョコだけ消えているなんておかしいでしょ? 第一、結界が貼ってある華仙にも被害が出ている時点で、人間の仕業じゃないわよ」
「それもそうだな。なら、ジンを呼んで痕跡でも調べて貰うか? アイツは今何処に?」
「今日は寺子屋の方に行っているわ。でも、あまり関わらせたくは無い、以前の事もあるし。それに、軌跡が残っている保証も無いわ」
「それならどうする? しらみ潰しに探すか?」
「その必要は無いわ。動物達にチョコの匂いを辿らせれば、位置の特定は出来る筈だから」
「それじゃあお願いしようかしら」
華仙の助力の元、霊夢達はチョコ泥棒を追跡を開始した。
――――――――――――――――
動物達の力を借りた霊夢達の辿り着いた場所は、無縁塚であった。
「よりにもよって、こんな場所に潜んでいるとは・・・・・・」
「少し気を引き締めた方が良さそうね」
三人は慎重に歩みを進めた。暫くすると、甘ったる香りが漂って来る。
「何この香り?」
「これは・・・・・・チョコ?」
「どうやら、下手人はこの先にいるようね」
三人は匂いの元へ近づくと、そこにはドロドロとした巨大な茶色の物体があった。
「な、なにこれ!?」
「匂いからすると、チョコの塊みたいだが・・・・・・」
「ん? 何か言っているわ」
三人は耳を済ませると、チョコの塊から呪詛のような叫びが聞こえて来た。
「ヴァ~~チョコヲヨコセェ~~~」
「チョコを寄越せ? あんなにあるのにまだ欲しがるのかこいつ?」
「良く分からないけど、退治した方が良さそうね」
「怨霊・・・いえ、何かに対する念の集合体のようね。その念が、チョコを引き寄せているみたい」
「怨霊だろうと怨念だろうと、やる事は変わらないわよ。ちゃちゃっと済ませるわよ!」
三人は、チョコレートの怪物?退治を開始した。
――――――――――――――――
無事チョコの怪物を退治した霊夢達であったが、相手がチョコの集合体のもあって、戦闘が終わる頃にはチョコまみれとなっていた。
「それで、うちに来ることになった訳かい」
霖之助は霊夢達の姿を見て、ため息をつきながら言った。
「しょうがないだろ。博麗神社や華仙の屋敷じゃあ遠すぎるし、アリスには門前払いされたんだからな」
「うちとしても、お引き取り願いたいのだが。そもそも、魔理沙の家の方が近いじゃないか」
「こんな状態で上がったら、家が汚れるだろ。常識的に考えて」
「その言葉、そっくり君にお返しするよ」
「せめて、拭くものが欲しいのだけれど」
「タオルなら、一枚十銭だよ」
「金取るのかよ」
「チョコを拭いたら、そのタオル使えなくなるだろ」
「まあ、十銭くらいなら」
霊夢達は霖之助に三十銭を渡し、タオルを買うと体についたチョコを拭き取り始めた。
「それにしても、あのチョコの怪物は一体何だったのかしら?」
「さあな、チョコを寄越せーってずっと言っていたし、チョコ好きな怨霊の類いじゃないのか?」
「怨霊ていうか、執着と嫉妬の塊って感じだったわよあれ」
「ふむ、もしかしたらその怨霊は、外から来たものかも知れないな」
「どういう事だ香霖?」
「如月――――外だと二月の十四日がバレンタインっていうのは知っているね」
「ええ、早苗やジン、菫子からも外の話を良く聞くから」
「それなら話しは速い。僕も菫子から外の世界の話しを聞くけど、その中でバレンタインの話を聞いたんだ。
女性が意中の男性にチョコを贈るのが一般的らしいけど、大半の男性はそういった本命チョコを貰えないっていうのが現状らしい」
「それが今回の件と何か関係が?」
「これは僕の推測と仮説だが、そういった男性達の嫉妬や憧憬の念が幻想郷に流れ、こちらで実体化したんじゃないかなと僕は思う」
「そんな事が起きるのかしら?」
「人の思いっていうのは、時と場合によっては奇跡を起こせるからね。ありえないとは僕は思わない」
「どっちにしても、迷惑な話よ。おかげでチョコが作れなくなっちゃったじゃない」
「ん? ああそうか、霊夢はジンに上げるつもりだったのか」
「ま、まあ、ちょっと世話になっているし、たまには労おうって思って。でも、チョコが無いんじゃあどうしょうも――――――」
「それなら、“彼女”に頼んでみたらどうだい?」
そう言って霖之助は、ある人物の名を告げた。
――――――――――――――――
それから数日後。ジンはいつものように居間に入ろうとすると――――――。
「「「「ハッピーバレンタイン!」」」」
クラッカー音と共に贈られた祝福の言葉。ジンはポカンと呆気に取られていた。
「えっと・・・誰かの誕生日だったけ?」
「違うわよ。今日は二月十四日、バレンタインじゃない」
霊夢の言葉で、ジンは今日が何の日か思い出した。
「あー、そういえばそうだったな。忘れていた」
「そんな訳で、皆でチョコケーキを作ってみたんですよ」
そう言って妖狐が出したのは、見事なチョコレートケーキだった。
それを見たジンは、驚きを隠せなかった。
「良く出来ているな。ところで、材料はどうしたんだ? 確か、里中のチョコが盗まれた事件が起きたばっかなのに」
「材料は菫子に頼んだのよ。幻想郷を行き来出来る人は、こういう時に便利よね」
「そっか・・・ありがとううな皆」
「そんな事より早く食べてみて。結構自信作なんだから」
「ああ、わかった」
急かされるように、切り分けられたチョコケーキを食べるジン。すると――――――。
「!!??!!?!」
一口食べた瞬間、有り得ない程の苦さが口に広がった。
「だ、大丈夫ジン!?」
「さ、砂糖を・・・・・・」
「えっと、えっと、あめ玉!」
針妙丸から飴を貰い、何とか事なきを得たジン。
「一体どうですかジンさん?」
「強烈な苦さが口に・・・・・・」
「え? 普通のチョコを使った筈だけど――――――」
不思議に思った一同は、チョコケーキを味見してみる。すると―――――。
「「「「!!??!!?!」」」」
ジンと同じように、悶絶する一同。しかし、一人だけがその様子を見てクスクスと笑っていた。
(クックックッ、密かにインスタントコーヒーを混ぜておいたんだよ。あー、愉快愉快♪)
愉悦に浸っている正邪だったが、その数分後に制裁を加えられたのは、言うまでもない。