東方軌跡録   作:1103

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 今回は旧作のアリスと今のアリスの容姿年齢が違いについての話を書いたら、何故かこうなってしまった(笑)


小さなアリスと親バカ達

ここは魔法の森。ジンは霖之助の御使いで、アリスの家の前に訪れていた。

 

「手が離せないと頼まれたが、一体何の粉だ?」

 

ジンが持っていたのは、不思議な色をした粉であった。アリスの事だから、魔法関連に使うのだろうと、あまり深く考えないでおく事にした。

 

「アリスー、いるかー?」

 

そう声を掛けながら、ドアを叩くジン。するとドア越しからアリスの声が聞こえて来た。

 

「え? ジン? 悪いんだけど、用があるのなら日を改めて貰えるかしら?」

 

「霖之助に頼まれて、注文の品を持って来たんだが」

 

「ええ!? まったくあの店主は……仕方ない、入って良いわよ」

 

「お邪魔するぞー」

 

ジンは扉を開き、家の中へと入っていった。しかし、中にいたのは家主のアリスではなく、彼女に何処と無く似た、幼い少女であった。

 

「いらっしゃいジン。この姿を見せるのは初めてね」

 

「え? もしかしてアリス?」

 

その少女の声は、幼いながらもアリスの本人のものであった。

 

――――――――――――――――

 

ジンはそれから、アリスの話を聞いた。彼女の話しによると、普段の姿は魔法によって成長した姿であって、今目の前にある少女の姿こそが、アリス・マーガトロイドの本当の姿だと。

 

「いや、まったく気づかなかった」

 

「そりゃそうよ、高等魔法を使っているんだもの、簡単に見抜かれたら魔法使いとして名が廃るわ」

 

「そうか・・・しかし、なんでまたそんな魔法を?」

 

「昔、魔理沙達に子供扱いされていたのよ。だから意地になって習得したわけ」

 

「でも、何で解除されたんだ?」

 

「この魔法、数年しか効果が無くて、一度切れたら、一日は掛け直す事が出来ないのよ。今日がその日なの」

 

「ふーん、だからその姿って訳か」

 

「そういう事。大人の姿に慣れちゃうと、本来の姿が不便なのよね」

 

「まあ、大人の方が何かと便利だからな。そうなると、今日一日大変だな」

 

「まあね。でも、人形を使えばそれほどでも無いのよ」

 

そう言って指を振るうアリス。すると人形達が宙に浮き、テキパキと紅茶を淹れ始め、それをジンに差し出す。

 

「御覧の通り」

 

「流石は七色の人形使いだな」

 

「でもね、一つだけ悩みがあるのよ……」

 

「悩み? それは一体―――――――」

 

「アリスちゃん! 遊びに来たわよ!」

 

爽快な声と共にドアから現れたのは魔界の神であり、アリスの親である神綺であった。彼女の姿を見るや否や、アリスはげんなりする。

 

「何故かこういう日に限って必ず母さんがやって来るのよ……」

 

「ははは・・・・・・」

 

「ちょっとアリスちゃん、お母さんに対してそれは無いんじゃない?」

 

「心配してくれるのは嬉しいのだけれど、過保護過ぎるのはどうかと思うわ」

 

「いや、過保護になるのも分かるぞ。小さな我が子が遠くの世界で一人で頑張っているんだから」

 

「小さいって・・・私は貴方よりずっと年上なんだけど?」

 

「俺にとってはだけど、神綺にとっては違うだろ? たまにでも良いから、親孝行した方が良いぞ。したくても出来ない奴だっているんだから」

 

「あっ……」

 

アリスはふと思い出す。ジンの両親は既に他界している事に。ジンにとってアリスの考えは、贅沢以外の何物でも無い事に。

 

「ごめんなさい…配慮が足りなかったわ」

 

「気にしなくて良いって、世の中にはどうにもならない事があるんだ」

 

「ん? ジン、貴方の御両親はもしかして―――――」

 

「まあ、色々とあって死んでいる。ずっと前の話だけど」

 

その死に関しても、色々とあるのだが、その事をジンは話すつもりはなかった。話したどころで既に終わった事を蒸し返すつもりはジンにはなかった。

ジンの話を聞いた神綺は、ふとある事を思いつき、悪戯な笑みを浮かべる。

 

「それだったら、うちの子にならない?」

 

「え?」

「へ?」

 

神綺のあまりにも突拍子の無い言葉に、目が点になるジンとアリス。それに御構い無しに神綺は言葉を続けた。

 

「つまり、アリスちゃんの旦那さんになっちゃえば良いのよ。そうすれば、私も色々と心配せずに済むし、しかも美人なお義母さんもついて来て、まさに一石二鳥ね♪」

 

神綺の問題爆弾発言に、アリスどころかジンも頭を抱えた。神綺の気遣いなのだろうが、彼女の発言はある人物の逆鱗に触れる行為なのである。

 

「ちょっとまちなさーい!! 私を差し置いて母親の座を奪おうなんて良い度胸ね!」

 

案の定、何処からともなく現れた純狐。彼女の登場に、流石の神綺も驚愕した。

 

「え? え? 貴女誰?」

 

「ジンの母親よ!」

 

「いや、違うからか」

 

「また錯誤しているみたいね彼女・・・・・・」

 

神綺(親バカ)と純狐(親バカ)。この二つが遭遇した場合、必然的に起こるのは争いであった。

 

「何処のどなたか知らないけど、いきなり何なのかしら?」

 

「それはこっちの台詞よ! 私だって色々と我慢しているのに、それを横からしゃしゃり出て母親座を奪おうなんて、嫦蛾の次に怒りを覚えたわ!」

 

そう言って純狐の背中に、七本の紫の尾が現れる。それに対して、神綺もまた六枚の翼を展開させる。最強の母決定戦が今まさに始まろうとしていた。

 

「ちょっと母さん! やるならガチじゃなくて、弾幕勝負してよね!」

 

「純狐も、ルールをしっかり守ってやってくれ」

 

「「それと、やるなら外でしなさい!」」

 

「「わかったわ!」」

 

ジンとアリスの要望を素直に聞くゴッドマザーズは、一緒に外に出た。そして暫くして、弾幕勝負の音が外から鳴り響いた。

 

「・・・やっぱり、過保護っていうか、親バカは考え物だな」

 

「ええそうね・・・・・・」

 

親バカを持つ二人は小さなため息をつく。

その後お茶会を楽しんで、ジンは帰って行った。神綺と純狐の勝敗は、後日の新聞に乗ることとなった。

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